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It (Stephen King) — paperback review

9 月
2008
6

語彙レベル★★★★|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★☆☆|前提知識★★☆☆|対象レベル 英検準1級以上|ジャンル ホラー小説|1090p.|英語

スティーブン・キングはいうまでもなくホラー小説の大家なのだが,ホラー小説などいい歳したおとなが読むものではないと思われているらしい。大家・名人と呼ばれるキングでも,そのホラーの対象は,吸血鬼であったり,意志を持つ自動車だったり,超能力が絡んでいたりと,荒唐無稽のひと言で片付けられるものだ。でも,きっと誰もが気づくとおり,読んでいてそれほど白けてこない。その恐怖を経験する人々がそれに出会う以前に過ごしている日常の細部のリアリティー,人間関係や人間的感情のアクチュアリティーが丹念に積み上げられているからだ。感傷的と言えば言えなくもない。それは荒唐無稽なホラーに現実味を与えるための装置なのだが,時にはそれが逆転して,ホラーが人間関係を駆動するための装置にすぎなくなることもある。この It もそういう気味のある小説だろう。

場所は,メイン州デリー(Derry, Maine)。It はこの(架空の)町に取り憑き,26 ~ 27 年周期で目覚めては,町民,とくに子どもたちを次々に虐殺する。しかし,町民は誰も It の存在に気づかない。1958年,これに気づいた 7 人の子どもが立ち上がり,It に立ち向かう。そして長い苦闘の末にこれを倒したが,とどめを刺せなかったのでは,という思いが残る。そして,もし再び It が現れたなら,全員がもういちど集まって It と戦うという誓いを立てる。

彼らはその後,ひとりを除いてみんな町を離れ,そのひとりを除くとなぜか6人全員が社会的に成功し,なぜか全員に子どもができない。そして,27年後の1985年,町に残ったひとりから6人に電話が入る。ふたたび It が現れた...。誓いのしるしとしてた手のひらにつけた傷は,27年間で消えていたが,電話が入ったその時から,鮮やかによみがえる。そして7人のうちのひとりは,その電話の晩に浴室で血だらけになって息絶える...

7人の少年のグルーブは The Losers’ Club と名乗っている「負け犬」の集まりだ。吃音者,肥満児,虐待を受けている少女,喘息持ち,ユダヤ系,黒人,メガネ(アメリカだし)。この小説は結局この少年たちの青春ドラマであり,27年後からみれば,失われた少年時代を一時的にであれ取り戻せるのかという reunion drama (今作ったことばだけど)である。

僕は文学的評価は別にして,この種のストーリーには弱い。この小説には破綻やあらずもがなの部分がいろいろなくはないのだが,少年グループが何かの困難に立ち向かい...という教養小説的な結構と,数十年後の再会(回顧・喪失・回復)という筋立ては,僕の大好きなパターンの一つかもしれない。

But I’m going, because all I’ve ever gotten and all I have now is somehow due to what we did then, and you pay for what you get in this world. Maybe that’s why God made us kids first and built us close to the ground, because He knows you got to fall down a lot and bleed a lot before you learn that one simple lesson. You pay for what you get, you own what you pay for … and sooner or later whatever you own comes back home to you.

この箇所はそうでもないのだけれど,全体としては読みにくい英語の部類に入るかもしれません。なにせ,キングは語彙の多い小説家だし,スラング満載だし,辞書に出ていないような単語がごろごろ転がっている。50年代の子ども時代のできごとと80年代の大人の時代とを並行的に叙述していくので,当時の音楽やテレビ番組なども出てきて,知らないと面白くないところもある。そして何よりくそ長い。1000ページを越えている。(よく100万語多読とか言われていますが,この小説1冊で概算では36万語程度あります。私見ですが,100万語では英語力の飛躍には,圧倒的に足りないでしょうね。)

というわけで,ふつうの英語学習者には強くオススメはできない本ですが,でも好きだな,これ。

 

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by rickie | Posted in いろんな本, 英語を読む | No Comments »

A Farewell to Arms (Ernest Hemingway) — paperback review

3 月
2008
30

語彙レベル★★☆☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★★☆|前提知識☆☆☆☆|対象レベル 英検2級以上|ジャンル 純文学(恋愛小説)|336p.|英語

たまには古典・名作のたぐいも取り上げようかなというわけで,これまた大昔に読んだものを引っ張り出してきました。 ヘミングウェイ,「武器よさらば」。ノーベル賞受賞作家の代表作。学校では「老人と海」がよく取り上げられますが,短いからでしょうね。こちらは長編小説です。

