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大学入試と英語学習のバックアップ・サイト

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大学入試の英文の出典 ― 東京大学の場合(2)

6月
2009
30
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前回,東大の入試英文の出典を取り上げましたが,今回は出典原文と出題の間の異同がどうなっているかを調べてみます。

例として,2006年の5番の問題を扱います。前回触れたように,これはUmberto Eco (ウンベルト・エーコ)著の "How to Travel with a Salmon and other Essays" (1994) の中の How to React to Familiar Faces という章から採られています。ニューヨークでよく知った顔を見つけ,でも誰だったか思い出せず,声をかけようか逃げようか迷うというEco 自身の体験談からはじまり,それが実は知り合いでも何でもない,俳優のアンソニー・クインだと気づき,そこから話題はメディア論へと展開していく章で,原文ではペーパーバック 3ページに満たないはなしです。本文中に Eco ということばが出てきますので,出典探しは楽でした。

もともとはイタリア語で,翻訳はWilliam Weaver。わたしの持っている版と東大が使った版とが同じかどうかは不明なので,ここに挙げたものが正しいとは限りませんが,比べてみるとほぼすべて易しい英語への言い換えになっていることから考え,東大による改編だとみなせると思います。

問題によっては大幅な省略が行われることがありますが,この問題では省略箇所はありません。

なお,同じ年に同じ原文が筑波大学でも使われていて,当然ながら書き換え箇所は異なっています。出版年はだいぶ以前なのに,なぜよりによって同じ年に同じ文章を使ったのかは,わたしには謎です。

 

(表中の太字・下線は筆者。ただし12の下線部は東大。)

  原文   東大入試問題2006年
1 strolling in New York walking down the street in New York
2 those sensations you encounter those feelings you have
3 or vice versa or the other way around
4 and converse and talk to him
5 too late to flee too late to ( 2 ) him  [ (2) = get away from
6 a broad, radiant smile a big, broad smile
7 Anthony Quinn Anthony Quinn, the famous film star
8 had glimpsed had caught sight of
9 inhabit our memory live in our memory
10 debate discuss
11 expound explain
12 fall permanently into this confusion; but still you are not immune to the syndrome. And there is worse. fall permanently into this confusion — but still you cannot escape the same confusion yourself.
My problems with film stars were all in my head, of course. (6)But there is worse.
13 I have received confidences from people I have been told stories by people
14 have been subjected to the mass media have been involved with the mass media
15 I’m not talking about Johnny Carson or Oprah Winfrey, I’m not talking about the most famous media stars,
16 panel discussions talk shows
17 disagreeable experience unpleasant experience
18 when he or she can overhear when he or she can hear us
19 Such behavior would be rude, even — if carried too faragressive. Such behavior would be impolite, even offensive, ( 8 ). [ (8) = if carried too far ]
20 My guinea pigs insist that My own relatively famous friends insist that
21 at a newsstand, in the tobacconist’s, at a newsstand, in a bookstore,
22 boarding a train getting on a train
23 they encounter others they run into others
24 amiably happily
25 a protagonist a character
26 abruptly unexpectedly
27 grabbed taken hold of
28 by the lapel by the arm
29 a telephone booth a telephone box
30 Talk about coincidence! Guess what!
31 I’ve run into Anthony Quinn. I’m with Anthony Quinn.
32 (After which I would throw Quinn aside and go on about my business.) After which I would throw Quinn aside and go on about my business.
33 cinematic movie-like
34 Until we will think that — until we think that

 

原文自体がかなり易しい英語なのですが,それをさらにやさしく書き換えています。東大を受けようという受験生なら知っているだろうと想定できるものでさえ書き換えているようです。うなずける語彙レベルの書き換えは,11, 13, 20, 25, 28といったあたりでしょうか。説明を加えたり,注の手間を省いた7や15も納得できます。

しいて東大の書き換え意図を推測すれば,できるだけ語彙でつまずくのを避けて,設問箇所に集中させようということなのかもしれません。文脈から設問部分を考えさせたい,よって前後の脈絡は苦労せずに読み取れるようにさせる,好意的にとればそんなところでしょう。

5は書き換えた句を選択肢にしていますが,これはどうかな。19では順序を変えて解きやすくするねらいでしょうか。

この中では12が比較的大きく変わっています。これは,下線部(6)が「"worse"とされていることは何か。25~35字の日本語で述べよ。」という設問になっているからと思われます。東大が挿入した一文(My problems with film stars were all in my head, of course.)が問題を解く上での手がかりになるわけです。

34では,独立節として使われている until 節をダッシュで前文につなげています。高校レベルの英文法としてはこういう独立節の用法は破格であることが理由でしょう。「時・条件の副詞節では未来のことを現在形で用いて表現する」というルールに照らして,willをカットしています。原文にwillが使われているのは,独立節であるため,副詞節的性質が弱まり,untilが等位接続詞として感じられるためだと思います。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

Cheerfulness might be a sign of ruin; while in gloom, you have some hope, your family name or yourself. (DAZAI Osamu)

6月
2009
29
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「アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。」(太宰治)

太宰治(1909-1948)が,書店ではブームです。今年は生誕百年で,また昨年で死後60年の著作権切れを迎えて著作権フリーになったせいか,太宰の本が本屋のあちこちに並んでいます。一般読者の中から自然に盛り上がったブームというよりも,出版界が盛り上げたいと思って仕掛けているブームのようです。

引用は,「右大臣実朝」(1943)の有名な一節。拙訳です。太宰の研究者は海外にもいるようですから,きっとどこかに定訳があるのだと思いますが,ネット上には見当たらず,それ以上探す手間を惜しんでしまいました。

いろいろ考えたのですが,結局直訳っぽくなってしまいました。 "you have some hope" のところが気に入りません。もっといいのないでしょうか?

