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英和辞典を比較する (12)

4月
2008
9
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第12弾!そして,最終回!

最終回は,まずランダムに英語に関する疑問を先に用意して,辞書がそれに答えてくれるかを比較してみることにしました。今回は項目が多数になりましたので,各辞書の引用ではなく,ポイントを要約して比べてみます。

単語の意味の説明ではないですから,本来の辞書に期待すべきものではないかもしれません。英米のネイティブ向け大辞典には載っていないようなことです。日本の辞典でもかつてはこんなものは載っていないことが多かったのです。でも,最近の英和辞典は載ってるのですね。世界に誇りたいのですが,ありがたみがわかるのが日本人だけですから,どうしようもありません。

 

1 同格の that をとれる名詞にはどのようなものがあるか

the fact that he is still alive 「彼がまだ生きているという事実」などで使われている同格のthat節を導ける名詞は限られた名詞だけです。fact, news などは可能ですが,information, remark, letter はどうでしょうか?(この中ではletter がダメです) それが一覧できる項目を辞書に探してみます。

  • ジーニアス —  68 個 の名詞が囲みの中にリスト
  • ルミナス     —  17 個 の名詞が囲みの中にリスト
  • ウィズダム —  51 個 の名詞が囲みの中にリスト
  • ロングマン —  リストなし。 fact のみ例。

 

2 do the Ving という表現で,Ving にはどのような動詞が使えるか

「Vする」という意味の熟語表現です。the の代わりに,some, much , one’s などが使えます。

He did some reading this afternoon. 午後にちょっと読書をした。

  • ジーニアス  —  リストなし。語意欄の例文として,reading, washing, ironing, shopping。
  • ルミナス  —  リストなし。「語法」欄に例文として,shopping, cooking, washing, writing
  • ウィズダム  —  16 個の Ving が囲み記事の中にリスト(「表現」欄)
  • ロングマン  —  リストなし。語意欄の例文として,ironing。

 

3 There is + 複数 となるのはどのような場合か

There + be 動詞 では,後ろが複数なら,There are になるはずですが, There is A, B, and C. のように,複数個の主語であっても is になる場合があります。

  • ジーニアス  —  「語法」欄囲み内で「《略式》では複数の語がきてもしばしば単数で受ける。通例 There’s となる」という記述。「単数名詞の列挙の場合に多い」とも。
  • ルミナス —   特に記載されていないようだが,熟語欄に There is [are] … and … ・・・にもいろいろある という表現が載っており, is が可能であることを明示的にではないが認めている
  • ウィズダム —    「語法」囲み内に,2つの場合の記述があり,「(a) (…) 主語が and で結ばれた複合主語になる時は,[動]の数が主語の最初の部分と一致することがある」として, There is a boy and two girls in the room. ≒ There are two girls and a boy in the room. という興味深い例文を載せています。「文法的に正しいとされる There are a boy and two girls in the room. は今では《不自然》に響くことも多い」ともあります。「(b) 《非標準・くだけて》では主語が複数でも短縮形の there’s が用いられることがある。  ▶ There’s some people upstairs. (ただし × There is some people … としない)」 とも。
  • ロングマン —   記述なし。

 

4 moreover のはたらき

しばしば文頭で「その上,さらに」の意味で使われる moreover ですが...

  • ジーニアス —   語意欄に「《文修飾》」「前述の内容を支持する情報をつけくわえるため」とある
  • ルミナス —   besides の項に「類義語」として,「もともとは besides より協調の意味が強く,前文よりもっと重要なことの追加に用いたが,現在では比較の意味は薄れ,単に前に述べたことを補強したりそれに付け加えるべき事柄や意見を述べるときに用いることも多い。格式ばった語で,会話で用いることはあまりない。」という記事。
  • ウィズダム —    addition の項に「読解のポイント」欄「列挙・追加の表現」があり,その中で in addition などと並んでmoreover を挙げている。ただし,他の語句との違いについては特に言及はない。
  • ロングマン —   特になし。「コミュニケーションガイド」には furthermore についての記述はある

 

5 wear に当たる日本語

服を「着ている」,靴下を「はいている」,メガネを「かけている」は全部 wear で表現できます。ほかにどんな訳が可能でしょうか。

  • ジーニアス —   「語法」欄囲み内に「着ている」「はいている』」など6個の訳と「訳に出てこない」場合を指摘。He wears false teeth. 彼は入れ歯です
  • ルミナス —   「日英語義比較」の表に8個の訳
  • ウィズダム —    「表現」欄囲みの中で,4種類7個の訳と14の例
  • ロングマン —   特別な記述はない

 

6 head と face

「バスの窓から顔を出す」は put his head out of the window of the bus となります。ここでは face ではなく, head と言わなければなりません。

  • ジーニアス —   head 「比較」欄囲みの中で,「head は日本語の『首』『顔』に当たることが多い」として,例を6個挙げている
  • ルミナス —   head 「日英比較」欄囲みの中で,「 head は首(neck)から上の部分をさす;(…) 従って次のような文では head に当たることばが日本語では『顔』や『首』になることが多い」として,3つの例文を挙げている
  • ウィズダム —    head 「表現」欄囲みの中で,とくに言葉での説明はないが例として, turn one’s head away 「顔をそむける」など,「顔」「首」が head になる表現を7個挙げている。
  • ロングマン —  特別な記述はないが,head を使った例文の中で,「顔」「首」などと訳し分けている。

 

7 goat (ヤギ) の文化的・象徴的意味

「羊のようにおとなしい」とか「狐のように狡猾な」とか,動物などは文化によって異なる象徴的な意味合いを持つ場合があります。

  • ジーニアス —   語意欄に「早熟で,好色・淫乱の象徴。また悪魔が goat の姿をとるといわれる」とある。
  • ルミナス —   象徴性についての記述はないが,goat の意味の一つとして「好色漢」を挙げている(この意味は他の辞書にも記載)
  • ウィズダム —    「事情」欄囲みの中で,「ヤギは早熟で繁殖力が強いので『好色』のイメージがある。古代ユダヤ人の儀式では人間の罪を背負って野に放たれたことや,ヤギの持つ破壊的性質などから,キリスト教では悪魔と関連付けられ,ヒツジと対比される。」と記述
  • ロングマン —   特になし

 

8 アメリカやイギリスの休日はどんなものがあるか

雑学のたぐいですが,小説や新聞・雑誌の中には出てくるものですから,まとめておいてくれると便利です。

  • ジーニアス —   holiday の「関連」欄囲みの中で,アメリカ,イギリス,オーストラリアの祝日,および日本の祝日の英語名を記載
  • ルミナス —   囲みの中で,米英の法定祝日を囲みに記載
  • ウィズダム —    holiday の「事情」欄囲みの中で米英の法定祝日を囲みに記載
  • ロングマン  —  特になし。「文化」欄に有給休暇の制度の説明がある

 

9 アメリカ人に多い名字はどんな名字か

これも雑学。これはなくても困らない豆知識です。

  • ジーニアス —   発見できず
  • ルミナス —   name の項に「米国で最も多い姓10」の囲み。ちなみに, Smith, Johnson, Williams, Brown, Jones, Miller, Davis, Wilson, Anderson, Taylor の順。
  • ウィズダム —    発見できず。「事情」欄には,ミドルネームやニックネームの説明。
  • ロングマン —   発見できず

 

10 完了不定詞とは何か

純然たる文法プロパーの説明があるか,という問題です。

  • ジーニアス —   発見できず
  • ルミナス —   to の項の「文法」囲みで詳しく記載されている
  • ウィズダム —  発見できず
  • ロングマン —   発見できず

 

11 副詞節の if 節で未来のことに will を用いるのはどのような場合か

時や条件の副詞節の中では,未来のことでも will が使えず,現在形を用いなければなりません。しかし will が全く使えないというわけでもありません。

  • ジーニアス —  a) 「動作主の主語の意志・習慣または相手に対する丁寧な依頼を表す場合」 b) 「if 節が主節の動作の結果を表す場合」 I will come if it will be of any use to you.  c) 「『前もって』『あらかじめ』の意が含まれる場合」 If I will be late, I’ll call you.  の3つを挙げている
  • ルミナス —   語法欄囲みの中にはないが,語意9として,「[if ... will[would] — の形で主語の意志を表して] 《格式》 — してくださるなら,— するつもりなら」を載せ,3個の例文をつけている (ジーニアスの a に対応)
  • ウィズダム —   (b)  「if 節の内容が主節に対する結果を表すときには, will が用いられる」 I’ll do it, if it will save Lisa. (ジーニアスの b に対応)と (c) 「主語の意志を表す will や丁寧表現に用いられる will [《より丁寧に》 would ]は可」(ジーニアスの a に対応)という二つの場合を挙げている
  • ロングマン —  発見できず

 

ちょっと冗談っぽく勝者を決めれば,

  1. ジーニアス
  2. ウィズダム
  3. ウィズダム
  4. ルミナス
  5. ロングマン以外同点
  6. ジーニアス,ルミナスが同点。ウィズダムも僅差
  7. ウィズダム
  8. ジーニアス
  9. ルミナス
  10. ルミナス
  11. ジーニアス(説明の仕方はウィズダムの方がわかりやすい)

というところでしょうか。こういう項目は蓄積がものを言うので,後発のロングマンは不利でした。ロングマンは日本語訳の訳語選定や日本で行われている伝統文法とは違う切り口の書き方をしているなど,筋のいい新入り(上から目線ですみません)なので,今後に期待したいところです。

 

12回にわたって比較を行ってきました。個々の項目に点数をつけて,最終的なおすすめの辞書を選ぶことも不可能ではありません。稿を改めてまとめ的なことを書いてみようと思っています。

ただ,各辞書の総合点は,今のあなたの実力や,どういうポイントを重視するかで「重み」が変わってくるのでいちがいに「これがオススメ」とは言いにくいことは確かです。

間違いなく言えるのは,英語を専門にしている人なら辞書は複数持つべきだということでしょう。

 

 

英和辞典比較シリーズ   総評

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 英語の周辺, 辞書のはなし | No Comments »

英和辞典を比較する (11)

4月
2008
4
この記事の印刷用バージョン

「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第11弾!

軽い気持ちで始めたこのシリーズも,10回を超える企画になってしまいました。そろそろ締めなければ。

というわけで,今回は各辞書のウリにもなっている囲み記事を取り上げてみます。辞書の中あちこちにポイントを特集して,枠で囲って目立たせている部分です。すでに,「語法」や「類語」情報については取り上げたので,それ以外のフィーチャーを扱ってみましょう。辞書によって切り取る角度や視点が違っていますから,特定の項目の比較があまり成り立ちません。単につまみ食いして,感覚的につかむだけにします。それにしても,どれもなかなかつまみ食いしがいのある興味深いものが多いですよ。

 

ジーニアス

「語法」の充実に比べるとその他の追加情報は抑えめ。「語法」以外では「関連」が多い。次は「事情」か。その他は少ない。

 

● 文化 — 英米文化の豆知識

例)  party

(1) 英米の家庭での party では飲食より会話が中心で,夫婦を1単位として招くのがふつう。招かれた時は何か小さなもの(wine, pie など)を持参するのがエチケット。 (2) 学生の「コンパ」も party に相当する。

 

● 事情 — 政治・社会関係の雑学

例)  taxi

【米英の taxi】 (1) New York などのタクシーは通例黄色なので yellow cab ともいう。 London では通例黒塗りの箱型オースティン車(Austin)。 (2) 料金の 10 – 15 % 程度の tip が必要。大きな荷物には割増料金が必要。 (3) 自動ドア・冷房などはふつうない。 (4) 「空車」表示は 《米》 Vacant, 《主に英》 For Hire 。

 

● 関連 — 「見出し語」に言葉の面で関連した情報

例)  wedding

【結婚記念日】 paper ~ 1周年 / straw ~ 2周年 / candy ~ 3周年 / leather ~ 4周年 / wooden ~ 5周年 / floral  ~ 7周年 / tin ~ 10周年 / linen ~ 12周年 / crystal ~ 15周年 / china ~ 20周年 / silver ~ 25周年 / pearl ~ 30周年 / coral ~ 35周年 / emerald ~ 40周年 / ruby ~ 45周年 / golden ~ 50周年 / diamond ~ 60[75]周年

どれも豆知識的な情報で,どの辞書も似たようなコーナーを持っています。辞書によって取り上げるものの差はありますが,といって優劣はあまりないような気がします。

 

● 表現 — 「見出し語」を使う状況におけるコミュニケーション上の表現例

例)  invite

【招待(状)の一例】 (1) 書状では You are cordially ~d to our 2007 summer session. (2007年の夏の会議にご招待いたします)などとする。終りに r.s.v.p. (ご返事ください)か Regrets only. (欠席の場合のみお知らせください)を書く。 (2) 口頭では I would like to ~ you to have dinner at my house, Friday at six. 金曜日6時に私の家での夕食にお招きしたい。

 

ルミナスの「会話」,ウィズダムの「コミュニケーション」にあたるものですが,それらとはちがっていわゆる「日常会話」の典型例を取り上げている部分は少なめです。冒頭でも述べたように,英和辞書で会話の典型例がどこまで扱えるかは疑問ですが。

 

● 文法 — 見出し語に関連する文法事項

例)  find

[目的語繰り上げ構文]

1. 目的語繰り上げ構文

 (1) I found that John was boring.

 (2) I found John to be boring.

(1) の John は従節である that 節の主語である。しかし同じような意味の (2) では John は主節の目的語に繰り上がっている。(2) のような構文を「目的語繰り上げ構文」(object-raising construction) と呼ぶ。

このあとには,かなり高級な議論がつづきます。「ジーニアス」は難しすぎるという意見もあるようなのですが,この部分(個々の引用部分のつづき。長いのでカットしました)は確かに初学者には難解すぎます。ただし,扱っているポイント自体は特殊なものではなく,従来から取り上げられてきたポイントです。「目的語繰り上げ構文」というネーミングも,他に初学者向けの便利な名前をでっちあげるわけにもいかず,いたしかたないところだと思います。内容は面白いんですけどね。

 

ルミナス

他にはあまり見られないのが,「リスニング」と「文法」です。

● リスニング — 見出し語に関する音声学的知識

例)  can’t

《米》では can は文中では普通弱く /kən/ と発音され,逆にその否定形 can’t は比較的強く /kænt/ と発音されるが,この語末の /t/ はしばしば聞こえないことがある。そのため耳で聞く際には I can /kən/ help you. 「アイカヌウピュー」, I can’t /kænt/ help you. 「アイキャウピュー」のように can の母音がよわい /ə/ か強い /æ/ かが肯定か否定かを判断する決め手となることが多い。

こういう大事なことが,従来の辞書では軽んじられていましたから,この項目はいいと思います。「リスニング」欄全体は少し重複が多いのですが,でも歓迎したいと思います。今までなかったのが不思議。

 

● 文法 — 基礎文法事項の説明,というより,文法用語の説明か。

例)  文の要素

文を組み立てている基本的な要素で,主語・述語動詞・目的語・補語・修飾語句をいう。文の要素のうち,修飾語句以外のものは文の骨組みになり,文の主要素と呼ばれることがある。文の主要素の構成のしかたによって文を分類すると5つの型に分けられる。

ルミナスの「文法」欄は,全部集めれば一応体系的な文法用語集になっているのが特徴です。ジーニアスの「文法」は見出し語に関する文法項目ですから,体系性を志向してはいません。初版では巻末にあったものを,見出し語の中にちりばめた形になっています。巻末でよかったのでは,という気もしますが。

辞書の中では,文法用語を使って説明する以上,こういう欄があってもいいと思います。ただ,全体としては説明が硬すぎるきらいはあります。これだけ読んで,英語が苦手な高校生にわかるかなあ。

 

● 単語の記憶 — 語源からの単語の関連付け

例)  cure

«CUR» (注意)

cure   (世話をする) –> 治療する

curious (注意を向ける) –> 好奇心の強い

accurate (注意が払われた) –> 正確な

manicure (手の世話) –> つめの手入れ

procure  (…の世話をする) –> 手に入れる

secure  (心配のない) –> 安全な

これも他の辞書には見当たりません。最近の辞書はどれも語源的説明を重視しない傾向があります。そういう情報は大辞典や英米のネイティブ向け辞書には載っているわけで,必要ならそちらに当たればいいし,語源が威力を発揮する場合は限られているので,その方針は十分理解できます。そしてその限られた場合をこの欄が受け持っているということなのでしょう。

 

● 日英語義比較 — 誤解されやすい語義のズレ

例)  ashamed

ashamed (よくない事をして恥じている) 恥ずかしい
embarrassed (きまりが悪い)
shy (引っ込み思案ではにかんだ)

「恥ずかしい」は 「悪いことをしました,恥じています」という ashamed より,embarrassed の方ががぴったりすることが多いのですが,そういう微妙なずれを図表化して取り上げている欄です。説明が少ないのでちょっとわかりにくくなっているところもあります。それにこの場合であれば,「恥ずかしい」を左列に,英語を右列に配置した方がいいと思うのですが。

 

● 日英比較

sauce

普通はトマト・肉汁・はっかの葉などのいずれか,またはその混合物をクリーム状にしたもので肉・魚料理などにかけて食べる。日本でいう液状の「ソース」は普通は Worcestershire sauce のこと。

こちらはニュアンスの違いというよりも,外来語と元の英語の中身の違いですね。

 

● コロケーション — コロケーションとは,その語と他の語の結びつきやすさ,セットで使うことの多い表現です

例) egg

beat [whisk] an egg   卵をかきまぜる[泡立てる]

boil an egg (hard [soft])   卵を(固く[半熟に])ゆでる

break [crack] an egg   卵を割る

sit on [hatch] an egg   (動物が)卵を抱く[かえす]

ウィズダムではこれをコーパスからそのまま出していますが,こちらの方が整理されている印象があります。もちろん本格的なコロケーション情報は「英和活用大辞典」などに頼るしかないのですが,中辞典にあって悪いわけはないですね。

 

● (自)(他) の転換 — 自動詞・他動詞両方で用いる動詞

例)   open

(他) 1 あける  (to make (something) open)

(自) 1 開く  (to become open)

この欄の意義がわたしにはイマイチよくわからないのですが。

 

● ~のいろいろ

例)  television

television のいろいろ cable television ケーブルテレビ / high-definition television ハイビジョン / pay television 有料テレビ / satellite television 衛星テレビ

● コーパスキーワード

例) go doing (1) のいろいろ

go boating ボートこぎに行く / go climbing 登山に行く / go hiking ハイキングに行く / go hunting 狩猟に行く / go jogging ジョギングに行く / go sailing ヨット乗りに行く / go shopping 買い物に行く / go skiing スキーに行く

● 関連表現

例) money

be broke   《略式》一文無しである

be hard up   《略式》金がなくて困っている

break a ten-thousand-yen bill [《英》 note]    一万円札をくずす

change Japanese yen into US dollars   日本円をドルに替える

deposit money in a bank   金を銀行に預ける

have no money with [on] one   金の持ち合わせがない

Money talks.   金が物を言う

open a bank account   銀行口座を設ける

このへんは,他の辞書にもありますね。

 

● 構文

例)  動詞+人+ from doing をとる動詞

[例] Business prevented me form attending the meeting. 用事で私はその会に出られなかった。

ban 禁止する / deter やめさせる / discourage 思いとどまらせる / inhibit 禁じる / keep させない / prohibit 禁じる / stop やせさせる

もっと載せていいと思うのですが,あんがい少ないです。

 

● 会話

例)  Excuse me?

“Would you like some coffee?”  “E~ me?”  “I said, ‘Would you like some coffee?’”  “Oh, thank you. Yes, please.” 「コーヒーはいかがですか」「すみません,何とおっしゃったのですか」「『コーヒーはいかがですか』と申したのです」「どうも。はい,いただきます」

ルミナスにはこれ以外にも,特に名前のついていない欄が数多くあります。図表も充実しています。crossword puzzle の項目には,ほんとにパズルが載っています(解答も)。

 

 

ウィズダム

切り取る視点はそれほどユニークなものはありませんが,ひとつひとつの記事は面白いと思います。コーパスが他よりも強調されている感じです。

● コーパス頻度ランク — つながりやすい語句をコーパスから引っ張ってきたもの

例)  that

同格の that 節をとる[名]

  1. fact
  2. idea
  3. hope
  4. evidence
  5. sense

コーパスには大量のデータがあったでしょうに,これだとなんかちょっとさびしい気がしますが,スペース的にはこれでイッパイイッパイなんでしょうね。

 

● コーパスの窓

例)  ever

過去の経験を問う疑問文

ever を伴って過去の経験・事例を問う場合,7割は完了形を用いる形が占めるが,《米》や《英・くだけて》では Did you ever …? のような過去形も用いられる。また Did you ever play sports when you were a kid? (子供の時スポーツをしたことがありますか)のように過去を示す表現が伴う時は過去形を用いる。また,過去形の場合,反語的な意味で用いられることもある。▶ Did I ever steal your money? 君のお金を盗んだことなんて,今まであったかい(!「なかった」ということを含意)

「7割」というデータの正確さはともかく,コーパスもこれくらいまとめてくれないと,生のデータだけではあまり使えませんね,われわれには。こういうのを増やしてもらいたいもんです。

 

● 表現

例)    taste

(1) ・・・な味がする ▶ ~ hot 辛い / ~ bitter 苦い / ~ sweet 甘い / ~ sour すっぱい / ~ salty しょっぱい / ~ good うまい / ~ terrible まずい

(2) 味が・・・ ▶ How does it ~? ≒ What does it ~ like? どんな味がしますか(! 前者は辛い・甘いなど,後者は肉・魚など具体的なものの味を聞く表現)

● 関連

例)  number

数学上の数

▶ a cardinal [ordinal] ~ 基[序]数 / a counting [natural] ~ 自然数 / a half ~ 0.5を伴った整数《0.5, 1.5, 2.5 など》 / an integral [a whole] ~ 整数 / an inverse ~ 逆数 / a prime ~ 素数 / an even [odd] 偶(奇)数 / a rational [an irrational] ~ 有理[無理]数 / a real [an imaginary] ~ 実[虚]数 / a round ~ 概数,丸めた数字

● 事情

例)  rainbow

7色は外から順に red, orange, yellow, green, blue, indigo, violet で, indigo を除いて6色とすることもある。頭文字をとって Richard of York gained battles in vain. のように覚えることがある。

● 語源

例)  September

September, October, November, December はラテン語の数詞にちなんで名づけられ,旧ローマ暦(ロムルス暦)では7 ~ 10月を表した。当時の暦では,1年は10か月のみで,冬期には月名が与えられていなかった。ヌマ暦で,空白の11月に January, 12月に February が付け加えられ,その後両月が1月,2月へそれぞれ移動し,各月が2か月後ろへずれることになり,September は9月になった。

このあたりは,他の辞書と似ています。「語源」も語源的雑学情報といったかんじ。

 

● 読解のポイント

例)  therefore

結果・結論の表現

「原因⇒結果」「前提⇒結論」の後半部分の導入に用いられる。文章全体の結論が述べられる場合もあるし,例や説明の中での結論や結果が述べられるにすぎない場合もある。同様の機能を持つ表現には,then, as a result, consequently, as a consequence, this is why, thus, so, so that … などがある ▶ Every integer is either even or odd. Therefore, what is not odd is even. すべての整数は偶数か奇数である。よって,奇数でないものは偶数である。(! 第1文が前提,Therefore 以下でその結論が述べられている) 以下例文 略

therefore や but といったつなぎことば(discourse markers) に付随している欄です。重要ではありますが,もう少し工夫が欲しいところ。数も少ないです。

 

● 作文のポイント

例)  convenient

都合のいい時に電話をください

×  Please call me when you are convenient.

Please call me when it is convenient for you.

 convenient は人を主語にしない

これは,語法欄と区別しにくいですね。語法欄に組み込んでもいいかもしれません。

 

● コミュニケーション

例)  ready

A: Are you ready to order?

  ご注文はお決まりですか。

B: Just a minute. We’re almost [(just) about] ready.

もうちょっと待って。もうだいたいは決まったから。

会話表現。どうせならもっと増やした方がいいかも。

 

 

ロングマン

●  — 日本人が間違えやすいポイント

例)  nor

「両方とも・・・ない」の意味で not とともに nor を用いることは不可。 not … or または neither … nor を用いる。後者はよりフォーマル。

× I can’t dance nor sing.

○ I can’t dance or sing.

× I can neither dance nor sing.

びっくりマークは,他の辞書の「語法」欄に相当するようです。他の3辞書と比較すると語法面はロングマンの弱点でしょう。今後ここをどれだけ充実させるのか,それとも他の辞書と一線を画するインパクトのある企画が打ち出せるのか。まあそれは次バージョンのはなしですが。

● 文化

例)   cat

猫は危険な状況でも無傷で逃れ,生き延びそうに見えるところから, A cat has nine lives. (猫に九生あり)と言われることがある。米国では黒猫が前を横切ると不吉だと信じられているが,英国では逆に幸運だと思う人もいる。

● 語源

例)  economy

economy はギリシャ語の oikonomia (「家事をこなすこと」の意)が語源とされる。15世紀より用いられるようになった。

これらは他の辞書と同様の項目です。

●  — 英訳・和訳しにくいもの,注意点

例)   movie

(1) 「映画を見る」という意味では通例 watch を用いるが,「・・・という映画を見たことがある」という経験を表す場合は see を用いる: I like watching (× seeing) movies. 映画を見るのが好きだ | It’s the best movie I’ve ever seen. 今まで見た中で最高の映画だ。

(2) 「ビデオで映画を見る」は watch a video を用いる: I would rather watch videos (× video movies) at home than go to the movies. 映画はわざわざ映画館へ行くよりも自宅でビデオを見る方が好きだ。

ジーニアスでは, テレビやビデオを movie を見る場合は watch,映画館で見るのは see となっています(ウィズダムも同様)。ロングマンは,LDOCE を出発点としているだけに,他の辞書とは少し切り口が違う時があっておもしろいですね。

 

● コロケーション・グリッド

例) rich

  RICH wealthy be well-off/comfortably off well-to-do affluent prosperous
person 裕福な人 裕福な人 金に不自由していない人 富裕階級の人    
family 裕福な家族 裕福な家族 金に不自由していない家族 富裕階級の家族 経済的に豊かな家族 経済的に成功している家族
area 裕福な地域 裕福な地域   富裕階級が暮らす地域 豊かな地域 繁栄している地域
country 裕福な国 裕福な国     豊かな国 繁栄している国

この表からは,たとえば rich と wealthy は意味も用法もたいして変わらない, well-off は国や地域に,well-to-do は国に,affluent と prosperous は人には使われることはまれ,ということがわかります。これもロングマン独自のもの。イギリスの本にはこの種の表を見かけることがあります。でも,ロングマンに載っているこのグリッドはそれほど多くありませんが。

 

● コミュニケーションガイド

辞書の中央にある,付録みたいなものです。「Oral Communication」(24ページ),「エッセイ・ボキャブラリー」(20ページ),「接続語句」(6ページ)の3本立てです。

「Oral」は冒頭で書いたシチュエーション別の会話表現集,「エッセイ・ボキャ」はテーマ別の語彙,「接続語句」はつなぎ言葉(discourse markers)です。狙いはいいと思いますが,網羅的にやろうとすればこれだけで別の1冊の辞書になってしまいます。あわせて50ページだとちょっと食い足りない気がしますが。

 

 

なんか今回は注文が多くなってしまいました。あしからず。

 

 

 

英和辞典比較シリーズ   総評

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英和辞典を比較する (10)

4月
2008
2
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第10弾は,会話表現・口語の記述です。今回は受信型,つまり「こういうシチュエーションではどう言うか」ではなく,「こう言われたらそれはどういう意味か」ということを調べる場合を想定しています。発信型情報については,各辞書が「コミュニケーション」「会話」などの囲み記事として載せていますが,英和辞書は本来シチュエーション別ではなく,単語別の記述になっているため,この点では限界を感じざるをえません。それはむしろ和英辞典の仕事でしょう。受信型情報の記述なら,英和辞書の本領が発揮されるはずですが,さてどうでしょう。

 

☆ Nice to meet you. ⇔ Nice meeting you. ⇔ Nice to see you.

どなたもご存知の Nice to meet you. ですが, Nice meeting you. や Nice to see you. との使い分け・ちがいをどのように載せているかの比較です。

私の理解は,

  • Nice to meet you. は初対面の際
  • Nice to see you. は2回目以降の再開の際
  • Nice meeting you. は初対面の別れ際

で使われるというものです。かなり以前, native(American) に, Nice to meet you. と Nice meeting you. は interchangeable かと尋ねたことがありますが,答えは No. でした。「gerund はやっぱり過去的な意味になるんだろうね」というのが彼の意見でした。

この点を囲み記事を使っていちばん詳しく載せていたのは,「ウィズダム」でした。

ウィズダム

meet

コーパスの窓 meet を使った初対面のあいさつ

(1) 初対面の場面では紹介の後に (It’s) nice to meet [《比較的まれ》meeting] you. を用い,言われた方は通例それを繰り返すが,《くだけて》ではしばしば略式表現も用いられる ▶ “(It’s) nice to meet you, Susan.” “Nice to meet you, too. [《くだけて》 And you. You too], Ally.”「お会いできてうれしいです,スーザン」「こちらこそ,アリー」( 相手の名前を添えて呼びかける方が親しみが出る)

(It’s) nice の代わりに (It’s) good や (I’m) glad, 《かたく》では(It’s) a pleasure, I’m (very) happy, I’m (very) glad, How (very) nice を用いることがある。▶ “It’s a pleasure to meet you.” “Same here.” 「お会いできてうれしいです」「こちらこそ」

(2) 別れ際は It was [It's been] nice to meet you / (It’s) nice [《かたく》 I'm glad] to have met you. などのほか,《主に米》 では(《かたく》 It was ) nice meeting you. が好まれる。▶ “(It was) nice meeting you.” “(It was) nice meeting you, too.” 「お会いできて楽しかったです」「こちらこそ」

pleasure を使った “(It’s been [It was] a) pleasure to meet [meeting] you.” “The pleasure is mine.” は《かたく》で用いられる。 (I am very) pleased to meet you. や Good to meet you. は通例初対面の時に用いるが,時に別れ際に用いられることもある。

(3) 2回目以降会ったときには Nice to see you again. のように meet ではなく通例 see を用いる。

 

ジーニアス

ジーニアスでは,この件の関連事項は特に囲みなどのない meet の語意欄に載っています。

meet (他)(2)

It’s really nice to ~ you. = I’m really glad to ~ you. 初めまして,よろしく。 《♦ meet は初対面で通例紹介されてあった場合 (–> see): 《英》では How do you do? の方がふつう》 / It was nice ~ing you. お会いできてよかったです。《♦ 初対面の折の別れのあいさつ。もっと改まったあいさつは I’m very pleased to ~ you. / I’m delighted to ~ you. など》 / Come to the party and ~ my wife. パーティにお越しください。妻を紹介します / I’d like you to ~ my friend Roy Smith. 友人のロイスミスを紹介します。

基本は「ウィズダム」と同じです。特別項目立てをしていないので目立たないきらいはありますが,いちおう合格点でしょう。

 

ルミナス

ルミナスでも囲みなどはありません。

meet (他) 3

(紹介されて)<人>と知り合いになる: I have often seen Brown at parties but I have never met him. 私はブラウンをパーティーでしばしば見かけましたが,まだ紹介されたことはありません。 / How did you (first) ~ your wife? 奥さんとは(最初)どのようにして知り合いましたか / Mr. Jones, I’d like you to ~ Mr. Smith. ジョーンズさん,スミスさんをご紹介します。 《Jones の方がSmith よりも年長[目上]のときの言い方》 Nice ~ing you. Ⓢ《米》 = Nice [Pleased, Glad] to ~ you. Ⓢ はじめまして,よろしく 《初対面のあいさつ: 2度目からは see を用いる》 Glad [Nice] to have met you. お会いして楽しかったです。《別れのあいさつ》

Ⓢ はルミナスでは Spoken ,つまり 「話しことば」であることを示す記号です。

Nice to see you. の扱いは他の3辞書と同じですが,Nice meeting you.はアメリカではNice to see you. と同じとしているのは,他の辞典とは違っています。少なくとも,コーパスデータを参照して扱っている「ウィズダム」の《比較的まれ》という注記が正しいと思われます。

 

ロングマン

ロングマンでの関連事項は meet の熟語欄に載っています。

meet

Nice / Pleased / Good to meet you. 《話》 はじめまして (紹介などの際,初対面の人に対する丁寧なあいさつ): “This is my friend Betty.” “Hi. Nice to meet you.” 「こちらは友達のベティです」「こんにちは,はじめまして」 すでに面識のある人に再会したときには meet でなく see を用いる :Nice to see (× meet) you again. またお会いできてうれしいです。

(It was) nice meeting you. 《話》お会いできてよかったです。(初対面の人と別れる際の丁寧な表現): Nice meeting you, Ann. アン,お会いできてよかったです。

必要なことが簡潔にまとめられています。詳しさではウィズダムに負けるけれど,いちばんわかりやすいかもしれません。

 

 

☆ You never know.

You never know. は,「うーん,それはどうかな。案外どうだかわかんないよ~。」という感じの会話の決まり文句ですが,なかなか説明しにくい表現です。

ジーニアス

You never know. 《略式》 先のことはわからない(けどね),さあなんとも言えない(ね); ひょっとしたら(ね),そうかもね 《♦ 何があっても不思議でないという気持ち》 || I doubt we’ll arrive on time, but you never know. 我々は時間どおりにつけないと思うが,なんとも言えないね。

ルミナス

You never know.  Ⓢ 先のことはわからない。さあどうだか; ひょっとしたらそういうこともある。

ウィズダム

You never know. 《話》 どうなるかわからないけどね( 「そうなるといい」という含みがある): ひょっとすると(そういうことになるかも) ▶ You never know — you might win the lottery. 先のことはわからないよ。もしかしたら宝くじに当たるかもしれないしね。

ロングマン

You never know. 《話》 (ありえなさそうだが)ひょっとすると,もしかしたら

 

この種の表現は例文がなければ,理解不能です。できたら少し長めの例文が複数欲しいところです(無理な注文ですが)。その点で,ルミナス,ロングマンはちょっと不満が残ります。

基本的に,前文でいったこと,または相手の発言に対し,その可能性を限定し,「ただし確かなことはわからない」「あなたの言っていることが正しいかどうかホントのところはわからない」というようなニュアンスを持ち,次の例でもそうですが,you never know のあとで,こういう可能性もありうる,という内容を付け加えることが多いと思われます。この,別の可能性を付け加えるときに,「ひょっとすると」という訳語が生きてきます。

BNC コーパスの例文

  • It probably won’t get us very far, but you never know, one of them might come up with something.
  • Asked whether he thought the Jockey Club was ready to change the rules, the South African champion was guardedly optimistic: ‘You never know, It’s difficult.’
  • The odds are that you will not need it, but you never know.

 

☆ Just like that.

just like that は,直訳すると「ちょうどそのように」となりますが,会話上の決まり文句としては,「そんなに簡単に(かよ)」くらいの訳になるでしょうか。これも例文がないとなかなか意味をつかみにくく,まして自分で使おうと思ったら,多くの例に触れて,語感を肌で知るしかありません。

ジーニアス

just like that (1) びっくりするほど簡単に,無造作に。 (2) 突然,何の説明[予告]もなしに

ルミナス

just like that [副] 《略式》 あっさりと,さっさと,(そんなに)簡単に; 突然

ウィズダム

なし

ロングマン

just like that 《特に話》 いきなり,何の説明もなく : You can’t give up your job just like that. そんなに急に仕事を辞められるわけないでしょう。

 

例文があるのはロングマンだけ。各辞書ともコーパス準拠をうたっているのだから,例の一つや二つくらいは見つかるでしょうに。次の例も BNC (British National Corpus) で引いたもののピックアップです。

BNC コーパスより

  • Did she imagine she could run away from Alice, just like that?
  • ‘I couldn’t look at you and kill you’ — he clapped his hands — ‘just like that.’
  • Quietly, unhesitatingly — just like that — he faces up to the moral consequences of his realization.
  • What was unacceptable and intolerable suddenly — just like that — became acceptable and tolerable, as the Conservative party line turned, with a discipline which I found quite remarkable and which was reminiscent of societies that Conservative Members often dismiss contemptuously.

私は,この熟語に今から20年くらい前のNHKのラジオ講座で出会いました。だから,けっこう昔からある表現ですね。

 

 

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英和辞典を比較する (9)

3月
2008
29
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第9弾!

今回は,いわゆる新語がどの程度載っているかの比較です。新語は毎日地球上のどこかで生まれては消え,そのごく一部が生き残る,そういうものです。あっという間に消えるのものもあれば,定着したと思いきや消えてしまうもの,消えたかに見えて復活してメジャーになるもの,いろいろあるはずです。従って,辞書にすべてを載せることは原理的に不可能でもあるし,その必要もありません。のせ過ぎても困るし,載っていなさすぎるのも困ります。まして,このシリーズで扱っているのは英語学習者向けの辞書ですから,そのバランスは難しいでしょうね。

まず Oxford 出版局が出版している”Language Report” が選んだ,”A Word a Year” の語彙の中から,1998 ~ 2006 を取り上げてみます。直訳すれば「一年一語」,つまりその年を象徴する単語ということですから,必ずしも新語だけとは限らないわけですが,そこそこ定着した代表的なもの(ややイギリスにかたよりがちですが)ですから,学習英和でも取り上げていておかしくはない単語ということになります。

ちなみにこの “A Word a Year” はけっこうおもしろくて,1907 cat burglar (猫泥棒が流行ったの?)1920 T-shirt(この頃できたんだ),  1933 power politics (Nazisが政権を取った年), 1947 bikini (もちろん水爆実験), 1970 Big Mac, 1979 karaoke(!) なんてのもあります。

 

1998 to Google 「ググる」

全辞書に載っていますが,「ロングマン」には慣用句も出ています。

google for sth <…>を検索する | be /get googled 《米》 <ホームページなどが>アクセスされる

 

1999 blogger 「ブロガー」「ブログ作者」

「ウィズダム」を除いて全部に載っています。「ウィズダム」には blog はありますが, blogger はありません。その代り,「ルミナス」「ロングマン」には出ていない, blog の動詞用法が出ています。いずれにせよ大差ないですが。

 

2000 bling

  • ジーニアス –  bling (-) bling 《主に米略式》 [形][名]人目を引く高価なアクセサリー(をつけた)《♦ 単に bling という》
  • ルミナス –  bling bling [名] 高価[派手]な装飾品,ピッカピカ《宝石など》
  • ウィズダム –  bling 《くだけて》(宝石などの高価な)けばけばしいアクセサリー (bling bling)
  • ロングマン – bling bling [名] 《インフォーマル》(ラップミュージシャンなどがするような)派手なアクセサリー

ロングマンがおもしろいですね。ラップ系(派手)とセレブ系(高価)ではモノがかなり違うような気がしますが...

 

2001 9/11  読みは nine eleven

当然,全辞書にあります。「ウィズダム」が 「NY の貿易センタービルと Washington D.C. の国防総省」という場所を特定してやや詳しいですが。まあ引き分け。

 

2002 metatarsal

  • ジーニアス –  metatarsal 《解剖》 [形][名] 中足骨(の)
  • ルミナス –  なし
  • ウィズダム –  なし
  • ロングマン – metatarsal 《専門》[名] 中足骨(足首と足指の間にある骨) – metatarsal [形] 《通例名詞の前で》《専門》 中足(骨)の

おお,ロングマンの勝利。これは新語ではなく,単なる専門用語。これがなぜこの年に流行ったかというと,2002年の日韓ワールドカップでベッカムの不調の原因がここの怪我だったということ。のちに,ルーニーもこの怪我に泣くことになったというはなし。

 

2003 to sex something up

  • ジーニアス –  sex [動](他)《略式》<人>の性的魅力を増す (+ up) [語法] 動詞 sex には「性交する」の意味はない。
  • ルミナス –  なし
  • ウィズダム –  sex A up [up A]  A<文書など>を大げさにする,おもしろくする
  • ロングマン – なし

Oxford がどの意味で取り上げているのかは不明なのですが,おそらく「ウィズダム」の意味でしょう。というわけでウィズダムの勝利。

 

2004 chav

  • ジーニアス –  chav [名]《英俗》流行を追う無教育の若者
  • ルミナス –  chav [名]《英俗》[軽蔑]チンピラ,チャブ《派手な装飾品を身に着け,野球帽をかぶるなどした無教養な若者》
  • ウィズダム –  なし
  • ロングマン – なし

新語では大敗するかに見えたルミナスが,意外に健闘。ルミナス一勝。

 

2005 biosecurity

  • ジーニアス –  なし
  • ルミナス –  なし
  • ウィズダム –  なし
  • ロングマン – なし

ちなみに,逆の状況である biohazard は「ルミナス」「ウィズダム」にあります。ゲームじゃなくて,生物実験,院内感染などによる危険性のこと。

 

2006 bovvered

  • ジーニアス –  なし
  • ルミナス –  なし
  • ウィズダム –  なし
  • ロングマン – なし

bovver なら,ロングマン以外にはあります。若者の暴力行為,喧嘩沙汰のこと。英・古 という表記つき。

 

今度は,Oxford から離れて勝手に思いつくものを調べてみます。結果的に日本語でも使われるようなものばかりになってしまいましたが。✔ は載っているものです。

 

新語 意味 Genius Luminous Wisdom Longman
crawler 検索エンジンのサイト巡回システム × ✔*
copyleft 自由著作権(運動) × × ×
adult child 幼少期の心的外傷による未成熟 × × ×
day trading 日計り商い
MERCOSUR 南米の関税同盟 × × × ×
transgender 性同一性障害の一種
iPod   ×
V-chip 児童向けでない番組を規制するテレビ用LSI

 

transgender については,Wikipedia などをご参照ください。語義が変化していて,「ジーニアス」「ルミナス」は古い意味のようです。現在の語義はウィズダムの「性転換手術までは行わないが,異性の社会的・性的役割を実践したい[できる]人についていう」がこの中ではいちばん近いように思われます。

 

 

 

 

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英和辞典を比較する (8)

3月
2008
22
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第8弾!

現在の学習用英和辞典には,さまざまな「囲み記事」「コラム」的な追加情報が載せられています。既に取り上げた語法以外にも,「文化」に関する情報であったり,会話上の注意事項であったり,各社がそれぞれ工夫を凝らした「囲み記事」を掲載し,これがあるためにかつての小さな文字の羅列という印象が薄れ,辞書自体がちょっと楽しいカタログ的読み物になっています。今回はその中から「類語」の比較を取り上げます。「傷つける」という意味を持つ injure と wound と hurt はどこが違うのか,というようなポイントですね。

まず,類義語としてどんな単語を選ぶのか,という問題があります。

各辞書の A のページから「類義語」の囲み記事になっているものをピックアップしてみました。ただし,ルミナスは囲み記事になっておらず,解説の末尾に小さめの活字で類義語が説明されています。(そのため見落としがあるかもしれません。)

ジーニアス は, ability, capacity, talent, gift / act, action / admittance, admission / almost, nearly / alone, lonely / area, region, district, zone / ashamed, embarrassed, shy / attempt, try / authentic, genuine の9項目

ルミナス は, ability, faculty, capacity, talent, capability / about, almost, nearly / accept, receive / accompany, attend / achieve, accomplish, attain / acknowledge, admit, confess / act, action, behavior, conduct / advice, counsel, recommendation / angry, furious, mad, indignant / answer, reply, respond / anxious, concerned, nervous / appointment, engagement, date / argument, dispute, debate, discussion, controversy / arms, weapon / arrive, reach, get to / aware, conscious の16項目

ウィズダム は, ability, capability, capacity, skill, talent, gift  / about, on, of, over / above, over / achieve, accomplish / across, over, through / action, act, deed, behavior, conduct / after, later, in, from now / ago, before, earlier / alive, living / allow, let, permit / almost, nearly / among, between, amid / anger, rage, fury, wrath / anyway, anyhow / apt, likely, liable / area, region, district, zone / at, in / aware, conscious の18項目

ロングマン は, about, on, concerning, regarding / accident, event, incident / act, action, behavior, conduct, deed / allow, permit, let / area, region, district, zone の5項目

「ジーニアス」「ロングマン」に比べ,「ルミナス」「ウィズダム」は多めです。しかし,実際探してみて気づいたのですが,たとえば alive と living のように意味よりも語法上の違いが大きいものは,「類語比較」の項目ではなく,「語法」囲みに載っている場合があります。また,囲みにせず,本文中に記載してある場合(特に前置詞)もあります。そしてもちろん,area と region の違いを area の項目ではなく region の項目で説明していることもあります。ここでの多い少ないはあくまでも A のページに載っていたのはたまたまこれらだったというにすぎません。

4つの辞典で共通していた area を取り上げてみます。

 

ジーニアス

【類語比較】 [area, region, district, zone] area は「地域」を表す最も一般的な語。region は地理的・文化的・社会的特徴によって区分された地域を表す。district は region と同じように使うこともあるが,行政上の区域についてはもっぱらこの語を用いる。zone は特別な現象の生じる地帯や特別な用途・目的のための地域を表す: Major industrial areas [districts, regions, zones ] of Japan are in Tokyo, Osaka and Nagoya. / Each election district [×area, ×region, ×zone] elects one member. / Los Angeles is in an earthquake zone [ area, ×district, ×region].

ルミナス (region の項)

【類義語】 region かなりの広さを持つ地域で,何か他と区別する特徴を持つ地域を意味する: a wooded region 森林地帯 district region よりも小さく,明確な行政区画,あるいは地域の特徴などによって明らかに区画されている地方などに用いる: an electoral district 選挙区 area 広い狭いには関係なくある region や district をいくつかに区分した場合の1つの地域: a cultivated area 耕作地域 quarter 都市の区分で,同じ種類のものが集まっている地域: the Chinese quarter 中国人居住地域 zone 用途・生産物・生息している動物,繁茂している植物などで分けた地域: a demilitarized zone 非武装地帯

ウィズダム

【類義】 [コーパス] area と region, district, zone など

area は面積の大小を問わず,一般的に地域を表す語で,明確な境界線は持たない。 region は邦楽や地名をしばしば伴い,地理的特徴などが他とは区別される広い地域をさす。 district は region よりは狭い地域をさし,school, business, financial といった目的を示す語をしばしば伴う。 zone は time zone (時間帯)のようなある基準で指定された地域や,war, parking などの特定の行動を行う区域をさす。 country は farming, rugby, wine といった特別な活動や物で知られる地域のこと。

ロングマン

【類語】 area は広さに関係なく,ある特定の地域を漠然とさす : mountainous areas 山岳地帯

region は主に地理的なかなり広い地域をいう : the northwest region of Russia ロシアの北西地域

district は国や都市の行政上の区域や特定の「地区」をいうことが多い : the shopping district 商店街

zone はある目的などのために指定された「区域」や気温などで分けられた「地帯」をいう : a no-parking zone 駐車禁止区域

 

どうでしょうか。たとえば zone の説明だけを比較すると,違いがわかりやすくなるかもしれません。

説明の仕方や用例の挙げ方にいくらか個性が見られます。「ジーニアス」は説明が少し抽象的で分かりにくいのですが,ほかには見られない用例の × 印があって,それでいくらか救われています。(余談ですが,ジーニアスはこの× 印を多用していて,日本人にはいいのですが,ネイティブには批判的な人もいるようです。)

「ルミナス」は「ジーニアス」よりは具体的な説明になっています。region と district を「広い」⇔「狭い」としているのは「ウィズダム」も同じです。意味だけで説明するとすればこの辺が妥当なのかもしれません。

「ウィズダム」は用例を入れない代わりに,修飾語を列挙するという形で説明しています。これが案外わかりやすいかも。

「ロングマン」はいちばん短い説明で,その分いちばんわかりやすいですね。「地区」,「区域,地帯」などの対応語の記述はロングマンだけです。もちろん短い説明は,切り捨てているものも多いわけですから危険と言えば危険なのですが,学習英和である以上,こういう切り捨て方もアリだとは思います。

ところで,「ウィズダム」「ロングマン」の記述を読んだ後で,「ジーニアス」の記述を読み直すと,案外すんなりと読めてきます。一つの視点からだけではなく,いろんな視点からの説明によって全体像がはっきりしてきます。よく,辞書は何がいいのか,「ジーニアス」の時代は終わったとか,いやまだまだだとかいう議論が聞こえてきますが,辞書は一つより二つ,二つより....だと思いますよ。「話せればいい」「読めればいい」という考えなら話は別ですが,外国語に対して,単なる道具以上の興味を持っているのであれば複数の辞書は必要でしょう。もちろん,特に電子辞書などという高価なものも使うとなれば,財布との相談になるわけですが...

 

 

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英和辞典を比較する (7)

3月
2008
19
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第7弾!

 
 

語法上いちばん問題になるのはなんといっても動詞でしょう。今回は動詞の語法をどのように表記しているのかを取り上げます。不定詞目的語をとれるか,that節をとれるかなどがわかりやすく記述されているかが比較のポイントになります。とりあげるのは,advise の他動詞。語法表記を比較したいので,必要でない例文はカットします。

ジーニアス

advise

(他)(1) a) [SVO to do / SVO that 節] <人・広告などが>O<人>に・・・するように[・・・することを]助言する勧める; [直接話法で]「・・・」と勧める; [SV that節] ・・・だと忠告する

[語法] (1) (1)a)の意味では,that 節の動詞は《米・英正式》仮定法現在; should を用いるのは《英正式》。 (以下略)

b) [ SVO1 not to do / SVO1 against doing / SVO1 against O2 ] <人が>O1<人>に・・・しないよう[O2<事>をしないよう] 戒める,警告する

c) [SVO1 on [about, in] O2] <人が>O1<人>にO2<物・事>について助言する忠告する 《◆ wh節が来る場合は前置詞の省略不可》

(2) [ SVO / SV doing ]  <人が>O<事>を[・・・することを]勧める 《◆<物>をOとしない: recommend [× ~] a good book 》

(3) 《正式》《◆主に《商》で用いる堅い表現;一般には tell, inform, 《正式》notify 》 a) [SVO1 (of O2)] <人が>O1<人>に(O2<決定・日時など>を)通知する,<人>に[・・・について]知らせる[about]

b) [SVO (that) 節 / SOV (of) wh句] <人が>O<人>に・・・だと通知する

 

特徴は,advise という語をまず語法で分類し(1a, 1b, 1c, 2, 3a, 3b),その分類の下に意味を配置していることでしょう。ルミナスと比較してみるとこの特徴がよくわかると思います。見た目としては,この「ジーニアス」の分類法の方が整理された印象を与えます。

that 節の後ろが仮定法現在またはshould が来ることは,例文中には全辞書に書かれていますが,語法として記されているのは「ジーニアス」だけです。ただし,仮定法現在という文法用語ではちょっと不親切かもしれません。原形と書けばいいのですから。概して「ジーニアス」は利用者の文法力をやや高めに想定している感があります。

なお,(1)の c) に「《◆ wh節が来る場合は前置詞の省略不可》」という記述がありますが,これはほかの辞書には見当たりません。 wh 節が後ろに来るのはここだけなのですが((3) b) は句),google で “advised me which” という検索をかけたところ48400件該当し,この中にはwh 句も入っていますが,ざっと見積もるとその半分は節になっています。”advised me about which”は10件のみ,”advised me on which”だと20400件で,これらは句の方が多そうな感じです。「ジーニアス」のこの記述は勇み足の感を免れません。

 

ルミナス

advise

(他) 1 <人>に忠告する助言する; (・・・に)<–すること>を勧告する; <事>を勧める: He ~d me on this problem. <V+O+on+名・代> / [言い換え] We ~d them to start early. <V+O+C(to 不定詞)> = We ~d (them) that they should start early. <V+(O+)O(that節)> = we ~d (them), “You should start early.” <V+(O+)O (引用節)> = 《格式》 We ~d their starting early. <V+O(動名)>

[語法] (1) to 不定詞の方が動名詞よりも普通。 (以下略)

You are strongly ~d to have a medical checkup. <V+O+C (to 不定詞)の受身> / [言い換え] She ~d me which to buy. <V+O+O(wh句)> = She ~d me which I should buy. <V+O+O(wh節)> / Please me whether I should accept the offer. <V+O+O(whether節)>

2 《格式》《主に商》 <・・・>に通知[通告]する

advise をまず意味で2つに分け,その下に例文を置き,その例文を公式化した形をその後にまとめる,という形をとっています。ジーニアスよりもこちらの方が自然な分類でしょうが,自然な分,ごちゃごちゃした印象があります。advise A against B については,この分類法では収まりが悪かったのか,熟語として別扱いをしています。例文が先で,公式を後に置いているのは一長一短ありで,微妙なところです。辞書は例文を読むもの,なのですからこれでいいと言えなくはないのですが。

もうひとつ,他の辞書に見られないのは,[言い換え]が多用されていることです。何か,大昔の大学入試問題をほうふつとさせますが,でも悪くはないですね。

 

ウィズダム

advise

(他) 1 a advise A to do<専門家・物事にくわしい人などが>A<人>に・・・するよう忠告する強く勧める](日本語の「アドバイス」と違い強制を含意)

badvise (A) that 節/ wh 節・句 (A<人>に・・・ということ[・・・か]を忠告する; 《書》[直接話法] ・・・と忠告する  (1) should の省略については→suggest (2) I advise him [his] starting at once. とすることもできるが《まれ》で,to 不定詞の型がもっとも普通)

2 advise A not to do <人などが>A<人>に・・・しないように警告する,戒める;  【~ A against B/ doing】 A<人>にB<事>を[・・・]しないように忠告する

3 advise A on B / about B <人などが>A<人>にB<物・事>について専門的助言をする

4 advise A/ doing <人が>A<事など>[・・・すること]を勧める (具体的な物品の推奨はrecommendを用いる)

5 《かたく》advise A of B /(that)節/ wh 節・句 A<人>にB<事実・状況など>を[・・・だと/・・・かを]通知[通告,伝達]する一般的な tell, inform と違い,ビジネス文書などに多用される)

分類は語法→意味という「ジーニアス」型です。「ウィズダム」はいちばん整理されて読みやすい印象があります。前二者にあっただいじなところはすべて押さえていて,SVOCではなく,do や A,B という記号表記も親しみやすいでしょう。

以前に触れておくべきだったかもしれませんが,見出し語が例文中に出てくる時,「ジーニアス」「ルミナス」は「~」という記号を使っていますが,「ウィズダム」「ロングマン」は基本的に見出し語をそのまま例文中で用いています。「~」はスペースの節約上使っているのでしょうが,見出し語そのままの方がはるかに読みやすく,「ジーニアス」「ルミナス」もそろそろこちらにした方がいいと思いますよ。

 

ロングマン

advise

1 a) 他 <人>に忠告する,助言する,アドバイスする | advise sb about/on sth <…>について<人に>アドバイスする | advise sb to do sth <人>に<…>するようにアドバイスする | advise sb against doing sth <人>に<…>しないように忠告する | advise that  ・・・ということを勧める | advise caution/ patience/ restraint 用心[忍耐,自制]するよう忠告する

b) 自 略

2 a) 他 ・・・のアドバイザー[顧問]を務める | advise sb on sth <人>の<…>について顧問をする

b) 自 略

3 他 《フォーマル》<人>に伝える | advise sb of sth <人>に<…>について伝える | advise sb that <人>に・・・ということを伝える | keep sb advised of <人>に<…>を絶えず知らせる

分類タイプとしては,意味→語法の「ルミナス」型です。SVOC, A, B という記号ではなく,sb (=somebody) と sth (= something) を使っていますが,これは英英辞典で使われている方法です。前三者が「語法公式」のようになっているのに対し,「ロングマン」は文を切り出しているような印象を与えますが,これはこれで一つのポリシーになっています。自動詞と他動詞を大別してから解説するという従来の英和のやり方を捨てていますが,これも英英型です。仮定法現在の指摘がまったくないなど,語法説明は少し不親切な感じを受けざるを得ませんが,訳語のスッキリ感はあいかわらず個性的でいいと思います。「アドバイスする」という訳はこの辞書だけですね。

 

 

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英和辞典を比較する (6)

3月
2008
14
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第6弾。

今回は語法解説の比較で残っている,副詞と動詞の語法解説を取り上げてみます。

副詞で取り上げるのは, only の位置。only は修飾する語の直前に置くことが多いのですが,それが別の位置に移動することがありますよね。それをどう説明しているのかを比較してみたいわけです。only の位置だけでも論文が1本書ける,という話もありますが,そんなに複雑でしたっけ。

ジーニアス

[語法] (1) only は通例修飾する語・く・節の直前か,時に直後に置く: O~ he [He ~] solved that problem yesterday. 彼だけが昨日その問題を解いた / He solved ┇ ~ that problem yesterday. = He solved that problem ~ ┇ yesterday. 彼は昨日その問題だけしか解いていない / He┇ ~ solved that problem yesterday. 彼は昨日その問題を解いただけだ / He solved that problem ┇ ~ yesterday [yesterday ~]. 彼はつい昨日その問題を解いた。

(2) 《略式》では動詞の直前[be 動詞,助動詞はその後]に置かれる傾向にあり,only に修飾される語は強く発音される: He ~ solved the problem yesterday. → (1) / I can take ~ [《略式》 ~ take] two of you in my car. 私の車には君たちのうち2人しか乗せられない。

(1) の「時に直後に」というのがくせ者ですね。挙げられている例文の中ではひとつめの Only he = He only 以外は後置する例はあまり見かけません。話し言葉では,間とアクセントで識別できる(辞書にはアクセント記号がついています。めんどくさいので省きましたが)わけですが,書き言葉では He solved  that próblem ònly ┇ yesterday. と He solved that problem ┇ ònly yésterday. は区別がつかないわけですから,慎重な書き手ならば前者は避けるでしょう。(ó が第一アクセント,ò が第二アクセント。第一が一番強く,第二は二番目に強い。)

「ジーニアス」は全体的に,英語に出現する語法のあらゆるパターンの解説を目指しているようです。これは「読む」際にはおおいに助けになりますが,「書く」時,つまりnon-native として,相手に誤解を与えないような標準的英語は何なのかを知りたいときには,逆に足かせになるかもしれません。non-native が「発信」する時には,できるだけ標準的な英語での「発信」をこころがけるべきで,「そういう言い方もあるが,特殊な状況・文脈でのみ使える」とか「ある種の意図せざるニュアンスが含まれてします」英語は避けた方が無難でしょう。非常に詳しい記述は,「受信」型には懇切丁寧,「発信」型には不親切,になりえるということです。

 

ルミナス

[語法] only の位置

(1) (a) 《格式》では only は修飾する語の直前に置き,「…だけ」と強調する語が強く発音されるのが普通: O~ Tom saw the panda. トムだけがパンダを見た / Tom ~ saw the panda. トムはパンダを見ただけだった。(写真をとったりはしなかった) / Tom saw ~ the panda. トムはパンダしか見なかった。

(b) 話しことばでは(時に書きことばでも)動詞の後に来る語句を強調するときでも,only を動詞の前(助動詞や be 動詞の後)に置く傾向がある: Tom ~ saw the pánda. トムはパンダしか見なかった。 / Tom ~ saw [has seen] pandas on télevision. トムはパンダをテレビでしか見ていない。

(2) 《格式》では only が文頭に来る場合,語順が転倒することがある: O~ in sóme zoos can we see pandas. いくつかの動物園だけでしかパンダは見られない。

