Where are we going?

大学入試と英語学習のバックアップ・サイト

2012年5月
« 9月    
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

ブログ・カテゴリー

すべて開く | すべて閉じる

ブログ・アーカイブ

Others

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <4>

6月
2009
18
この記事の印刷用バージョン

2007年度と2008年度の大学入試英文のうち,その出典が英語書籍からのものをピックアップしてみます。

まず,この2年で,2大学(2学部)以上で出題されている作家を挙げてみましょう。人名の後の数字がこの2年間の出題数。出題数2 というのが多いから,もっとデータを増やせば大きく変わってくるはずだが,出典を明示していない大学は今でも多いし,数年前だとさらに少ないので今後に期待するしかない。

 

アル・ゴア (Al Gore)   [4]  ご存知,合衆国前副大統領。ノーベル平和賞受賞者(2007年)。

"An Inconvenient Truth" 「不都合な真実」 からの出題が,北九州市立大,大阪府立大,長崎大の国公立3大学。別のゴアの文章からの出題が関東学院。わたしも持っているが,読んでない!

 

アンソニー・ギデンズ (Anthony Giddens) [4]  イギリスの社会学者。ブレア政権のブレーンでもあった。出題はすべて,"Sociology" から。翻訳もされている,代表的な社会学の「教科書」。慶應・商,お茶の水,新潟国際情報,東京農工(慶應,農工は第5版,お茶大は第4版,新潟国際は第2版)。新潟国際情報で出題しているのと同じ箇所を,わたしは20年くらい前に模試の問題として新作した記憶があって,ちょっとなつかしい。

 

デール・カーネギー Dale Carnegie [3] 大富豪のカーネギーとは別人(だよね?)。出題は "How to Stop Worrying and Start Living" (邦題:「道は開ける」)が2題(岐阜,福井),"How to Enjoy Your Life and Your Job"(「人生論」)が1題(帝京)。

このカーネギーもそうだが,ここに挙げたものの中には,Self-Help ものが多いような気がします。大学入試の英文の傾向とまでは言えないのですが,英語自体がかんたんで読みやすく,内容に専門知識がいらず,たいして知的関心がない若者にも取っつきやすいということが理由なのかどうなのか,安っぽい(失礼!)人生論や処世訓話のたぐいに出くわすことがあります。もちろん昔の入試にだってそのテのものはありましたが,昔のは,イギリス人のひねくれた人生観をこねくり回した文章で綴る式の,今風に言えばヘタレインテリ向け人生論でした(ラッセルとかモームとかリンドとか)。それがアメリカの一般大衆向け処世術に変わったということでしょうか。

 

デイビッド・クリスタル David Crystal [5] イギリスの大御所言語学者。一般向けの著作も多く,英語学を中心に言語に関わる様々な問題について発言している(インターネットの言語とか言語の死滅とか方言とか)。5題中3題は"How Language Works" からの出題(お茶の水,福島県立医科大,山形)。このうち,お茶の水と福島県医は同じ箇所からの出題。その他は滋賀と上智。これは読んだ。

 

デボラ・タネン Deborah Tannen [7] アメリカの社会言語学者。言語における性差に関する問題を扱うことが多い。エッセイ風で読みやすく,人気作家といってもいいかも。"You Just Can’t Understand" (「すれ違う女と男」)が2題,"That’s Not What I Meant!" が3題。持ってるけど読んでないな。

 

ハル・アーバン Hal Urban [2] 元教師のエッセイストらしい。"Life’s Greatest Lessons"(「心の癖」を変える20の法則)から,山口大と鹿児島大で出題。これも Self-Help もの。2006年には鳥取でも出題。

 

ジャック・キャンフィールド Jack Canfield [2] アメリカに "Chicken Soup"シリーズという一連の本があって,これはいろんな人から集めた「ちょっといい話」(実話)を本にしたものです。"Chicken Soup for the Soul" から始まって,10代むけやら教師向けやら何やらかんやら,シリーズはすでに100冊以上出ています。一冊も読んでませんが。日本版も「こころのチキンスープ―愛の奇跡の物語」以降数十冊翻訳されているようです。Jack Canfield はこのシリーズの編者。一編一編が短く,入試向けに使いやすいのでしょう。数もある(1冊100話くらい×100)からネタ切れしにくいし。Jack Canfield 編を明示した問題が2題(上智,奈良教育)で,それ以外にこのシリーズをネタ元の文章が慶應,佐賀,相愛などで使われています。

 

ジェシカ・ウィリアムズ Jessica Williams [2] 音楽をやっているジェシカ・ウィリアムズとは別人(だと思う)。"50 Facts That Should Change the World"(「世界を見る目が変わる50の事実」)という本の著者で,出題もここから(神戸,名古屋市立)。現代という時代の問題点を50の事実を通して切開しようという啓蒙書。「日本女性の平均寿命は84歳,ボツワナ人の平均寿命は39歳」とか,「タイガー・ウッズが帽子をかぶって得るスポンサー料は,1日あたり5万5000ドル。その帽子を作る工場労働者の年収の38年分」とか。うーん。ウッズがもらいすぎというべきか,ウッズすげえと讃えるべきか。

 

ケイト・フォックス Kate Fox [2] 人類学者。出題は "Watching the English: The Hidden Rules of English" (「イギリス人ウォッチング―その行動に潜むコードを読み解く」)から。イギリス人の国民性についての議論。一橋と東京外国語の2007年度の問題。

 

ケイ・ヘザリ Kay Hetherly [3] 日本に在住し大学で教えている先生。NHKラジオの「英会話」のテキストに連載した英文をまとめた本が"Kitchen Table Talk", "American Pie", "Tokyo Wonderland" などで,"Kitchen Table Talk"が滋賀で,"Tokyo Wonderland"が奈良県立と山形で出題。

 

レオナード・サックス Leonard Sax [2] アメリカの医師・心理学者。出題は"Why Gender Matters" (「男の子の脳、女の子の脳―こんなにちがう見え方、聞こえ方、学び方」)から。子どもの性差と教育のあり方がテーマ。明治学院と熊本県立で出題。

 

ルイス・コープランド Lewis Copeland [2] 高校レベルの全教科を教科書的に記述した"High School Subjects Self Taught"という本の編者。この本は翻訳もなく,ハードカバーで全4巻。これは持っていますが,ぶ厚いし,ぶこつな装丁。まあ教科書的教科書です。新刊としては見当たらない。アメリカのアマゾンで入手可。