このセリフは平家について述べたものですが,戦時中から戦後にかけての日本が二重写しになっているのはいうまでもないでしょう。

 

太宰といえば思い出すのは,高校三年生の夏,受験勉強などそっちのけで,当時筑摩書房で出ていた太宰全集を一冊ずつ買い集めては,一日一冊ずつ読んでいた暑い暑い夏休みのことです。太宰に満腹すると,ドストエフスキー。明け方までかかって読んでは,早朝の目黒から世田谷にかけての街を一,二時間歩き回ってから床につく,という生活でした。歩き回れば,体は暑さにまみれても,頭は少し冷えるわけです。あまりにも,ひと昔前のありきたりの青年というかんじです。「暗い」といえば「暗い」のでしょうが,そんな時に上の太宰の言葉を繰り返すわけです。

 

確かに明るさや燥ぎ(はしゃぎ)が病的に見える時があります。あまりにもせっぱつまってしまい,明るく振る舞うしかない,意味もなく浮かれることも,きっと誰もが経験することでしょう。燥いでいるその姿が哀れに見えることも。でも,暗さもきっと,そこに希望がほの見えることを保証はしないでしょう。救済しようのない暗さというものもきっとあるのだと思います。さいわい,そこまでの経験はないわけですが。

 

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by rickie | Posted in 引用 | No Comments »

文献リスト 研究社 英語学モノグラフシリーズ

6月
2009
26
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研究社 《英語学モノグラフシリーズ》のリスト

2008年10月完結  全21巻

 

1 ことば仕組みを探る ―生成文法と認知文法 原口庄輔、中島平三、中村 捷、河上誓作 著 2000年11月 2,625円
2 生成文法の考え方 北川善久、上山あゆみ 著 2004年11月 2,940円
3 文の構造 立石浩一、小泉政利 著 2001年7月 2,625円
4 補文構造 原和生、松山哲也 著 2001年5月 2,625円
5 叙述と修飾 岸本秀樹、菊地朗 著 2008年10月 2940円
6 語彙範疇(1) ―動詞 藤田耕司、松本マスミ 著 2005年9月 2,940円
7 語彙範疇(2) ―名詞・形容詞・前置詞 丸田忠雄、平田一郎 著 2001年9月 2,625円
8 機能範疇 金子義明、遠藤喜雄 著 2001年8月 2,625円
9 極性と作用域 奥野忠徳、小川芳樹 著 2002年7月 2,940円
10 左方移動 大庭幸男、島 越郎 著 2002年3月 2,625円
11 右方移動と焦点化 田子内健介、足立公也 著 2005年3月 2,940円
12 束縛と削除 有元將剛、村杉恵子 著 2005年4月 3,150円
13 英語から日本語を見る 西垣内泰介、石居康男 著 2003年6月 2,940円
14 アクセントとリズム 田中伸一 著 2005年5月 2,940円
15 音節とモーラ 窪薗晴夫、本間 猛 著 2002年4月 2,625円
16 語の仕組みと語形成 伊藤たかね、杉岡洋子 著 2002年9月 2,940円
17 語の意味と意味役割 米山三明、加賀信広 著 2001年6月 2,625円
18 文法におけるインターフェイス 小野塚裕視、岡崎正男 著 2001年5月 2,625円
19 認知文法の新展開 ―カテゴリー化と用法基盤モデル 早瀬尚子、堀田優子 著 2005年7月 2,940円
20 認知意味論の新展開 ―メタファーとメトニミー 谷口一美 著 2003年8月 2,940円
21 関連性理論の新展開 ―認知とコミュニケーション 東森 勲、吉村あき子 著 2003年1月 2,940円

 

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by rickie | Posted in 文献リスト | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― 東京大学 の場合

6月
2009
25
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第1回で触れたように,出典を明示する大学が増えてきたとはいえ,まだ3割に満たない少数派で,出題の意図から考えて明示するのが不適切な場合もある。著作権料を払っているのかどうか,よくわからないが,そのへんの問題で出典を隠す場合もあるかもしれない。

早稲田は,国際教養,法が比較的公表する方で,後は政経,理工がぼちぼち。慶應は文学部以外は公表非公表の基準が不明,上智は昔から公表する方だろう。

東大や京大はほぼ一貫して明示しない方針でやってきた(東大後期は出典を載せることもある)。どういう意図かはわからないが,東大の要約問題ではタイトルがヒントになりうるので,出典明示が一般的になったとしても載せない方がいいだろう。

明示していなくても,現在ではネットで出典を発見することも可能になってきた。英米の新聞社・雑誌社は自社の記事をかなり大胆に無料公開している(そうでないところもあるが)し,なにより Google Book Search (グーグル・ブック検索)の存在が大きい。