発表は1929年。でも少しも古さを感じさせない英語です。

場面は第一次大戦中のイタリア。イタリア軍に従軍して運転手をしているアメリカ人 Henry が主人公。従軍看護婦のイギリス人女性 Catherine と出会って恋に落ちるというストーリーです。

冒頭の1パラグラフを丸ごと引用してみます。情景描写から始まります。

In the late summer of that year we lived in a house in a village that looked across the river and the plain to the mountains. In the bed of the river there were pebbles and boulders, dry and white in the sun, and the water was clear and swiftly moving and blue in the channels. Troops went by the house and down the road and the dust they raised powdered the leaves of the trees. The trunks of the trees too were dusty and the leaves fell early that year and we saw the troops marching along the road and the dust rising and leaves, stirred by the breeze, falling and the soldiers marching and afterward the road bare and white except for the leaves.

その年の夏の終わりごろ,川とそれに山地へと連なる平野を見渡せるとある村の一軒の家で私たちは暮らしていた。川底には小石が,それに日にあたって白く乾燥した大きな岩々が突き出ていた。水は澄んですばやく流れ,深いところでは青々としていた。軍隊が家の前を通って幹線道路を進み,連中が巻き上げる埃のせいで,木の葉は粉を吹いていた。木の幹も埃まみれで,その年の落葉は早く,そして私たちの目にしたのは,軍隊が道路を行進し,埃が舞い上がり,葉が風に揺られて落ちていき,兵士が行進し,その後に道が落ち葉以外白くむき出しになっている姿であった。

難しい単語はあまりなくても,読みにくいと感じるかもしれませんが,それはこの文章がある意味では「詩的」だからでしょう。and を連発していることからもわかるように,伝統的な意味での名文ではないのですが,簡潔でかつ詩のように反復が多く,視覚的イメージを連ねてリズム感を形作っています。ある意味では現代にまでつながるアメリカ文学の文体の流れの一つを作りだしたと言ってもいいと思います。

Hemingway は短編の評価が高く,”The Killers” のようにほとんど会話だけで,ストーリーが垣間見える(逆にいえばストーリーを語らない)ような作品がみごとなのですが,”A Farewell to Arms” はかなり語ってくれていて,その分わかりやすいでしょう。戦争という状況の中で,二人の異国人が恋におち,そして女性は妊娠し,さらに...という流れは現代の私たちから見れば別に珍しくもないのですが,1929年の時代状況の中ではインパクトはあったでしょう。今でも十分読むに堪える作品です。

次のはほとんど最後に近い場面です。語り手の頭の中のセリフ,いわゆる描出話法です。

Poor, poor dear Cat(=Catherine). And this was the price you paid for sleeping together. This was the end of the trap. This was what people got for loving each other.

かわいそうなキャサリン。一緒に寝たことの代償がこれなんだ。これがワナの行き止まりなんだ。愛し合うとこういうことになってしまうんだ。

そしてこう続きます。ネタバレでもありますので,あえて訳しません。

And what if she should die? She won’t die. People don’t die in childbirth nowadays. That was what all husbands thought. Yes, but what if she should die? She won’t die. She’s just having a bad time. The initial labor is usually protracted. She’s only having a bad time. Afterward we’d say what a bad time and Catherine would say it wasn’t really so bad. But what if she should die? She can’t die. Yes, but what if she should die? She can’t, I tell you. Don’t be a fool. It’s a bad time. It’s just nature giving her hell. It’s only the first labor, which is almost always protracted. Yes, but what if she should die? She can’t die. Why would she die? What reason is there for her to die? There’s just a child that has to be born, the by-product of good nights in Milan. It makes trouble and is born and then you look after it and get fond of it maybe. But what if she should die? She won’t die. But what if she should die? She won’t. She’s all right. But what if she should die? She can’t die. But what if she should die? Hey, what about that? What if she should die?

