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超・長文問題を考える -2

7月
2009
25
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今回は,超長文問題の出題傾向を大ざっぱに考えてみます。

なお,このシリーズで用いているデータは,入試問題データベース EXAM (JC教育研究所)に収録されているデータを独自に集計したものです。このデータペースは必ずしも全大学・全学部・全日程の全問題を収録しているわけではありません。よってそこから導き出されたデータも完全なものとは言えませんが,サンプル数はかなり大きく,特に偏りがあるわけでもなさそうなので,大きな意味での方向性は明らかになるだろうと思います。

 

超・長文問題を前回,「900語以上の長文読解問題」としましたので,それで,2000年~2009年(最新)を集計すると以下のようになります。[1]

 

年度 私立 国公立 うち国立後期 合計(a) 読解総問数 (b) 超長文占有率 (a/b)
2000 12 15 3 27 1509 1.79%
2001 12 18 4 30 1511 1.99%
2002 20 16 5 36 1276 2.82%
2003 29 24 7 53 1346 3.94%
2004 31 25 5 56 1336 4.19%
2005 27 23 6 50 1345 3.72%
2006 33 34 9 67 1318 5.08%
2007 49 35 16 84 1508 5.57%
2008 60 31 10 91 1529 5.95%
2009 36 23 5 59 1404 4.20%

 

morethan900
percentage-mt900

 

ざっと,傾向をまとめると,

  • 2000年には例外的な問題であったが,2008年まで私立・国公立とも,ほぼ着実な増加傾向にあった
  • もともと,超長文問題は,入試レベルが,MARCH またはそれに準じる大学以上のレベルの大学に集中する傾向があるので(私立の場合),それだけで考えると「超長文占有率」はさらに上がるはずで,無視できないタイプの問題になった
  • ところが,2009年入試では大きな下落が見られた

 

「入試問題の英文が長くなっている」というのは,かなり前から,おそらくこの二十年くらい言われてきたことでした。かつては,特に国公立には短い英文の和訳問題が多く出題されていましたが,短ければ文脈が取りにくく,文脈と切り離された形で和訳するということに,果たして英語力を調べる上で意味があるのか,という疑問や批判が起きるのも無理はありません。文章の断片ではなく,一つの文章の論理をできるだけまるごと提示する,というのはある意味で当然なあり方で,かつて言われた「入試英語の長文化」には十分根拠のあるものでした。[2]

毎年出版されている旺文社「全国大学入試問題正解」の巻頭の出題傾向分析は90年代を通じて,「長さは大半が600語(最初の頃は500語)以内」とあり[3] ,1000語以上のものは慶應・文やSFCくらいしかありませんでした。今世紀になって,その例外が例外の範囲を超えた,ということになります。

かつての「長文化」は理由があるものでした。しかし,「超長文化」にも根拠はあるのでしょうか。複雑な文構造をパズルを解くように知恵を絞って解釈するというあり方から,コンテンツの把握を重視した英語教育へ,という流れからすれば,「超長文化」は「長文化」の延長線上にあるものに過ぎないと考えることもできなくはないでしょう。でも,一方で「学力低下」を嘆いている大学が,片方で入試問題を難しくしているのであれば,どこか別の意図をかんぐりたくもなります。少子化のために大学は生き残り策を模索せざるをえず,そして「偏差値」は大学の「プレスティッジ」のひとつとされていますから,それを上げるために問題を難しくしているのでしょうか。

だとすると,2009年にこれが減少したのは,ひとまず歓迎すべきことなのかもしれません。大学間の競争が落ち着いたのか,現実離れした傾向に大学が気づきはじめたのか,理由はよくわかりませんが。

むろん,「超長文化」=難問化,というわけではありません。比較的読みやすい英文を大量に出題する,というあり方があってしかるべきでしょう。しかし現実は,英米の新聞や雑誌の論説をそのまま出題するという形の超長文が多く,とても高校3年生に読めたものではないという英文もしばしば見かけます。大学院入試の問題では?と思わせるようなものもあります。

 

シリーズ [超長文問題を考える] のもくじ

  1. 超・長文問題を考える -1
  2. 超・長文問題を考える -2

 

 


  1. 今回の集計はあくまでも1問の長文の長さ(語数)を基準にしている。生徒の側から見れば,1問ではなくその年の英語問題全体でどのくらいの長さ(語数)を読まされるかも重要なファクターであり,また,どのくらいの時間で読まされるのかも考慮した統計が必要になる。 [▲ 戻る]
  2. かつての「長文化」は,文法問題の比重が低下したことによる副次的効果の面もあった。 [▲ 戻る]
  3. 2009年でも75%程度が600語以内。ただし,会話文問題を含む。 [▲ 戻る]

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け) | No Comments »

超・長文問題を考える -1

7月
2009
21
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大学入試(英語)においての超・長文問題について考えてみたいと思います。

超・長文問題といっても,特に統一的な定義があるわけではありません。長文問題というからには,ふつうの長文問題だって,じゅうぶん長いわけです。

とりあえず単純に1つの長文が901語以上の英単語から成り立っている(設問・選択肢部分は除いて)問題を「超・長文問題」と呼ぶことにします。

 

今年(2009年)に「超・長文問題」を出題したのは以下の59の大学,学部です。

 