どの程度発見できるか,2000年から最新の2009年までの東大の入試問題を探してみることにする。

対象は,1番の 1 の要約問題で使われる英文と,最後の5番で使われる英文とする。

 

 

● 2009年度

○ <1 の 1 > 要約問題

タイトル: Seeing 
著者: Annie Dillard

 

  ==  書籍のプレビュー  ==

 

○ <5> 長文総合問題

珍しく,新聞からの出題。

タイトル:
Looking for the Lie (New York Times Magazine February 5, 2006)

著者: ROBIN MARANTZ HENIG

 

● 2008年度

○ <1 の 1 > 要約問題

このエッセイからは,別の箇所が早稲田・政経,中央・法でも出題されている。

タイトル: About Face

著者: Joseph Epstein

 

○ <5> 長文総合問題 不明

 

● 2007年度

○ <1 の 1 > 要約問題 不明

 

○ <5> 長文総合問題 不明

 

● 2006年度

○ <1 の 1 > 要約問題

タイトル: Voice and equality

著者: Sidney Verba, Kay Lehman Schlozman, Henry E. Brady

 

   ==  書籍のプレビュー  ==

 

○ <5> 長文総合問題

記号学の大家,「薔薇の名前」の著者。

タイトル: How to Travel with a Salmon & Other Essays の中の "How to React to Familiar Faces" の章

著者: Umberto Eco

 

● 2005年度

○ <1 の 1 > 要約問題 不明

 

○ <5> 長文総合問題

タイトル: "The Lighthouse," The New Yorker, January 20, 1968

著者: Arturo Vivante

 

● 2004年度 

○ <1 の 1 > 要約問題

タイトル: Searching for memory

著者: Daniel L. Schacter

 

○ <5> 長文総合問題

タイトル: The Shadow Lines

著者: Amitav Ghosh

 

==  書籍のプレビュー  ==

 

 

● 2003年度

○ <1 の 1 > 要約問題

タイトル: Grooming, Gossip, and the Evolution of Language

著者: Robin Dunbar

==  書籍のプレビュー  ==

 

○ <5> 長文総合問題

タイトル: Neither East Nor West  

著者: Christiane Bird

 

● 2002年度

この年はどちらも有名な本。

○ <1 の 1 > 要約問題

A Lateral View
著者: Donald Richie

 

○ <5> 長文総合問題

タイトル: How the Mind Works

著者: Steven Pinker

 

● 2001年度

○ <1 の 1 > 要約問題   不明

○ <5> 長文総合問題

タイトル: The darkness of Wallis Simpson and other stories

著者: Rose Tremain

 

 

● 2000年度

○ <1 の 1 > 要約問題

タイトル: Beyond Modularity

著者: Annette Karmiloff-Smith

 

==  書籍のプレビュー  ==

 

○ <5> 長文総合問題 不明

 

トータルで,判明率70%。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

『東大英単』 と 『京大基本英単語1100』

6月
2009
23
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「東大英単」  | 編著:東京大学教養学部英語部会 | 出版社:東京大学出版会 | 2009年 | 1800円 | 大学生・一般・(高校上級)向け

「京大学術語彙データベース基本英単語1100」 | 著者:京都大学英語学術語彙研究グループ+研究社 | 出版社:研究社 | 2009年 | 1400円 大学生・一般 向け

期せずして同時期に東大と京大から単語集が刊行された。

『東大英単』 と 『京大基本英単語1100』。

暗記用の単語集というものは,かつては試験対策の詰め込みようと相場が決まっていた。「単語は文脈で覚えていくもの,だから英文に触れて未知の単語に出会うたびに覚えていくべきであって,単語集なんか邪道だ,受験生じゃあるまいし」というのが英語の教師やら「達人」やらの託宣であった。つまり,単語集は,ふだんの努力を怠っている者が,大学入試やら英検やらTOEICやらの「試験の前にあわてて使うもの」であった。

 

それが天下の東大,京大が大学生をターゲットにした[1] 単語集を出版する時代である。時代は変わった,と言えなくはないが,でもあながち「学力低下」のためだけとは言えまい。「単語は英文に触れながら覚えるもの」といっても,それでは読んだ文章によって語彙に偏りができるし,第一,効率的だとは思えない。比較的短期間で単語を増やしてから読んだ方が,読む効率も上がり,その分触れる英文・語彙も増えるから,さらなる語彙増強が図れると考えるのも当然で,そもそも単語集は毛嫌いされるべきものではなかったのである。わたしも単語集というのは好きできなかったけれど,それはある種の知的エリーティズムのせいというより,単語集で学ぶということの窮屈さ,シャカリキさがいやだったというだけの話である。

 

そうした「ええかっこしい」を捨てたところから,『東大英単』と『京大基本英単語1100』は生まれたようだ。そのねらいには共通するものが多いであろうが,できあがったものはかなり違っている。

 

  東大英単 京大基本英単語1100
収録語彙数 280 1100
判型 A4 新書
編集した教師 英語科 全学部の協力
収録語彙の選定 "On Campus" データベース
収録語彙の傾向 汎用 学術論文

 