哀切,痛惨,悲傷のリフレイン。

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

the silence of the lambs (Thomas Harris)– paperback review

3 月
2008
23

語彙レベル★★☆☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★☆☆|前提知識☆☆☆☆|対象レベル 英検準1級以上|ジャンル 冒険小説|384p.|英語

ハンニバル・レクターのシリーズ第一作(?)にして,トマス・ハリスを知らしめた「羊たちの沈黙」。ジョディ・フォスター主演で映画化もされていますし,「別冊宝島」によれば過去20年の「このミステリーがすごい!」ベストの中から選んだ「ベスト・オブ・ベスト」の第2位(第1位は「薔薇の名前」)にもなっていますからご存知の方が多いでしょう。

でも,ごめんなさい。この本を読んだのはかなり前のことなので,だいぶいろんなことを忘れています。映画も(テレビだか,ビデオだかで)見ているので筋は覚えていますが。それ以外で覚えているのは,ストーリーは面白かったこと,でも英語としては「結構読みにくいなあ」という印象だったこと,「また猟奇殺人と幼少期のトラウマが出てくるわけね」と思ったことぐらいかな。プロファイリングという言葉が使われだしたのもこの頃のことでした。

英語として読みにくいというのは,語彙や構文の問題ではありません。専門用語が頻出するわけでもなく,文章が込み入っているわけでもありません。むしろ,表現が口語的でいわゆる「生きた英語」であったことが理由だったと思います。「生きた」というのは,パターンどうりではないということですから,時に「くずれた」「ごちゃごちゃした」にもなりえます。この辺の印象はその人の学習経験によってかなり違ってくるようです。

余談になりますが,以前ジョン・グリシャム(John Grisham)の「ペリカン文書」(”The Pelican Brief”)の読後感を同僚の教師と話したときに,「あれは読みやすいね。Agatha Christie の方がよっぽど難しい」と言われてびっくりしました。私の印象は全く逆だったからです。Christie のどの作品のことをイメージしているのかは不明ですが,私のような,読むことを中心に英語と付き合ってきた者にとっては行儀のよい Christie の英語はむしろ読みやすいように思います。アメリカ英語とイギリス英語の違いのせいでは,と思われるかもしれませんが,その同僚はイギリス留学経験のある人ですから,問題はそこではないでしょう。

さて,次はそんなに読みにくくはない部分です。主人公である FBI 訓練生である Clarice が獄中の Hannibal Lecter とはじめて対面するところ。Lecter が Sherlock Holmes のような観察眼を見せる場面です。

“You use Evyan skin cream, and sometimes you wear L’Air du Temps, but not today. Today you are determinedly unperfumed. (…)”

“(…) How did you know about the perfume?”

“A puff from your bag when you got out your card. Your bag is lovely.”

“Thank you.”

“You bought your best bag, didn’t you?”

“Yes.” It was true. She had saved for the classic casual handbag, and it was the best item she owned.

カットしたところは four-letter word があるところ。こういうのを載せるとコメントスパムが大量に来るというはなしなので。香水を「つける」のも wear と表現するのはおもしろいですね。レール・デュ・タン。そういえば,昔つき合ってた女性がおんなじ香水だったなあ。

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

State of Fear (Michael Crichton) — paperback review

3 月
2008
17

語彙レベル★★☆☆|ストーリー★★☆☆|知的興奮度★★☆☆|前提知識★★☆☆|対象レベル 英検2級以上|ジャンル 冒険小説|672p.|英語

“The Lost World” を紹介したついでに取り上げます。邦題は「恐怖の存在」。2004年発表です。

はっきりいって,

なんだかなあ

という小説です。背景にあるのは「地球温暖化」(global warming) をめぐる議論。登場するのは環境テロリスト(!!)。人工的に津波や集中豪雨を起こしたりして,環境破壊と異常気象への人々の関心と恐怖を煽るというテロリストたちと闘うというストーリーなのですが,その荒唐無稽ぶりに引いてしまう人もいるかもしれません。

クライトンは地球温暖化をめぐる昨今の議論の方向には否定的なようです。小説中にも登場人物たちはいろいろなデータで論争を繰り返しているのですが,クライトンの考え方自体は,小説の後の Author’s Message の中でまとめられています。

  • We know astonishingly little about every aspect of the environment, from its past history, to its present state, to how to conserve and protect it. In every debate, all sides overstate the extent of existing knowledge and its degree of certainty.
  • Atmospheric carbon dioxide is increasing, and human activity is the probable cause.
  • We are also in the midst of a natural warming trend that began about 1850, as we emerged from a four-hundred-year cold spell known as the “Little Ice Age.”
  • Nobody knows how much of the present warming trend might be a natural phenomenon.
  • Nobody knows how much of the present warming trend might be man-made.
     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  • The current near-hysterical preoccupation with safety is at best a waste of resources and a crimp on the human spirit, and at worst an invitation totalitarianism.
  • I conclude that most environmental “principles” (…) have the effect of preserving the economic advantages of the West and thus constitute modern imperialism toward the developing world. (…)