大学 学部学科 単語数
関西大学 総合情報 商 政策創造 文 901~1000
関西大学 外国語 経済 社会 法 901~1000
関西大学 総合情報 商 文 法 901~1000
関西大学 システム理工 化学生命工 環境都市工 1001~
関西大学 外国語 経済 社会 政策創造 901~1000
関西大学 センター利用中期・全学部日程 901~1000
関西大学 センター利用中期・全学部日程 901~1000
関西学院大学 経済 人間福祉 901~1000
慶應義塾大学 1001~
慶應義塾大学 1001~
慶應義塾大学 経済 1001~
慶應義塾大学 経済 1001~
慶應義塾大学 総合政策 1001~
慶應義塾大学 総合政策 1001~
慶應義塾大学 環境情報 1001~
慶應義塾大学 環境情報 1001~
甲南大学 S日程 901~1000
甲南大学 B・B日程C方式(センターPLUS) 1001~
成城大学 文芸 901~1000
中央大学 1001~
中央大学 総合政策 1001~
明治大学 経営 国際日本 商 情報コミュニケーション 政治経済 農 文 法 理工 1001~
明治大学 理工 1001~
明治大学 国際日本 1001~
明治大学 901~1000
明治大学 1001~
立教大学 901~1000
立教大学 901~1000
立教大学 コミュニティ福祉 観光 経営 現代心理(2/12) 901~1000
立教大学 コミュニティ福祉 観光 経済(2/13) 901~1000
立教大学 コミュニティ福祉 現代心理 社会(2/14) 1001~
早稲田大学 国際教養 1001~
早稲田大学 国際教養 1001~
早稲田大学 1001~
早稲田大学 1001~
早稲田大学 政治経済 901~1000
大分大学 医(前期) 1001~
岐阜大学 教育 1001~
群馬大学 医(前期) 1001~
埼玉大学 教育 教養 経済-昼(前期) 1001~
千葉大学 法経 1001~
千葉大学 法経 1001~
東京大学 前期 901~1000
東京医科歯科大学 医 歯(前期) 1001~
奈良女子大学 901~1000
浜松医科大学 医(前期) 901~1000
福井大学 教育地域科(前期) 901~1000
福井大学 医(前期) 901~1000
福井県立大学 海洋生物資源 看護福祉 経済 生物資源(前期) 1001~
宮崎大学 教育文化 901~1000
宮崎公立大学 人文(前期) 1001~
横浜国立大学 教育人間科(前期) 901~1000
横浜国立大学 教育人間科(前期) 1001~
横浜市立大学 医(前期) 1001~
横浜市立大学 医(前期) 1001~
和歌山大学 システム工 観光 教育 経済(前期) 1001~
国際教養大学 国際教養B日程 1001~
国立看護大学校 看護 第1次 1001~
国立看護大学校 看護 第1次 1001~

 

ちなみに,条件をすこしゆるめて,801語以上とすると,以下の大学・学部が上に加わります。

 

関西大学 (政策創造・文・システム理工・化学生命工・環境都市工),関西大学 (総合情報・商・政策創造・文),関西大学 (外国語・経済・社会・法),関西大学 (総合情報・商・文・法),関西大学 (システム理工・化学生命工・環境都市工),関西大学 (外国語・経済・社会・政策創造),関西大学 (センター利用中期・全学部日程),関西大学 (2/8,センター利用中期・全学部日程),関西学院大学 (商・人間福祉・文・法(F方式)),関西学院大学 (総合政策),北里大学 (獣医),慶應義塾大学 (医),甲南大学 (知能情報・理工),甲南大学 (B日程C方式(センターPLUS)),上智大学 (外国語・総合人間科・法),上智大学 (外国語・総合人間科・文),中央大学 (経済),東京理科大学 (薬),同志社大学 (全学部日程(文系)),同志社大学 (経済・文),同志社大学 (社会・理工),日本大学 (理工),法政大学 (GIS(グローバル教養)),法政大学 (現代福祉・経済・社会),明治大学 (商),名城大学 (人間),立教大学 (全学部日程),立教大学 (異文化コミュニケーション・経済・法),立命館大学 (国際インス(国際関係)・国際関係),早稲田大学 (政治経済),大分大学 (医(前期)),大分大学 (医(前期)),岐阜大学 (医(後期)),九州大学 (経済(後期)),群馬大学 (教育(前期)),埼玉大学 (教育・教養・経済-昼(前期)),埼玉大学 (工・理(後期)),札幌医科大学 (医(前期)),滋賀大学 (経済-昼主(後期)),静岡県立大学 (国際関係(前期)),下関市立大学 (経済(中期)),下関市立大学 (経済(中期)),都留文科大学 (文(中期)),首都大学東京 (前期),名古屋工業大学 (工1部・工2部(前期)),名古屋工業大学 (工1部(後期)),名古屋市立大学 (薬(中期)),奈良県立医科大学 (医(前期)),奈良女子大学 (生活環境・文・理(前期)),宮崎大学 (教育文化・農(前期)),琉球大学 (前期),国際教養大学 (国際教養(A日程))

 

シリーズ [超長文問題を考える] のもくじ

  1. 超・長文問題を考える -1
  2. 超・長文問題を考える -2

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け) | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <3>

6月
2009
16
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前回は英語の新聞・雑誌からの出題を扱いましたが,3回目の今回は,英語の書籍から大学入試問題に使われているものを取り上げます。

そもそも書籍に限らず,大学入試に使える英文はほんとうはかなり限られています。大学側が問題に出したい「ポイント」を含んでいなければなりませんが,といって専門的すぎる内容のものは使えません。また,受験生の語彙はどんな優秀な生徒でも現実の英語で使われる語彙に比べればごくわずかでしかなく,注をつけるにしても何十もの中で問題用紙を埋め尽くすわけにもいきません。そして量的にも他の問題や解答時間との兼ね合いで全文が掲載できないのがふつうです。ポイント,内容,量,語彙の難度などを勘案した上で出題文を選択するわけですが,そんなおあつらえ向きなものがごろごろころがっているはずものなく,したがっていきおい,

  1. 原文を大幅に改変(あちこちカットする,語彙を入れ替えるなど)して出題する
  2. 他大学で過去に出題された英文とバッティングしてしまう(いわゆる頻出長文)
  3. 他大学で過去に出題された英文を意図的に使う(いわゆる過去問再利用)

2 の頻出長文は,10年以上前に頻出長文を集めた問題集などがあちこちで出版され流行しました。そのせいか,当時取り上げられた頻出長文が今出題されることはかなり減りました。

3 の過去問再利用は,全体としては増えているようなのですが,英語に限ってはそれほど多くないのかもしれません(「入試過去問題活用宣言」のページを参照)。

というわけで,現在の主流は 1 の原文改変です。どのように改変されるのかについては,そのうち取り上げてみたいと思っています。

 

新たに入試に使える英文を探して,それに多少手を入れて出題するとしても,出題者が目を通せる英文の量も限られていて,出題に偏りが出たり,出題者に人気の英文なんてものが自然に見えてくることもあります。

 

あまり専門的なものは使えない,と先ほど言いましたが,これには例外があって,医学部・薬学部では比較的医学,薬学的な内容の英文が使われる傾向があります。一般には,たとえば文学部で自然科学,理工学部で文学論を出題することだってあるわけなのですが,医学部・薬学部では,さすがにあまりに専門に深入りしたものは出せないにしても,その学問に関係した内容(生物学の話題,医療倫理,病気や患者についての一般的話題など)を出すことにためらいはないようです。それにつづくのは,教育学部,看護学部と言ったところでしょうか。