 

リサ・ベルキン Lisa Belkin [2] この人は"Tales from the TIMES"という本の編者。New York Times が一般の人から集めた実話をまとめたもの。副題が "Real-life Stories to Make You Think, Wonder, and Smile, from the Pages of the New York Times"とある。「ちょっといい話」系のようです。翻訳はなさそう。杏林,福岡教育。

 

マルコム・グラッドウェル Malcolm Gladwell [2] アメリカ在住のライター。"Blink ― The Power of Thinking Without Thinking" (「第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい」)から横浜国立とノートルダム清心で出題。これまたセルフヘルプ系の本のようですね。

マイケル・ルモニック Michael Lemonick [2] Time誌の科学ライター。科学ネタということになりますが,書籍名は不明。信州と富山で出題。

 

ポール・オースター Paul Auster [5] いわずとしれたアメリカの小説家ですが,実は出題されている5題中4題はオースターの小説ではなく,オースターが編集した本から。"I Thought My Father Was God"という題名の本と"True Tales of American Life" という題名の本がありますが,同じ本のようです。NPRというラジオ局が集めた実話集。上の"Tales from the TIMES"や"Chicken Soup"シリーズと同工異曲ということになります。"Chicken Soup"は量で,"Tales from the TIMES"はNew York Timesの権威で,そしてこれはPaul Austerの名前で勝負しています。日本の入試ではオースターの勝ち。出版界でもそうかな。新潮文庫になっています(もちろん柴田元幸訳)し,英語対訳朗読CD付きバージョンもあります。ただし,日本版は5巻に分冊し,タイトルは「ナショナル・ストーリー・プロジェクト」です。これはNPRのラジオ番組の時の企画名。いくつか読みましたが,ホントかよって話が多いような気が。

 

レイチェル・カーソン Rachel Carson [2] 誰も環境問題なんか気にしていなかった頃に,はじめてテーマとして取り上げ普及させた人として有名ですね。入試でも何度も取り上げられましたが,いまだに出ています。だいぶ減りましたが。"Silent Spring"(「沈黙の春」)が名城,"The Sense of Wonder"(「センス・オブ・ワンダー」)が宇都宮。

 

リチャード・カールソン Richard Carlson [2] 心理学者らしい。"Don’t Sweat the Small Stuff"シリーズ(「小さいことにくよくよするな!」シリーズ)。大妻と島根。ったく,セルフ・ヘルプもの好きですね。ちょっと宗教っぽくないですか?

 

サイモン・シン Simon Singh [2] 科学ライターとしてはいま一番人気かも。"The Code Book"(「暗号解読」)から防衛大と別のが神戸大で出題。

 

鈴木孝夫 Takao Suzuki [2] 日本の言語学者。ベストセラーでもあり,現代文入試でも出題されたことがある岩波新書の「ことばと文化」を英訳した"Words in Context"からの出題。慶應・看護と九州女子。日本語の英訳からの出題は多くはないが,他に養老孟司「バカの壁」や小熊英二なんてのもあります。

 

その他で気になるのは,Oxford UP から出ている Very Short Introduction シリーズからの出題。日本の新書(昔の学術志向の)やク・セ・ジュ新書みたいな感じのシリーズで,岩波から翻訳中です。出題は,"Journalism" (東京学芸),"History"(明治学院),"Globalisation"(上智),"Global Warming"(奈良県立),"Philosophy of Science"(慶應・医 以前には早稲田・政経も)なんてところです。

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <3>

6月
2009
16
この記事の印刷用バージョン

前回は英語の新聞・雑誌からの出題を扱いましたが,3回目の今回は,英語の書籍から大学入試問題に使われているものを取り上げます。

そもそも書籍に限らず,大学入試に使える英文はほんとうはかなり限られています。大学側が問題に出したい「ポイント」を含んでいなければなりませんが,といって専門的すぎる内容のものは使えません。また,受験生の語彙はどんな優秀な生徒でも現実の英語で使われる語彙に比べればごくわずかでしかなく,注をつけるにしても何十もの中で問題用紙を埋め尽くすわけにもいきません。そして量的にも他の問題や解答時間との兼ね合いで全文が掲載できないのがふつうです。ポイント,内容,量,語彙の難度などを勘案した上で出題文を選択するわけですが,そんなおあつらえ向きなものがごろごろころがっているはずものなく,したがっていきおい,

  1. 原文を大幅に改変(あちこちカットする,語彙を入れ替えるなど)して出題する
  2. 他大学で過去に出題された英文とバッティングしてしまう(いわゆる頻出長文)
  3. 他大学で過去に出題された英文を意図的に使う(いわゆる過去問再利用)

2 の頻出長文は,10年以上前に頻出長文を集めた問題集などがあちこちで出版され流行しました。そのせいか,当時取り上げられた頻出長文が今出題されることはかなり減りました。

3 の過去問再利用は,全体としては増えているようなのですが,英語に限ってはそれほど多くないのかもしれません(「入試過去問題活用宣言」のページを参照)。

というわけで,現在の主流は 1 の原文改変です。どのように改変されるのかについては,そのうち取り上げてみたいと思っています。

 

新たに入試に使える英文を探して,それに多少手を入れて出題するとしても,出題者が目を通せる英文の量も限られていて,出題に偏りが出たり,出題者に人気の英文なんてものが自然に見えてくることもあります。

 

あまり専門的なものは使えない,と先ほど言いましたが,これには例外があって,医学部・薬学部では比較的医学,薬学的な内容の英文が使われる傾向があります。一般には,たとえば文学部で自然科学,理工学部で文学論を出題することだってあるわけなのですが,医学部・薬学部では,さすがにあまりに専門に深入りしたものは出せないにしても,その学問に関係した内容(生物学の話題,医療倫理,病気や患者についての一般的話題など)を出すことにためらいはないようです。それにつづくのは,教育学部,看護学部と言ったところでしょうか。

 

「中堅大学」という呼び方が受験界には存在していて,何のことはない,偏差値から見た難易度がMARCH(ないしMARCH相当の大学)よりも下の大学のことです。なんだかなあ,という呼び名ですが,まあそれを使っておくと,「中堅大学」では大学生や一般向けのリーディング用のテキストから出題している場合がままあります。2008年では,桜美林,国士舘,関東学院,中部大学などに見られます。

