見る・見える・わかる ( ONE POINT at a time 2)

= 知覚動詞

前回の「状態動詞と動作動詞」にも出てきた知覚動詞を取り上げます。前回触れた点は以下のようなものでした。

『視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚の五つの知覚を示す動詞を知覚動詞と言いますが,実はこれには2種類あって,たとえば「見る」は,look at ~ と see の二つありますが,look at は有意志知覚,つまり「見ようと思ってみる」(意志を伴う)ですが,see は無意志知覚,つまり「見ようと思ったわけではないが見えてしまう」(意志を伴わない)という性質を持つ動詞です。有意志知覚は進行形にすることができるが,無意志知覚は進行形にできないのです。』

これに,He looks tired. 「彼は疲れているように見える」の look のような「S は C の様子をしている」型を加えると,こんな表ができます。

a_ilst093.gif
  有意志知覚 無意志知覚 様子
視覚 look at (見る) (can) see (Oが見える) look (Cに見える)
聴覚 listen to (聞く) (can) hear (Oが聞こえる) sound (Cに聞こえる)
嗅覚 smell (においをかぐ) (can) smell (Oのにおいを感じる) smell (Cなにおいがする)
味覚 taste (味わう) (can) taste (Oの味を感じる) taste (Cな味がする)
触覚 feel (触ってみる) (can) feel (Oを感じる) feel (Cな手触りがする)

この中では,feel が意味が広いので注意ですが,それ以外はなんてことはない,注意するのは視覚と聴覚だけですね。ほかは3つとも同じです。

● 無意志知覚では継続的に「見えている」「聞こえている」などの意味を表す場合,原則として進行形にできないので,そのかわりにしばしば can が使われます。

● 「様子」の動詞はふつう進行形にしませんが,lookは一時的なことであれば進行形にすることもあります。また,C が名詞の時は,like, of などを伴うことがよくあります。look like は有名ですね。Cが形容詞の時はlikeはつけませんよ。 The room smells of flowers. その部屋は花の匂いがしている

 

知覚動詞は,S+V+O+C の文型で使えることはよく知っていると思います。(もちろん,上の表の「様子」はS+V+C で使うので,以下の形はありません。)

see + O + V(原形)  OがVするのを見る    hear + O +V(原形)  OがVするのが聞こえる

see + O + Ving     OがVしているのを見る hear + O + Ving  OがVしているのが聞こえる

see + O + p.p.     Oがp.p.されるのを見る hear + O + p.p.  Oがp.p.されるのが聞こえる

(Ving は現在分詞, p.p. は過去分詞)

● これらの形で使われるのは,上記の有意志・無意志の知覚動詞以外では,notice, observe, perceive, watch などがあります。ただし taste は意味上,この形になりません(「何かが~しているのを味わう」ってことないですよね)し,smell は分詞はいいけど不定詞はダメ,look at は原形を使えるのはアメリカ英語のみ,といった制限もあります。

● 原形を使う場合と,現在分詞を使う場合の違いは,たとえば,

I saw her speak to Tom.  彼女がトムと話すのを見た。(話す場面を最初から最後まで見た)

I saw her speaking to Tom.  彼女がトムと話しているのを見た。(話す場面の一部を見かけた)

というように,行為の全体か一部かの違いになることが多いです。

● また,これを受け身にする時は,現在分詞はそのままですが,原形の時にはto + V(原形)に変わる,というのも入試では基本レベルですね。

She was seen to speak to Tom.  彼女はトムと話すところを目撃された。

She was seen speaking to Tom.  彼女はトムと話しているところを目撃された。

● 知覚動詞ではなくて原形の方が受け身になる場合はbe がつけられません。

 ☓ I saw Tom be spoken to by her.

 〇 I saw Tom spoken to by her.

 

最後に,次の2つの文を比べてください。

  • I saw the door open by itself.
  • I saw that the door opened by itself.

上の文は,「そのドアがひとりでに開くのを見た」,下は「そのドアはひとりでに開くことがわかった(見てとった)」となります。see O + V(原形) は文字どおり目で「OがVするのを見る」ことであるのに対し, see that S + V は目で見るというよりも,情報・知識として「SがVするのがわかる・理解する」の意味になります。同様のことが,hear + O + V(原形) 「OがVするのを(耳で)聞く・聞こえる」, hear that S + V 「SがVすると(いう話・噂・情報を)聞いて知っている・~だそうだ」となります。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。