 

「中堅大学」という呼び方が受験界には存在していて,何のことはない,偏差値から見た難易度がMARCH(ないしMARCH相当の大学)よりも下の大学のことです。なんだかなあ,という呼び名ですが,まあそれを使っておくと,「中堅大学」では大学生や一般向けのリーディング用のテキストから出題している場合がままあります。2008年では,桜美林,国士舘,関東学院,中部大学などに見られます。

別にいけないこと,非難されるようなことではありません。上で述べた入試問題に使える条件の厳しさを考えれば,ノン・ネイティブの読解力養成用に書かれた(つまり,もともとその条件を考慮した上で書かれた)英文を集めたテキストは,ある意味でうってつけなわけですが,「中堅大学」より上のレベルの大学ではあまり使われない傾向があります(2008年では広島大学くらいか?)。

  • Timed Readings (Glencoe/McGraw-Hill)
  • The Speed Reading Book (BBC)
  • Weaving it Together (Heinle & Heinle)
  • Reading Advantage (Heinle)
  • Reading Power (Longman)

などのシリーズが使われています。シリーズもの以外の単発ものや,大学教養の語学の授業で使われる南雲堂,成美堂などのテキストも見当たります。

 

次回は,どんな作家が使われているかを見てみます。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <2>

6月
2009
9
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大学入試で使われる英文の出典が明記されていても,筆者名やタイトルだけという場合もあって,その先を特定するのは面倒です。特に最近は,新聞・雑誌はネット上にも同じものがあったりするので分類しにくいのですが,一応以下のようになります。(以下のデータはすべて2008年度入試)

本 (推定) 234
新聞 65
雑誌 70
その他のメディア 18

 

2008年度(昨年度)の入試英文のうち,長文で出典が表示されているのが408題(26.7%)ですが,重複分を除いた実数では397題で,書籍を元にしていると思われるのが全体の60%,ネットなどのメディアが5%,残りが新聞・雑誌で,この二つはほぼ同じくらいの比率になります。

 

やはり書籍が多いのですが,本については次回に回すことにして,今回は新聞・雑誌を見てみます。

 おもな新聞 (数字は,出題数)

International Herald Tribune 4
The Daily Yomiuri (Web版を含む) 16
The Guardian (Weeklyを含む) 3
The Japan Times 10
The Japan Times Weekly 4
The New York Times 6
The Times (Sunday版・Web版を含む) 5
USA Today 2
週刊ST (Web版を含む) 7

新聞でいちばん多いのが, The Daily Yomiuri (16) ,それにつづくのが The Japan Times (Weeklyを含めると14),次いで 週刊ST で,やはり日本の英字新聞が上位に来ています。大学入試の長文では原文を一部書き換えることが当たり前のように行われています。英米メディアの記事を出題する場合,原文と照らし合わせてみるとズタズタになっていることも少なくありません。日本で発行された,日本について日本人が書いた英字新聞ならば,書き換え箇所が少なくてすむのかもしれません。

 

出題された記事の発行月を見てみると,いちばん遅くても10月です。大学入試は11月前にはだいたいできあがっている,と推測できます。使われているのは,前年の3月~8月の記事が中心,ということになるでしょう。このグラフに載せてないのは,月日まで公開していないデータです。2006年の記事とだけ書いてあるものが2題,2007年が4題あります。

 

 

おもな雑誌 (数字は,出題数)

Newsweek (Web版を含む) 10
Reader’s Digest 3
Scientific American: Mind (Web版を含む) 3
The Economist 4
The New Yorker 2
Time (Web版を含む) 14

雑誌は Time と Newsweek が飛び抜けています。まあ,誰もが予想することですから,意外性はありません。出題されている雑誌も,左にあげたもの以外多岐にわたっていて,新聞よりもばらつきが大きくなっていますが,これも当然と言えるでしょう。

 

発行月も新聞よりばらついています。新聞と同様,前年の3月の数ヶ月がピーク(雑誌の実際の発行日は,たとえば10月号は9月に出るといったように早くなる)ですが,それ以前のものもけっこう多いようです。出題者がふつうに雑誌を読んでいて,「あっ,これ使えるな」と思ってストックしておいたものでしょう。それに対し,前年3月以降の記事は出題委員になってから問題に使える記事を探したものなのかもしれません。

 

 

その他 (数字は,出題数)

BBC News 4
VOA (Special Englishを含む) 4

「その他」のものとしてはネットが多いのが特徴で,左のBBC とVOAはいずれも英米の放送局ですが,どちらも英語学習者用の,単語の難易度を比較的押さえたニュース記事を配信するページも持っています。

ネット記事からの出題は今後も増えていくでしょう。すでに英語版Wikipediaからの出題もあります。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <1>

6月
2009
4
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ここ数年,大学入試で使われる英文に出典が明記されているケースが増えています。

 

すべての大学・学部のすべての問題を集められるわけではないし,どんな問題を長文問題とみなすかとか,そもそもデータを集計しにくいのですが,大ざっぱなデータだけでも趨勢はわかります。たとえば2008年の全国主要大学の英語入試のうち,長文問題は1529題で,そのうち408題(≒26.2%)に何らかの形で出典が示されています。[1]

5年前の2003年では,英文総数約1350題に対し,出典の明示は約80題(≒6%)。2005年から2008年までのデータは以下のようになります。[2]

 

年度 英文数 出典明示数 割合
2005 1345 57 4.2%
2006 1318 178 13.5%
2007 1508 244 16.2%
2008 1529 408 26.7%

 

比率から言えば,まだまだ明示している問題は少ないと言っていいでしょうが,目に見えて増えているのは間違いのないところです。おそらくこの傾向はしばらく続くと思われます。

英文総数のうち75%が私立ですが,出典明示数は私立―国公立で大差ありません。ということは国公立の明示比率が高いことになります。といっても,センターや東大のように過去一度も出典を明示したことがないところもあれば,上智のようにほぼすべての長文に出典が記載されている大学もあります。

表示の仕方もさまざまです。タイトルや筆者はもちろんページまで記載している大学もあれば,タイトルのみ,筆者のみ(立命館のように)というところもあります。タイトルが問題のヒントになってしまう場合や,タイトルを答えさせる問題もあるわけですから,こまかく記載すればよいというものでもありません。

