大学進学についての雑感 1

日本の全大学のサイトへのリンクのページを作ろうと思って,データを集めてみた。

急いで集めたので,ほんとうにすべての大学が網羅できたのかどうかよくわからないのだが,集めた限りでは,

  • 日本には,2008年4月の時点で726の大学がある。(大学校,大学院大学を除く)
  • 国立 81校,公立 72校,私立573校(うち株式会社立3校,自治医大は私立扱い)
  • 2001年以降に創設された大学は139校。1999年以降だと180校。

手元にある文科省のデータは少し古くて2005年のもの。それによると,

  • 大学数はなぜか私の2008年のデータとぴったり同じ726となっている。2008年は東海大のような大学統合や関西学院のような吸収合併があるので減っている?
  • 同データによると,短大数は1995年(ただしこのころのデータは5年刻み)の596校をピークに下がり続け,2005年には488校である。
  • 18歳人口のピークは1990年(5年刻みなので1986~1994のどこか)で約200万人。これが2005年では137万人。
  • 大学+短大の進学率は1975年から1990年ころまではほとんど変わらず36~38%。これが上昇したのが95年以降で,99年から05年まではあまり変化なく49~52%。
  • ただし,大学のみの進学率は90年の24.6%から2005年の44%まで,単調増加である。(その分短大進学率が減少)
  • したがって,急激な少子化にもかかわらず,大学(短大を除く)生の数は2000以降ほぼ60万人前後で推移している。(ちなみに1960年16万人,1975年42万人,90年50万人)

私のデータがやや不正確なのかもしれないが,大学数は落ち着き始めたとみていいだろう。しかしそれにしてもこの10年でできた大学が全大学の4分の1。21世紀にできた大学が全大学の5分の1ということになる。進学率の増加分を吸収したのが,この新設大学と従来の大学の新設学部なのであろう。ざっと見た印象では,私立の新設大学は,専門学校として出発 –> 短大を併設 –> 短大を縮小し代わって4年制大学を新設,というパターンが多いように思える。

90年からの大学進学率の2倍近くの激増(24.6% –> 44%)を考えると,大学生の学力低下は単に統計上当たり前のことのようにも思える。成績が正規分布しているとして,かつ,成績のいい順に大学に行くと仮定して,今の偏差値50の生徒はかつてのどれくらいに当たるのか?統計学は詳しくないので計算できなくて残念。誰かわかりません?

むろん,「大学全入時代」=無競争時代の到来,学習のモチベーションの大きな部分を支えていた「学歴社会」のゆらぎ(悪いことではない)というファクターがこれに加われば,平均的学力は低下する。しないわけがない。「ゆとり教育」というのはおもに小中学での問題であるが,それを見直したからとて,大学レベルではどうなるものでもあるまい。新しい動機付けが必要なはずなのだが。

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