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『語学はやり直せる!』

5月
2008
14
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著者:黒田龍之助 |出版社:角川書店(新書・角川oneテーマ21)|2008年|686円|一般向け(特に語学が好きなのに上達しない人)|独断的おすすめ度 ★★★☆

このブログでも何回か名前を出した,黒田龍之助さんの一般向け,特に語学で失敗した人向け(ってことでしょうね,このタイトルは)の語学学習法本です。

英語中心ではない,多言語のバックグラウンドを持った人が書いた学習本という点で,前に取り上げた渡辺照宏「外国語の学び方」,千野栄一「外国語学習法」と同じ方向性の本ですが,書き方はずっと軽いというか,ノリのいいというか,今風の文体です。

黒田さんは専門はロシア語(NHKのテレビ・ラジオのロシア語講座担当)ですが,スラブ語系言語全般に通じていて,学んだ経験は数十カ国語だそうです。

 

 

 

   第1章 語学がいっぱい

   第2章 語学を続けるために

   第3章 語学の「常識」を疑う

   第4章 理想の語学教師をめざして

   第5章 語学のプロは修行する

   第6章 たとえば英語学習をやめてみる

第4, 5章は一見,プロ向けのようにも見えますが,自分たち語学教師は何をやっているかをとおして,一般の学習者へのアドバイスを送っています。

こういう本は,その本に書かれているメソッドを忠実に実行するためのものというよりも,何らかのヒントやインスピレーションを得るためのものです。その意味では,この本からは数多くいろんなヒントが得られるだろうと思います。

● 語学には時間がかかる

少なくとも「あっという間」に上達することは絶対にありえない。

だから,そういうことを謳っている語学書とか会話学校は,はっきりいって詐欺である。

● メソッドなんて似たり寄ったり

語学のメソッドは多種多様だ。いろんなやり方がある。新しい方法もつぎつぎと生まれている。

でも,結局は似たり寄ったりなのだ。

   (…)

少なくとも,語学メソッドに決定版はない。あったら,みんながその方法で上達するはずだし,そうすれば語学に悩む人が誰もいなくなるはず。

● 「語学適齢期節」(いわゆる「臨界仮説」=「子どものころから始めないと上達しない」)について

ところが,こういう語学適齢期節をむしろ積極的に信じたがる人もいる。なぜだろう。ひっっとすると,一部の人にとっては,そのほうが都合がいいのではないか。

語学は子供の頃から始めなければ上達しない。しかしわたしはすでに子どもではない。したがって,私は語学が上達しない。上達しなくても,わたしが悪いわけではない。

こういう結論を望んでいる人がいるように思えてならない。

ここにあげたのは,ふだんからわたしも思っていることで,無条件で賛成な部分です。というか,賛成できないところはあまりない。一般向けということもあって,意見が分かれそうなところには深入りしていませんし。その他,「教えない教師」の勧めとか,「英語学習が思うように進まない人はいったん英語を中断して,別の言語をやってみる」とか,ユニークな提案もあります。

黒田さんの本で一貫しているのは,多言語学習を奨励していること,しかも役に立つからというよりそれが楽しいから。上達しないかもしれないけど,学ぶことに意味がある,そういう主張です。多言語を知らないと見えてこないものがあるのは確かです。私自身もいくつかやってきましたが,身についていないにせよ,何か新しい地平が開けるような気がしました。ただし,わたしは語学に対して愛憎両方あるのですが,それはまた別のはなし。

 

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by rickie | Posted in いろんな本, 一般の語学学習 | No Comments »

『外国語の学び方』『外国語学習法』

5月
2008
10
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著者:渡辺照宏 |出版社:岩波書店(岩波新書)|1962年|絶版|高校生以上・一般向け|独断的おすすめ度 ★★☆☆

著者:千野栄一|出版社:岩波書店(岩波新書)|1986年|735円|高校生以上・一般向け|独断的おすすめ度 ★★★☆

どちらも岩波新書の外国語学習法本。かなり人気を博した「外国語の学び方」(1962 青本)の後継が「外国語学習法」(1986 黄本)で,そのあいだに24年が経過しています。とすれば,そろそろ岩波の次期「学習法本」が出てもいい頃でしょうか。

これらは英語学習法ではなく,外国語学習法です。別に英語は特別な習得法があるわけではありませんが,世の中,英語しか見えていない風潮なので,多言語を身につけた人のことばは大いに聞くべきでしょう。

前々から疑問なのですが,なぜか英語以外,とくに東欧・スラブ系言語の専門家は驚くほど多くの言語を習得している人がいます。今回の本では,渡辺氏はドイツ語・サンスクリット語が専門,千野氏はチェコ語,それ以外でも,黒田龍之助氏はロシア語の専門家。「わたしの外国語学習法」を出している十数カ国語の達人ロンブ・カトーさんと,12カ国語が使えるというピーター・フランクルさんはともにハンガリー出身。作家でも,英語で小説を書いた Nabokov はロシア, Kosinski はポーランド(盗作疑惑もありましたが),フランス語で書いている Kundera はチェコ,Agota Kristof はハンガリー出身です。逆に,英語の専門家にはそういう人が見当たらない気がするのですが(昔は少しいた)。スラブ語ができれば英語なんかちょろい,というわけでもないでしょう。東欧諸国はよきにつけ悪しきにつけ交流が多いから,そして文化的には英・仏・独・旧ソ連などの強い影響を受けているため自国語だけでは自足せず,外国語に触れることが多くて外国語学習意識が高いから,という理由を今でっちあげてみたのですが,でもそれなら日本も似たようなものなのですが。上の4人の作家はみな亡命者・難民ですから,そういう外的な事情ももちろん影響しているでしょう。でも日本人のスラブ専門家たちのポリグロットぶりはどう説明できるんでしょうか。

