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「同じくらい~」(ONE POINT at a time : Apr. 05)

4月
2009
5
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= いろいろな as (おまけ) 基本レベル = important

as ~ as … 「・・・と同じくらい~」。

誰でも知っている。以前にも取り上げたことがあるような気がする。でも,最近かなり英語のできる生徒の質問を受けて,「あっ,そういう誤解をしていたんだ」と思い知らされることがあったので,繰り返しになるかもしれないけれど,取り上げることにする。

 

as ~ as …  というのは中学校で習うレベルのポイント。誰でも知っているのに,でも案外まちがえる。なぜか。

おそらくas ~ as … 全体をワンセットの公式として覚えているが,全体で覚えているためにかえって前後とのつながりを見失ってしまうのだと思う。同じワンセットの公式でも so ~ that はあまり間違えない。so はこれ以外にもよく出てくる副詞だし,that も接続詞としてはポピュラーなのでそれぞれの働きが見えやすい。

生徒の疑問が出たのは,こんな感じの文だ。

 

Those who only care about the speed of reading have as little idea of what reading is all about as participants in a speed-eating contest can tell what the food tastes like.

「読書スピードしか気にしない人が読書の何たるかがわかっていないのは,早食い競争の参加者がその食べ物の味がどんなものなのかがわからないのと同様である。」

 

結論から先に言うと,as ~ as … において重要なのは,2つの as そのものではなく, 2つの as にはさまれた部分がどのような働きをしているのかだ。

上の文では,Those who … have little idea of ~ 「・・・の人々は~がほとんどわかっていない」が中心部で,「どのくらいわかっていないかというと・・・・・と同じくらいだ」と言いたいわけだ。二つの as にはさまれた little idea が have の目的語になっている。それを as ~ as … で囲うことによって,「・・・と同じくらい」と表現している。as ~ as … に気を取られて,中心が little idea が目的語であることを見失ってはいけない。

何度か触れたことだが,as ~ as … の1つめの as は「同じくらい」という意味の副詞,2つめの as は「・・・と」に当たる接続詞(時に関係代名詞)だ。「・・・と」の部分が不要なら(例:「彼も同じくらいの年齢だ」),2つめの as 以下を省略して,He is as tall. と言える。

中心部から逆に組み上げていくと,

He is tall. 「彼は背が高い」 → He is as tall. 「彼は同じくらい背が高い」 → He is as tall as she. 「彼は彼女と同じくらい背が高い」

となる。

 

as ~ as … 構文となんとなく似ていると思ってしまうかもしれない構文に,As ….. , so ~ 「・・・と同じように,~」という構文があるが,ぜんぜん違うものだ。この as は接続詞なので,後ろには S + V の完全文が来る。「同じくらい」という副詞の as は直後に必ず 形容詞・副詞(相当語句)が来る。

 

誤解は,文中の働きを考えずに,ただなんとなく日本語訳だけを覚えていることから生じる。「と同じように」と「同じくらい」は,日本語でもぜんぜん違うのだけれど,「同じ」に気を取られるとなんか似てるのかな,と思ってしまう。品詞に気をつける習慣をつけたい。

 

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by rickie | Posted in 英語ワンポイント | No Comments »

意味がたくさんありすぎる! その2 (ONE POINT at a time : Mar. 24)

3月
2009
24
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= いろいろな as (その2)=

前回につづいて,as のはなし。前回は総論と接続詞のasで終わりました。

ということは,関係代名詞,前置詞,副詞 が残っています。

 

関係代名詞の as

関係代名詞の as は大きく分けて2つに別れますが,2つめはあまり品詞を気にしなくてもいいもの,1つめはそこそこだいじなものです。繰り返しますが,関係代名詞かどうかの識別は,《関係代名詞+不完全文》になっているかどうかです。つまり,as の後ろに動詞があって as節を作っているのに SかOかCかのどれかが欠けていれば,そのasは関係代名詞[1] だということです。

 

1. 「・・・ことだが」 (主節に対するコメント付加)important

as is often the case with ~ 「~にはよくあることだが」 という表現はよく入試問題で使われる熟語です。これをすでに知っていれば話はかんたん。この as が関係代名詞です。as is well known 「よく知られていることだが」, as was expected 「予想されていたことだが」などのように, as + 不完全文(上の3つではすべて主語が欠けている。つまり as が主語の働きをしている。)になっています。訳は「・・・ことだが」という形で問題に出てくることが多いですが,「・・・ように」と訳したって何の問題もありません。

As was expected, he has turned out to be a skillful surgeon. 予想されていたことだが(予想どおり),彼は有能な外科医になった。

この例文のように,関係代名詞は主節(ここでは he has 以下)の中に含まれず,主節の前や後ろに置かれ,多くの場合カンマで区切られています。

関係代名詞はふつう先行詞があるとされていますが,この場合の先行詞は何でしょうか?ふつう,「この種の関係代名詞の as の先行詞は,主節の意味内容である」ということになっています。つまりこの as はwas expected の主語の働きなのですが,じゃあ「何が予想されていたのか」というと,「彼が有能な外科医になること」が予想されていたわけですから,その「彼が有能な外科医になること」=主節の内容ということになります。わかりにくいですか?当然です。たいして重要なことではありません(こういうのを出題する大学もあるのですが,それは問題が悪い!)。理解してほしいのは,この as 節は主節にコメントを付け加えるためのものだ,ということだけです。「彼は有能な外科医になったよね,まあそれって予想はされていたことだけどさ。」

 

2. 「・・・と」「・・・ような」 (the same ~ as, such ~ as, as ~ as )

the same A as …. 「….と同じA」  such A as …. 「….のようなA」

as ~ as ….  「….と同じくらい~」 の as を関係代名詞と呼ぶことがあります。as の後ろが不完全文の場合です。以上,終わり。((これらの as はもともとは接続詞(as ~ as や the same ~ as の場合)だったり,前置詞だったりします。後ろに動詞があるのに不完全文だと,関係代名詞としか呼びようがないのでそう呼んでいるということです。でもそれは,品詞分類するとどうなるか,という問題であって,意味を理解しておけばいいだけです。))

 

前置詞の as

後ろに動詞がなく, as + 名詞 になっている時は前置詞の as で,ほとんどの場合 「~として」と訳します。他の as との識別さえつけば,いちばん簡単です。

 

副詞の as

as + 形容詞 or 副詞 がセットになっていれば,副詞の as です。意味は「同じくらい~」。 as ~ as … 構文のひとつめの as がこれです。ふたつ目の as 以下は場合によっては省略可能です。

You know he is 185 cm, but she is as tall. 「彼女も同じくらいの身長だよ。」

 

 

問題 1

次の文の as と同じ用法のものをイ~ホから一つ選べ。(獨協大)
Do in Rome as the Romans do.
イ. I found the same watch as he had often shown me.
ロ. As is often the case with him, he is absent today.
ハ. She told us stories, as we walked along.
ニ. The girl’s father allowed her to do as she liked.
ホ. This is the English language as it is spoken in London.