                          (”State of Fear” Author’s message)

要するに,現在の温暖化は,地球が数百年単位で繰り返す自然な温暖化なのか,人間のCO2排出による人為的な温暖化なのかは断定できない,ヒステリーに近い「環境危機」の言説は無駄であり悪くすれば全体主義への道となり,先進国のみを利するという主張です。

私もこの意見自体には個々には同意できるところがあります。地球科学者や気候学者たちの間では,「人為的な要因による地球温暖化」説が優勢なようですが,まだまだわからないところも多く,そもそも温暖化しているのかという議論は必要でしょう。しかし,うえにあげた7つのポイント(原著では25ポイントあげられています)の前4つの慎重さと比べ,あとの2つは飛躍が大きすぎます。「全体主義」や「新しい帝国主義」へ進むかどうかは,「地球温暖化」とは直接因果関係を持っていない問題です。政治の問題であり,人間が世界や社会をどのように形成していけるのかの問題です。「明日の天気もわからないのに10 ~ 100年後の温暖化が予見できるのか」と言われれば,誰も確実なことは言えるはずがありませんが,「それゆえ」環境保護運動はすべて無駄だという結論をただちに引き出すとすれば,それはそれでクライトンの批判する政治性とは逆ベクトルの政治的含意をもってしまいます。

クライトンはこの本の「補遺」(Appendix)で,科学の政治的利用の危険性について述べています。しかし,彼はこの本を書いた1年あまり後にはブッシュ大統領にホワイトハウスに招待されています。大統領はこの小説は「熱心に読んだ」そうです(NY Times Feb. 19, 2006)。クライトン自身がその招待の政治性に気づかぬはずがありません。

Al Gore は逆の立場から,この本をあてこすって,

The planet has a fever. If your baby has a fever, you go to the doctor [...] if your doctor tells you you need to intervene here, you don’t say ‘Well, I read a science fiction novel that tells me it’s not a problem.”

と言ったそうです(英語版Wikipedia による)。これまた(元)政治家らしいわかりやすいが,いささか naïve な批判です。

問題は,科学というものが政治と,それも大衆レベルで,不可分になってしまったということによって複雑化しています。

たしかに,自分を安全な所に置いた上での議論,暖かいリビングでおいしいお鍋をつつきながら「温暖化ってやーね」的な物言いには,わたしも不快感を感じずにはいられません。しかし,先進国の人間が環境問題にこれほど熱を上げるのは,「地球規模の危機」という問題設定自体が,ひょっとすると国民国家の枠を超える何かへの道を照らしだしてくれる,そんな潜在的な思いがあるからなのかもしれません。キーワードは「環境」でなくても,「小惑星の衝突」でも「宇宙人来襲」でもよかったのかもしれません。それは幻想でしょうが,ちょっと魅力のある幻想ではあります。

この本の題名 “State of Fear” に触れておきます。環境問題がこれほどまで「問題化」されたのは,冷戦終結が原因だ,とある登場人物が言います。

“For fifty years, Western nations had maintained their citizens in a state of perpetual fear. Fear of the other side. Fear of nuclear war. The Communist menace. The Iron Curtain. The Evil Empire. And within the Communist countries, the same in reverse. Fear of us. Then, suddenly, in the fall of 1989, it was all finished. Gone, vanished. Over. The fall of the Berlin Wall created a vacuum of fear. Nature abhors a vacuum. Something had to fill it.”

Evans frowned. “You’re saying that environmental crises took the place of the Cold War?”

国家が安定的に支配を継続するためには,国民を常に「恐怖の状態」に置いておかなければならない,冷戦終結後はそれが「環境破壊という恐怖」なのだ,というわけです。

国家は国民に危機感を与えつつ支配を維持するという部分は正しいとしても,冷戦→環境 という図式は成り立たないでしょう。先ほど言ったように,「環境」問題は空想的にせよ国家を超えるものなのですから。

 

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The Lost World (Michael Crichton) — paperback review

3 月
2008
9

語彙レベル★☆☆☆|ストーリー★★☆☆|知的興奮度★★☆☆|前提知識★☆☆☆|対象レベル 英検2級以上|ジャンル 冒険小説|448p.|英語

“Jurassic Park” につづく第2弾で,これも映画化されています。だいぶ前に読んだので,細部は忘れているのですが,Jurassic Park 以外に,実は近くの島にもうひとつ恐竜再生実験用の島があって,それが放置されたままになっている,とかいう設定になっていたと記憶しています。そこへ Malcolm たちが再び調査に行き...

