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自由英作文のためのいろいろな表現 2

2月
2009
6
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昨日のつづきです。

即席でそれなりの答案を作る方法について『パターンで書く自由英作文 【合格最低ラインを狙う】』をまとめましたが,そこで触れたパターンで使う小道具がこれです。ばらばらの文の羅列を,まとまった論理的構築物にするためには,どうしててもこうした小道具が不可欠です。

 

「第一に・・・,第二に・・・」 ― ポイントを列挙する

  • First, ・・・・. Second, ・・・・. 「・・・・」の部分は,いくつもの文からなる長い論述でもいいし,単語だけの短い列挙でもOK。
  • Firstly, ・・・・. Secondly, ・・・・. 上と同じだけれど,こちらの方が硬い表現だと言われます。

序数(first, second)を使うと,最初からいくつのポイントを述べるかが決まっているようで,頭良さそうだけど少し堅苦しいと感じる場合は,次のように「まず」→「その上さらに」という展開も考えられます。

  • To begin with, ・・・. / First of all, ・・・. / For a start, ・・・. 「まず第一に」
  • Moreover, ・・・. / Furthermore, ・・・. 「その上」「さらに」 これが「第二に」の代わりに使えます。これらと同じ意味を持つものに, besides / in addition がありますが,この2つは「第二に」というよりは「おまけとして言っておくと」というようなやや軽い響きがあります。(さらに弱い「どうでもいいけどついでに言っておくと」という感じなのが for that matter)

上を組み合わせて,To begin with, ・・・ → Moreover, ・・・ という流れになります。

もう少し自由にまとめたければ,There is one problem, which ・・・. And another problem is that ・・・. のような,one … another … を組み合わせて使う方法もあります。

 

「確かに~だが」 ― 譲歩できるところまで譲歩し,その分だけ後の主張を強調する

  • It is true that ・・, but ~     「なるほど・・・だが,~」
  • ・・・ may ・・・, but ~       「・・・かもしれないが,~」
  • ・・・ certainly ・・・, but ~      「 確かに・・・だが,~」
  • ・・・ of course ・・・, but ~     「  もちろん・・・だが,~」
  • ・・・ indeed ・・・, but ~      「 確かに・・・だが,~」
  • ・・・ no doubt ・・・, but ~      「 確かに・・・だが,~」

これらにおいて,前半は but 以下を言うための布石にすぎません。「彼らの言ってることも・・・だし,わかるよ。わかるけど,やっぱり~」という感じ。当然,重点は後半にあります。but を使う代わりに,however を使ったり,前半の最初に Though を使う方法もあります。

 

「しかしながら」 ― 逆接語はその後が強くなる

  • But     「しかし」
  • Yet     「しかしながら、それでも」(文頭)
  • Still     「やはり」(文頭)
  • however     「しかしながら」
  • nevertheless     「それにもかかわらず」

but, yet, still の3つは等位接続詞(yet は and yet,still はbut still という副詞的用法も )で,後には S + V を伴います。それに対し下の3つは副詞(句)なので,文中での位置は比較的自由です。

〇 I made a serious mistake, but she knows about it.

☓ I made a serious mistake, however, she knows about it.

〇 I made a serious mistake. However, she knows about it.

〇 I made a serious mistake. She, however, knows about it.

 

「その一方,それに対し」 ― 対比・対照のパターン

  • on the other hand     「他方で,その一方」
  • in contrast, 「それとは対照的に」
  • ・・・, while ~     「・・・,その一方~」
  • ・・・, whereas ~     「・・・,その一方~」

上の二つは副詞句。ピリオドで切れた前の文とこれ以下の文を対比します。下の二つは接続詞なので, S + V ・・・, while S + V ~ のように文と文をカンマ+ while でつなぎます。

 

「たとえば」 ― 例を挙げる

  • Take ~ for example. 「~を例に挙げて(考えて)みよう」
  • for instance     「例えば」
  • for example     「例えば」
  • ・・・, say, ~     「・・・,例えば,~」
  • such as …     「・・・のような」
  • to name just a few. 「ほんの二,三挙げると」

Take ~ for example[as an example]. は「~の例を挙げて論じてみよう」という感じなので,そのあとでその例についてじっくり書かなければなりません。

say や such as は,その後にふつう名詞が来ます。

to name just a few は, Modern cities have a lot of major problems; about crimes, overpopulation, many kinds of pollution, to name just a few. のように使います。

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス, 英語ワンポイント | No Comments »

自由英作文のためのいろいろな表現1

2月
2009
4
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『自由英作文のための表現集』をこのサイトの「ページ」の方で計画中なのですが,ちょっと時間がかかりそうなので,こちらに草稿段階のものを載せることにしました。読解の手がかりとしてのつなぎ言葉を扱った Discourse Markers (指標語)というページもあります。

 

「・・・だと思う」 ― 意見をそのまま自分の考えとして提示する

「思う」「考える」をいつも I think で書くのは芸がないし,いちいち「・・・だと思う」と言う必要もない。言い切ってしまってもかまわないから,以下のものを使わない手もある。

  • I think that  S + V これがいちばん当たり前だけど,多用しないこと
  • I guess S + V, I believe S + V これらは I think とほぼ同じように使える
  • I am sure (that) S + V 「きっと・・・だと思う」というやや強めの表現
  • I cannot help thinking S + V 「・・・だと考えざるをえない」 なぜそれしか「考えの選択肢」がないのかの理由も述べておかないとまずいでしょう
  • I have to say that S + V 「・・・だと言わねばならない」 これも強いですね
  • It seems to me that S + V 「・・・ように思える」 逆にこれは弱め。 I seem … ではなく,形式主語を用いることに注意

 