さて,「外国語の学び方」はすでに絶版のようですが(古本は大量に出回っているはず),確かに音声面の学習ではレコードのリンガフォンの話が出てきたり,時代を感じさせるものもあります。でも,そんなことより,残念ながら今の人の耳に届きそうにないのは,たとえば

  • 自分の日本語能力と同レベルを目指す
  • 1日24時間その言語のことだけを考えて,3ヶ月後にはなんとかなる
  • 書くためには,短い論文や短編小説を丸暗記する

といった,現代人には難しい集中的学習・言語オタク化を暗に前提にしているところでしょうか。べつに批判しているわけではありません。わたしも実は同意見です。千野先生の本では,「1日に6時間ずつ4日やるより,2時間ずつ12日した方がいい」という説が出ていて,これは実証的に正しいらしいのですが,わたしはそれは初心者向けの話であって,学習過程のどの段階かで集中学習が必要になると思っていますし,今では流行らない長文の丸暗記もかなりプラスになると考えています。でも今そんなことを言うと,引いちゃうでしょうね,みんな。

千野本の特徴は,文法重視の教育に対して,語彙力強化をかなり前面に押し出しているところでしょうか。この本の影響なのか,その後の語学学習では語彙面重視は浸透しているようです。アドバイスのいくつかをピックアップすると,

  • 単語は最低レベルの1000語は単語集などで有無を言わせず覚えねばならない
  • その後,辞書を使って何とか本の読める3000語レベルにまでは上げる
  • 語学学習には金と時間が必要
  • 西洋語の基本的活用は表にすれば10ページくらいに収まるので,まずこれを丸ごと覚える
  • 会話上達には,「いささかの軽薄さと内容」が必要
  • 教養のための語学学習は失敗しやすい

などです。ふつうのアドバイスと言えばそれまでですが,ちまたによくあるエキセントリックな内容ではなく,汎用性があるので,読んである種のインスピレーションを受けて自分なりに工夫していくにはいいだろうとおもいます。語学ってふつうにやるしかないと思いますよ,けっきょく。

どちらの本も,中にちりばめられたいろんな人,ひろんな場面のエピソードが魅力になっていますから,読んで損はありません。

 

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by rickie | Posted in いろんな本, 一般の語学学習, 勉強法の勉強 | No Comments »

新年度のNHKラジオ語学講座

3月
2008
26
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来週月曜日,3月31日からNHK語学講座の新年度がスタートします。

新年度は語学講座が大きく模様替えするようです。私はテレビの講座は使わない主義なので,ラジオの方だけフォローしておきます。スペイン,イタリア語も現在視野に入っていないのでパス。

英語以外の講座では,

  • 今まで20分であった英語以外の語学が,英語同様15分になる
  • 旧年度の講座を「アンコール××語講座」として放送
  • 月曜~土曜だったのを,月曜~金曜にする
  • これに伴い,独では月水金が入門,火木が中級。仏では月~水が入門,木金が中級。中露韓では前期(4月~9月)が入門,後期(10月~3月)が中級

明記されていませんが,従来の「入門」,「応用」という区分を,「入門」「中級」に変えた模様です。「入門」レベルと「応用」レベルに差があったので,たぶん「応用」視聴率が低かったのではないかと思います。その問題に対する改善策ではないかと思われます。簡単にいえば,「応用」のレベルを下げた?

「アンコール」は歓迎したいですね。一年を三カ月ごとに区切り,第一四半期と第三四半期が同内容,第二と第四が同内容になるようです。入門・応用の配分は各言語でバラバラ。以前も本編で再放送をやっていましたが,「アンコール」という本編と別の形になることで複線化されています。

英語は,

  • レベルアップ英文法が消え,基礎英語が1~3になる(去年は1, 2)
  • 「英会話入門」,「徹底トレーニング英会話」,「英会話上級」,「ビジネス英会話」というラインナップが,→ 「ラジオ英会話」(遠山顕),「徹底トレーニング英会話」(岩村圭南 再放送),「入門ビジネス英語」(J.K. ギレスビー,島川洋一),「実践ビジネス英語」(杉田敏)になる
  • 「ものしり英語塾」は「英語ものしり倶楽部」に改名

こちらは中級レベルでの試行錯誤があるくらいで,あまり大きな改編とは言えないようです。NHKのネット利用はまだ端緒段階なので,こちらを期待したいですね。

個人的には,今年も杉田敏講座なのがうれしい(まあ,これだけ安定した人気だと,他の人はやりにくいだろうけど)。その他では,「ハングル」の小倉紀蔵(昨年後期)につづき,「ロシア」の黒田龍之助という売れっ子登用が楽しみです。といってもしばらくはVJ-10に録音するだけなのですが。

 

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by rickie | Posted in 外国語全般 | No Comments »