← 【 答 1 】

 

問題 2

下線部(7)と同じ用法の’as’を次の(イ)~(ニ)の中から1つ選び,その記号を解答欄にマークしなさい。(学習院)

Although Rodin’s works were criticized when he first began working, (7)as time went on French people began to like his statues very much.
(イ)  As she had been up since 3 am, she was very tired.
(ロ)  As the sun rose, the fog gradually disappeared.
(ハ)  I am returning your letter as requested.
(ニ)  We were sitting, as I remember, in an Italian restaurant.

← 【 答 2 】

 

問題 3

下線部(ア)と(イ)のそれぞれの"as"と同じ用法の"as"を含む文を1~5の中から1つずつ選びなさい。 (慶應大・理工 改題)

The term "speculation" has acquired a *pejorative meaning among some scientists. Describing someone’s ideas (ア)as "mere speculation" is often considered insulting.

*pejorative:軽蔑的な

———————————————————

The most basic questions about the human mind ― How do we recognize faces? Why do we cry? Why do we laugh? Why do we dream? Why do we enjoy music and art? ― remain unanswered, (イ)as does the really big question: What is consciousness?

 

  1. She is looking for a man who accepts her as she is.
  2. We had completely misjudged the situation, as we later discovered.
  3. Try as she would, she could never bring back to mind a word of what he had said.
  4. We regard him as the best doctor here.
  5. I can speak English as well.

← 【 答 3 】

 


  1. 「関係代名詞」ということばについて: 「関係代名詞」を定義すると代名詞でありながら,「関係」させる働きも持つもの,ということです。「代名詞」は,文中で必ず主語か目的語(前置詞の目的語も含む)か補語になるという性質を持ちます。また「関係させる」というのはその部分だけで独立した文にはなっておらず,前や後ろとつながっている,ということです。かんたんな 例を挙げて見ましょう。 
    The book that I read yesterday is "Kokoro." 「私が昨日読んだ本は『こころ』です。 」
    The people who didn’t go there yesterday missed a fantastic experience.  「昨日あそこにいかなかった人は,すばらしい経験をのがしてしまったことになる。」
    という文において考えると,that I read yesterday やwho didn’t go there yesterday だけでは文になっていません。前のthe bookと関係づけられています。しかも,that 自体はその節の動詞readの目的語にもなっています。そして,that 自体がreadの目的語なのだから,thatの後ろでは目的語が欠けている,つまり不完全文になっているわけです。
    目的語などになる(つまり名詞・代名詞の働きを持つ)+前後と関係させる働きを持つ=関係代名詞 なわけです。 [▲ 戻る]

 

 

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by rickie | Posted in 英語ワンポイント | No Comments »

意味がたくさんありすぎる! (ONE POINT at a time : Mar. 19)

3月
2009
19
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= いろいろな as (その1)=

今回は,標準的高校生レベルです。つまり,あんまりむずかしくない(ハズ)。

いろんなところで見かける as ですが,いちばん基本レベルとしては,その as の品詞は何かを見分けられるようにしてください。主なものは,1. 従位接続詞 2. 前置詞 3. 関係代名詞 4. 副詞 の4つです。1 と 3 は,その中でさらにいくつかに分類できますが,その前にこの4つのどれなのかを指摘できるようにすることが先決です。意味から考えるのではなく,どのように前後とつながっているかで品詞を判断します。

  1. 従位接続詞の as ― 後ろには, S + V の完全な文が来ます。
  2. 関係代名詞の as ― 後ろには不完全な文が来ます。
  3. 前置詞の as ― 後ろには,名詞が来ます。
  4. 副詞の as ― 後ろには,形容詞か副詞が来ます。

そして,それぞれの意味は,

A. 従位接続詞のばあい

  1. 「・・・ので」 (理由)
  2. 「・・・時,・・・すると,・・・しながら」 (時・同時性)
  3. 「・・・ように,・・・と同じように」 (様態)
  4. 「・・・するにつれて」 (比例)
  5. 「・・・と」 (as ~ as の後ろのas)
  6. 「・・・けれども」 (譲歩)
  7. 「・・・限りでの」(名詞の限定)

B. 関係代名詞のばあい

  1. 「・・・ことだが」 (主節に対するコメント追加)
  2. 「・・・と」(the same ~ as) 「・・・ような」 (such ~ as)

C. 前置詞のばあい

  • 「・・・として」

D. 副詞のばあい

  • 「同じくらい・・・」

 

接続詞の as か関係代名詞の as か

1 従位接続詞(後ろは完全文)と 2 関係代名詞(後ろは不完全文)が区別しにくいかもしれません。

完全文とは,SとかVとかOとかCとか,必要なものは全部そろっている文,不完全文とはSかOかCのどれかが欠けている文です。たとえば,as he knows everything about it ならば,as のうしろはS(=he), V(=knows), O(=everything) がすべてそろっていて完全文,as is known ならば,as の後ろは V(=is known) だけしかないので,Sが欠けている不完全文ということになります。

また,完全文なのか不完全文なのか判別しにくい場合があって,それは as の後ろには S + V はあるのだけれど,O (つまり,「~を」の部分)が欠けているのかいないのかわかりにくい時です。Oが必要な動詞を他動詞,不要な動詞を自動詞と呼ぶことは知っていると思いますが,他動詞なのにOがなければ「欠けている」と判断することになります。つまり,その動詞が自動詞か他動詞か知らないと判別できないわけです。たとえば,as you know という場合はyou knowは完全文でしょうか,不完全文でしょうか。じつはこれはちょっと微妙で,まあどっちでもいいでしょう。意味も「あなたも知っているように」と「あなたもご存知のことだが」とではたいして違いません。

 

接続詞の as の意味の識別

as + 完全文 ならば,as は従位接続詞(whenとかifとかbecauseとかと同じタイプの接続詞)です。でも,意味がいっぱいあるんですよね。慣れないうちは,読みながら片っ端から意味を当てはめて,どれがいちばんスッキリ読めるかを考えてください。なかなか苦労するはずですが,慣れてくるとイッパツで決められるようになります。そのセンスを養うのがだいじです。