「・・・だそうだ」 ― 伝聞・人から聞いたこと

もちろん, A scholar says … 「ある学者は・・・だと言っている」とか, I once read a newspaper article, which said … 「ある新聞記事を読んだことがあるのだが,それは・・・だと言っていた」というような書き方もアリです。

  • I hear S + V 「・・・だそうだ」 実際に聞いたのは過去でも,現在形を用いることに注意。特定の人に聞いたことというより,世間で言われていること
  • according to ~ 「~によれば」 これはおなじみでしょう。これを使う時は,S + say などを使う必要はない。つまり,☓ According to him, he says …
  • I was told that S + V 「・・・だと聞いた(ことがある)」 こちらは特定の人に聞いたこと。直訳では,「・・・と言われた」。誰に聞いたかも言いたければ, I was told by one of my teachers that … のようになる
  • We often hear it said that S + V 「しばしば・・・と言われるのを耳にする」 形式目的語を用いた表現。当然,世間でよく言われていることや決まり文句などを後にもってくる

 

「言い換えると」「要するに」 ― 同じ内容を,別の言葉で言い換える時

会話では, I mean をつなぎ言葉的に使って,"…, I mean, ~" 「・・・,つまり,~」が便利ですが,書き言葉では次のようになります。

  • In other words, … 「言い換えると,・・・」
  • to put it another way, … 「言い換えると,・・・」
  • By that, I mean … 「その言葉でわたしが言いたいのは,・・・」
  • that is (to say), … 「すなわち,つまり・・・」

これらを使わずに,コロン(:)でつなげる手もあります。There still remains an important issue: how we should spend the money. 「まだ重要な問題が残っている,つまり,いかにその金を使うべきかである」

言い換えは言い換えでも,前言を要約した言い換えは,

  • in short, … 「要するに」 いちばん簡単な表現
  • to make a long story short 「要するに」 直訳すると「長い話を短くすると」
  • to sum up 「要約すると」

この要約を最終部で行えば,次の,結論を導入する表現になります。

 

「結論として」 ― 最終的結論を述べる

最初にすでに同じことを言ってあれば,最後の部分に結論は必要ありません。最初でテーマの提示だけしかしていないなら,結論が必要になります。

  • in conclusion 「結論としては」
  • I [We] can conclude that S + V 「・・・と結論づけることができる」
  • I [We] can draw a conclusion that S + V 「・・・という結論を引き出すことができる」 これらは最終パラグラフに書くのがいいでしょう。 can を must にすることもできます。
  • It may be said that S + V 「・・・と言っていいだろう」これは結論以外でも使えますが,結論として使うとかなり弱め,控えめになります。断言を避けたがる日本人向けではありますが。

 

「だから,だとすれば」 ― 論理を一歩前に進める

<原因 → 結果> を述べる表現。「その結果」「だから」「従って」「それゆえに」などのはたらきです。いちばん簡単なのは, so ですね。

  • accordingly, therefore 「だから,したがって,それゆえ」 文頭だけでなく,文中に挿入することも可能
  • hence, thus 語源的な意味は, hence = from here 「ここから(次のことが言える)」, thus = in this way 「このようにして(次のようになる)」 hence は少し硬い文書で使う。
  • as a result 「その結果として」 「その」と訳すけれども the ではなくて a です。
  • for this reason 「この理由のために」 理由が複数あれば for these reasons。 this(these)の代わりに, that(those)も。
  • That’s why S + V 「そういうわけで・・・」 文法でやったと思いますが, That is the reason why S + V のthe reasonが省略されています。直訳は「それが・・・の理由だ」。 That を This にしてもOK。
  • It follows that S + V 「したがって,・・・ということになる」 直訳すると「・・・ということが後に続く」。前文を受けて,前文の論理的帰結として「・・・」が言える,ということ。
  • If so, … 「だとすれば」 直訳すると「もしそうならば」ということ。

 

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス, 英語ワンポイント | No Comments »

センター入試直前のおせっかい的アドバイス(2)

1月
2009
14
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昨日の アドバイス(1) のつづき。

 

交通ルートの確認

特に地方から上京する人などが注意ですが,たとえば東京の都心部の地下鉄の乗り換えなどは,都民であっても複雑で迷ってしまうこともあります。予行演習が必要かもしれません。逆に,八王子のような大学密集地域では人の流れについていけばたどり着けることもありますが,たまたま同じ日程で別の大学でも入試があると,ついていくととんでもないはめになることも。

 

準備しておくもの

  • 受験票 — あたりまえ
  • 指定されている筆記用具類
  • 腕時計 — 携帯は使えません
  • チョコレート — 脳の栄養
  • くすり — 「ストッパ下痢止め」あたり
  • 衣類 — 手袋,脱ぎやすいセーターなど,カイロのたぐい
  • 大学の連絡先を携帯に登録しておく — 試験当日雪が降ったり,交通が止まったりすると試験時間がずれる可能性が高いので
  • その他,大学のホームページで確認しておいてください

 

当日は早めに

僕がこれまででいちばん緊張したテストは,意外なことに運転免許の卒検の実技テストかもしれません。ホントはぜんぜん緊張していなかったのですが,5人くらいまとめてテストされるうちの最後の順番になってしまい,ただ待つだけの時間が延々と続いて緊張したようです。

何もすることがないとかえって緊張しやすいから,時間に余裕を持たせすぎない方がいいという考え方もあり得るのですが,しかし,入試の試験場では単語集だのテキストだのを見ることができます。直前に見た熟語が出題されたなんてことはよくあることです。試験場には早めに入って,せっせと勉強しているのを勧めます。

センターはちょっと違うかもしれませんが,試験場ではこれ見よがしに参考書(むずかしいことで有名な参考書)を,しかも手垢で汚れきったやつをぱらