ぜんぜん気にしてない ( ONE POINT at a time 3)

= couldn’t + than のない比較級 (やや難)=

まず次の問題を考えてみてください。

例題1

 下線部と同じ意味になるものをひとつ選びなさい。(北里大学)

 On the issue of human rights, I couldn’t agree with you more.

(a) could never agree with you       (b) could partially agree with you
  (c) could totally agree with you      (d) couldn’t understand you

いったい「わたし」はあなたに賛成できると言っているのでしょうか,できないと言っているのでしょうか?直訳で,「もっとあなたに賛成することができなかった」と考えてしまうとわけがわからなくなります。 この直訳は誤りであり,直訳にもなっていません。

couldn’t agree more は「大賛成です」という意味の熟語で,だから答えは(c) というのが正解ですが,熟語だといってしまえば話はそこで終ってしまいます。うーん,なぜこんな意味になるんでしょうか。では,次の問題は?

例題2

次の対話の受け答えとして最も適切なものを選びなさい。(山梨大学)

 How are you? – (                            ).

  (ア) You don’t know how.  (イ) Couldn’t be better.
  (ウ) Tell me about it.      (エ) Nice to meet you, too.

これなら消去法でもできます。正解は(イ)。

理屈を考えてみましょう。

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今回の公式は,could の否定文+thanのない比較級 です。

ポイントは could が過去の話をしているのではなく,仮定法であること。仮定法ではcould + V(原形) や would + V(原形) が現在の意味で使われるのでしたね。だから,ここでも現在の話です。

比較級に than がないことから,比較の対象が省略されていることが分かります。そこでとりあえず適当に「これより」とでも補ってみると,例題1の couldn’t agree more は,「(どんな場合を仮に想定してみても)これ以上賛成なことはありえない」というのが正しい直訳で,これ以上賛成なことがありえないのだから「大賛成」になるわけです。

例題2も,「これ以上元気なことはありえない」ということになって,「(体調は)最高です。」になります。couldn’t + than のない比較級は事実上,肯定の意味の最上級になるということですね。いろいろ応用が可能ですが,よく使われるのは以下のものです。

  • couldn’t be better   最高だ
  • couldn’t be worse   最悪だ
  • couldn’t agree more  大賛成です
  • couldn’t care less    ぜんぜん気にしない

最後のは,less になっていますから,「これより気にする程度が低いものはありえない」→「ぜんぜん気にしない」になります。これらは,理屈で言うと難しいですが,でも山梨大の問題のようにごく日常的な表現です。

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