『東大英単』は,自校で作成し,教養学部1年で使う"On Campus"というテキスト(英文アンソロジー)の14の英文から選出した280の単語を収録している。各単語にほぼ1/2ページ使って,

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  1. 見出し語
  2. 発音
  3. 英語による語義(英英辞典的説明)
  4. 派生語
  5. 例文とその和訳 2つ
  6. 長めの解説

という順で,1語1語をじっくりと扱っている。日本語訳が載っていないのが特徴の1つと言えるだろう。単語の難易度レベルは決して高くなく,せいぜい英検準1級程度の単語が並んでいる。読者が東大生なら知っているはずの単語が8割以上のはずだ。だがら本書のねらいは,英単語の日本語の意味を言えるかどうかのレベルではなく,よく使われる語のニュアンスや用法も含めて1つ1つの語の手触りのようなものを感じ取らせるということなのだろう。英単語の日本語訳を知っていれば,それが単語を「知っている」ことだと思われがちだが,実はそうではない。英文を読んでいれば,知っている単語なのに何でこの単語がここで使われているのか,どうもしっくりこないという経験をしたことがあるはず。日本語訳でとらえきれない個性が単語にはあって,それを文と接しながら経験的に体得することがだいじなのである。基本的なことほど難しい。このへんの考え方は,京大本と好対照をなす。いかにも英語の教師が作った単語集だなという感じを抱かせるところだ。

各章末には2~3ページのコラムがあり,これも単なるおまけではなくて,語彙にまつわる話題を深く掘り下げた充実した内容になっている。

 

『京大学術語彙データベース基本英単語1100』は,文字どおり学術論文を読みこなし,執筆するのに必要な単語集というコンセプトでできている。各学問分野ごとに,学術雑誌からの英単語データーベースを作り(1000万語以上だという),そこから「文理共通語彙(477)」「文系共通語彙(311)」「理系共通語彙(322)」を絞り込むという具合に作られている。外見は受験用の単語集とそっくりで,おまけに赤いプラスチックシートまでついている。

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  1. 見出し語
  2. 発音
  3. 日本語の意味
  4. 例と訳(文よりも句の例が多い)
  5. 派生語

収録語彙数が多いのだから当然だが,レベルは東大本よりも高いと言えよう。特に「理系共通語彙」には,日本語訳を見てもわからない単語がちらほらある。 dendritic 「模樹石様の」,telomere 「テロメア」なんてのもある。テロメアって....。もちろん,文系なら「文系共通語彙」だけをやればいいということなのだろうが,どちらにも文理問わず必要な単語もあるので要注意ではある。

見かけはどう見ても受験生用単語集なので,面白みに欠けてはいるが,よくよく見てみると語彙の選出はなかなか見事である。「文理共通」の前半はやさしい単語が並んでいるのだが,後半は「あっ,この単語は大事なわりにあまりよそでは取り上げられないよなぁ」という語が目白押しで,実によく考えて作られている。単にコーパスから機械的に選んでいるのではなさそうだ。各所に「『意味』の使い分け」のコーナーがあり,類語の違いを簡単に説明している。東大本が「1つずつじっくり」であるのに対し,京大本はどうしても「浅い説明でたくさんの単語」となってしまう弱点をこのコーナーで補っている。

 

この項を書くに当たって両書の全単語を入力したのだが,といって著作権があるからそれをここに掲載するわけにもいかない[2]

両書に共通して選ばれていた単語だけ載せておくことにする。以下の76語だ。

advocate, alternative, ambiguous, apparent, array, articulate, capability, chronic, cite, commodity, communal, component, conjecture, consequence, consistent, construct, contamination, context, contradiction, counterpart, crucial, demonstrate, differentiate, dimension, dismantle, diversity, dominant, dynamics, evident, exclusively, exhibit, explicit, facilitate, finite, framework, furthermore, heterogeneity, hypothesis, impose, incorporate, indicate, individual, inherent, interaction, involve, maintain, manifestation, mutually, negligible, occurrence, parameter, perspective, phenomenon, potential, predominantly, previous, prominent, ratio, reference, revise, rigorous, sequence, sphere, stable, standardize, strategy, stress, subjective, subsequent, tacit, theoretical, trait, transcend, undermine, unify, variable

 

どちらがすぐれているのか,どちらを使うべきか,比較したくなるかもしれないが,コンセプトがまったく違い,どちらのコンセプトも学習上意味のあるコンセプトである。優劣を競うのはムダだと思う。語彙力増強に関心があるのなら両方持っていていいだろう。高校生なら,これらを使う必要はない。すでに大学受験用の単語集をこの1学期の時点で終えてしまった人[3]は,東大本をパラパラ眺めてみるのもいいだろうし,年を越して試験間際に京大本の「文理共通語彙」を詰め込むという方法もある。

 


  1. 自校の学生をターゲットにして作られているのは確かだが,両書とも本当のターゲットは広く一般の学生・社会人であろう。じじつ先行の「東大英単」はビジネス街の本屋で売れているという話だ。 [▲ 戻る]
  2. 単語には著作権はないが,どの単語を選ぶかにはあるだろう [▲ 戻る]
  3. 実際いるんですよ,そういう生徒も。 [▲ 戻る]

 

 

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by rickie | Posted in いろんな本, その他(高校生向け), 英語学習情報(中~上) | No Comments »