 

こうした傾向は,むろん近年の著作権・知的財産権重視の風潮を背景にしたものでしょう。入試問題にも著作権保護がなされるべきだという考えは,現代文・現代国語では当たり前になっています。著作権料を払っていない予備校が訴訟の対象となる事例もあります。問題集や予備校の場合は,いわゆる「二次利用」なので,大学が出題する問題文の著作権とは扱いがやや異なるようですし,まして英文の場合,どのような扱いがされているのかよくわかりません。二次利用である「入試問題正解」(通称『電話帳』)などでは,著作権料の支払いが行われる場合もあるらしいですし,著作権に対する配慮から問題文を掲載しなかったり,というケースもあります。特に国内に版権がある「英字新聞」からの出題に多く見られます。

 

このシリーズで採り上げたいのは,著作権の問題ではなく,入試はどこから採られているのかということです。以下で,より具体的に考えてみたいと思います。

 

 

 


  1. データはEXAM 2000~2008(JC教育研究所)にもとづく分析。以下同じ。最新の2009年のデータは未集計。 [▲ 戻る]
  2. 集計方法は,各年度の<長文読解力>問題の問題文中に「出典」「Adapted from」が含まれているか,で調査した。したがって完全ではない。 [▲ 戻る]

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

「同じくらい~」(ONE POINT at a time : Apr. 05)

4月
2009
5
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= いろいろな as (おまけ) 基本レベル = important

as ~ as … 「・・・と同じくらい~」。

誰でも知っている。以前にも取り上げたことがあるような気がする。でも,最近かなり英語のできる生徒の質問を受けて,「あっ,そういう誤解をしていたんだ」と思い知らされることがあったので,繰り返しになるかもしれないけれど,取り上げることにする。

 

as ~ as …  というのは中学校で習うレベルのポイント。誰でも知っているのに,でも案外まちがえる。なぜか。

おそらくas ~ as … 全体をワンセットの公式として覚えているが,全体で覚えているためにかえって前後とのつながりを見失ってしまうのだと思う。同じワンセットの公式でも so ~ that はあまり間違えない。so はこれ以外にもよく出てくる副詞だし,that も接続詞としてはポピュラーなのでそれぞれの働きが見えやすい。

生徒の疑問が出たのは,こんな感じの文だ。

 

Those who only care about the speed of reading have as little idea of what reading is all about as participants in a speed-eating contest can tell what the food tastes like.

「読書スピードしか気にしない人が読書の何たるかがわかっていないのは,早食い競争の参加者がその食べ物の味がどんなものなのかがわからないのと同様である。」

 

結論から先に言うと,as ~ as … において重要なのは,2つの as そのものではなく, 2つの as にはさまれた部分がどのような働きをしているのかだ。

上の文では,Those who … have little idea of ~ 「・・・の人々は~がほとんどわかっていない」が中心部で,「どのくらいわかっていないかというと・・・・・と同じくらいだ」と言いたいわけだ。二つの as にはさまれた little idea が have の目的語になっている。それを as ~ as … で囲うことによって,「・・・と同じくらい」と表現している。as ~ as … に気を取られて,中心が little idea が目的語であることを見失ってはいけない。

何度か触れたことだが,as ~ as … の1つめの as は「同じくらい」という意味の副詞,2つめの as は「・・・と」に当たる接続詞(時に関係代名詞)だ。「・・・と」の部分が不要なら(例:「彼も同じくらいの年齢だ」),2つめの as 以下を省略して,He is as tall. と言える。

中心部から逆に組み上げていくと,

He is tall. 「彼は背が高い」 → He is as tall. 「彼は同じくらい背が高い」 → He is as tall as she. 「彼は彼女と同じくらい背が高い」

となる。

 

as ~ as … 構文となんとなく似ていると思ってしまうかもしれない構文に,As ….. , so ~ 「・・・と同じように,~」という構文があるが,ぜんぜん違うものだ。この as は接続詞なので,後ろには S + V の完全文が来る。「同じくらい」という副詞の as は直後に必ず 形容詞・副詞(相当語句)が来る。

 

誤解は,文中の働きを考えずに,ただなんとなく日本語訳だけを覚えていることから生じる。「と同じように」と「同じくらい」は,日本語でもぜんぜん違うのだけれど,「同じ」に気を取られるとなんか似てるのかな,と思ってしまう。品詞に気をつける習慣をつけたい。

 

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by rickie | Posted in 英語ワンポイント | No Comments »

意味がたくさんありすぎる! その2 (ONE POINT at a time : Mar. 24)

3月
2009
24
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= いろいろな as (その2)=

前回につづいて,as のはなし。前回は総論と接続詞のasで終わりました。

ということは,関係代名詞,前置詞,副詞 が残っています。

 

関係代名詞の as

関係代名詞の as は大きく分けて2つに別れますが,2つめはあまり品詞を気にしなくてもいいもの,1つめはそこそこだいじなものです。繰り返しますが,関係代名詞かどうかの識別は,《関係代名詞+不完全文》になっているかどうかです。つまり,as の後ろに動詞があって as節を作っているのに SかOかCかのどれかが欠けていれば,そのasは関係代名詞[1] だということです。

 

1. 「・・・ことだが」 (主節に対するコメント付加)important

as is often the case with ~ 「~にはよくあることだが」 という表現はよく入試問題で使われる熟語です。これをすでに知っていれば話はかんたん。この as が関係代名詞です。as is well known 「よく知られていることだが」, as was expected 「予想されていたことだが」などのように, as + 不完全文(上の3つではすべて主語が欠けている。つまり as が主語の働きをしている。)になっています。訳は「・・・ことだが」という形で問題に出てくることが多いですが,「・・・ように」と訳したって何の問題もありません。

As was expected, he has turned out to be a skillful surgeon. 予想されていたことだが(予想どおり),彼は有能な外科医になった。