逆に書く時には,as をあまり使わない方が安全かもしれません。いろんな意味があるので,誤解されやすいからです。

1. 「・・・ので」(理由を表す)

理由を表す点では,同じく従位接続詞である because や since と似ています。ただし,

  • やや固い表現になり,その点で他の2つとは異なる
  • 理由は理由でも,聞き手・読み手も知っている理由を表し,その点で because とは異なる

の2点が注意です。「聞き手・読み手も知っている」(旧情報といいます)理由というのは,たとえば As it rained yesterday, と言うと「昨日は雨だったので」という意味ですが,気持ち的には「ほら,きのう雨だったでしょ,だから・・・」を少し固くした感じになるということです。「エジプトの砂漠では昨日5年ぶりに雨が降ったために」のような,知らない人に教えてあげる感じの重たい理由だと because が必要です。

英語では,旧情報は文の前の方,新情報は文の後ろの方に置く傾向があります。理由の as は旧情報なので,As … が文頭に来ることが多くなります。でも,後ろに来ることもあるのですが。

2. 「・・・時,・・・すると,・・・しながら」 (時・同時性を表す)

when や while に近いのですが,

  • けっこう幅広くばくぜんとした時を表せる
  • 主節と同時に行われたことを示す時に使われがちなので「・・・と」「・・・ながら」という訳がピッタリすることがある

というあたりが特徴です。主節と同時のことを表すので,「~してから,・・・した」というように時間にズレがある時には使いません(when なら使える場合もある)。

また,この as の後ろに 主語+be動詞が来る時,その主語が主節の主語と同じなら,主語+be動詞を省略することがあります。 as he was a child 「子どもの頃」は,as a child となります。

3. 「・・・ように,・・・と同じように」 (様態を表す)

主節の内容と as 節の内容の間には,何か類似関係,並行関係,比喩関係が存在していることを示します。主節とas節の内容が似ていたり,たとえになっていたりしたら,この意味ではないかと疑います。

Teachers sometimes make mistakes as students often do . 「学生がよく間違えをするのと同じように,教師だって時々間違えるのだ」

この場合,「教師が時々間違える」と「学生はしばしば間違える」が似ている関係になります。これをもっとはっきり述べるのが,

Just as ….. ,  so ~. 「・・・とちょうど同じように,~」(・・・と~はどちらもS+Vの完全文。この場合のsoは「そのように」という意味だが,訳さなくていい)

という公式です。

「まるで~のように」 as if ~ という表現の中の as も,もともとこの意味から来ています。

4. 「・・・するにつれて」 (比例関係を表す)

as の後ろが x, 主節が y とすると,y = f(x) つまり,x が変化するにつれてy も変化していくことを示します。当然 x の部分には,変化の表現,移行の表現,比較級を用いた表現などが来ます。

As he grew older, he became more and more obstinate. 「彼は年をとるにつれ,だんだん頑固になっていった」

grew も became も変化だし,比較級も使われていて,この as の典型的用法です。比較的見破りやすい as です。

5. as ~ as … 構文「・・・と同じくらい~」の後ろの as

前の as はあとで出てくる副詞の as です。 後ろの方は,「・・・と同じくらい」の中の「・・・と」の部分に当たります。as ~ as … ですから,これも見破りやすいでしょう。

この as も接続詞なのですが,後ろの文では省略が起きやすいので,その点では他の接続詞のasとは違っています。She is as tall as he. というのは,長く書くと She is as tall as he is. と言ってもいいわけです(*She is as tall as he is tall. とは言いません)。

6. 「・・・けれども」 (譲歩を表す)

多くの場合,S+V+C の文で使うのですが,語順に特徴があって,

     C as S + V   「S+V+C なのだけれど」

という形に必ずなります。

Kind as he was, there was something strange with him. 「彼は優しいことは優しいのだが,どこか変なところがある人だ」

Kind as he was  =  Though he was kind ということになります。

C のところに名詞が来る時は,無冠詞名詞(a や the がつかない名詞)にします。

King as he was = Though he was a king  というわけです。

S + V + C 以外で使う場合もあります。

Much as S + V  =  Though S + V

Try as S may(will)  「(どんなに)努力しても」

などは,熟語と考えてしまっていいでしょう。

また,文頭にもうひとつ as を置いて,As kind as he was のようにすることもあります。意味は同じです。

7. 「・・・限りでの+(名詞)」「・・・ような+(名詞)」「・・・+(名詞)」(名詞を限定する)

たとえば, the earth as we know it 「わたしたちの知る限りでの地球」「わたしたちの知っている地球」というような使い方で,直前の名詞にかかるという点で他とはかなり違っています。名詞にかかるので,まるで関係代名詞のような働きです。事実,「わたしたちの知っている地球」というのは the earth that we know とほとんど同じことです。でも関係代名詞なら後ろは不完全文,接続詞なら完全文のはずで,ここは we know it はitがあるので完全文です。

(つづく)

 

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by rickie | Posted in 英語ワンポイント | No Comments »

英文法 基礎の基礎 - 1

2月
2009
20
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英文を正確に読むために必要な,あるいは「英文法」の授業や参考書があたりまえの前提としている最低限必要な文法とはどのようなものでしょうか。

ふつう,文法の参考書や解説書は個々の品詞を順番に取り上げて,英文法全体を組み立てていくという方式をとっています。文法の個々の項目を詳しく調べていくにはこの方式が適しているのは間違いありません。しかし,この方式だと全体像が得られるまで順に文法書の叙述をたどらなければならず,習得までにかなりの忍耐と時間が必要になります。

ここでは,まず英文法をまず上から眺めて,その全体像をとらえておくことから始めます。細かいことは後回しにして,まず英語のしくみがこうなっているということを理解してください。もちろん,細かいことははしょってしまいますから,これが文法のすべてだというわけではありません。また,上から全体を眺めるためには,ある程度の文法知識があらかじめないとできませんが,必要な前提知識についても詳述はせず直観的な説明にとどめておくことにします。

文法の基礎とは何でしょう。わたしは次のようなことではないかと思っています。

  • 文には構造があることを理解する。意味を生み出しているのは1語1語の単語(の意味)ではなく,単語が並ぶしくみ=構造 であることを理解する
  • つまり辞書に載っている「単語の意味」をテキトーに並べていけば文の訳ができあがり,という考え方は捨てなければならない
  • 単語は「文の中でどのようなはたらきをするか」によって分類される。それが品詞であり,品詞を理解することは文のしくみを理解する第一歩となる
  • 単語が組み合わさって,句や節を作る。これが文の部品となる。部品の種類は4種類(動詞・名詞・形容詞・副詞)しかない。

