『外国語学習の科学 ― 第二言語習得論とは何か』

著者:白井恭弘 |出版社:岩波書店(岩波新書)|2008年|700円|高校生・英語教師・一般向け|独断的おすすめ度 ★★★☆

外国語はどう学ばれるか,どう学ぶのがいいのかを研究する学問が「第二言語習得論」です。通常,言語学の中の応用言語学という学問の一分野と位置づけられています。

「外国語をどう学ぶか」を考える上では,この学問で明らかにされたこと,されていないことを踏まえないと有益な議論はできないはずですが,専門書以外の一般向けの本はあまり見当たらないのが現状のようです。このサイトで取り上げた本としては,

は,一般の外国語学習者にも役に立つ本だと思います。ここで取り上げる『外国語学習の科学 ― 第二言語習得論とは何か』は,上の『外国語学習に成功する人,しない人』と同じ白井氏の本です。後書きにもあるとおり,この本は『成功する人,しない人』を岩波新書用に書き換えたもので,「続編」とはいえ,内容的にはほとんど重複していますから,どちらかを読めばいいでしょう。こちらの岩波新書の方が全体的には読みやすいかもしれません(それに手に入りやすいですし)。この学問の全体像を手際よくまとめてあり,前著と同様かそれ以上にすばらしい入門書になっています。内容的には,『外国語学習に成功する人,しない人』についての記事をお読みください。

でも,この学問で得られた知見を,ではどうやって具体的に実践したらいいのかは,かんたんに処方箋が出せる問題ではありません。この本でも(前著でも),筆者の観点からの「学習法」の一端が示されていますが,決定版になっているわけではないようです。「教室」でどのような学習が行われるべきかということと,「個人」がどのように学ぶべきなのか(独学)ということは,必ずしも一致しません。さらに高校レベルで何をすべきかとか,それをどう評価すべきか(結局は,大学入試をどうすべきか)とかいう問題が絡み合っています。

ちょっと,教師や生徒や親が個々人のレベルでは手に負えない問題なのですが,まずは議論の共通の土台が必要でしょうし,その意味でもこの分野の学問にはがんばって欲しいところです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。