『語学はやり直せる!』

著者:黒田龍之助 |出版社:角川書店(新書・角川oneテーマ21)|2008年|686円|一般向け(特に語学が好きなのに上達しない人)|独断的おすすめ度 ★★★☆

このブログでも何回か名前を出した,黒田龍之助さんの一般向け,特に語学で失敗した人向け(ってことでしょうね,このタイトルは)の語学学習法本です。

英語中心ではない,多言語のバックグラウンドを持った人が書いた学習本という点で,前に取り上げた渡辺照宏「外国語の学び方」,千野栄一「外国語学習法」と同じ方向性の本ですが,書き方はずっと軽いというか,ノリのいいというか,今風の文体です。

黒田さんは専門はロシア語(NHKのテレビ・ラジオのロシア語講座担当)ですが,スラブ語系言語全般に通じていて,学んだ経験は数十カ国語だそうです。

 

 

 

   第1章 語学がいっぱい

   第2章 語学を続けるために

   第3章 語学の「常識」を疑う

   第4章 理想の語学教師をめざして

   第5章 語学のプロは修行する

   第6章 たとえば英語学習をやめてみる

第4, 5章は一見,プロ向けのようにも見えますが,自分たち語学教師は何をやっているかをとおして,一般の学習者へのアドバイスを送っています。

こういう本は,その本に書かれているメソッドを忠実に実行するためのものというよりも,何らかのヒントやインスピレーションを得るためのものです。その意味では,この本からは数多くいろんなヒントが得られるだろうと思います。

● 語学には時間がかかる

少なくとも「あっという間」に上達することは絶対にありえない。

だから,そういうことを謳っている語学書とか会話学校は,はっきりいって詐欺である。

● メソッドなんて似たり寄ったり

語学のメソッドは多種多様だ。いろんなやり方がある。新しい方法もつぎつぎと生まれている。

でも,結局は似たり寄ったりなのだ。

   (…)

少なくとも,語学メソッドに決定版はない。あったら,みんながその方法で上達するはずだし,そうすれば語学に悩む人が誰もいなくなるはず。

● 「語学適齢期節」(いわゆる「臨界仮説」=「子どものころから始めないと上達しない」)について

ところが,こういう語学適齢期節をむしろ積極的に信じたがる人もいる。なぜだろう。ひっっとすると,一部の人にとっては,そのほうが都合がいいのではないか。

語学は子供の頃から始めなければ上達しない。しかしわたしはすでに子どもではない。したがって,私は語学が上達しない。上達しなくても,わたしが悪いわけではない。

こういう結論を望んでいる人がいるように思えてならない。

ここにあげたのは,ふだんからわたしも思っていることで,無条件で賛成な部分です。というか,賛成できないところはあまりない。一般向けということもあって,意見が分かれそうなところには深入りしていませんし。その他,「教えない教師」の勧めとか,「英語学習が思うように進まない人はいったん英語を中断して,別の言語をやってみる」とか,ユニークな提案もあります。

黒田さんの本で一貫しているのは,多言語学習を奨励していること,しかも役に立つからというよりそれが楽しいから。上達しないかもしれないけど,学ぶことに意味がある,そういう主張です。多言語を知らないと見えてこないものがあるのは確かです。私自身もいくつかやってきましたが,身についていないにせよ,何か新しい地平が開けるような気がしました。ただし,わたしは語学に対して愛憎両方あるのですが,それはまた別のはなし。

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