別にいけないこと,非難されるようなことではありません。上で述べた入試問題に使える条件の厳しさを考えれば,ノン・ネイティブの読解力養成用に書かれた(つまり,もともとその条件を考慮した上で書かれた)英文を集めたテキストは,ある意味でうってつけなわけですが,「中堅大学」より上のレベルの大学ではあまり使われない傾向があります(2008年では広島大学くらいか?)。

  • Timed Readings (Glencoe/McGraw-Hill)
  • The Speed Reading Book (BBC)
  • Weaving it Together (Heinle & Heinle)
  • Reading Advantage (Heinle)
  • Reading Power (Longman)

などのシリーズが使われています。シリーズもの以外の単発ものや,大学教養の語学の授業で使われる南雲堂,成美堂などのテキストも見当たります。

 

次回は,どんな作家が使われているかを見てみます。

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <2>

6月
2009
9
この記事の印刷用バージョン

 

大学入試で使われる英文の出典が明記されていても,筆者名やタイトルだけという場合もあって,その先を特定するのは面倒です。特に最近は,新聞・雑誌はネット上にも同じものがあったりするので分類しにくいのですが,一応以下のようになります。(以下のデータはすべて2008年度入試)

本 (推定) 234
新聞 65
雑誌 70
その他のメディア 18

 

2008年度(昨年度)の入試英文のうち,長文で出典が表示されているのが408題(26.7%)ですが,重複分を除いた実数では397題で,書籍を元にしていると思われるのが全体の60%,ネットなどのメディアが5%,残りが新聞・雑誌で,この二つはほぼ同じくらいの比率になります。

 

やはり書籍が多いのですが,本については次回に回すことにして,今回は新聞・雑誌を見てみます。

 おもな新聞 (数字は,出題数)

International Herald Tribune 4
The Daily Yomiuri (Web版を含む) 16
The Guardian (Weeklyを含む) 3
The Japan Times 10
The Japan Times Weekly 4
The New York Times 6
The Times (Sunday版・Web版を含む) 5
USA Today 2
週刊ST (Web版を含む) 7

新聞でいちばん多いのが, The Daily Yomiuri (16) ,それにつづくのが The Japan Times (Weeklyを含めると14),次いで 週刊ST で,やはり日本の英字新聞が上位に来ています。大学入試の長文では原文を一部書き換えることが当たり前のように行われています。英米メディアの記事を出題する場合,原文と照らし合わせてみるとズタズタになっていることも少なくありません。日本で発行された,日本について日本人が書いた英字新聞ならば,書き換え箇所が少なくてすむのかもしれません。

 

出題された記事の発行月を見てみると,いちばん遅くても10月です。大学入試は11月前にはだいたいできあがっている,と推測できます。使われているのは,前年の3月~8月の記事が中心,ということになるでしょう。このグラフに載せてないのは,月日まで公開していないデータです。2006年の記事とだけ書いてあるものが2題,2007年が4題あります。

 

 

おもな雑誌 (数字は,出題数)

Newsweek (Web版を含む) 10
Reader’s Digest 3
Scientific American: Mind (Web版を含む) 3
The Economist 4
The New Yorker 2
Time (Web版を含む) 14

雑誌は Time と Newsweek が飛び抜けています。まあ,誰もが予想することですから,意外性はありません。出題されている雑誌も,左にあげたもの以外多岐にわたっていて,新聞よりもばらつきが大きくなっていますが,これも当然と言えるでしょう。

 

発行月も新聞よりばらついています。新聞と同様,前年の3月の数ヶ月がピーク(雑誌の実際の発行日は,たとえば10月号は9月に出るといったように早くなる)ですが,それ以前のものもけっこう多いようです。出題者がふつうに雑誌を読んでいて,「あっ,これ使えるな」と思ってストックしておいたものでしょう。それに対し,前年3月以降の記事は出題委員になってから問題に使える記事を探したものなのかもしれません。

 

 

その他 (数字は,出題数)

BBC News 4
VOA (Special Englishを含む) 4

「その他」のものとしてはネットが多いのが特徴で,左のBBC とVOAはいずれも英米の放送局ですが,どちらも英語学習者用の,単語の難易度を比較的押さえたニュース記事を配信するページも持っています。

ネット記事からの出題は今後も増えていくでしょう。すでに英語版Wikipediaからの出題もあります。

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

大学入試の英文の出典 ― どこから採られているか? <1>

6月
2009
4
この記事の印刷用バージョン

ここ数年,大学入試で使われる英文に出典が明記されているケースが増えています。

 

すべての大学・学部のすべての問題を集められるわけではないし,どんな問題を長文問題とみなすかとか,そもそもデータを集計しにくいのですが,大ざっぱなデータだけでも趨勢はわかります。たとえば2008年の全国主要大学の英語入試のうち,長文問題は1529題で,そのうち408題(≒26.2%)に何らかの形で出典が示されています。[1]

5年前の2003年では,英文総数約1350題に対し,出典の明示は約80題(≒6%)。2005年から2008年までのデータは以下のようになります。[2]

 

年度 英文数 出典明示数 割合
2005 1345 57 4.2%
2006 1318 178 13.5%
2007 1508 244 16.2%
2008 1529 408 26.7%

 

比率から言えば,まだまだ明示している問題は少ないと言っていいでしょうが,目に見えて増えているのは間違いのないところです。おそらくこの傾向はしばらく続くと思われます。

英文総数のうち75%が私立ですが,出典明示数は私立―国公立で大差ありません。ということは国公立の明示比率が高いことになります。といっても,センターや東大のように過去一度も出典を明示したことがないところもあれば,上智のようにほぼすべての長文に出典が記載されている大学もあります。

表示の仕方もさまざまです。タイトルや筆者はもちろんページまで記載している大学もあれば,タイトルのみ,筆者のみ(立命館のように)というところもあります。タイトルが問題のヒントになってしまう場合や,タイトルを答えさせる問題もあるわけですから,こまかく記載すればよいというものでもありません。

 

