This is the sort of English up with which I will not put. (Winston Churchill)

「こういう英語には耐えられない」

と訳しても,おもしろさはさっぱり伝わりませんが,ほかに訳しようもありません。

もちろん put up with ~ 「~に耐える,がまんする」で,最初の this は自己言及的,つまりこの文自体を指しています。まねして言えば,

This is the sort of English Sir Churchill would put up with.

というところでしょうか。 put up with という熟語を分断して関係節にしてしまったところが英語としてはありえない,滑稽な文になった原因です。

たとえば,英語学者レナート・デクラークは「現代英文法総論」の中で,「前置詞が前置詞つき動詞の一部をなす場合は,ひどく形式的な英語の場合を除き,前置詞が関係代名詞と結びつくことはない」と書いています。ダメな例としては,

*She was a girl of whom you would never have thought as a nymphomaniac.

–> a girl you would never have thought of as …

*The hobby for which he has gone in is stamp-collecting.

–> The hobby he has gone in for is …

を挙げています。

逆に,前置詞+関係代名詞の形で使うしかない前置詞としては,around, beside, beyond, concerning, despite, during, except, near , since などです。(出典はすべてデクラーク前掲書)

 

up with which ではなくて, with which I will not put up にすれば,熟語の分断には違いないけど少しは耐えられるのかなとも思いますが,耐えられるのだったらこの文自体に意味がなくなっちゃいますね。

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