質問力 (2)

「質問しようかな?」と思うってことは,わからない,わかるような気もするがすっきりしない,よーくわかるんだけど既に知っていることとうまくつながらないような・・・そんな何かがあるはずです。まずそれを特定することが,質問をする前にやっておく第一のことになります。

ところが,これがなかなか大変なんですね。「何がわからないかさえ分からない」とよく言いますが,「何がわからないか」が分かっていれば,その気になれば時間はかかっても,ほとんど自分で解決できます。

時々いるのはこんなタイプ。

「センセー,わかんないから,もう一回説明して。」 (こういう子はなぜかタメ口)

「いいよ,どのへん?」

「ぜんぶ。」

「ぜっ,ぜ~ん~ぶ~?」

for-students

何がわからないのか,自分はどこに引っかかっているのか,何にすっきりしないのか,それを見つけることは自分の頭や心を探っていくことと同じです。自分の中のどこかで迷子になっている自分を見つけることです。そう考えると,そっちの方が質問そのものよりもよっぽど難しいし,よっぽどだいじだということもわかりますよね。はっきり言って,質問でおそわった内容なんかそのうち忘れるにきまってますが,質問をするために,自分の中の迷子探しのやり方を身につければ,それは一生モノの技能になります。別に勉強だけではなく,生きていく上でものすごく大切なことです。

 

● 場所を特定する

どこまで分かっていたのか,どこらへんから分からなくなったのか,それを思い出します。本やテキストならもう一回読みなおして,授業ならノートを見ながら教師の言葉をもう一回たどりなおして,このあたりから「あれっ?」と思って,このあたりではぜんぜん分かんなくなった,という場所を見つけます。これだけでほとんど解決,ということもあります。

 

● ことばの問題

テキストや参考書や教師が使っていることばの意味が分からないだけ,ということもあります。授業中はやりにくいけど,授業以外ならそのことばを調べてみましょう。電子辞書でもネットでも紙の辞書でもかまいません。それでもその言葉が分からないときには,別の辞書などにあたってみるのがだいじです。別の角度から説明されると,案外見えてくるものがあります。

 

● 一回リセットする

もういちど,自分を白紙の状態に戻してから,読みなおしたり,授業での説明を思い返したりします。自分の中にあるヘンな思い込みがじゃまをしていることがあるからです。でも,この自分の思いこみに気づくのは実はいちばんむずかしいことかもしれません。

 

● 定義や基本に戻る

これは上のリセットの一部といってもいいでしょう。「そんなこと知ってるよ」と自分では思っていることは多いと思いますが,実は分かっていない,ホントは教師もよく分かっていない,教師どころかまだ学問的に解明できていない,ということもたくさんあります。「そんなの知ってる」と思う方がおかしい場合もあるのです。かんたんなことが実はいちばんむずかしい,というのは全科目,学問と知全体についていえることです。

 

● 既知の知識との衝突

自分では気づきにくいのですが,今まで知っていることとなんか矛盾しているような気がしてわかんなくなった,ということは結構多いのです。人間は今まで知っていることと,新しく知ったことがうまくつながった時に「わかったぞ」という喜びが生まれます。逆につながらないと,「わかんねー」という気になります。だから,今までに知っていることのうち何が,今のわからないポイントとぶつかっているのか,齟齬をきたしているのかがわかれば問題が解決することはよくあります。今まで知っていたことの方が間違っていたということもあります。

 

● メモを取る

何がわからないのかをメモしてみましょう。わからない部分を書き写して ??? マークをつけるだけでもかまいません。さらに,その時思いついた関連事項も書きとめてみるといいでしょう。メモを取るというのは,わからないことを客観的な形にするということで,これができるということ自体かなりの力が必要ですから,思うほどいいメモは書けないものです。でもこれでひらめくこともあります。

 

疑問を持つことは,大チャンス。確実に次への大きなステップになります。疑問を持つことはあなたの知識が欠けている証拠ではなく,あなたがすぐれている証拠です。

 

あれっ,この稿のテーマは「質問」だったはずなんですが,今回は質問に行く前の話ばかりでした。上に書いてあることを全部やったら,質問しようなんて気持ちかとっくに消えているかもしれませんね。まっ,途中で打ち切って,さっさと職員室に行っちゃってもいいですけど。でも,上の一つか二つはチャレンジしてほしいですね。

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