こうした傾向は,むろん近年の著作権・知的財産権重視の風潮を背景にしたものでしょう。入試問題にも著作権保護がなされるべきだという考えは,現代文・現代国語では当たり前になっています。著作権料を払っていない予備校が訴訟の対象となる事例もあります。問題集や予備校の場合は,いわゆる「二次利用」なので,大学が出題する問題文の著作権とは扱いがやや異なるようですし,まして英文の場合,どのような扱いがされているのかよくわかりません。二次利用である「入試問題正解」(通称『電話帳』)などでは,著作権料の支払いが行われる場合もあるらしいですし,著作権に対する配慮から問題文を掲載しなかったり,というケースもあります。特に国内に版権がある「英字新聞」からの出題に多く見られます。

 

このシリーズで採り上げたいのは,著作権の問題ではなく,入試はどこから採られているのかということです。以下で,より具体的に考えてみたいと思います。

 

 

 


  1. データはEXAM 2000~2008(JC教育研究所)にもとづく分析。以下同じ。最新の2009年のデータは未集計。 [▲ 戻る]
  2. 集計方法は,各年度の<長文読解力>問題の問題文中に「出典」「Adapted from」が含まれているか,で調査した。したがって完全ではない。 [▲ 戻る]

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 教育 | No Comments »

自由英作文のためのいろいろな表現 2

2月
2009
6
この記事の印刷用バージョン

昨日のつづきです。

即席でそれなりの答案を作る方法について『パターンで書く自由英作文 【合格最低ラインを狙う】』をまとめましたが,そこで触れたパターンで使う小道具がこれです。ばらばらの文の羅列を,まとまった論理的構築物にするためには,どうしててもこうした小道具が不可欠です。

 

「第一に・・・,第二に・・・」 ― ポイントを列挙する

  • First, ・・・・. Second, ・・・・. 「・・・・」の部分は,いくつもの文からなる長い論述でもいいし,単語だけの短い列挙でもOK。
  • Firstly, ・・・・. Secondly, ・・・・. 上と同じだけれど,こちらの方が硬い表現だと言われます。

序数(first, second)を使うと,最初からいくつのポイントを述べるかが決まっているようで,頭良さそうだけど少し堅苦しいと感じる場合は,次のように「まず」→「その上さらに」という展開も考えられます。

  • To begin with, ・・・. / First of all, ・・・. / For a start, ・・・. 「まず第一に」
  • Moreover, ・・・. / Furthermore, ・・・. 「その上」「さらに」 これが「第二に」の代わりに使えます。これらと同じ意味を持つものに, besides / in addition がありますが,この2つは「第二に」というよりは「おまけとして言っておくと」というようなやや軽い響きがあります。(さらに弱い「どうでもいいけどついでに言っておくと」という感じなのが for that matter)

上を組み合わせて,To begin with, ・・・ → Moreover, ・・・ という流れになります。

もう少し自由にまとめたければ,There is one problem, which ・・・. And another problem is that ・・・. のような,one … another … を組み合わせて使う方法もあります。

 

「確かに~だが」 ― 譲歩できるところまで譲歩し,その分だけ後の主張を強調する

  • It is true that ・・, but ~     「なるほど・・・だが,~」
  • ・・・ may ・・・, but ~       「・・・かもしれないが,~」
  • ・・・ certainly ・・・, but ~      「 確かに・・・だが,~」
  • ・・・ of course ・・・, but ~     「  もちろん・・・だが,~」
  • ・・・ indeed ・・・, but ~      「 確かに・・・だが,~」
  • ・・・ no doubt ・・・, but ~      「 確かに・・・だが,~」

これらにおいて,前半は but 以下を言うための布石にすぎません。「彼らの言ってることも・・・だし,わかるよ。わかるけど,やっぱり~」という感じ。当然,重点は後半にあります。but を使う代わりに,however を使ったり,前半の最初に Though を使う方法もあります。

 

「しかしながら」 ― 逆接語はその後が強くなる

  • But     「しかし」
  • Yet     「しかしながら、それでも」(文頭)
  • Still     「やはり」(文頭)
  • however     「しかしながら」
  • nevertheless     「それにもかかわらず」

but, yet, still の3つは等位接続詞(yet は and yet,still はbut still という副詞的用法も )で,後には S + V を伴います。それに対し下の3つは副詞(句)なので,文中での位置は比較的自由です。

〇 I made a serious mistake, but she knows about it.

☓ I made a serious mistake, however, she knows about it.

〇 I made a serious mistake. However, she knows about it.

〇 I made a serious mistake. She, however, knows about it.

 

「その一方,それに対し」 ― 対比・対照のパターン

  • on the other hand     「他方で,その一方」
  • in contrast, 「それとは対照的に」
  • ・・・, while ~     「・・・,その一方~」
  • ・・・, whereas ~     「・・・,その一方~」

上の二つは副詞句。ピリオドで切れた前の文とこれ以下の文を対比します。下の二つは接続詞なので, S + V ・・・, while S + V ~ のように文と文をカンマ+ while でつなぎます。

 

「たとえば」 ― 例を挙げる

  • Take ~ for example. 「~を例に挙げて(考えて)みよう」
  • for instance     「例えば」
  • for example     「例えば」
  • ・・・, say, ~     「・・・,例えば,~」
  • such as …     「・・・のような」
  • to name just a few. 「ほんの二,三挙げると」

Take ~ for example[as an example]. は「~の例を挙げて論じてみよう」という感じなので,そのあとでその例についてじっくり書かなければなりません。

say や such as は,その後にふつう名詞が来ます。

to name just a few は, Modern cities have a lot of major problems; about crimes, overpopulation, many kinds of pollution, to name just a few. のように使います。

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス, 英語ワンポイント | No Comments »

自由英作文のためのいろいろな表現1

2月
2009
4
この記事の印刷用バージョン

『自由英作文のための表現集』をこのサイトの「ページ」の方で計画中なのですが,ちょっと時間がかかりそうなので,こちらに草稿段階のものを載せることにしました。読解の手がかりとしてのつなぎ言葉を扱った Discourse Markers (指標語)というページもあります。

 

「・・・だと思う」 ― 意見をそのまま自分の考えとして提示する

「思う」「考える」をいつも I think で書くのは芸がないし,いちいち「・・・だと思う」と言う必要もない。言い切ってしまってもかまわないから,以下のものを使わない手もある。

