自由英作文問題の傾向

大学入試における「自由英作文問題」とは,与えられたテーマに対して「自由に」英語で感想・意見・考えなどを述べるタイプの問題です。昔は,このタイプの問題を出題する大学はごく限られた一部の大学だけで,設問も「高校時代にいちばん印象深かった出来事は?」のような問題でしたが,最近は国公立では当たり前の問題になり,私立でも導入する大学が急増中の問題形式です。

問題のタイプは,

語数で分けると,

  • 50語(程度)~100語 —   青山学院・文学部,青山学院・国際政経学部,東京大学,大阪大学,北海道大学
  • 100語程度以上 —   慶応大学・経済学部(2004以前は50~70語),九州大学,一橋大学
  • 1 パラグラフ —   早稲田大学・法学部,早稲田大学・国際教養学部(2007は指定なし)
  • 長さの指定なし —   東京外国語大学(2007は200語×2,過去には100~120語や200~250語という年度もあり),東北大学 (2007は自由英作なし)

(語数というのは,単語の数です。字数ではありません。句読点は語数に入れません。)

テーマで分けると,

  1. 感想型 —   あなたの個人的体験・感想を述べる。それほどきっちりした論理は必要ない。いわゆる「エッセイ」に近い。
  2. 意見・論説型 —   社会や時事的問題などの固めの話題についてに自分の意見を組み立てる。論理性が極めて重視される。「論文」に近い。
  3. イラスト説明型 —   どちらかというと,1 のタイプにイラストをつけたもの。
  4. 資料分析型 —   どちらかというと,2 のタイプに図表・グラフをつけたもの。
  5. 要約型 —   英語,または日本語の文章が与えられ,その要約を英語でまとめるもの。

2, 4 は論理重視であることに注意してください。これらは,厳密に分けることはできませんし出題年度によっても異なりますが,おおざっぱに言うと,

  • 青山学院・文学部 は 1 (やや 2 に近いことも)
  • 早稲田・法学部,早稲田大学・国際教養学部 は 1 に近い 2 (図やイラストがつくこともあったが問題とはあまり関係なかった)
  • 慶応大学・経済学部 は4
  • 東京大学 は 1, 3, 5
  • 東京外国語大学 は 2 + 5 ( 1 的要素が入ることも)
  • 一橋大学 は 2 または 1 の中から選択
  • 北海道大学 2 ( 2005 以前は 4 )
  • 九州大学 は 5 (以前は 1)
  • 大阪大学 は 1 (やや 2 に近いことも)

難関校以外の大学は,一般に 1 または 3 です。

採点は,英語として正しいかどうかで判断され,内容は関係ない,と思っている人もいるかもしれませんが,もちろん内容も採点対象です。「×× について賛成か,反対の意見を述べよ」という場合,賛成・反対のどちらを選ぼうと自由,つまり採点の対象ではありませんが,その根拠を説得力のある論理で展開できるかどうかは大きな採点ポイントになります。