2009年センター試験(英語)の分析・略解

2009年1月17日に行われた大学入試センター試験・英語の解説です。

第1問

A 発音問題 ・・・・ 形式,レベルとも標準的。ただし,問1はカタカナで書くとみな「オー」になるのでむずかしく見えるかも。実は正解の(2)以外はすべてその「オー」にアクセントがあるが,(2)のcómofrt [kʌmfəːt]なのでアクセントがない。発音とアクセントは関連しているのだ。アクセントと発音を別々に覚えてはいけない。

B アクセント問題 ・・・・ これもふつう。設問は「与えられた語と第一アクセント(第一強勢)の位置が同じ語を,・・・選べ。」となっているが,この「第一アクセント」というのはその後の中でいちばん強く読まれる部分のことを言い,ふつうの「アクセント」と同じである(辞書では第一アクセントは[é],第二アクセントは[è]のように表記される)。第二アクセントが大学入試で出題されることはない。

また「同じ位置」というのは「語頭から数えて何番目の音節か」を問題にしていて,ふつうは cal-len-dar のように音節ごとに切って出題されることが多い。この形式での出題は2001年以来なのだが,言葉にとまどってしまったかもしれない。

C 文強勢 ・・・・ これはやさしい。

D 文強勢 ・・・・ この形式は初登場。強く読まれる部分に「●」がつけられ,そのパターンを選ぶ問題。でも,ホントはむずかしくも新しくもない。文強勢の注意点は,

  1. 新情報は強く,旧情報は弱い
  2. 対比されている部分,質問の答の部分,いちばん言いたい部分は強い
  3. 上の1, 2 に該当しなければ,代名詞,助動詞(beを含む),冠詞,接続詞,前置詞(文末に来るものを除く)などは弱い

この問題は,代名詞の It と 接続詞の that には「●」が付かないはずなので自動的に答は1つになる。

 

第2問

A 文法・語法四択問題。全体的には大きな変化はないが,少し選択肢にひねりがあるかな,という感じ。問2の remember Ving 「Vしたのを覚えている」(vs. remember to V 「忘れずにVする」),問3 の in the direction of ~ 「~の方向へ」,問9 fare 「交通料金」などは頻出。

【ピックアップ】

問1 "Did you know that Albert Einstein, the famous physicist, [   8   ] meat?"     正解は(4) stopped eating

現在完了は現在まで続いてきた行為・状態を表すので,すでに死んでいるアインシュタインには使えない。

問4 公式としては spend + 時間 + Ving 「Vするのに~を費やす」。ここでは「時間」がhow long として前に出ている。discussは他動詞で後に前置詞はつかない。discuss ~≒ talk about ~ ここはaboutがないので(1) discussing が正解。

問5 an egg や eggs は,一個一個の卵,(3)の some egg だけが物質名詞としての卵,つまり「しみ」としてネクタイに付いているようなたまご,である。

問6 closeは 1) 一時的な休業,閉店 にも, 2) 廃業 にも使えるが,close down は 2)のみ。ここはその意味での(1)が正解。 in the last month ならともかく, in last month ではおかしい。

問7 Traffic is heavy. は頻出だが,その反対の Traffic is light. は苦戦したかも。

問10 run in the family 「(ある性質が)血統の流れとして受け継いでいる,親譲りである」

 

B 会話文問題。問2,問3はやや難しめの会話表現。

問1 「割り勘にしよう」という内容のものを探す

問2 I’ll tell you what. 「いいこと教えてあげる」「聞いてください」

問3 I couldn’t agree more. 「大賛成です」 (直訳すると,「これ以上賛成することはできないくらいです」。couldは仮定法)

 

C 整序英作文問題。去年よりはややむずかしい。

問1 Everything you eat will have some effect on your body in the future.

関係詞の省略を見破れるかどうか。

問2 Can I book a table for three for 7:00 next Sunday?

book 「予約する」

問3 I could have joined the party had I answered the phone yesterday.

仮定法過去完了。 had I answered = if I had answered。 party のあとにカンマがあればやりやすかったんだけど。

 

第3問

少し前には,センター最難であった第3問だが,ずいぶんとやりやすくなった。Cに多少引っかかりやすい選択肢がある程度。

A まあ大丈夫でしょう。大丈夫であってほしい。

B かなりやさしめ。

C 33 は(1)と(2)で迷うかも。解答の根拠は直後にある making sure the farmers could keep as much of the profit as possible. ここで,profit 「利益」と言っているので,単なる寄付(2)ではなく,商売した上でのもうけが増えることを示している。

 

第4問

A 問2に注意。設問は, The information in the text and the graph suggest that [   36   ]. となっているが,この suggest 「示唆する」「ほのめかす」がちょっとポイント。

設問に,この suggest や imply 「暗に意味する」や can be inferred 「推論できる」などがある場合,「本文に直接書かれていないが,本文から推測・類推可能なものを選べ」ということを示している。本文には「2004年から」ということばはないが,グラフから読み取れる。

B 去年よりやさしい。常識でわかるところもあり,あまり間違わないと思う。

 

第5問

A バトン(baton)が右手か左手か,服のボタンは中央か両脇か,手足が伸びているか,帽子のストライプや羽毛などに注意する。

 

B わかりにくい文だが,最後の However, a bridge of this type encloses the space above the roadway… 「しかしながらこの種の橋は道路の上のスペースを囲んでいる」だけでも,(2)に絞られる。

 

C (1)は,under a table, (2)は taking them to the truck,(4) は Mrs. Johnson was broken-hearted 「落ち込んでいる」に注目すると間違いだとわかる。

 

第6問

それほどむずかしい英文ではないが....。monolingual dictionary が「英英辞典」, bilingual dictionary が「英和辞典(など)」であることが早めにわかる必要がある。equivalent 「それに相当するもの」(ここでは,英単語の意味に相当する日本語)を知っているか,推測がつけば読めるだろう。

内容は,

(1) 大学入学の時に叔母から英英辞典を,その時は英英辞典のありがたみがわからなかった。

(2) 10歳で英語を始めた時は,自分で単語帳(英単語と和訳を書いたもの)を作った。

(3) 高校に入ると,いろいろな情報の詰まった英和辞典を使うようになった。

(4) プロの人は専門用語満載の専門英和辞典を使っている。

(5) 英英辞典の何がいいのか?叔母は英単語に相当する日本語(equivalent)では,英単語のほんとうの意味はわからない,という。どのように定義されているかが重要。

(6) 英英辞典の長所の第2は,passive vocabulary (読めるが使えない)単語を,active vocabulary (会話や作文に自分で使える)語彙に変えていけることだ。

(7) 慣れてくると,「類語辞典」のたぐいも使えるようになる

(8) 「英和」「英英」にはそれぞれ長所があるが,もっと「英英」も利用するよう勧めたい

 

問2 上の(2)(4)と比べた(3)の辞書の特徴

問4 上の(6)の内容。本文からpassive と active ということばが言いたいことを読み取りたい。

問6 (2)~(4)がさまざまな辞書について述べている部分で,これがひとかたまりをなす。

問7 (3)「『英和』の衰退」,(4)「『英英』の後で『英和』でチェック」はどこにも書かれていない。(2)は「英語を勉強し始めたらすぐに」が違う。

 

 

2008年版はここ

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