  • I think that  S + V これがいちばん当たり前だけど,多用しないこと
  • I guess S + V, I believe S + V これらは I think とほぼ同じように使える
  • I am sure (that) S + V 「きっと・・・だと思う」というやや強めの表現
  • I cannot help thinking S + V 「・・・だと考えざるをえない」 なぜそれしか「考えの選択肢」がないのかの理由も述べておかないとまずいでしょう
  • I have to say that S + V 「・・・だと言わねばならない」 これも強いですね
  • It seems to me that S + V 「・・・ように思える」 逆にこれは弱め。 I seem … ではなく,形式主語を用いることに注意

 

「・・・だそうだ」 ― 伝聞・人から聞いたこと

もちろん, A scholar says … 「ある学者は・・・だと言っている」とか, I once read a newspaper article, which said … 「ある新聞記事を読んだことがあるのだが,それは・・・だと言っていた」というような書き方もアリです。

  • I hear S + V 「・・・だそうだ」 実際に聞いたのは過去でも,現在形を用いることに注意。特定の人に聞いたことというより,世間で言われていること
  • according to ~ 「~によれば」 これはおなじみでしょう。これを使う時は,S + say などを使う必要はない。つまり,☓ According to him, he says …
  • I was told that S + V 「・・・だと聞いた(ことがある)」 こちらは特定の人に聞いたこと。直訳では,「・・・と言われた」。誰に聞いたかも言いたければ, I was told by one of my teachers that … のようになる
  • We often hear it said that S + V 「しばしば・・・と言われるのを耳にする」 形式目的語を用いた表現。当然,世間でよく言われていることや決まり文句などを後にもってくる

 

「言い換えると」「要するに」 ― 同じ内容を,別の言葉で言い換える時

会話では, I mean をつなぎ言葉的に使って,"…, I mean, ~" 「・・・,つまり,~」が便利ですが,書き言葉では次のようになります。

  • In other words, … 「言い換えると,・・・」
  • to put it another way, … 「言い換えると,・・・」
  • By that, I mean … 「その言葉でわたしが言いたいのは,・・・」
  • that is (to say), … 「すなわち,つまり・・・」

これらを使わずに,コロン(:)でつなげる手もあります。There still remains an important issue: how we should spend the money. 「まだ重要な問題が残っている,つまり,いかにその金を使うべきかである」

言い換えは言い換えでも,前言を要約した言い換えは,

  • in short, … 「要するに」 いちばん簡単な表現
  • to make a long story short 「要するに」 直訳すると「長い話を短くすると」
  • to sum up 「要約すると」

この要約を最終部で行えば,次の,結論を導入する表現になります。

 

「結論として」 ― 最終的結論を述べる

最初にすでに同じことを言ってあれば,最後の部分に結論は必要ありません。最初でテーマの提示だけしかしていないなら,結論が必要になります。

  • in conclusion 「結論としては」
  • I [We] can conclude that S + V 「・・・と結論づけることができる」
  • I [We] can draw a conclusion that S + V 「・・・という結論を引き出すことができる」 これらは最終パラグラフに書くのがいいでしょう。 can を must にすることもできます。
  • It may be said that S + V 「・・・と言っていいだろう」これは結論以外でも使えますが,結論として使うとかなり弱め,控えめになります。断言を避けたがる日本人向けではありますが。

 

「だから,だとすれば」 ― 論理を一歩前に進める

<原因 → 結果> を述べる表現。「その結果」「だから」「従って」「それゆえに」などのはたらきです。いちばん簡単なのは, so ですね。

  • accordingly, therefore 「だから,したがって,それゆえ」 文頭だけでなく,文中に挿入することも可能
  • hence, thus 語源的な意味は, hence = from here 「ここから(次のことが言える)」, thus = in this way 「このようにして(次のようになる)」 hence は少し硬い文書で使う。
  • as a result 「その結果として」 「その」と訳すけれども the ではなくて a です。
  • for this reason 「この理由のために」 理由が複数あれば for these reasons。 this(these)の代わりに, that(those)も。
  • That’s why S + V 「そういうわけで・・・」 文法でやったと思いますが, That is the reason why S + V のthe reasonが省略されています。直訳は「それが・・・の理由だ」。 That を This にしてもOK。
  • It follows that S + V 「したがって,・・・ということになる」 直訳すると「・・・ということが後に続く」。前文を受けて,前文の論理的帰結として「・・・」が言える,ということ。
  • If so, … 「だとすれば」 直訳すると「もしそうならば」ということ。

 

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス, 英語ワンポイント | No Comments »

センター入試直前のおせっかい的アドバイス(2)

1月
2009
14
この記事の印刷用バージョン

昨日の アドバイス(1) のつづき。

 

交通ルートの確認

特に地方から上京する人などが注意ですが,たとえば東京の都心部の地下鉄の乗り換えなどは,都民であっても複雑で迷ってしまうこともあります。予行演習が必要かもしれません。逆に,八王子のような大学密集地域では人の流れについていけばたどり着けることもありますが,たまたま同じ日程で別の大学でも入試があると,ついていくととんでもないはめになることも。

 

準備しておくもの

  • 受験票 — あたりまえ
  • 指定されている筆記用具類
  • 腕時計 — 携帯は使えません
  • チョコレート — 脳の栄養
  • くすり — 「ストッパ下痢止め」あたり
  • 衣類 — 手袋,脱ぎやすいセーターなど,カイロのたぐい
  • 大学の連絡先を携帯に登録しておく — 試験当日雪が降ったり,交通が止まったりすると試験時間がずれる可能性が高いので
  • その他,大学のホームページで確認しておいてください

 

当日は早めに

僕がこれまででいちばん緊張したテストは,意外なことに運転免許の卒検の実技テストかもしれません。ホントはぜんぜん緊張していなかったのですが,5人くらいまとめてテストされるうちの最後の順番になってしまい,ただ待つだけの時間が延々と続いて緊張したようです。

何もすることがないとかえって緊張しやすいから,時間に余裕を持たせすぎない方がいいという考え方もあり得るのですが,しかし,入試の試験場では単語集だのテキストだのを見ることができます。直前に見た熟語が出題されたなんてことはよくあることです。試験場には早めに入って,せっせと勉強しているのを勧めます。

センターはちょっと違うかもしれませんが,試験場ではこれ見よがしに参考書(むずかしいことで有名な参考書)を,しかも手垢で汚れきったやつをぱらぱらめくっている人なんかもいます。もちろんハッタリです。気にしてはいけません。なんなら,あなたも単語集を真っ黒に汚してから試験会場に向かうってのもいいかも。

 