ざっと,こんなところでしょうか。

文法についてご存知の方はおわかりのことですが,筆者の創意によるものでもありません。いろんな書籍に書かれている,多くの先生方が説明されている,ごく常識的なことですが,最近の高校生にはこの常識が共有されていない印象があります。やけにこまかいことを知っているのに,こうした基礎的な部分が抜け落ちている生徒を数多く見かけます。たったこれだけのツールを手にするだけでも,英文の読み方はずいぶん違ってきます。英文理解のための必要最小限英文法だと考えてください。

さて,

英文に限らず,ことばは

  • 単語が集まって → 句
  • 句が集まって→ 節
  • 節が集まって → 文
  • 文が集まって → 段落
  • 段落が集まって → 文章全体

という具合にふくらんでいきます。句や節って何?というはなしは後でします。このうちふつう文法で取り上げられるのは最初の3つで,最後の2つは読解上のポイントになります。ここでは,文 → 句・節 → 単語 を取り上げていきます。

 

文とは

文とは,こまかく定義するのはめんどうだし不必要なので,とりあえず形の上ではピリオド(クエスチョンマーク(?)やイクスクラメーションマーク(!))までのひとまとまりの流れを言うと理解しておいてください。現実には,"Fire!" 「火事だ」とか,"No."だって,りっぱな文なのですが,ここでは主語と述語を含む「行儀正しい」文を中心に考えていきます。

☆ 文は主部と述部でできている

文 = 主部述部 (主語を太字で,述部をアンダーラインで表示します)

  • He has read a lot of books about economics. (彼は経済学についての本をたくさん読んでいる。)
  • The girl reading a book over there is one of my classmates. (あそこで本を読んでいる女の子はわたしの同級生のひとりだ。)

主語や述語が何なのかを定義するのはむずかしいのですが,ここでは直感的に理解しておけば十分でしょう。「〇〇が~する」「〇〇は~だ」の「〇〇が」の部分が主語で,「~だ」の部分が述語です。(主語と言ったり,主部と言ったりしていますが,ここではこだわりませんので,おんなじと考えてかまいません)

  • 主部は名詞のなかま ( + その前や後ろの修飾語)
  • 述部は動詞+X

から成り立っています。ここでちょっとだいじなことは,X の部分に何を入れられるかはその動詞によって決まっているということです。述語部分に出てくる動詞を述語動詞といいます(まんまですが)。

もっとも,述語ということばはそれほど便利な用語ではないので,そんなに使われませんが,説明の都合上知っておいてほしい言葉です。

リーディングやリスニングの際の心理としては,「最初はきっと主語だろうな」と予想しながら読み(聞き)(そうじゃない場合もある),次に「どこから述部が始まるのか,どんな動詞が来るのか」を待ち構え,動詞が決まったら,「この動詞なら次に来るのはあれかな」(OかCかto Vか,など)というような気持ちで英語を処理していくわけです。リスニングの場合はそれをほんの数秒のうちにやらなければなりませんが,慣れればできるのですね,これが。

 

単語と品詞

ひとつひとつの単語は,文の中でどのような働きをするかによって,これは名詞とか,あれは副詞とかいうように,何か一つの品詞に分類されます。この品詞を理解することが,英語のしくみを理解する上でいちばん基礎になる知識になるでしょう。品詞の名前を覚えることが重要なのではなく,品詞の働きを理解することが重要なんです。でも品詞の名前だってそんなに複雑なわけではありませんから,覚えてしまってください。

名詞とは何かというような,あまり抽象的な定義ではかえってわかりにくいので,例をとおして大ざっぱにわかれば十分です。

品詞 今も増えてるか?
名詞 book, water, peace, family, people, John, Tokyo, … 増える
代名詞 he, his, him, this, … (かなり少数) 増えない
動詞 run, know, see, eat, stand, keep, … 増える
助動詞 will, can, could, … (かなり少数) 増えない
冠詞 a, an, the (これしかありません) 増えない
形容詞 beautiful, cold, strong, good, … 増える
副詞 beautifully, already, quite, … 増える
前置詞 in, on, at, during, … (かなり少数) 増えない
接続詞 if, because, while, … (かなり少数) 増えない
疑問詞 who, what, when, where, why, which, how (これプラスあとちょっと) 増えない
間投詞(感嘆詞) Oh, yes, ouch, … 増えない
数詞 one, two, first, second, … (かなり少数のものの組み合わせ) 増えない

形容詞と副詞の区別とかはっきりしないものもあるかもしれませんが,あとまわし。最後の2つは忘れても問題ありません。「疑問詞」などはほかの品詞にぶち込むこともできるのですが,独立させておくことにします。それ以外に,不定詞,分詞,動名詞,関係詞などを入れることもできますが,ちょっと話が込み入りますので,別に譲ります。上にあるとおり,代名詞,助動詞,冠詞,前置詞,接続詞などは数が限られている上に,今後そう簡単に増えたりはしません。逆に名詞,動詞,形容詞・副詞は数が多く,特に名詞を中心に新しい言葉が常に生まれています。

繰り返しますが,品詞を考える時にだいじなことは,文の中でどのような働きをするかによって品詞が決まるということです。これは文の主語なので名詞のはずだ...というぐあいです。逆に同じ単語なのに文中での働きが違い,そのため品詞が違うということもあります。そこが日本語文法の品詞と異なっているところでもあります。これは後でもう一回とりあげます。ちょっと先取りしていっておくと,名詞とか動詞とかは直感的にわかるでしょうし,表中に(少数)とあるものは,もともと少ないのでむずかしくありません。ということは,残った形容詞と副詞の区別ができればオーケー,ってわけです。

もうひとつ,英単語はその語尾を見ると品詞がわかるものがあります。-ful で終わる単語は形容詞(beautiful, wonderful)とか,-ify で終わる単語は動詞(identify, simplify)とかです。これらはいっぺんに覚える必要はありませんが,少しずつ慣れていくと品詞の判別が楽になります。

 

【 問題 1 】

次の文の中で下線部(1) ~ (5) の品詞は何だと思いますか。それぞれ次のうちから選びなさい。同じものを二回以上使ってもかまいません。辞書を引かないで考えて,というか辞書には出ていません(下線のない the と a と very の3つの単語だけが本物。それ以外は存在しないデタラメな単語ですから)。

The (1)dowful(2)ziquengs(3)hixotized a (4)melotion very (5)necredly.

a. 名詞 b. 動詞 c. 形容詞 d. 副詞

 

↓ ここをクリックすると答がでます。

【 答 】

 

【 問題 2 】

次の文の中で下線部(1) ~ (5) の品詞は何だと思いますか。それぞれ次のうちから選びなさい。同じものを二回以上使ってもかまいません。辞書を引かないで考えてください。単語・文の意味がわからなくてかまいません。こんどは存在する単語,ほんものの英語です。

(1) He put on blue jeans.

(2) They vacationed abroad.

(3) This project is a go.

(4) Thunderbirds are go!

(5) This book is a must for all students.

 

【 答 】

 

要するに,品詞を決定するには,

  1. 接尾辞(-ful とか-ify)などの特徴から考える
  2. 活用(-ed とか)やマーク(a や the とか)から考える
  3. 文中での働きから考える

という作業が必要です。

 

 

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by rickie | Posted in 未分類 | No Comments »

文法はどこまで必要か? (2)

11月
2008
14
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文法はどうしても落とせない部分はしっかりやって,そのあとは読み・書き・話し・聞くという訓練を大量にやる,そしてその力がけっこうついてきたなと自覚できるあたりでもういちど文法をまとめてやってみる。その繰り返しが語学力の向上に不可欠であるように思います。文法は理解できるようになればそれなりに魅力のある分野なので,深入りしたくなる気持ちもわかりますが,他の分野の力がつかないとあまり意味はないし,第一,文法の重要性自体も身に染みてわかってはこないでしょう。

さて,ここで問題になるのは「どうしても落とせない」文法というのは何か,ということ。当面の目的が大学入試であれば,最低限レベルといえどもかなり突っ込んでおかなければならないし,そうでなければ読書が目的なのか,日常会話が目的なのかでも変わってくる。さらに,目的以上にだいじなのは,どういう観点で文法を見るのかということで,これによってピックアウトされるものがずいぶん違ってくるだろう。

 

『こんなふうにやればどんどん読める 直読英語の技術』(加藤恭子 著 阪急コミュニケーションズ 2005)という本があって,英語をどんどん読みながら力をつけることを勧める一般の初学者向けにやさしく書かれた好著であると思う。加藤先生はこの中でやはり最低限の文法の必要性を説かれている。直読即解,速読,多読などを勧める本は多いが,一般受けの悪い,文法の重要性を指摘するものは少ない。最低限の文法を押さえた上で多読しよう,そういう方針のようで,この手の本にありがちなハッタリはない。その最低限の文法のリストを挙げてみたい。

 

 

読むための《厳選ミニマム英文法》

捨てられない文法事項

  1. 品詞を覚える
  2. 名詞の区別 普通名詞と固有名詞,(+物質名詞と抽象名詞)
  3. 代名詞の区別 人称・所有・指示・再帰・否定・疑問・関係
  4. 動詞の区別 活用,時制,自動詞vs他動詞,能動態vs受動態,仮定法,命令形,不定詞,動名詞,時制の一致,直接話法・間接話法
  5. 助動詞
  6. 形容詞(比較級も含む)
  7. 副詞
  8. 冠詞
  9. 前置詞
  10. 接続詞

厳選リストからあえてはずした文法項目

  • 文型
  • 時制(のうちの 未来完了,現在完了進行,過去完了進行,未来完了進行)
  • 節と句 (名詞節,形容詞節,副詞節,名詞句,形容詞句,副詞句)
  • 分詞構文(完了形の分詞構文,独立分詞構文)
  • 修辞疑問文,不完全自動詞
  • 主格補語,目的格補語,直接疑問文,間接疑問文,関係副詞

加藤恭子 著 『こんなふうにやればどんどん読める 直読英語の技術』(阪急コミュニケーションズ 2005)による

 

文法用語を覚えるかどうかの話ならば,もっと大胆に削ることもできるだろう。逆に概念的な理解の必要性の観点ならば,僕としては「文型」「節と句」ははずせない。むしろ「時制の一致」「話法」を削除したい。

僕のイメージする最低限文法は,

  • 単語にはその機能別に品詞が存在すること
  • 単語が集まって句・節を作るが,その句・節には名詞,形容詞,副詞(,+動詞句)という機能しか存在しないこと
  • その句・節が集まって文を作るが,そのパターンは5つ(または6つ,7つ)しかないこと

という文法の全体像を理解してもらうことであり,それさえわかってしまえば個々の単語,句,節がどれに当たるかを考えていくだけで英文のしくみは理解できる,ということだ。むろんこれは万能ではないのだが,「だいたいこんなふうに英語はできている」ということを理解できればずいぶんと展望が開けると思う。

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

文法はどこまで必要か? (1)

11月
2008
13
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僕は高校時代はまったくといっていいほど勉強をしなかった。はるか昔のはなしだ。

学校の勉強は,という意味である。自分としては3年間でたくさんのことを学んだつもりだし,読書量もそれなりにあったと思うが,それは学校とか教育という枠の外でやったことで,いわゆる学業としてはゼロに近かっただろうと思う。

だから,はやばやと浪人を決めて,受験勉強を始めるとなると中学レベルからのスタートであった。当時は今のように受験や勉強に関する情報があふれていたわけでもなく,それにアドバイスを与えるスタッフが予備校等にいたわけでもなく,教師も学生の勉強法などに口は出さない時代であった。すべて我流で取り組むほかはなかった。

そんなわけで,英語に関して僕が最初に手をつけたのは,文法の本を一冊仕上げることだ。森一郎 著『入試英文法の原点』という本をたしか4月末に予備校が始まるまでの1月くらいで2回やったと思う。「高1の学力で80点はとれる!」という副題に引かれたのだと思う。学力のない自分にはぴったりのような気がした。調べてみると,今でも販売されているらしいので驚きだ。30年以上も前の本である。

各章は,最初に導入用の例題,つぎにその解説をしながら各課のポイントを押さえ,最後に発展問題という構成だった。内容的には枝葉末節に拘泥こうでいせず,重要概念の理解に重点を置いていた。

これをやったのが春休みなのだが,結局,その後の一年を通しても英文法についてはこれ以外にやった記憶はない。単語やら読解やらはずいぶんやったのだが,文法はこれだけだった。学力低下が言われているわりに,今の学校や予備校で教えられている文法の方がよほどこまかいのではないだろうか。こまかすぎて,かえって重要な点が忘れられている。