A woman must have money and a room of her own if she is to write fiction. (Virginia Woolf)

6月
2009
22
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「女性が小説を書くには,金と自分の部屋を持っていなければならない。」 (バージニア・ウルフ)

 


 

若きVirginia

若きVirginia

Virginia Woolf は,1882年に生まれ,20世紀初頭に活躍したイギリスの女性小説家。作品は,Mrs Dalloway (「ダロウェイ夫人」), To the Lighthouse (「灯台へ」), The Waves (「波」)など。1941年,入水自殺。

 

  • if 節の中の be to V(原形) は,「もしVするつもりなら,Vするためには」など目的や意図を示す。

 

 


 

エッセイ集 "A Room of One’s Own" の一節。かなり有名な文句です。

女性に文学ができるのかを考えてもなかなか答えは出ない,とりあえず言える an opinion upon one minor point が,上記の言葉だというわけです。

 

女性がひとりで暮らすことが異常とされた時代の話ですから,自分の部屋を持つ女性はかなり限られていたわけです。明日食うに困らないだけの金と雑音を遮断できる部屋が,小説を書く,あるいは精神的に自立して生きるための最低の要件であるのは,今でも言えることだと思います。特に結婚後の女性たちが置かれている状況には,それほどの変化はないかもしれません。

 

むろんそれだけで文学が生まれるのであれば,最低条件をクリアした女性たちがあふれている21世紀の先進国は芸術の黄金時代を迎えているはずでしょう。

ささやかな日常の幸せを手にしてしまうと,何も書くことがなくなる,そんな内容のことをチェーホフが言っていたと記憶します。

精神の豊かさは,過剰から生まれるのか欠如から生まれるのか。人によって違うというだけなのか。あるいは,欠如は隠れた導管を通じて過剰とつながっているのか。

by rickie | Posted in 引用 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <5>

6月
2009
20
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今回は,へぇ,こんなのも出てるんだというような出典。

まずは古典。古典といっても定義はあいまいなのですが,少なくとも第二次大戦前後およびそれ以前という程度です。古くても19世紀後半が限界のようです。過去には欽定訳聖書の一部が出たこともあったような記憶がありますが。

ちなみにわたしは,古い英語を出題してもいっこうにかまわないと思っています。古い英語だけではまずいと思いますが。新しい英語が新しいとは限りません。

古典

"The Aims of Education" (1929) A. N. Whitehead 青森公立大
"Orthodoxy" (1909) G. K. Chesterton 横浜国立大
"A Short History of the World" (1922) H. G. Wells 埼玉工業大
"Democracy and Education" (1916) John Dewey 鹿児島大
"The Pearl" (1947) John Steinbeck 拓殖大
"How Does One Study Social Science?" (1915) Joseph A. Schumpeter 静岡県立大
"The Story of an Hour" (1894) Kate Chopin 福井大
"The Happy Prince" (1888) Oscar Wilde 岐阜大
"The Chrysanthemum and the Sword" (1946) Ruth Benedict 大阪薬科大
"My Mortal Enemy" (1926) Willa Cather 愛媛大

これ以外に,神学部などでは古典も多いような気がします。内容が特殊ですが。

 

 

Wikipedia

英語版Wikipediaからの出題です。もともと百科事典からの出題はよくあった(今もある)わけですが,こんなところからも出題されるようになりました。

  • Salt の項から      麗澤大
  • Exploratory engineering の項から(?)   北九州市立大

北九州市立の問題は"Exploratory engineering"の項からの出題だと思われるのですが,後半(下線部)の箇所が不明です。「原文の一部を変更している」と言っている,その変更の箇所なのでしょうがどこをもとに「変更」しているのでしょうか?別の記事と合成しているのかもしれませんが,そうでなければ「変更」というよりも「改作」「創作」みたいです。

 

問題文(全文)

次の英文を読んで,下線部を和訳せよ。

Engineering is concerned with the design of a solution to a practical problem. Scientists may ask why a problem arises, and proceed to research into the question, perhaps creating a mathematical model of their observations. By contrast, engineers want to know how to solve a problem, and how to make practical use of that solution. In other words, scientists attempt to explain phenomena, whereas engineers use any available knowledge, including that produced by science, to construct solutions to problems.

出典: Wikipedia — The Free Encyclopedia (http://en.wikipedia.org/wiki/)

(出題の都合により,原文の一部を変更している箇所がある。)

Wikipediaの原文(出題者が依ったと思われる2006年9月頃のバージョンでも,この箇所には変更はない)

Engineering is concerned with the design of a solution to a practical problem. A scientist may ask "why?" and proceed to research the answer to the question. By contrast, engineers want to know how to solve a problem, and how to implement that solution. Exploratory engineering often posits that a highly detailed solution exists, and explores the putative characteristics of such a solution, while holding in abeyance the question of how to implement that solution. If a point can be reached where the attempted implementation of the solution is addressed using the principles of engineering science, the activity transitions from protoengineering to actual engineering, and results in success or failure to implement the design.