プレッシャー

以前のテレビ番組で,「プレッシャーを克服する方法は?」と問われたマリナーズのイチローは,いろいろやってみたけど,そんな方法はない,と答えていました。

スポーツ選手は「プレッシャーを楽しんで」などとも言いますが,そう簡単に楽しめるわけもありません。でも,プレッシャーや緊張を押さえ込もうとすると,逆に緊張感は高まるものです。思い切ってプレッシャーに身を任せつつ,目の前にあるやるべきことを一つずつこなしていく,それくらいしかテはないでしょう。大学受験で人生が決まってしまうわけではありません。大学受験で決まってしまうような人生にするべきではありません。

 

最後の最後まで

あきらめない。

試験終了の5, 6分前に突然ひらめいた,という経験が僕には2回ほどあります。ひらめくかどうかは,問題に集中しているかどうか,集中しつつ「別の考え方はできないか?」と頭を切り換えることができるかどうかにかかっているような気がします。

あとは開き直りと自分を信じることしかないでしょう。

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス, 高校生向け | No Comments »

センター入試直前のおせっかい的アドバイス(1)

1月
2009
13
この記事の印刷用バージョン

今週末のセンター試験(2009)は,関東地方では雪の心配もなさそうで,気温もそこそこ上がりそうなようすです。

直前から当日にかけて,何をどうすべきか少し考えてみます。

センター英語の直前対策については,こっちのページgoupに書きましたので,ここではもっと生活面よりのはなしです。

 

夜型を朝型にする?

「日常生活を朝型に変える」というのは,受験生の周囲の親・教師からメディアに至るまでみんな言っていることで,間違ってはいないと思いますが,それほど大げさな努力が必要だとも思いません。自分の経験から言えば,朝から100%の力を発揮できるようにするためには,試験前の2, 3日だけ試験当日と同じスケジュールで早寝早起きするというぐあいに切り替えれば,十分対応できるでしょう。別に「型」というほどのことでもありません。

 

かぜを引かない

あたりまえですね。人が密集している場所を避けるとか,マスクをするとか,うがい・手洗いをめんどくさがらずにこの期間だけでもやるとかです。

かぜを引くたびに僕が行く医者は毎回,「かぜのウィルスは嫌気性なので,部屋の湿度を上げなさい」と言っています。というわけで,先日加湿器を購入したのですが,なんだかよさげです。かなり安いものもあるので(ぼくのも4000円くらい),オススメしておきます。以前に買った2000円くらいのやつは2ヶ月でこわれましたが。

 

あきらめない

直前(1週間前くらい)になると,勉強をペースダウンすべきという意見もありますが,どうでしょうか。

英語で言えば,暗記物に重点を置くことになりますが,といって長文をやるべきではないということではないと思います。新しい長文問題をやるより,復習に重点を置くべきでしょう。一度読んだ長文を,問題は解かなくていいから,片っ端から音読していく(もちろん意味も考えながらゆっくり)ことで,英語を読む感覚をつかむ(維持する)ことはたいせつです。

単語・熟語は,覚えるコツをつかんだ人なら一晩で200や300覚えることは可能です。僕は大学の時のドイツ語の試験で500語くらい一晩で覚えました。ただし,これだと記憶は1日しかもちません。テスト対策としてはそれでもいいのですが。

 

あまりこまかい時間配分をしない

別の箇所にも書きましたが,「大問1で5分,2の1で10分」とかのこまかい時間配分計画は,かえって足を引っ張る可能性があります。ちょっとした傾向の変化に対応できなくなるからです。さらに,こまかい計画をたててしまうと,少し破綻しただけであせってしまう,という危険性もあります。いちばんいいのは,過去問で時間感覚を体感しておくこと。ちょっと遅れ気味だな,とかいうのを時計ではなく感覚で判断できるようにしておくことです。

ただし,これはあくまでも理想論なので,文法系で××分,最後の長文に××分残しておく,くらいの配分はしておいた方がいいかもしれません。

 

どういう順番でやるか(文法から?長文から?)

これに悩む人も結構多いのですが,まあ平均点をコンスタントに越えられる人なら,1番から順にやっていけばかまいませんし,自分の好みでどこからはじめてもOKです。途中から始めると,×番の問題を飛ばしていたことを忘れて時間配分に失敗するという副作用がないわけではありませんから,そこは注意です。

順番よりだいじなのは,お手上げの問題にどこで見切りをつけるかのタイミングです。捨てるべき問題は勇気を持って捨てる必要があります。ただし,捨てるべき時も「答はこれかこれのどっちかじゃないかな?」くらいに絞り込んでおき,問題用紙には?マークか何かをつけ,マークシートにはあとで時間がなくなった場合のために,とりあえず答をマークしておく方が安全です。

英語が苦手な人は,順番を工夫してもいいでしょう。基本は「得意な分野からやる」ということです。

「得意な分野なんかない」って人はどうするか。そりゃ順番にやるしかないでしょ。

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

また無人島? — 自由英作文のテーマ(2)

12月
2008
19
この記事の印刷用バージョン

昨日の記事のつづきです。

 

元になっているデータは以下のとおり。

 

昨日は,パーソナルな話題をテーマにしたものを挙げてみましたが,今回はもっと社会性のある問題,時事的な問題の中から,「自由英作文問題」で頻出するテーマを拾ってみます。

 

まず「過去を振り返る」タイプとしては,「過去」に幅がありますが,

  • 20世紀の日本の出来事で最も重要なのは何? (中央・商)
  • 20世紀で最も重要な変化についての意見と,その変化が自分の生活に与えた影響
  • 過去数年のニュースで興味深い・重要だと思った出来事 (香川)
  • この1年で世界に起きた出来事のうち,最も重要なものは何か? (立命館)

そしてこれをやや科学技術方面に限定したものが,

  • (1) 20世紀で最も偉大な発明発見 (2) それが偉大である理由 (3) それはむしろ最悪だ,という反論 (東京)
  • 20世紀で最も重要な発明品は何 (立命館)

というものでしょう。

ところでこの東大の問題のように,東大は「一つの事象について相反する見方で見る」という複眼視点問題がよくでてきます。2002年の「(1) もし1月の休暇と十分なお金があればどんな休暇を過ごすか?(2) その意見への反論」というようなタイプです。語数が多くないので,深い議論はできませんが。