こまかく教えるというのは,重要な点とさほど重要ではない点が同じ比重で教えるということだ。英語の苦手な人は当然混乱する。苦手でなくても,文法の重箱の隅にはくわしいが,総合的な英語力はパッとしないという人間が続出する。

あたりまえのことだが,語学力はらせん的に上昇する。文法力を1上げたら,単語力・読解力・書く力や聞く力も1上げなければならない。そうすることによってしか第2ステップへ移れない。先に文法力だけ10上げておく,そのあとで単語力を10上げて…というやり方はできないのだ。

あの本をやった1年後には大学に入れたのだが,アルバイトで家庭教師をするとほんの1年前に知ったことを,大昔から知っていたかのように生徒に向かって話す。これがまたいい経験になる。「ああ,そういうことだったのか」と内心思いながら「教えて」いった。新しい知識を仕入れたわけではない。知っていたはずの知識の意味が啓示のように新しい意味を帯びてやってくる,そういう体験だ。これが「らせん的」と言った所以ゆえんである。

 

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イギリス人が文法的誤りだと考える20の例(2)

9月
2008
10
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昨日のつづきです。

 

11. really にすべきところを literally にする

literally 「文字どおり」を単に強調の意味で使うな,「そこに書かれているとおりに」という本来の意味で使え,ということでしょう。でも,辞書でも許容しいてますし,日本語の「文字どおり」も同様な使い方をしています。気持ちはわかるけど...というかんじ。

 

12. its とすべきところを it’s にする

これは日本の高校生もよくやっているミス。

 

13. owing to とすべきところを due to を使う

これも昔からよく言われることですが,現実にはあまり守られていません。わたしも時々守んない。

記事にはBBCの注がついているので引用すると,

NOTE: The BBC News website style guide says "due to" means "caused by" and needs a noun, but "owing to" means "because of" and relates to a verb. Hence, "the visit was cancelled [cancelled is the verb] owing to flooding" is correct. So too is "the flooding [flooding is the noun] was due to weeks of heavy rain".

つまり,owing to ~ は動詞を修飾する副詞句(つまりowing to を because of, on account of と同様の前置詞とみなす)であるのに対し,due はもともと形容詞なので,名詞にかけたり,be の後ろに置いて補語として使うべきだということです。しかし,現在ではあまり区別されていません。ただし,due greatly to ~ のように間に副詞を入れることができることなどは due to だけで固定した前置詞句になっているわけではないことを示しています。

 

14. they’re, there, their や two, too の混同

こんな間違いするの?というレベルですが,投稿者は中学の先生ですから,おそらく中学生のミスでしょう。

 

15. lend と borrow の混同

なんかありそうですね。日本語の「貸す」「借りる」は日本人はあまり間違えないと思いますが,漢字の間違えならけっこうあるかも。

 

16. number of とすべきところを amount of とする

大学入試ではよく出題されるポイントの一つです。 a large number of people (多数の人々), a large amount of water (大量の水)のように使い,number of + 可算名詞, amount of + 不可算名詞 です。

 

17. on foot とすべきところを by foot とする

中学生の時には,あれっ?と思ったような気がします。 by bus, by car, by plane, by train。 でも on foot。「ジーニアス」には go by foot は《略式》,とありますが,避けた方がいいでしょう。

 

18. The team are happy とか The management have congratulated のような単数形の複数扱い

これはちょっと微妙な問題です。

投稿者のことばを引用すると,

The usage that I find particularly irritating is that of a single noun with a plural verb, for example: "the team are happy with their victory", or "management have congratulated the workforce on the recent increase in productivity". Team is a singular noun so it should read "the team IS happy…" or "the team members ARE happy", the same applies "management HAS congratulated…"

問題は「集合名詞」を単数扱いするか,複数扱いする(つまり単数形なのに複数とみなして,主語になったらたとえばisでなくareを使う)のか,ということです。

日本の受験英文法の伝統的な教え方は,

  1. その集合名詞を「ひとつのグループ」とみなして,そのグループの属性・特徴などを述べる文では単数扱い。 His family is very large.  彼の家族は大家族だ。
  2. その集合名詞で表されているグループの「ひとりひとりのメンバーたち」に重点がある場合は複数扱い。 His family are all early risers. 彼の家族はみんな早起きだ
  3. このタイプの集合名詞には,class, committee, family, audience, crowd, crew, team などがある

といったところです。大学入試に出題される場合は,これで処理するのが無難ですが,「グループ」とみなすか「各メンバーたち」とみなすかは微妙です(個人の感情や行動はメンバーとみなすくらいしか言えません)。

現実の英語では,イギリス英語には上のルールがほぼ適用できる(投稿者は反対していますが)のに対し,アメリカ英語では上の1, 2 の場合とも単数扱いすることが多いと言えます。また,個々の名詞によっても多少クセのちがいがありそうです。

まあ,入試に出題すべきではないポイントでしょうね。

 

19. 文末が前置詞で終わる文

これも投稿者の意見を引用してみます。

A classic confusing rule is the one that states that one is supposed never to end a sentence with a preposition. While this is easy and appropriate to follow in most cases, for example by saying "Yesterday I visited the town to which she has just moved" instead of "…the town she has just moved to", it becomes troublesome when the verb structure includes a preposition that cannot be removed from it, as in "At work I am using a new computer with which my manager recently set me up", which cannot correctly be changed to "…I am using a new computer up with which my manager recently set me".

つまり,「文を前置詞で終えるのはよくない,と言われているが,そうするしかない場合もあって困ります」という,誤りの糾弾と言うよりはボヤキに近いですね。

「文を前置詞で終えるべきでない」というのも時々耳にはしますが,無視するしかありません。少なくとも会話文では to which の方が硬すぎるでしょう。

ただし,文末に置くことができない前置詞もあります。

around, beside, beyond, concerning, despite, down, during, except, near, inside, opposite, outside, regarding, round, since, up (デクラーク『現代英文法総論』による)

などです。これらは使うなら, around which のようにするしかありません。

 

20. stadium の複数は stadiums でなく stadia

いわゆる「外来複数」で,ギリシャ語・ラテン語などからの外来語はその言語の複数形を使い,~s を使わない,というのが本来ですが,だいぶゆるーいルールになっていて,複数は ~s になってしまっているものも多いです。stadia を使う方がペダンチックでしょう。BBC の注も,「スポーツ関係では stadiums を使っています」と言っています。

medium (単数) ―― media (複数) ラテン語

phenomenon (単数) ―― phenomena (複数) ギリシャ語

などは,使い分けられることもありますが,

focus ―― foci ラテン語

などはfoci より, focuses が多いでしょう。

datum ―― data ラテン語

にいたっては,datum がほとんど使われず,単複とも data が用いられるのがふつうです。

 