Unlike the scientific method which relies on peer reviewed experiments which attempt to prove or disprove a falsifiable hypothesis, exploratory engineering relies on peer review, simulation and other methods employed by scientists, but applies them to some hypothetical artifact, a specific and detailed hypothesized design or process, rather than to an abstract model or theory. Because of the inherent lack of experimental falsifiability in exploratory engineering, its practitioners must take particular care to avoid falling into practices analogous to cargo cult science, pseudoscience, and pathological science.

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <4>

6月
2009
18
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2007年度と2008年度の大学入試英文のうち,その出典が英語書籍からのものをピックアップしてみます。

まず,この2年で,2大学(2学部)以上で出題されている作家を挙げてみましょう。人名の後の数字がこの2年間の出題数。出題数2 というのが多いから,もっとデータを増やせば大きく変わってくるはずだが,出典を明示していない大学は今でも多いし,数年前だとさらに少ないので今後に期待するしかない。

 

アル・ゴア (Al Gore)   [4]  ご存知,合衆国前副大統領。ノーベル平和賞受賞者(2007年)。

"An Inconvenient Truth" 「不都合な真実」 からの出題が,北九州市立大,大阪府立大,長崎大の国公立3大学。別のゴアの文章からの出題が関東学院。わたしも持っているが,読んでない!

 

アンソニー・ギデンズ (Anthony Giddens) [4]  イギリスの社会学者。ブレア政権のブレーンでもあった。出題はすべて,"Sociology" から。翻訳もされている,代表的な社会学の「教科書」。慶應・商,お茶の水,新潟国際情報,東京農工(慶應,農工は第5版,お茶大は第4版,新潟国際は第2版)。新潟国際情報で出題しているのと同じ箇所を,わたしは20年くらい前に模試の問題として新作した記憶があって,ちょっとなつかしい。

 

デール・カーネギー Dale Carnegie [3] 大富豪のカーネギーとは別人(だよね?)。出題は "How to Stop Worrying and Start Living" (邦題:「道は開ける」)が2題(岐阜,福井),"How to Enjoy Your Life and Your Job"(「人生論」)が1題(帝京)。

このカーネギーもそうだが,ここに挙げたものの中には,Self-Help ものが多いような気がします。大学入試の英文の傾向とまでは言えないのですが,英語自体がかんたんで読みやすく,内容に専門知識がいらず,たいして知的関心がない若者にも取っつきやすいということが理由なのかどうなのか,安っぽい(失礼!)人生論や処世訓話のたぐいに出くわすことがあります。もちろん昔の入試にだってそのテのものはありましたが,昔のは,イギリス人のひねくれた人生観をこねくり回した文章で綴る式の,今風に言えばヘタレインテリ向け人生論でした(ラッセルとかモームとかリンドとか)。それがアメリカの一般大衆向け処世術に変わったということでしょうか。

 

デイビッド・クリスタル David Crystal [5] イギリスの大御所言語学者。一般向けの著作も多く,英語学を中心に言語に関わる様々な問題について発言している(インターネットの言語とか言語の死滅とか方言とか)。5題中3題は"How Language Works" からの出題(お茶の水,福島県立医科大,山形)。このうち,お茶の水と福島県医は同じ箇所からの出題。その他は滋賀と上智。これは読んだ。

 

デボラ・タネン Deborah Tannen [7] アメリカの社会言語学者。言語における性差に関する問題を扱うことが多い。エッセイ風で読みやすく,人気作家といってもいいかも。"You Just Can’t Understand" (「すれ違う女と男」)が2題,"That’s Not What I Meant!" が3題。持ってるけど読んでないな。

 

ハル・アーバン Hal Urban [2] 元教師のエッセイストらしい。"Life’s Greatest Lessons"(「心の癖」を変える20の法則)から,山口大と鹿児島大で出題。これも Self-Help もの。2006年には鳥取でも出題。

 

ジャック・キャンフィールド Jack Canfield [2] アメリカに "Chicken Soup"シリーズという一連の本があって,これはいろんな人から集めた「ちょっといい話」(実話)を本にしたものです。"Chicken Soup for the Soul" から始まって,10代むけやら教師向けやら何やらかんやら,シリーズはすでに100冊以上出ています。一冊も読んでませんが。日本版も「こころのチキンスープ―愛の奇跡の物語」以降数十冊翻訳されているようです。Jack Canfield はこのシリーズの編者。一編一編が短く,入試向けに使いやすいのでしょう。数もある(1冊100話くらい×100)からネタ切れしにくいし。Jack Canfield 編を明示した問題が2題(上智,奈良教育)で,それ以外にこのシリーズをネタ元の文章が慶應,佐賀,相愛などで使われています。

 

ジェシカ・ウィリアムズ Jessica Williams [2] 音楽をやっているジェシカ・ウィリアムズとは別人(だと思う)。"50 Facts That Should Change the World"(「世界を見る目が変わる50の事実」)という本の著者で,出題もここから(神戸,名古屋市立)。現代という時代の問題点を50の事実を通して切開しようという啓蒙書。「日本女性の平均寿命は84歳,ボツワナ人の平均寿命は39歳」とか,「タイガー・ウッズが帽子をかぶって得るスポンサー料は,1日あたり5万5000ドル。その帽子を作る工場労働者の年収の38年分」とか。うーん。ウッズがもらいすぎというべきか,ウッズすげえと讃えるべきか。

 