話を戻して,今度は「未来予測」型。

  • 今から50年後の世界はどうなっている? (青山・国際)
  • 2050年の世界はどう変わっているか (立命館)
  • 今後50年で起きる交通手段の変化と生活への影響 (東京)

何かばくぜんとしていて書きにくそうです。せめて東大みたいに分野を限定して欲しいですね。

さて,意見を求めるタイプの自由英作でいちばん多そうなのが,現代のテクノロジー関連のテーマでしょう。

  • コンピューターは生活を改善したか,悪化させたか? (学習院・国際)
  • コンピューターの普及した現代において,人類が得たもの,失ったものそれぞれ1つ (立命館)
  • インターネット利用の問題点 (学習院・国際)
  • テクノロジーに発展による個人間のコミュニケーションの変化をどうとらえるか (早稲田・法)
  • モバイル技術のわたしの生活への影響・現在と未来 (一橋)

中でも,携帯電話については,2000年ごろに自由英作文が激増し始めて以来ずっと最頻出でした。

  • 携帯電話の利点 (学習院・国際)
  • 携帯電話の利用をどう考えるか。健康への影響に関する議論を踏まえて。 (慶應・医)
  • 若者は携帯(その他の電子機器)の奴隷か主人か (上智・外・二次)
  • 携帯電話の利用の利点・欠点 (中央・商)
  • 今日の携帯電話の使われ方をどう思うか? (立命館)
  • 携帯のいい面・悪い面 (東北)

ここには取り上げていませんが,少し前には携帯電話(特にそのマナー)の問題が地方国立大では軒並み出題されたこともあります。今後は少し減るだろうと思っていましたが,まだ健在のようです。

さらに携帯関係では,

  • 高校における携帯持ち込み禁止。賛成 or 反対? (早稲田・法)
  • 12歳未満の子どもには携帯を禁止すべきか? (小樽商科)
  • 小学生は携帯を持つべきか? (鹿児島)

という学校での携帯規制(今年もニュースになっていますよね)やメールについて,

  • 携帯メールでの友人関係に何を求めるか (慶應・医)
  • 手紙と電子メールはどちらが優れているか? (立命館)
  • メールと手紙のどちらが好きか (青山・国際)

という出題もあります。

このへんまでは,高校生にとってもまだ身近な話題と言えるでしょうが,本格的な社会問題を書かせる問題も,もちろんいっぱいあります。

★ 犯罪

  • 日本における犯罪数の推移のグラフを説明し,上のグラフの変化を説明できる理由を2つ以上あげる(北海道)
  • 十代の犯罪増加の原因は何? (青山・国際)
  • 少年犯罪にはメディアにも責任があるだろうか? (上智・外・二次)
  • 犯罪被害者の権利 (青山・法)
  • 外国人による犯罪は増加しているのか? (青山・法)

★ 死刑

  • 死刑は犯罪の予防になるか? (電通)
  • 死刑という手段は使うべきではない? (一橋)

★ 安楽死

  • 安楽死の賛否に関するあなたの考えは?患者本人や家族に安楽死させることを求められたらどう答える? (浜松医科)
  • 安楽死を社会的に受け入れてもいい時期になっている (一橋)

★ 少子化

  • 出生率低下は問題ではない? (一橋)
  • 1. 日本の出生率が低い原因 2. 出生率が低いことは将来にとって問題か,問題ではないか?どちらかの立場で。 (東京外語)
  • 出生率低下を止めるのに役立つ方法(学習院女子・国際文化)
  • 出生率低下による若年労働力不足の解決法 (中央・商)

★ 成人年齢引き下げ

  • 18歳を成人年齢にすることについての賛否 (関西学院・総合政策)
  • 成人年齢が20歳である現状(現状に賛成,引き下げる,引き上げる) (早稲田・法)
  • 成人年齢は多くの外国と同じく18歳にすべき (一橋)

どれも限られた字数と時間では,かなり英語力があってもむずかしいし,上っ面をなでただけの議論になりそうで,出題者ももう少し限定をつけるなり,資料を与えるなりしてほしいところです。

社会的,とはいいにくいですが「外国語(英語)学習」「外国語(英語)教育」の話題も多いようです。

  • 大学生は英語学習を必修とすべきか? (明治学院・心・文・法)
  • 外国語学習は人生にどのようにプラスになるか? (東工大)
  • これまで受けた英語の授業は役に立ったか? (電通)
  • 外国語学習は将来どのような役に立つのか? (一橋)
  • 小学校における英語教育の導入をどう考えるか(小1から?まったくやるべきでない?その中間?) (早稲田・国際)

 

これまで取り上げたのは,頻出問題と呼べそうなものばかりです。受験生は,練習用として「もしこのタイプが出題されたら何を書こうか?」くらいのことは考えておいた方がいいかもしれません。実際に英語で文章を書かなくても,日本語でメモを作る練習にはいいと思います。

当然のことながら,これ以外にたくさんの出題があり,毎年傾向も微妙に変わっています。ただテーマが与えられるだけではなく,長文やグラフなどの資料(英語の)つきの場合も多いですから,そうしたものにも慣れておく必要があります。

 

最後に僕のお気に入りの問題。

  • 動物園の良い点と問題点両方 (立命館)
  • あなたがペットなら,どんな主人がいい? (慶應・医)
  • あなたの人生が映画だとしたら,そのタイトルは?なぜ? (一橋)
  • 絶海の孤島で流れ着いた7人のうち1人しか連れ戻せないとしたら誰を選ぶ?(ただし残りの人も死にはしないし,救出の可能性もある。7人はアメリカ副大統領,妊婦,ふつうの十代の少女,国際的に有名な医者,著名な科学者,中年の糖尿病のおっさん,牧師) (青山・国際)

最後の問題をネタに使ったことがありますが,書いてきた生徒は副大統領を選びました。

「この人の力を使って,残りの人の救援隊を派遣させる。いいアイデアでしょ。」

まあね。でも,一人だけ帰って来ちゃったら,次の選挙は危ないかもね。

 

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

無人島に流れ着いたら? – 自由英作文のテーマ(1)

12月
2008
18
この記事の印刷用バージョン

ここのところ,大学入試の「自由英作文問題」のテーマを集めてきましたが,いちおう完成しました。

 

次の3つは2001年~2008年までの主な私大・国公立大の自由英作文問題のテーマを大ざっぱにまとめたものです。テーマを日本語で簡潔に要約したリストです。一部は問題の現物を用意してあります。