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イギリス人が文法的誤りだと考える20の例(1)

9月
2008
9
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イギリスの BBC News が less と fewer の誤用について取り上げていたことは,前にチョコッと触れましたが,そのフォローアップ記事が出ています。「わたしの気に入らない,最近よく見かける文法的誤り」という体の,読者から寄せられた声が20ほど載っているのですが,「それよく言われるよね」というものもあり,ちょっと意外なものもありで,なかなか興味深いです。投稿者はイギリス在住の人が多いですが,中にはドイツやスウェーデン在住の人も。言語的バックグラウンドはわかりませんが。

以下,かいつまむと,

1. have とすべきところを of にする

これは日本人はまずやらない間違いです。音声からことばを学んだ場合にしか起きない間違いだからです。

たいていの場合この間違いは could have … とか should have … などで, h の音が脱落して /kʊdəv/, /ʃʊdəv/となり,/əv/の部分がof と同じ発音になるために起きます。昔,Faulkner (だったかな?)の小説を読んでいると,登場人物のセリフが should of … と書かれていたのを読んだことがありますが,これもちょっと卑俗な英語をそのまま書写してた形になっています。

 

2. for nothing とすべきところを for free にする

えっ,いけなかったの,という感じです。どちらも「ただで」という意味です。イギリス系の辞書にも出ています。わたしとしては却下。

 

3. 12 pm という表現

正午は午前でも午後でもないという理屈。

pm(p.m., P.M., PM とも表記)は,ラテン語の post meridiem の略(post = after, meridiem = noon)で,am は ante meridiem (ante = before)の略です。12時は,noon そのものだから,beforeでもafterでもないというわけ。ごもっとも。

ごもっともだけど,まあいいんじゃないですか。ほかの時刻にあわせてるだけだし。 

 

4. 動詞 affect と effect の混乱

これはだいじ,かな。

名詞 effect は「効果・影響」。この意味に対応する動詞「影響を与える」は affect です。でも,effect は動詞にも使えて,その場合の意味は「~を引き起こす」という意味。投稿者が使っている例では,

☓ You affect a change in something.

☓ You are effected by something.

などは,それぞれ逆でなければなりません。

 

5. 頭字語(CD とか UFO とか NATO)の複数は,CD’s じゃなくて CDs

うーん,これはどっちでもいい,というのが大勢だと思うけど。Practical English Usage (Michael Swan)の日本語版だと,「略語の複数形の s の前に,ときには,省略符号の (’) を置くことがある。としています。MP’s または MPs; CD’s または CDs 」

「現代英文法講義」(安藤貞雄)では, 「-’s をつけるのが原則であるが,アポストロフィー(’s) をつけないのが最近の傾向」とあります。

 

6. me とすべきところを I にする

ネイティブでもこんな間違いするの?というレベル。

挙がっている例は,

☓ She said some very kind things about George and I.

大学入試の正誤問題で出る場合もこのパターンです。つまり,前置詞 + A and me とすべきなのに,me を I にして間違いを探させる問題。前置詞と離れているぶん気づきにくいわけです。

 

7. you, me にすべきところを yourself, myself にする

再帰代名詞の使える場所については,生成文法でこまかくルール化されていますし,伝統文法でも「主語と目的語が同じものを指す場合」と説明されているはずです。

He1 killed him2. He と him は別人。

He1 killed himself1. Heは自殺した。

yourself や myself で間違えるのは,日本人はしそうにないですね。

 

8. None は単数扱いにすべき

もともとは not + one だから,というのが理屈ですが,現代では,複数扱いも許されていますし,そちらが多いかもしれません。

 

9. different from, compared with とすべきところを to にする

アメリカではむしろ different than が結構多いですね。to を使うのはイギリス用法と辞書にありますが,from が無難なのは確かでしょう。

compared with ←→ to  はとくに過去分詞の後ろではどちらもよく使われています。本来は投稿者の言うとおりですが,もはや to も正用法になっていると,わたしは思います。(BBC は「withを原則とする」と言っています)ただし,「たとえる」の意味では,compare A to B がふつう。

 

10. they opened fire on us でなくて,they open-fired on us が正しい

これは投稿者によれば,軍事用語としては敵に対する射撃は2種類あって,うんぬん。辞書引いても出てこないのでググってみると,イギリスの軍事関係掲示板みたいなところで,この投稿自体が「ほんとかよ」というような議論になっていました。まあ却下しておきます。誤りだとしても,文法的誤りではなくて,語彙上の問題だし。

 

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高校生用の分厚い英文法参考書のはなし (10)

9月
2008
4
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今回はちょっと専門的なものを取り上げようかと思いましたが,あまり難しくてもそもそも載っていない場合があるので,「そこそこむずかしい」くらいにしておきます。

というわけで今回は,S + V + O + O (第4文型の受動態)のはなし。

 

第4文型 (S+V+O+O) の受動態

まずは復習。すっごい基本からでごめんなさい。

第4文型とは,ふつう「S が O に O をVする」という意味になる文型です。O は,名詞のなかま(名詞,代名詞など)であり,前に前置詞はつきません(つくと違う文型になります)。たとえば,次の二つは意味は基本的に同じですが(微妙に重点の置き方がちがうけど),文型は異なっています。

  • I gave him a book yesterday. (第4文型)
  • I gave a book to him yesterday. (第3文型)

そして,第4文型の場合,ひとつめの「~に」に当たる部分の目的語を間接目的語( I.O. = indirect object),ふたつめの「~を」に当たる部分の目的語を直接目的語( D.O. = direct object)といいます。

今度は,受け身のはなし。

受け身「~される,~られる」の文は次のように作られます。

つまり,受動態にするということは

  • 能動文の O が受動文の S に。 (O→ S)
  • 能動文の V が受動文では be + p.p.(過去分詞)に。 (V→ be p.p.)
  • 能動文の S は受動文では by ~ に。ただし,省略されることが多い。 (S→ by ~)
  • それ以外はそのまま。

に変える,ということです。基本ルールはこれだけ。

さて,本題の第4文型の受け身。

第4文型は O が2つあるわけですから,O → S の変化も2とおりある,つまり,2種類の受け身の文が作れるということになります。

問題は,

  1. 上の [DO を S に]型では,to が用いられることが多い
  2. 下の [IO を S に]型は,いつも作れるわけではない

ということです。toを用いる場合,第4文型の受け身というよりも,最初で述べた第4文型と同じ意味の第3文型(I gave him the book)を受け身にしたもの(He was given the book.)と考えられます。このへんに注意しながら,各参考書を見ていきましょう。