この例文のように,関係代名詞は主節(ここでは he has 以下)の中に含まれず,主節の前や後ろに置かれ,多くの場合カンマで区切られています。

関係代名詞はふつう先行詞があるとされていますが,この場合の先行詞は何でしょうか?ふつう,「この種の関係代名詞の as の先行詞は,主節の意味内容である」ということになっています。つまりこの as はwas expected の主語の働きなのですが,じゃあ「何が予想されていたのか」というと,「彼が有能な外科医になること」が予想されていたわけですから,その「彼が有能な外科医になること」=主節の内容ということになります。わかりにくいですか?当然です。たいして重要なことではありません(こういうのを出題する大学もあるのですが,それは問題が悪い!)。理解してほしいのは,この as 節は主節にコメントを付け加えるためのものだ,ということだけです。「彼は有能な外科医になったよね,まあそれって予想はされていたことだけどさ。」

 

2. 「・・・と」「・・・ような」 (the same ~ as, such ~ as, as ~ as )

the same A as …. 「….と同じA」  such A as …. 「….のようなA」

as ~ as ….  「….と同じくらい~」 の as を関係代名詞と呼ぶことがあります。as の後ろが不完全文の場合です。以上,終わり。((これらの as はもともとは接続詞(as ~ as や the same ~ as の場合)だったり,前置詞だったりします。後ろに動詞があるのに不完全文だと,関係代名詞としか呼びようがないのでそう呼んでいるということです。でもそれは,品詞分類するとどうなるか,という問題であって,意味を理解しておけばいいだけです。))

 

前置詞の as

後ろに動詞がなく, as + 名詞 になっている時は前置詞の as で,ほとんどの場合 「~として」と訳します。他の as との識別さえつけば,いちばん簡単です。

 

副詞の as

as + 形容詞 or 副詞 がセットになっていれば,副詞の as です。意味は「同じくらい~」。 as ~ as … 構文のひとつめの as がこれです。ふたつ目の as 以下は場合によっては省略可能です。

You know he is 185 cm, but she is as tall. 「彼女も同じくらいの身長だよ。」

 

 

問題 1

次の文の as と同じ用法のものをイ~ホから一つ選べ。(獨協大)
Do in Rome as the Romans do.
イ. I found the same watch as he had often shown me.
ロ. As is often the case with him, he is absent today.
ハ. She told us stories, as we walked along.
ニ. The girl’s father allowed her to do as she liked.
ホ. This is the English language as it is spoken in London.

← 【 答 1 】

 

問題 2

下線部(7)と同じ用法の’as’を次の(イ)~(ニ)の中から1つ選び,その記号を解答欄にマークしなさい。(学習院)

Although Rodin’s works were criticized when he first began working, (7)as time went on French people began to like his statues very much.
(イ)  As she had been up since 3 am, she was very tired.
(ロ)  As the sun rose, the fog gradually disappeared.
(ハ)  I am returning your letter as requested.
(ニ)  We were sitting, as I remember, in an Italian restaurant.

← 【 答 2 】

 

問題 3

下線部(ア)と(イ)のそれぞれの"as"と同じ用法の"as"を含む文を1~5の中から1つずつ選びなさい。 (慶應大・理工 改題)

The term "speculation" has acquired a *pejorative meaning among some scientists. Describing someone’s ideas (ア)as "mere speculation" is often considered insulting.

*pejorative:軽蔑的な

———————————————————

The most basic questions about the human mind ― How do we recognize faces? Why do we cry? Why do we laugh? Why do we dream? Why do we enjoy music and art? ― remain unanswered, (イ)as does the really big question: What is consciousness?

 

  1. She is looking for a man who accepts her as she is.
  2. We had completely misjudged the situation, as we later discovered.
  3. Try as she would, she could never bring back to mind a word of what he had said.
  4. We regard him as the best doctor here.
  5. I can speak English as well.

← 【 答 3 】

 


  1. 「関係代名詞」ということばについて: 「関係代名詞」を定義すると代名詞でありながら,「関係」させる働きも持つもの,ということです。「代名詞」は,文中で必ず主語か目的語(前置詞の目的語も含む)か補語になるという性質を持ちます。また「関係させる」というのはその部分だけで独立した文にはなっておらず,前や後ろとつながっている,ということです。かんたんな 例を挙げて見ましょう。 
    The book that I read yesterday is "Kokoro." 「私が昨日読んだ本は『こころ』です。 」
    The people who didn’t go there yesterday missed a fantastic experience.  「昨日あそこにいかなかった人は,すばらしい経験をのがしてしまったことになる。」
    という文において考えると,that I read yesterday やwho didn’t go there yesterday だけでは文になっていません。前のthe bookと関係づけられています。しかも,that 自体はその節の動詞readの目的語にもなっています。そして,that 自体がreadの目的語なのだから,thatの後ろでは目的語が欠けている,つまり不完全文になっているわけです。
    目的語などになる(つまり名詞・代名詞の働きを持つ)+前後と関係させる働きを持つ=関係代名詞 なわけです。 [▲ 戻る]

 

 

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意味がたくさんありすぎる! (ONE POINT at a time : Mar. 19)

3月
2009
19
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= いろいろな as (その1)=

今回は,標準的高校生レベルです。つまり,あんまりむずかしくない(ハズ)。

いろんなところで見かける as ですが,いちばん基本レベルとしては,その as の品詞は何かを見分けられるようにしてください。主なものは,1. 従位接続詞 2. 前置詞 3. 関係代名詞 4. 副詞 の4つです。1 と 3 は,その中でさらにいくつかに分類できますが,その前にこの4つのどれなのかを指摘できるようにすることが先決です。意味から考えるのではなく,どのように前後とつながっているかで品詞を判断します。

  1. 従位接続詞の as ― 後ろには, S + V の完全な文が来ます。
  2. 関係代名詞の as ― 後ろには不完全な文が来ます。
  3. 前置詞の as ― 後ろには,名詞が来ます。
  4. 副詞の as ― 後ろには,形容詞か副詞が来ます。

そして,それぞれの意味は,

A. 従位接続詞のばあい

  1. 「・・・ので」 (理由)
  2. 「・・・時,・・・すると,・・・しながら」 (時・同時性)
  3. 「・・・ように,・・・と同じように」 (様態)
  4. 「・・・するにつれて」 (比例)
  5. 「・・・と」 (as ~ as の後ろのas)
  6. 「・・・けれども」 (譲歩)
  7. 「・・・限りでの」(名詞の限定)

B. 関係代名詞のばあい

  1. 「・・・ことだが」 (主節に対するコメント追加)
  2. 「・・・と」(the same ~ as) 「・・・ような」 (such ~ as)

C. 前置詞のばあい

  • 「・・・として」

D. 副詞のばあい

  • 「同じくらい・・・」

 

接続詞の as か関係代名詞の as か

1 従位接続詞(後ろは完全文)と 2 関係代名詞(後ろは不完全文)が区別しにくいかもしれません。

完全文とは,SとかVとかOとかCとか,必要なものは全部そろっている文,不完全文とはSかOかCのどれかが欠けている文です。たとえば,as he knows everything about it ならば,as のうしろはS(=he), V(=knows), O(=everything) がすべてそろっていて完全文,as is known ならば,as の後ろは V(=is known) だけしかないので,Sが欠けている不完全文ということになります。

また,完全文なのか不完全文なのか判別しにくい場合があって,それは as の後ろには S + V はあるのだけれど,O (つまり,「~を」の部分)が欠けているのかいないのかわかりにくい時です。Oが必要な動詞を他動詞,不要な動詞を自動詞と呼ぶことは知っていると思いますが,他動詞なのにOがなければ「欠けている」と判断することになります。つまり,その動詞が自動詞か他動詞か知らないと判別できないわけです。たとえば,as you know という場合はyou knowは完全文でしょうか,不完全文でしょうか。じつはこれはちょっと微妙で,まあどっちでもいいでしょう。意味も「あなたも知っているように」と「あなたもご存知のことだが」とではたいして違いません。

 

接続詞の as の意味の識別

as + 完全文 ならば,as は従位接続詞(whenとかifとかbecauseとかと同じタイプの接続詞)です。でも,意味がいっぱいあるんですよね。慣れないうちは,読みながら片っ端から意味を当てはめて,どれがいちばんスッキリ読めるかを考えてください。なかなか苦労するはずですが,慣れてくるとイッパツで決められるようになります。そのセンスを養うのがだいじです。

逆に書く時には,as をあまり使わない方が安全かもしれません。いろんな意味があるので,誤解されやすいからです。

1. 「・・・ので」(理由を表す)

理由を表す点では,同じく従位接続詞である because や since と似ています。ただし,

  • やや固い表現になり,その点で他の2つとは異なる
  • 理由は理由でも,聞き手・読み手も知っている理由を表し,その点で because とは異なる

の2点が注意です。「聞き手・読み手も知っている」(旧情報といいます)理由というのは,たとえば As it rained yesterday, と言うと「昨日は雨だったので」という意味ですが,気持ち的には「ほら,きのう雨だったでしょ,だから・・・」を少し固くした感じになるということです。「エジプトの砂漠では昨日5年ぶりに雨が降ったために」のような,知らない人に教えてあげる感じの重たい理由だと because が必要です。

英語では,旧情報は文の前の方,新情報は文の後ろの方に置く傾向があります。理由の as は旧情報なので,As … が文頭に来ることが多くなります。でも,後ろに来ることもあるのですが。

2. 「・・・時,・・・すると,・・・しながら」 (時・同時性を表す)

when や while に近いのですが,

  • けっこう幅広くばくぜんとした時を表せる
  • 主節と同時に行われたことを示す時に使われがちなので「・・・と」「・・・ながら」という訳がピッタリすることがある

というあたりが特徴です。主節と同時のことを表すので,「~してから,・・・した」というように時間にズレがある時には使いません(when なら使える場合もある)。

また,この as の後ろに 主語+be動詞が来る時,その主語が主節の主語と同じなら,主語+be動詞を省略することがあります。 as he was a child 「子どもの頃」は,as a child となります。

3. 「・・・ように,・・・と同じように」 (様態を表す)

主節の内容と as 節の内容の間には,何か類似関係,並行関係,比喩関係が存在していることを示します。主節とas節の内容が似ていたり,たとえになっていたりしたら,この意味ではないかと疑います。

Teachers sometimes make mistakes as students often do . 「学生がよく間違えをするのと同じように,教師だって時々間違えるのだ」

この場合,「教師が時々間違える」と「学生はしばしば間違える」が似ている関係になります。これをもっとはっきり述べるのが,

Just as ….. ,  so ~. 「・・・とちょうど同じように,~」(・・・と~はどちらもS+Vの完全文。この場合のsoは「そのように」という意味だが,訳さなくていい)

という公式です。

「まるで~のように」 as if ~ という表現の中の as も,もともとこの意味から来ています。

4. 「・・・するにつれて」 (比例関係を表す)

as の後ろが x, 主節が y とすると,y = f(x) つまり,x が変化するにつれてy も変化していくことを示します。当然 x の部分には,変化の表現,移行の表現,比較級を用いた表現などが来ます。

As he grew older, he became more and more obstinate. 「彼は年をとるにつれ,だんだん頑固になっていった」

grew も became も変化だし,比較級も使われていて,この as の典型的用法です。比較的見破りやすい as です。

5. as ~ as … 構文「・・・と同じくらい~」の後ろの as

前の as はあとで出てくる副詞の as です。 後ろの方は,「・・・と同じくらい」の中の「・・・と」の部分に当たります。as ~ as … ですから,これも見破りやすいでしょう。

この as も接続詞なのですが,後ろの文では省略が起きやすいので,その点では他の接続詞のasとは違っています。She is as tall as he. というのは,長く書くと She is as tall as he is. と言ってもいいわけです(*She is as tall as he is tall. とは言いません)。

6. 「・・・けれども」 (譲歩を表す)

多くの場合,S+V+C の文で使うのですが,語順に特徴があって,

     C as S + V   「S+V+C なのだけれど」

という形に必ずなります。

Kind as he was, there was something strange with him. 「彼は優しいことは優しいのだが,どこか変なところがある人だ」

Kind as he was  =  Though he was kind ということになります。

C のところに名詞が来る時は,無冠詞名詞(a や the がつかない名詞)にします。

King as he was = Though he was a king  というわけです。

S + V + C 以外で使う場合もあります。

Much as S + V  =  Though S + V

Try as S may(will)  「(どんなに)努力しても」

などは,熟語と考えてしまっていいでしょう。

また,文頭にもうひとつ as を置いて,As kind as he was のようにすることもあります。意味は同じです。

7. 「・・・限りでの+(名詞)」「・・・ような+(名詞)」「・・・+(名詞)」(名詞を限定する)