「ジーニアス」とは異なり,後置修飾の only については書かれていません。これは「ウィズダム」も同じです。

(2) の書き方は少しミスリーディングです。語順の転倒が起きるのは,原則として文頭に only のついた副詞的要素が来る時であって,たとえば主語に only がついても倒置にはなりえないからです。また,文頭に only つき副詞(句・節)を置くこと自体が《格式》ですから,「《格式》では文頭に only のついた副詞的要素が来ることがあり,その際は必ず語順が転倒する」という表記にした方がいいと思います。

 

ウィズダム

[語法] only の位置

(1) 主語を修飾する場合,《書》《話》を問わず直前に置かれる » Only my mother knew the truth. 母だけが真実を知っていた。

(2) 主語以外の語句を修飾する場合,《書》では修飾する語句の直前に置かれる。《話》では be 動詞,助動詞の後か一般動詞の前に置かれ,修飾語を強く発音することで区別する。» 《書》 I have visited Italy only once. ≒ 《話》 I’ve only visited Italy once. イタリアに行ったのはたった1回だけだ。

(3) 次のような例での意味の違いに注意 » Lisa is only a child. リサはまだ子供だ (only は[副]) / Lisa is an only child. リサは一人っ子だ (only は[形])  /  Lisa was the only child in classroom who knew the answer. リサはクラスで答えがわかったただ1人の子だった ( only は[形])

(1), (2) で主語を修飾する場合と,主語以外を修飾する場合を分けて書いてあるのが特徴です。動詞付近に only が移動する現象は主語に only がかかる時には起きないという指摘です。確かに,言われてみればそのとうりですね。「ウィズダム」はときどきこの「そういえぱそうだよな」という指摘をしてくるようです。(3)については,「ジーニアス」では形容詞の only の項で説明されています。

 

ロングマン

only の位置を説明する項目・記述はありません。

ただし,例文には,直後を修飾する only と,動詞の直前(be, 助動詞の直後)に位置する only の両方の例が挙げられてはいます。たとえば, only because の例として,「 I only came here because I wanted to be near you. ここに来たのは,ただあなたの近くにいたかったからです。」が載っています。「自然な英語」のコーパスを用いているというのがロングマンの自慢のようです。

 

あ~,動詞に入らないうちに,もう時間になってしまった。まだまだつづきます。

 

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英和辞典を比較する (5)

3月
2008
13
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較のシリーズ第5弾。今回は,語法の最後として,名詞・形容詞・動詞の語法の表記について考えてみたいと思います。

まず必ず必要になるのは,名詞の場合は可算不可算,形容詞の場合は比較級の有無および形と限定用法叙述用法のどちらで使えるかです。

まず,名詞の可算・不可算の表記については,4辞典とも四角で囲った[C], [U]で,両方で使える場合は[CU]または[UC]になっています。では,snow のように通常不可算だが,形容詞を伴った具体的な一回一回の雪は a heavy snow のようになるという場合はどうでしょうか。

ジーニアス

snow 1 [U] | play in the ~ 雪の中で遊ぶ / The ground was covered in [with] ~. 地面は雪で覆われていた / walk through deep ~ 深い雪の中を歩く  2 [a ~;形容詞を伴って] (1回の)降雪; [無冠詞で](ある期間の)降雪量; [the ~s] 降雪期 | We had a heavy [much, ×big] ~ yesterday. 昨日大雪が降った / We had heavy ~ last winter. 去年の冬(全体で)雪が多く降った

 

ルミナス

snow 1 [U] ; 降雪; 積もった雪; walk in the ~ 雪の降る中を歩く / a blanket of ~ 一面の雪 / We didn’t have much ~ last year. 去年はあまり雪が降らなかった / They traveled over the ~ on skis. 彼らはスキーをはいて雪の上を行った / Four inches of ~ fell overnight. 一晩で4インチ雪が積もった。[語法]降雪を1回,2回と数えるとき,またはいろいろな状態の雪をいうときには[C]となることもある; We had a heavy ~ last week. 先週大雪が降った。

 

ウィズダム

snow 1 [U] 降雪量(→ sleek, flake); [C] [通例 ~s](1回分の)降雪期間 》 Snow fell throughout the night. 一晩中雪が降り続いた / We had no snow this winter [a light snow yesterday]. この冬は雪が降らなかった[昨日少し降った] / shovel [remove] snow 雪かきをする / The streets are covered in [ with, (時に) by ] snow. 街路は雪に覆われている / The snow lay thick on the ground. 雪が地面に厚く積もっていた / go out to play in the snow 雪遊びに出かける / 10 inches of snow 積雪10インチ / the heaviest snows of the year 今年一番の大雪

 

[表現] 雪の種類

a heavy [× big] ~ 大雪 / deep [soft] ~ 深く積もった[やわらかな]雪 / powdery ~ 粉雪 / a fresh ~ 降ったばかりの雪,新雪 / wet ~ 湿った雪

 

ロングマン

snow 1 [U] : footprints in the snow 雪の上の足跡 / There is a chance of snow tonight. 今夜は雪が降る可能性があります。 | deep snow 深い雪 | heavy snow 大雪 | snow falls 雪が降る: Over six inches of snow fell last night. 昨夜,6インチ以上の雪が降った。 | a fall of snow 降雪 | a flurry of snow にわか雪 | snow shower にわか雪,小雪 | snow flurry にわか雪 2 [C] (1回の)降雪: the first snows of winter 初雪 [同意] snowfall

 

「ジーニアス」と「ロングマン」は不可算のsnow と可算の snow を別項目として扱い, 「ルミナス」「ウィズダム」は1つの項目の中で扱っています。特別に語法ポイントとして説明しているのは「ルミナス」だけ。

ただ,この項目は各辞典の例文がなかなか面白いですね。それぞれに異なる例文が多く,「ウィズダム」の[表現]欄は便利だし,「ロングマン」も同等の工夫があります。「ジーニアス」の最後の2つの例文違いは特に興味深いと思いますが,どうでしょうか。

 

今度は形容詞の語法を見てみましょう。

形容詞の語法表記はジーニアスが [限定] [叙述] (どちらでも使えるものは表記なしで,この点は他の辞書もおなじ),ルミナスが四角で囲った [A] [P] ,ウィズダムは [名詞の前で] [be ~],ロングマンは 《[名]の前でのみ》 《[名]の前不可》 になっています。「ウィズダム」「ロングマン」は「限定用法」「叙述用法」という文法用語を避けたわけです。

また,叙述用法の形容詞は,名詞に対して後置修飾できるという問題に関しては,たとえば見出し語 present の項目を見てみると,

ジーニアスは, 「the members ~ 今出席している人たち( the ~ members は「現在の会員たち」)」という例をあげるだけですが,ルミナスは「[語法]名詞や代名詞を直接修飾する時はそのあとに置く」という説明をつけた上で例を挙げています。ウィズダムは,「the staff members present 出席している[いた]職員たち (present の前に who are [were] が省略されている; the present staff members なら「現在の職員」の意味になる)」という指摘です。ロングマンはこの点の指摘はありませんが,表記が先ほど挙げた《[名]の前不可》ですから,後ろはOKという意味に読めることは読めます。

 

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英和辞典を比較する (4)

3月
2008
11
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」の4英和辞典の比較。

文法系(正確には文法ではないが)の記述のつづきです。今回は come と go の使い分けがどう書かれているかをチェックします。

よく知られていることだと思いますが,英語の come が日本語の「行く」にあたる場合があります。

自分が今話している相手のところへ「行く」場合には, come を用いる,ということです。たとえば,人に呼ばれた場合,「今行きます」は, I’m coming. と言い,I’m going. とは言いません。知っている人には当たり前のことなのですが,実際に使う時には案外間違えやすいポイントです。

これを各辞典の記述の中に探してみます。

ジーニアス

come (1)(a) <人・動物・車などが>(話し手の方へ)(やって)来る; (聞き手の方へ)行く

この項目に関しては,「ジーニアス」は本文中のこの部分だけで,特に囲み記事などはありません。come の意味の一番めにふつうの「来る」と並べて書いてあるだけで,特に注意すべきポイントだとは考えていないようです。「来る」「行く」の例文として,9個程度の例文が並んでいますが,そのうちcome = 「行く」の例文としては

  • “C~ downstairs. Dinner’s ready.” “I’m coming.” 「下へ降りておいで,夕食ですよ」「今行きます」《この場合 ×I’m going. とは言わない》
  • I’ll ~ to the party. バーティに出席します 《聞き手の主催するまたは出席予定のパーティーについて言う発話で,go では関係のない相手に述べていることになる》
  • I’m coming to Kobe next week. 《手紙で神戸の友人に書く時の表現》

などの例が挙げられています。

結局,「ジーニアス」は「来る」の come と「行く」の come を統一的に説明したいのでしょう。しかし,そのわりには統一的な説明になるような共通項についての記述がありません。

 

ルミナス

come 2 (相手の方へ)行く,伺う,参上する: I’m coming[Coming]. 今行きます《呼ばれた時の返事》 / I’ll ~ tomorrow afternoon. 明日の午後伺います。 / I came to your office yesterday, but you went out. 昨日おたくの事務所に伺ったのですが,ご不在でした / [会話] “Why don’t you ~ with us?” “Oh, I’d love to (~).” 「いっしょに行きませんか」「ええ,喜んで(行きます)」 / May I ~ to the party? パーティーに伺ってもよろしいですか。

 

[語法] come と go の違い

dic4.JPG

go が話し手を中心に考えて「自分が・・・の方へ行く」という意味であるのに対して,この用法の come は中心を相手に置き — 相手に対して親しみや敬意を持っているときが多い — 「自分が相手の方へ行く」という意味を表す。従って come が日本語の「行く」に相当することもある。

「ルミナス」は「来る」の come と「行く」の come を別項目として扱っています。そして「行く」の come については絵入りの囲み記事(上の絵は私が書いたもので,現物はもっとまともな絵です)で丁寧に説明しています。学習用にはこれが一番わかりやすいと思いますが,どうでしょうか。

 