図は,クリックで拡大する(はず)。閉じるときは右下のCLOSE。

 

★ 総合英語Forest

総合英語Forest

総合英語Forest

まず,例によってできるだけ文法用語を使わずに説明しようとしていることに気づきます。「第4文型の動詞」ではなく,「目的語を2つ続ける動詞」としていますし,間接目的語は「相手」,直接目的語は「物や情報」と表現しています。これらの用語を知らずにこの部分を読む人には親切ですが,かえってわかりにくくなる場合もあります。専門用語の羅列には誰だって辟易へきえきしますが,専門用語は,きちんとした定義があるので誤解が少ない,長ったらしい説明を簡略化できるなど,それが使われるだけの理由があるものです。この程度なら覚えておく方があとあと楽ですよ。

上の問題点のうち,1のtoについては,toがつく方をふつうとし,toの後ろに人称代名詞が続く場合は省略できる,という書き方です。

問題点2の[IO を S に]型については,make, sing, find, cook などのbuy型動詞では「相手」を主語にした受動態の文を作ることはできない,としています。なぜなのかは書いてありませんが,書くとちょっとすごいことになってしまうからです。

でも,必要な情報はすべて載っています。文法用語を避けたことによって,わかりやすいと思うか,わかりにくいと思うかが意見の割れるところでしょう。

 

★ ロイヤル英文法―徹底例解

ロイヤル英文法

ロイヤル英文法

すさまじい量の記述です。文法用語も直接・間接目的語どころか,保留目的語,新情報―旧情報ということばまで導入しています。

[DO を S に]型と[IO を S に]型の両方できるもの,[DO を S に]型が多いもの,[IO を S に]型がふつうのもの,という3つのタイプに大きく分類して,そのそれぞれをこまかく再区分・説明しています。問題点2は詳しすぎるほど説明されています。

問題点1については,「一般に動詞と間接目的語の結びつきが強いので」と理由をあげたうえでtoなしでつかえるが,人称代名詞以外ではtoを入れるのがふつうだとしています。理由があげられていること以外は「Forest」と同じですが,その理由が次の[参考]で新情報―旧情報という概念を用いて,さらに詳しく述べられています。

ここを簡単にまとめておくと,

  • 英語では,新しい情報は古い情報よりも後ろに来ることが多い
  • 代名詞は前の名詞を指しているのだから旧情報である
  • ふつう,a がつく名詞は新情報,the や this がつく名詞は旧情報

この新情報―旧情報については,Forestでも別の箇所で言及されいてます。

 

★ 表現のための実践ロイヤル英文法

表現ロイヤル

表現ロイヤル

全体として,「ロイヤル―徹底例解」を多少簡略にまとめた感じ。

受動態の作り方としては「ロイヤル―徹底例解」が3つに分類していたのに対し,この「表現ロイヤル」では,[IO を S に]型がふつうのものを省いて2分類になっています。toのあるなしの説明も「徹底例解」と同じ。

でも,いちばん違うのは最初の部分の記述でしょう。この本以外に多い,どういう形の文が正しい文なのかという視点,どういう動詞ではどういう形をとるのかという視点ではなく,その形はどういう文脈で用いられるか,その形の表現は何を言いたい時に使われるのかという視点です。前者には,[DO を S に]型と[IO を S に]型は意味が同じであるという前提がありますが,後者では2つの型は意味の重点が異なるという機能的・談話構造的な観点があります。これがいちばんの特徴ですね。

 

★ 英文法解説

英文法解説(江川)

英文法解説(江川)

短いですが,まあ「Forest」と同じくらいの分量の記述でしょう。いちおう大ざっぱに理解している人なら,これくらいの記述でも重要な点は押さえられます。でも,他の本と比べると,説明が少なくて寂しげなのはいなめない。「具体的なものの授受を表さない」give についての言及はこれだけかな。新情報―旧情報のはなしは別の箇所にあります。

 

★ 英文法総覧

英文法総覧(安井)

英文法総覧(安井)

基本事項はあまりことばでは説明せず,例文を多めにしているのが特徴といえば特徴ですね。

でも最大の特徴は[研究]の部分です。ここでは *The book was given John by Mary. という文の不適格性を,統語論と情報構造論の両方から論じています。でもはしょりすぎでは?

「能動文の直接目的語が受動文の主語になってはいるが,間接目的語を飛び越えて,受動文の主語となっているから」「一種の規則違反」というのは,生成文法における「格フィルター」の理論を踏まえているのだと思われますが,これだけの説明ではわかりにくいでしょう。といって,ゼロから生成文法を説明するわけにもいきませんが。

 

★ 英文法詳解

英文法詳解(杉山)

英文法詳解(杉山)

説明そのものは,情報構造も出てこない伝統文法的記述に終始していますが,結構ていねいですね。英米差として取り上げている部分は,単純に英米でスパッと分かれているわけではないと思われます。この本らしいのは4や5の日本の高校生がやってしまう一見つまらないミスについて指摘していることでしょう。

 

 

この項目は,学問的な研究が比較的進んでいる部分です。これらを生かそうとしているのが,2つの「ロイヤル」と「総覧」でしょう。今回は特に2つの「ロイヤル」に感心しました。

でも,大学受験にでないことは知りたくもないという向きには,どの参考書だって同じようなものですけどね。

 

 

 

 

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by rickie | Posted in 高校生向け | No Comments »

less or fewer

9月
2008
1
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Language Log からのめっけもん。

イギリスのスーパーの宣伝で,実際にちょっとした話題になっているとか。スーパーはこの “10 items or less” という宣伝文句が「言語学的議論に巻き込まれるのを避けるため」, “up to 10 items” という文句に変えるそうです。

ニュースは, BBC News

 

もちろん,items は可算名詞なので,fewer が正しいわけですが,ここでおもしろいのはネイティブでもけっこう間違える,というよりそれほど不自然に感じるわけではない,ということでしょうか。キャプションには「わたしは英語専攻だったもので。」とありますから,英語にうるさくなければ気にしない表現,ということでもあります。

この「間違い」は時々見かける気がします。そして,可算なのに less を使うのは見かけますが,不可算なのに fewer を使うのは見かけないような気が。no less than + 可算名詞 も多いかな。

 

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