たとえば, the earth as we know it 「わたしたちの知る限りでの地球」「わたしたちの知っている地球」というような使い方で,直前の名詞にかかるという点で他とはかなり違っています。名詞にかかるので,まるで関係代名詞のような働きです。事実,「わたしたちの知っている地球」というのは the earth that we know とほとんど同じことです。でも関係代名詞なら後ろは不完全文,接続詞なら完全文のはずで,ここは we know it はitがあるので完全文です。

(つづく)

 

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ガンへの道をスパスパと (ONE POINT at a time : Mar. 12)

3月
2009
12
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= 動詞 + one’s way =

今回のポイントは単純で,「熟語です」のひとことで片づけてもいいのだけれど,「生産性がある」熟語,つまり話し手・筆者が自分でそのパターンを使って新しい熟語を作り出すこともできるような熟語です。

動詞 + one’s way + 方向を表す副詞句 「Vして,・・・へと進む,向かう」

これだけ。

このタイプでいちばん無色に近いのが,

make one’s way to[toward] ~ 「~へ進む」

という熟語です。

I managed to make my way to the counter. 「なんとかカウンターのところまで進んだ。」

さらに,この熟語の make のところを他の動詞に変えると「Vして[しながら]進む」というように,「進む」という意味を保ちつつ,ニュアンスが少し変わる熟語を作り出せます。たとえば,push one’s way だと「(人を)押し分けながら進む」, grope (手探りする)を使えば, grope one’s way 「手探りで進む」となります。

COBUILD 英英辞典での説明は,こんなかんじです。

You use way in expressions such as push your way, work your way, or eat your way, followed by a prepositional phrase or adverb, in order to indicate movement, progress, or force as well as the action described by the verb.

「push your way, work your way, eat your way のような表現と,それにつづいて前置詞句や副詞を置けば,その動詞で表される行動とともに,運動,進行,無理やりの前進などを示すために使うことができる」

自分で造語することも可能なほどいろいろな動詞と組み合わせることができます。「進む」を出世・成功などの比喩的な意味で使うことも多いようです。「ジーニアス大英和辞典」に載っている例では,

  • elbow [shoulder, thread, wheel] one’s way 「ひじで押して[肩で押して,縫うように,車で]進む
  • struggle [force, push, thrust] one’s way  「もがくように[押して]進む」
  • pick [work, labor] one’s way   「用心して[骨折って]進む」
  • steal one’s way 「こっそりと進む」
  • muscle one’s way   「強引に押し進む,強引に割り込む」
  • feel [grope] one’s way in the dark   「暗がりの中を手探りして進む」
  • laugh one’s way through life 「笑って暮らす」
  • study one’s way to academic fame 「研究で学問上の名声を博する」

どれも way には必ず所有格が前につくことに注意してください。たとえば, make one’s way は「進む」ですが, make way (for ~) だと,「(~に)道を譲る」の意味です。他人に道を作ってあげる,ということになります。

【 問題 】

1. かっこ内に入れるのに適切なものを選びなさい。

They (      ) the crowd and onto the train. (湘南工科大)
  1.pushed their way through     2.pushed through their way

  3.pushed their through way     4.pushed way through their

 

2. 日本語の意味になるように,かっこ内に1語入れなさい。(学習院)
彼は人ごみの中を押し分けて進んだ。
He elbowed his (               ) through the crowd.

 

3. 下のうちから適切なものを選び,語形を変化させてかっこ内に入れなさい。
He (               ) his way up the political ladder to the highest position in the land. (立教大)
   close      escape     finish   give     live     make

 

← 【 答 】

 

むかし, Smokers are puffing their way to cancerous death. という表現に出会ったことがあります。「喫煙者は,スパスパと癌で死に至る道を歩んでいる」 ( puff は「(息や煙を)出す,吹く,プカプカやる」)

うまい表現だなぁー。そうつぶやきながら,感心していつものように手元のタバコに火をつけました。

 

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by rickie | Posted in 英語ワンポイント | No Comments »

英文法 基礎の基礎 - 1

2月
2009
20
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英文を正確に読むために必要な,あるいは「英文法」の授業や参考書があたりまえの前提としている最低限必要な文法とはどのようなものでしょうか。

ふつう,文法の参考書や解説書は個々の品詞を順番に取り上げて,英文法全体を組み立てていくという方式をとっています。文法の個々の項目を詳しく調べていくにはこの方式が適しているのは間違いありません。しかし,この方式だと全体像が得られるまで順に文法書の叙述をたどらなければならず,習得までにかなりの忍耐と時間が必要になります。

ここでは,まず英文法をまず上から眺めて,その全体像をとらえておくことから始めます。細かいことは後回しにして,まず英語のしくみがこうなっているということを理解してください。もちろん,細かいことははしょってしまいますから,これが文法のすべてだというわけではありません。また,上から全体を眺めるためには,ある程度の文法知識があらかじめないとできませんが,必要な前提知識についても詳述はせず直観的な説明にとどめておくことにします。

文法の基礎とは何でしょう。わたしは次のようなことではないかと思っています。

  • 文には構造があることを理解する。意味を生み出しているのは1語1語の単語(の意味)ではなく,単語が並ぶしくみ=構造 であることを理解する
  • つまり辞書に載っている「単語の意味」をテキトーに並べていけば文の訳ができあがり,という考え方は捨てなければならない
  • 単語は「文の中でどのようなはたらきをするか」によって分類される。それが品詞であり,品詞を理解することは文のしくみを理解する第一歩となる
  • 単語が組み合わさって,句や節を作る。これが文の部品となる。部品の種類は4種類(動詞・名詞・形容詞・副詞)しかない。

ざっと,こんなところでしょうか。

文法についてご存知の方はおわかりのことですが,筆者の創意によるものでもありません。いろんな書籍に書かれている,多くの先生方が説明されている,ごく常識的なことですが,最近の高校生にはこの常識が共有されていない印象があります。やけにこまかいことを知っているのに,こうした基礎的な部分が抜け落ちている生徒を数多く見かけます。たったこれだけのツールを手にするだけでも,英文の読み方はずいぶん違ってきます。英文理解のための必要最小限英文法だと考えてください。

さて,

英文に限らず,ことばは

  • 単語が集まって → 句
  • 句が集まって→ 節
  • 節が集まって → 文
  • 文が集まって → 段落
  • 段落が集まって → 文章全体

という具合にふくらんでいきます。句や節って何?というはなしは後でします。このうちふつう文法で取り上げられるのは最初の3つで,最後の2つは読解上のポイントになります。ここでは,文 → 句・節 → 単語 を取り上げていきます。