ウィズダム

[語法] (1) come と go の視点  come は発話の時点または発話の中で話題になっている時点において,話し手・聞き手や話題になっている場所に近づいていくことを表し,必ずしも日本語の「来る」と一致しない。 go が話し手や聞き手の視点から離れていることを表すため,否定的な態度や疎外感を暗示することが多いのに対し,come は逆に話し手・聞き手の視点に近づいていくことを表すため肯定的な態度や親近感を暗示することが多い。これらの特性はcome を使った多くの句動詞でも受け継がれる。

 

come 【話し手・聞き手・その場に近づく】 1 a [場所など]《話し手・話題の場所の方に》来る,《聞き手の方に》行く

come = 「行く」の例文が以下に続きます。

  • “Susan, are you ready?” “I’m coming [× going].” 「スーザン,用意はいいかい」「今行くわ」(聞き手の方に近づくので go は用いない)
  • “I’m going to Ginger’s house tonight. Would you like to come with me?” 今晩ジンジャーの家に行くのだけれど,一緒に行くかい(前半はジンジャーの家に行く移動自体に触れているので go を使うが,後半は話し手の移動に聞き手が加わることについて述べているので come を用いる)

基本的には「ジーニアス」と同様に,「来る」の come と「行く」の come に対して統一的な説明を与えようと試みていますが,「ジーニアス」に欠けていた共通項の説明を語義の前,冒頭に持ってきています。こういう説明はどうしても抽象的にならざるを得ませんが,評価はできます。

 

ロングマン

come 1 (話し手の方へ)来る,やって来る,(相手の方へ)行く

囲み記事も解説なし,例文は I’m coming. だけ。う~ん。

 

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英和辞典を比較する (3)

3月
2008
7
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「ジーニアス」「ルミナス」「ウィズダム」「ロングマン」,4つの英和辞典を比較するシリーズ。

今回は,文法関連の記述を比較してみます。「ルミナス」にはたとえば「仮定法過去」とか「原形不定詞」とかを扱う文法専門の囲み記事が本文中に多数あります(第1版で巻末付録だったもの)。それ以外の3冊にはこのようなものはありません。ワンランク下の辞書についている場合があります。

そこで,個々の語の中にある文法解説を取り上げてみましょう。どれを取り上げるか,ちょっと迷いますが,could にしてみました。

could はもちろん can の過去形ですが,「できた」とイコールではないことはよく知られています。たとえば,「昨日横浜に行って,おじに会うことができた」という内容を述べたいとき,*I could meet my uncle in Yokohama yesterday. とは言えません。could は「実際に~できた」の意味ではなく,「~する能力があった」の意味ですから,「おじに会う能力があった」ということになってしまうわけです。さらに,この could が否定文になった場合はどうか,知覚動詞が後ろに来る場合はどうかなどが注意すべき点なのですが,これがどのように記述されいてるか見てみましょう。なお,下線部は筆者によるものです。

 

ジーニアス

could [語法] (1)[couldとwas able to] 「(・・・する能力があり,それゆえ実際に)ある1回限りの行為をした,できた」場合はcould は不可: I was able to [× could] pass my driving test. 車の運転免許試験に通ることができた《◆ I could pass … という文単独では「私なら[その気になれば]運転免許試験に通ることができるのに」などの意味になるのがふつう; この意味の場合 could は仮定法》。 so … that … のthat 節内でも同様に不可: She was able to [× could]  swim across the river then. その時彼女は川を泳いで渡ることができた。 was able to 以外に, managed to do, succeeded in doing も用いることができる。しかし「・・・できた」は英語では I passed my driving test. のように単に動詞の過去時制であらわすことが多い

(2) [couldn't と was not able to] 「できなかった」では両者は交換可能: She couldn’t [was not able to] swim across the river. しかし完全に同義ではなく,was not able to swim では実際に泳いでみたが川の流れが急などの理由で渡れなかったことを, couldn’t ではこの意に加えて,もともと泳ぐ能力がなくそれゆえ泳いで渡れなかったことなどの意を含む。

囲み外

[ S could + 感覚や理解などを表す状態動詞(hear, see, feel, smell, taste; understand, guess など)] ・・・が聞こえて[見えて]いた 《◆(1) 過去進行形の代用。 (2) 通例 could の代わりに was [were] able to は用いられない》 I could hear the door slamming. ドアがバタンバタンと音を立てるのが聞こえていた《◆ある一定期間聞こえていたことを含意; × I was hearing … の代用; cf. I heard [× could hear] a door slam shut. ドアがパタンと閉まるのが聞こえた》 / I could see the divers’ bubbles coming to the surface. 潜水夫の出すあぶくが水面に上がってくるのが見えていた / We could understand everything he said. 我々は彼の言ったことはすべて分かっていた。

全体的に,説明もポイントを押さえたわかりやすい説明になっています。

1つめの下線部は,意外に重要な指摘かもしれません。これは日本語の「できる(た)」と英語 can (could) の表現頻度の差異の問題がからんでいます。話は少しズレますが,native は Can you speak English? よりも Do you speak English? を用いることが多いと言われます。むろん相手に失礼になるかどうかの問題もかかわりますが,ことさら can を使えば「能力の有無」に重点を置いてしまうことになるからでしょう。この could でも,同様のことが言えます。上の例文は pass my driving test というそれ自体能力に関連した表現なのであまり適切な例とは言いにくいかもしれませんが,日本語に訳すときに,英文に can, be able to が使われていなくても「できる」と訳した方がいい場合はよくあります。この指摘はほかの辞書にはありません。

第2の下線部は,「ルミナス」の(4) 「過去のある時点のことに言及する」や「ルミナス」can の語法3 「『知覚している状態』を表す」,「ウィズダム」の「過去の特定時における(継続的)行為を表す」にあたっています。「過去進行形の代用」という言い方は多少言い過ぎの感もありますが,とらえやすさという面では他の辞書より(おおざっぱな分)すぐれているかもしれません。

 

ルミナス

[語法] (1) 用法について詳しくは→can

(2) 肯定文では過去の時を指していることが文脈によって示されない場合には could はむしろ B1 の仮定法過去の意味になるのが普通で,直接法の意味では代わりに was [were] able to とか managed to とか succeeded in …ing を用いるのが普通: He was able to solve [managed to solve, succeeded in solving] all the problems in an hour. 彼は1時間で問題を全部解くことができた。

(3) could は肯定文では過去のある時期に「・・・の能力があった」というときには用いるが,たまたまそのとき(1回)だけ「・・・できた」という場合には用いない。従って John was able to win the game. (ジョンはその試合に勝つことができた)とは言えるが, John ~ win the game.とは言えない。

(4) 感覚・知覚動詞と共に用いた場合は過去のある時点のことに言及する《→can 語法3》 I ~ see a few stars in the sky. 空に星がいくつか見えた。

can 語法3 普通進行形にしない see, hear, feel, smell, taste, understand, believe などの感覚・知覚動詞と共に用いた場合は意味が弱く,全体としての意味は動詞だけの時とほぼ同じで「知覚している状態」をあらわす: I (can) see two birds over there. 鳥が2羽向こうに見え(てい)る / C~ you hear someone coming this way? だれかがこっちへ来るのが聞こえるかい / I ~ feel something crawling up my leg. 何かが脚をはい上がっているのが感じられる。次の文は「瞬間的な知覚」を表している: I see a bird! あっ,鳥だ。

「ルミナス」は「ジーニアス」とそれほど変わりません。(2)と(3)に分けている理由がよくわからず,それゆえ「ジーニアス」より整理されていない印象を与えますが,基本的には同じでしょう。

なお,このポイントは「英英辞典」ではあまり突っ込んだ解説がありません。(まあ,これ以外でも語法説明は英和辞典の方が詳しいわけですが。) LDOCE や COBUILD にはまったくなく,OALD は”generally に able”な場合がcould,”on a particular occasion” では,was able to や managed to とさらっと書かれています。これはこれでわかりやすいのですが。

 

ウィズダム

could 「できた」

(1) could は人が過去にあることをする能力や機会を持っていて,しようと思えばいつでもできたことを表す。過去のある特定時に,努力の結果実際に何かができたという場合には,could を使わず was able to, managed to などを使う。→ The injured man was able [managed] to walk to a phone box. その人はけがをしていたが電話ボックスまで歩けた[どうにか歩けた]。

(2) not および hardly, barely, only, just の準否定を伴う場合と,before (・・・しないうちに)の節内では,過去の特定の行為に使える→ I could hardly breathe. ほとんど息ができなかった / Before I could finish, she had broken in. 私が言い終わらないうちに,彼女が割り込んできた。

(3) see, hear, feel などの知覚動詞や understand, remember などの認識動詞では肯定文でも用いられ,過去の特定時における(継続的)行為を表す → I could hear someone in the garden last night. 昨夜庭にだれかいる物音がしていた。

(4) could tell (わかった), I’m so glad you could come. (よくお越しくださいました)などの決まり文句では could が肯定文でよく使われる → I could tell he was drunk. 彼が酔っているのがわかった。

(5) Could you … ? の疑問文で特定の行為の達成を問うことはできるが,「依頼」の意味にとられやすいので, Were you able to …? を用いた方がいい

もちろん基本的には「ウィズダム」も「ジーニアス」「ルミナス」と同じですが,下線を引いた個所は他の辞書にはない部分です。どれも言われてみればあたりまえ,と思いますが,初学者にはこういう指摘はありがたいのかもしれません。

 

ロングマン

could 1 《can の過去形》 (能力的に)・・・することができた,(許可を示して)・・できた,・・・することが許されていた

「ロングマン」は特に囲み記事として注意を促す部分はなく,語義説明の中に「(能力的に)」と書かれているだけです。「ジーニアス革命」以来,各社の学習英和が語法重視に流れている中では異質に見えますが,これが初版ゆえの準備不足に由来するのか,「英和」の本来(?)の役割に立ち返ろうとする確信犯的原理主義(!)なのかは不明です。

逆にいえば,「語法重視」がスタンダードとなって,「ロングマン」以外が少なくともこの項目のような語法・文法説明に関しては似てきてしまったということは,英和辞典のある種の飽和状態が近づいている証左なのかもしれません。

 

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