タイトルの “The Lost World” 「失われた世界」は Sherlock Holmes で有名な Sir Arthur Conan Doyle が1912年に発表した同名の小説に由来します。これは一種の黎明期のSFで,南米のどこかに今でも恐竜が生きている場所へ探検に行く,という小説です。児童向けにリライトしたものを子供のころに読んだ記憶があります。私の恐竜好きの原点なのかな?(英語版も持っているのですが読んでない。読んだらこのシリーズに追加しようかな。)

続編ですから,前著 “Jurassic Park” を読んでいるか,少なくとも映画を見ていないと面白みは減るでしょう。ただし映画の「ロストワールド ジュラシック・パーク2」とはエンディングが違っています。

英語的には,前著と同レベル。 おもしろさは前著ほどではないでしょう。

以下は,冒頭近く,Jurassic Park 事件にはもうかかわりたくないと思っているMalcolm にある人物が接近してくるところ。

“(…) But I’m told it was some kind of very large, atypical lizard, found dead in the jungle of Costa Rica.”

“And? What happened to it?”

“The remains were burned?”

“So nothing is left?

“That’s right.”

“No photographs? No proof?”

“Apparently not.”

“So it’s just a story,” Malcolm said.

“Perhaps. But I believe it is worth mounting an expedition, to find out about these reported survivals.”

Malcolm stared at him. “An expedition? To find a hypothetical Lost World?”

Jurassic Park を面白いと思わなかった人,私のような恐竜好きの大人(いるのか?)以外の人には,あまりおすすめしません。

 

(この paperback review のカテゴリーは,英語で読む本を探している方に向けた読書案内です。私が読んだ本の中から選んでコメントしています。)

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

Jurassic Park (Michael Crichton) — paperback review

3 月
2008
2

語彙レベル★☆☆☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★☆☆|前提知識★☆☆☆|対象レベル 英検2級以上|ジャンル 冒険小説|416p.|英語

少しも自慢にはなりませんが,私はこの歳でけっこう恐竜好きです。ですから,ジュラシック・パークなんてものがほんとにできたら,南米の孤島だろうがアフリカの山奥だろうがぜひ行きたいと思っている多くのとっちゃんボーヤの一人です。

確かこの本は映画を観る前に読んだはずですが,映画を観た人にもぜったい読むべきだとお勧めできるかというと,うーん,ストーリー知ってるとなぁ。原作と映画ではストーリー本筋にはあまり違いがありません。映画ではサラッと流されていた Jurassic Park の存在にたどりつくまでの話が,小説では推理小説っぽい展開で特に琥珀 (amber) の使われ方が面白かったですね。映画にも出てきた Ian Malcolm という人物は複雑系(カオス理論)が専門の数学者なのですが,原作ではこのカオス理論の話もそこそこ深入りしています。といっても,この小説に限らず,そして私自身もその一人ですが,文系人間のカオス理論の理解は,「結局,先のことは予測できない,計画なんてうまくいかないもんだ」くらいの理解ですけどね。Crichton の小説は前半で多少理屈っぽく,後半はたいていドタバタになりますが,この小説でも同じです。なんか初めから映画化を意識して書いているなあというかんじですね。

英語としては簡単な方です。次の引用は,Malcolm がジュラシックパークの破たんを予測する部分。

“And Hammond’s project,” Malcolm said, “is another apparently simple system—animals within a zoo environment—that will eventually  show unpredictable behavior.”

“You know this because of …”

“Theory,” Malcolm said.

“But hadn’t you better see the island, to see what he’s actually done?”

“No. That is quite unnecessary. The details don’t matter. Theory tells me that the island will quickly proceed to behave in unpredictable fashion.”

“And you’re confident of your theory.”

“Oh, yes,” Malcolm said. “Totally confident.” He sat back in the chair. “There is a problem with that island. It is an accident waiting to happen.”