 

文とは

文とは,こまかく定義するのはめんどうだし不必要なので,とりあえず形の上ではピリオド(クエスチョンマーク(?)やイクスクラメーションマーク(!))までのひとまとまりの流れを言うと理解しておいてください。現実には,"Fire!" 「火事だ」とか,"No."だって,りっぱな文なのですが,ここでは主語と述語を含む「行儀正しい」文を中心に考えていきます。

☆ 文は主部と述部でできている

文 = 主部述部 (主語を太字で,述部をアンダーラインで表示します)

  • He has read a lot of books about economics. (彼は経済学についての本をたくさん読んでいる。)
  • The girl reading a book over there is one of my classmates. (あそこで本を読んでいる女の子はわたしの同級生のひとりだ。)

主語や述語が何なのかを定義するのはむずかしいのですが,ここでは直感的に理解しておけば十分でしょう。「〇〇が~する」「〇〇は~だ」の「〇〇が」の部分が主語で,「~だ」の部分が述語です。(主語と言ったり,主部と言ったりしていますが,ここではこだわりませんので,おんなじと考えてかまいません)

  • 主部は名詞のなかま ( + その前や後ろの修飾語)
  • 述部は動詞+X

から成り立っています。ここでちょっとだいじなことは,X の部分に何を入れられるかはその動詞によって決まっているということです。述語部分に出てくる動詞を述語動詞といいます(まんまですが)。

もっとも,述語ということばはそれほど便利な用語ではないので,そんなに使われませんが,説明の都合上知っておいてほしい言葉です。

リーディングやリスニングの際の心理としては,「最初はきっと主語だろうな」と予想しながら読み(聞き)(そうじゃない場合もある),次に「どこから述部が始まるのか,どんな動詞が来るのか」を待ち構え,動詞が決まったら,「この動詞なら次に来るのはあれかな」(OかCかto Vか,など)というような気持ちで英語を処理していくわけです。リスニングの場合はそれをほんの数秒のうちにやらなければなりませんが,慣れればできるのですね,これが。

 

単語と品詞

ひとつひとつの単語は,文の中でどのような働きをするかによって,これは名詞とか,あれは副詞とかいうように,何か一つの品詞に分類されます。この品詞を理解することが,英語のしくみを理解する上でいちばん基礎になる知識になるでしょう。品詞の名前を覚えることが重要なのではなく,品詞の働きを理解することが重要なんです。でも品詞の名前だってそんなに複雑なわけではありませんから,覚えてしまってください。

名詞とは何かというような,あまり抽象的な定義ではかえってわかりにくいので,例をとおして大ざっぱにわかれば十分です。

品詞 今も増えてるか?
名詞 book, water, peace, family, people, John, Tokyo, … 増える
代名詞 he, his, him, this, … (かなり少数) 増えない
動詞 run, know, see, eat, stand, keep, … 増える
助動詞 will, can, could, … (かなり少数) 増えない
冠詞 a, an, the (これしかありません) 増えない
形容詞 beautiful, cold, strong, good, … 増える
副詞 beautifully, already, quite, … 増える
前置詞 in, on, at, during, … (かなり少数) 増えない
接続詞 if, because, while, … (かなり少数) 増えない
疑問詞 who, what, when, where, why, which, how (これプラスあとちょっと) 増えない
間投詞(感嘆詞) Oh, yes, ouch, … 増えない
数詞 one, two, first, second, … (かなり少数のものの組み合わせ) 増えない

形容詞と副詞の区別とかはっきりしないものもあるかもしれませんが,あとまわし。最後の2つは忘れても問題ありません。「疑問詞」などはほかの品詞にぶち込むこともできるのですが,独立させておくことにします。それ以外に,不定詞,分詞,動名詞,関係詞などを入れることもできますが,ちょっと話が込み入りますので,別に譲ります。上にあるとおり,代名詞,助動詞,冠詞,前置詞,接続詞などは数が限られている上に,今後そう簡単に増えたりはしません。逆に名詞,動詞,形容詞・副詞は数が多く,特に名詞を中心に新しい言葉が常に生まれています。

繰り返しますが,品詞を考える時にだいじなことは,文の中でどのような働きをするかによって品詞が決まるということです。これは文の主語なので名詞のはずだ...というぐあいです。逆に同じ単語なのに文中での働きが違い,そのため品詞が違うということもあります。そこが日本語文法の品詞と異なっているところでもあります。これは後でもう一回とりあげます。ちょっと先取りしていっておくと,名詞とか動詞とかは直感的にわかるでしょうし,表中に(少数)とあるものは,もともと少ないのでむずかしくありません。ということは,残った形容詞と副詞の区別ができればオーケー,ってわけです。

もうひとつ,英単語はその語尾を見ると品詞がわかるものがあります。-ful で終わる単語は形容詞(beautiful, wonderful)とか,-ify で終わる単語は動詞(identify, simplify)とかです。これらはいっぺんに覚える必要はありませんが,少しずつ慣れていくと品詞の判別が楽になります。

 

【 問題 1 】

次の文の中で下線部(1) ~ (5) の品詞は何だと思いますか。それぞれ次のうちから選びなさい。同じものを二回以上使ってもかまいません。辞書を引かないで考えて,というか辞書には出ていません(下線のない the と a と very の3つの単語だけが本物。それ以外は存在しないデタラメな単語ですから)。

The (1)dowful(2)ziquengs(3)hixotized a (4)melotion very (5)necredly.

a. 名詞 b. 動詞 c. 形容詞 d. 副詞

 

↓ ここをクリックすると答がでます。

【 答 】

 

【 問題 2 】

次の文の中で下線部(1) ~ (5) の品詞は何だと思いますか。それぞれ次のうちから選びなさい。同じものを二回以上使ってもかまいません。辞書を引かないで考えてください。単語・文の意味がわからなくてかまいません。こんどは存在する単語,ほんものの英語です。

(1) He put on blue jeans.

(2) They vacationed abroad.

(3) This project is a go.

(4) Thunderbirds are go!

(5) This book is a must for all students.

 

【 答 】

 

要するに,品詞を決定するには,

  1. 接尾辞(-ful とか-ify)などの特徴から考える
  2. 活用(-ed とか)やマーク(a や the とか)から考える
  3. 文中での働きから考える

という作業が必要です。

 

 

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