全体的に見ると,

  • テーマだけが言葉で与えられている
  • 日本文・英文・グラフ・表 が与えられて,それについて論評する

と,形式的には2つの異なるタイプがあります。

また,求められているテーマも

  1. おもに個人的体験・感想など,どう「感じるか」を問うもの
  2. おもに自分の意見など,どう「考えるか」を問うもの

の2タイプがあります。タイプ2の方が論理的思考・記述が要求されるためむずかしいようにも思えますが,そもそも世の中で議論百出の大きなテーマを限られた語数で書け,しかも限られた時間で,しかも英語で,しかも論理的に飛躍なく,というのもかなりのムチャブリです。

各大学ともかなり考えた上で作問しているようです(そうは見えないところもあるが)。おもしろい問題も多々あります。逆に,似たような問題が出題されることもけっこうあります。考えた上でのことなのか,それとも単なるパクリなのか,聞いてみたいところですが。

以下では,よく見かけるタイプを少し取り上げてみます。

まず,面接の口頭試問で聞かれるようなこと。

まずは,好きな本,映画など。

  • 一番影響を受けた映画 (青山・国際)
  • あなたが大切なことを教わった本,映画,マンガ,アニメの一場面 (大阪)

それに,尊敬する人

  • あなたがりっぱだと思う人 (学習院・国際)
  • もっとも尊敬する人物は誰? (立命館)
  • あなたがもっともりっぱだと思う人物は?(死者でも) (一橋)

なんていうのは,そこそこありますが,それほど多くはないようです。

多いのは,

  • 自分がこれまでに受けてきた学校教育の良かった点,悪かった点 (中央・商)
  • これまでの学校生活でもっとも印象に残る経験 (立命館)
  • 高校であなたがやり遂げた一番大切なこと (小樽商科)
  • 高校時代のいちばん心躍る出来事 (福島)
  • 我が人生最良の時 (茨城)
  • これまでの学校生活で最も印象に残ったこと,そこから学んだこと (福岡教育)
  • 部活・ボランティアなどの課外活動に参加した(しなかった)ことによって得たもの,失ったもの (福岡教育)
  • 人間形成にいちばん大きな影響を与えたもの (奈良女)
  • 自分の人生で最もやりがいのあった,または心躍った体験
  • これまでの学校生活でもっとも印象に残る経験 (立命館)

など,高校生活(それ以前もアリ)を振り返って,というやつです。これをちょっとひねったパージョンが,

  • 自分の高校の校長だったら学校をどう変える? (青山・国際)
  • 自分の高校について一つの点を変えられるとしたら,何をなぜ変える? (神戸市外国語)
  • 母校の校長になれるとしたら何をするか? (広島)

というタイプです。もっと抽象的な課題としては,

  • これまでに選択を迫られた時にどのように決断したか,具体的に (中央・商)
  • あなたがこれまでに下した大きな決断について(条件付き) (東京)

というのもあります。逆にもっと絞り込んで,趣味に限定すると,

  • あなたの趣味は?それによってどのように人生が豊かなものになった? (青山・文)
  • あなたの趣味と,どうしてそれに興味を持ったか? (学習院・国際)

なんていう課題になります。

以上は,「過去を振り返る」型といえるでしょう。

ざっと見た感じで,いちばんよく見かけるのは,

  • 自分が住みたい国 (青山・国際)
  • 一番行きたい国 (学習院・国際)
  • 行きたい国 (関西学院・経済)
  • 世界のどこにでも行けるなら,どこに旅行に行く? (慶應・看護)
  • 世界の中で行きたい国 (東京女子大)
  • 世界のどこに住みたいか? (明治学院・経・社)
  • あなたが住みたいと思っているところは? (福岡教育)
  • 日本以外の国(地域)に生まれて育つとしたら,どこで・なぜ? (東北)
  • いちばん行きたい場所 (一橋)
  • 今まで行ったことのある観光地でもう一度行ってみたいところ (大阪)

というものです。それぞれ「行く」だったり,「住む」だったり,少しずつ違うことが求められてはいますが,おそらくこのタイプと,上の「これまでの人生・高校生活を振り返って」型がいちばんの頻出問題ということになりそうです。この「住む」「行く」関係では,

  • 都市に住みたいか,田舎に住みたいか? (慶應・看護)
  • 田舎,都会,どこに住みたいか? (秋田県立)
  • 田舎の一軒家,都会のアパート,どちらに住みたいか? (宮城教育)
  • 大都市に住みたいか,田舎に住みたいか? (福島)

とか,

  • 山と海のどっちに行くか? (青山・国際)
  • 夏に海と山のうち,どちらに行くのが好き? (立命館)

なんていうのもあります。

ずばり価値観を問うものは,

  • 金と時間,どちらが大切? (秋田県立)
  • 金銭,健康,家族のうち,あなたにとって一番大事なものは? (立命館)

なんていうのもありますが,選択肢が「金銭,健康,家族」じゃあ,金は思っていたって選びにくいですよね。

  • 「嘘も方便」「嘘つきは泥棒の始まり」。あなたはどっちに賛成? (福井県立)
  • ウソをつくことは許される? (早稲田・国際)
  • ウソをつくのは悪いことか? (大阪)

ふつう論説文タイプの設問では,賛成・反対どちらかの立場に立つことが求められますが,こんな問い方をされたら,「時と場合による」としか答えようがないと思うんですが...

案外,時々見かけるのが,無人島シミュレーション。

  • 無人島に持って行きたい3つのもの (青山・国際)
  • 船が難破しひとりで無人島に流されたなら (中央・商)
  • 無人島に漂着したら優先的にやるべきこと (東北)
  • 無人島に取り残されたら。 (群馬県立女子)

なんか,ありがちですよね。仲間うちや恋人同士で会話が途切れた時に出るネタです。東北大だけ「やるべきこと」ですから,こちらはもっとプラクティカルなことを聞いていますが。

  • 1億円あったらどうする? (一橋)
  • あなたの家族が宝くじで1000万円当たったらどう使う? (東北)

金額が一桁違っていますが....これって,東京と地方の違い?一橋受験生はお金持ちだから,1000万じゃ現実的すぎてシミュレーションにならないってことなの?

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

« これ以前の記事 これ以後の記事 »