なんだかんだ言っても,娯楽小説としてはよくできていると思いますよ。ひまつぶしには最適。

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

The Da Vinci Code (Dan Brown) — paperback review

2 月
2008
23

語彙レベル★★☆☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★★☆|前提知識★★☆☆|対象レベル 英検準1級以上|ジャンル 推理小説|496p.|英語

ご存知,2003年に発表以来世界的なブームとなった「ダビンチ・コード」です。

主人公はハーバード大学の宗教象徴学(religious symbology)の教授である Robert Langdon が,パリでルーブル美術館館長 Jacques Saunière の殺人事件現場に連れてこられるところから始まります。Langdon が探偵役となって,この殺人事件を解明していくというストーリーですが,メインはむしろ謎解きの多くが,ダビンチをはじめ美術の寓意・象徴を読み解き,暗号を解読し,宗教史の謎を解きほどいていくというプロセスにあります。美術史・宗教史・暗号学などの知識が事件の謎を解くカギになるわけです。しかし,前回の 「薔薇の名前」ほどの前提知識が必要になるわけではありません。いちいち説明してくれています。解説本もでていますが,なくても大丈夫でしょう。でも,ダビンチの画集くらいあると便利ですが。

英語的には,そうした美術史・宗教史の用語が多少ネックになるかもしれません。それ以外は語彙レベルはそれほど高くありません。私の勤務する予備校に来ていた都内の某進学校に通う生徒が,学校の英語の補習として "The Da Vinci Code" を読む授業を取ったそうです。数ヶ月後,「そういえば,あの授業どう?」と聞いたら,「むずかしくて,やめちゃった。」という返事でした。その子は結局早稲田に合格しました。つまり,この小説は,進学校の意欲的な先生が高3生に読ませてよいと判断するほどのやさしさであり,早稲田に合格する生徒でも途中で投げ出すくらいの難しさだ,ということになります。受験前だからしかたないですけど。

"It’s quite possible," Langdon said. "Da Vinci was a prankster, and computerized analysis of the Mona Lisa and Da Vinci’s self-portraits confirm some startling points of congruency in their faces. Whatever Da Vinci was up to," Langdon said, "his Mona Lisa is neither male nor female. It carries a subtle message of androgyny. It is a fusing of both."

まあ,本物の(?)推理小説ファンにはやや物足りないかもしれませんね。私は途中で,「こいつが××だろうな」という推測がつきましたが,皆さんはどうでしょう?

 

(この paperback review のカテゴリーは,英語で読む本を探している方に向けた読書案内です。私が読んだ本の中から選んでコメントしています。)

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

The Name of the Rose (Umberto Eco) — paperback review

2 月
2008
16
語彙レベル★★★☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★★★|前提知識★★★★|対象レベル 英検準1級以上|ジャンル 推理小説|502p.|英語

舞台は中世イタリアの修道院。そこで起きる連続殺人事件を,修道院側のさまざまな妨害をのりこえて探偵役の修道士が探っていく....なんてまとめ方は,この本を読んだ多くの読者からひんしゅくを買ってしまうでしょうね。たしかに物語の外枠は,シャーロック・ホームズとワトソン博士の探偵小説を借りて,中世の修道院という設定にはめこんだという形になっていますし,筆者もなかばパロディー気味に「歴史ミステリー」的叙述で楽しんでいます。が,内容をまともに理解しようとすると,歴史・哲学・宗教学(キリスト教神学)についてのかなりの知識が必要になります。1980年のイタリアでのこの本の出版以来,解説書・ガイドブックが何冊も出たくらいで,世界的なベストセラーになったのが不思議です。みなさん,ほんとにわかったのでしょうか?

筆者ウンベルト・エーコは,世界的に高名なイタリアの記号学者。日本でも,構造主義—ポスト構造主義が喧伝された1980年代の「ニューアカ」ブームの際にも,本業の記号論でしばしば取り上げられました。推理小説はもともと記号論と相性がいいらしく,筆者には「シャーロック・ホームズの記号論」という著書もあります。

知的で,難解で,解説書もいっぱいあり...というと「ダビンチ・コード」を思い浮かべるかもしれませんが,そんなもんじゃありません。ほんものの学者が,余技ではなく本気で書いた小説です。

英語(イタリア語からの翻訳)としては,文章自体はさほど難解ではありませんが,修道院やキリスト教,中世文化,哲学などの用語がちりばめられていてその点で苦労するかもしれません。まあ,ペーパーバックを読みなれていない人にはお勧めできませんが,こうした内容に興味を持っていて,多少難しくてもチャレンジする知的好奇心豊かな人には,お勧めしたい本です。

次は,「序章」の冒頭です。しょっぱなから「ヨハネ福音書」の引用です。

In the beginning was the Word and the Word was with God, and the Word was the God. This was beginning with God and the duty of every faithful monk would be to repeat every day with chanting humility the one never-changing event whose incontrovertible truth can be asserted.   (Prologue)

 

 

 

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