ケイト・フォックス Kate Fox [2] 人類学者。出題は "Watching the English: The Hidden Rules of English" (「イギリス人ウォッチング―その行動に潜むコードを読み解く」)から。イギリス人の国民性についての議論。一橋と東京外国語の2007年度の問題。

 

ケイ・ヘザリ Kay Hetherly [3] 日本に在住し大学で教えている先生。NHKラジオの「英会話」のテキストに連載した英文をまとめた本が"Kitchen Table Talk", "American Pie", "Tokyo Wonderland" などで,"Kitchen Table Talk"が滋賀で,"Tokyo Wonderland"が奈良県立と山形で出題。

 

レオナード・サックス Leonard Sax [2] アメリカの医師・心理学者。出題は"Why Gender Matters" (「男の子の脳、女の子の脳―こんなにちがう見え方、聞こえ方、学び方」)から。子どもの性差と教育のあり方がテーマ。明治学院と熊本県立で出題。

 

ルイス・コープランド Lewis Copeland [2] 高校レベルの全教科を教科書的に記述した"High School Subjects Self Taught"という本の編者。この本は翻訳もなく,ハードカバーで全4巻。これは持っていますが,ぶ厚いし,ぶこつな装丁。まあ教科書的教科書です。新刊としては見当たらない。アメリカのアマゾンで入手可。

 

リサ・ベルキン Lisa Belkin [2] この人は"Tales from the TIMES"という本の編者。New York Times が一般の人から集めた実話をまとめたもの。副題が "Real-life Stories to Make You Think, Wonder, and Smile, from the Pages of the New York Times"とある。「ちょっといい話」系のようです。翻訳はなさそう。杏林,福岡教育。

 

マルコム・グラッドウェル Malcolm Gladwell [2] アメリカ在住のライター。"Blink ― The Power of Thinking Without Thinking" (「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」)から横浜国立とノートルダム清心で出題。これまたセルフヘルプ系の本のようですね。

マイケル・ルモニック Michael Lemonick [2] Time誌の科学ライター。科学ネタということになりますが,書籍名は不明。信州と富山で出題。

 

ポール・オースター Paul Auster [5] いわずとしれたアメリカの小説家ですが,実は出題されている5題中4題はオースターの小説ではなく,オースターが編集した本から。"I Thought My Father Was God"という題名の本と"True Tales of American Life" という題名の本がありますが,同じ本のようです。NPRというラジオ局が集めた実話集。上の"Tales from the TIMES"や"Chicken Soup"シリーズと同工異曲ということになります。"Chicken Soup"は量で,"Tales from the TIMES"はNew York Timesの権威で,そしてこれはPaul Austerの名前で勝負しています。日本の入試ではオースターの勝ち。出版界でもそうかな。新潮文庫になっています(もちろん柴田元幸訳)し,英語対訳朗読CD付きバージョンもあります。ただし,日本版は5巻に分冊し,タイトルは「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」です。これはNPRのラジオ番組の時の企画名。いくつか読みましたが,ホントかよって話が多いような気が。

 

レイチェル・カーソン Rachel Carson [2] 誰も環境問題なんか気にしていなかった頃に,はじめてテーマとして取り上げ普及させた人として有名ですね。入試でも何度も取り上げられましたが,いまだに出ています。だいぶ減りましたが。"Silent Spring"(「沈黙の春」)が名城,"The Sense of Wonder"(「センス・オブ・ワンダー」)が宇都宮。

 

リチャード・カールソン Richard Carlson [2] 心理学者らしい。"Don’t Sweat the Small Stuff"シリーズ(「小さいことにくよくよするな!」シリーズ)。大妻と島根。ったく,セルフ・ヘルプもの好きですね。ちょっと宗教っぽくないですか?

 

サイモン・シン Simon Singh [2] 科学ライターとしてはいま一番人気かも。"The Code Book"(「暗号解読」)から防衛大と別のが神戸大で出題。

 

鈴木孝夫 Takao Suzuki [2] 日本の言語学者。ベストセラーでもあり,現代文入試でも出題されたことがある岩波新書の「ことばと文化」を英訳した"Words in Context"からの出題。慶應・看護と九州女子。日本語の英訳からの出題は多くはないが,他に養老孟司「バカの壁」や小熊英二なんてのもあります。

 

その他で気になるのは,Oxford UP から出ている Very Short Introduction シリーズからの出題。日本の新書(昔の学術志向の)やク・セ・ジュ新書みたいな感じのシリーズで,岩波から翻訳中です。出題は,"Journalism" (東京学芸),"History"(明治学院),"Globalisation"(上智),"Global Warming"(奈良県立),"Philosophy of Science"(慶應・医 以前には早稲田・政経も)なんてところです。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <3>

6月
2009
16
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前回は英語の新聞・雑誌からの出題を扱いましたが,3回目の今回は,英語の書籍から大学入試問題に使われているものを取り上げます。

そもそも書籍に限らず,大学入試に使える英文はほんとうはかなり限られています。大学側が問題に出したい「ポイント」を含んでいなければなりませんが,といって専門的すぎる内容のものは使えません。また,受験生の語彙はどんな優秀な生徒でも現実の英語で使われる語彙に比べればごくわずかでしかなく,注をつけるにしても何十もの中で問題用紙を埋め尽くすわけにもいきません。そして量的にも他の問題や解答時間との兼ね合いで全文が掲載できないのがふつうです。ポイント,内容,量,語彙の難度などを勘案した上で出題文を選択するわけですが,そんなおあつらえ向きなものがごろごろころがっているはずものなく,したがっていきおい,

  1. 原文を大幅に改変(あちこちカットする,語彙を入れ替えるなど)して出題する
  2. 他大学で過去に出題された英文とバッティングしてしまう(いわゆる頻出長文)
  3. 他大学で過去に出題された英文を意図的に使う(いわゆる過去問再利用)

2 の頻出長文は,10年以上前に頻出長文を集めた問題集などがあちこちで出版され流行しました。そのせいか,当時取り上げられた頻出長文が今出題されることはかなり減りました。

3 の過去問再利用は,全体としては増えているようなのですが,英語に限ってはそれほど多くないのかもしれません(「入試過去問題活用宣言」のページを参照)。

というわけで,現在の主流は 1 の原文改変です。どのように改変されるのかについては,そのうち取り上げてみたいと思っています。

 

新たに入試に使える英文を探して,それに多少手を入れて出題するとしても,出題者が目を通せる英文の量も限られていて,出題に偏りが出たり,出題者に人気の英文なんてものが自然に見えてくることもあります。

 

あまり専門的なものは使えない,と先ほど言いましたが,これには例外があって,医学部・薬学部では比較的医学,薬学的な内容の英文が使われる傾向があります。一般には,たとえば文学部で自然科学,理工学部で文学論を出題することだってあるわけなのですが,医学部・薬学部では,さすがにあまりに専門に深入りしたものは出せないにしても,その学問に関係した内容(生物学の話題,医療倫理,病気や患者についての一般的話題など)を出すことにためらいはないようです。それにつづくのは,教育学部,看護学部と言ったところでしょうか。

 

「中堅大学」という呼び方が受験界には存在していて,何のことはない,偏差値から見た難易度がMARCH(ないしMARCH相当の大学)よりも下の大学のことです。なんだかなあ,という呼び名ですが,まあそれを使っておくと,「中堅大学」では大学生や一般向けのリーディング用のテキストから出題している場合がままあります。2008年では,桜美林,国士舘,関東学院,中部大学などに見られます。

別にいけないこと,非難されるようなことではありません。上で述べた入試問題に使える条件の厳しさを考えれば,ノン・ネイティブの読解力養成用に書かれた(つまり,もともとその条件を考慮した上で書かれた)英文を集めたテキストは,ある意味でうってつけなわけですが,「中堅大学」より上のレベルの大学ではあまり使われない傾向があります(2008年では広島大学くらいか?)。

  • Timed Readings (Glencoe/McGraw-Hill)
  • The Speed Reading Book (BBC)
  • Weaving it Together (Heinle & Heinle)
  • Reading Advantage (Heinle)
  • Reading Power (Longman)

などのシリーズが使われています。シリーズもの以外の単発ものや,大学教養の語学の授業で使われる南雲堂,成美堂などのテキストも見当たります。

 

次回は,どんな作家が使われているかを見てみます。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

Love does not consist in gazing at each other, but in looking together in the same direction. (Antoine de Saint-Exupéry)

6月
2009
15
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「愛の本質は見つめ合うことにはない。いっしょに同じ方向を見ることにある。」 (アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)

 


サンテグジュペリ(1900-1944)はフランスの小説家。もともとパイロットであり,パイロットとして第二次大戦中に死亡。「星の王子様」(Le Petit Prince)で有名。

 

  • consist in ~   「(特徴・本質などが)~にある」
  • gaze    to look steadily at somebody/something  for a long time, either because you are very interested or surprised, or because you are thinking of something else (OALD)
  • in ~ direction    「~の方向に(へ)」 to ~ direction ではない。

 


 

「見つめ合うのは愛じゃない」と言っているわけではありません。見つめ合うだけでは愛じゃない,と言っているのでしょう(だから,「本質」なんてよけいな訳語を付け加えてしまった)。

でも,愛の甘美さの由縁の多くは見つめあうことから来ているわけで,燦々と降り注ぐ陽光の下,ふたりが目を輝かせて海の彼方を見つめている,そんな文部科学省推薦青春映画のひとコマみたいな愛がホントにあるのかいな,とも思います。

見つめ合うだけの愛はやがて終わる,ということなら言えるかもしれません。そして「見つめ合うだけ」が終わった後,お互いにそっぽを向きながら視線を避け合うというのがよくありがちな成り行きでしょう。だとすれば,「見つめ合うだけ」が終わった後に,「いっしょに同じ方向をみる」のはなかなかたいへんなことで,たいへんだからこそ価値あることなのかもしれません。でも,「いっしょに同じ方向を見てるだけ」を愛と呼ぶのか,という疑問も残りますが。

逆に「視線に憎しみをこめて見つめ合う」というのは,「見つめ合うだけの愛」によく似ています。愛にせよ,憎しみにせよ,「見つめ合う」ことには魔力のようなものがありそうです。よく言われるように,愛の反対語は憎しみではなく,無関心だというのも真実に近いのでしょう。

 

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by rickie | Posted in 引用 | No Comments »

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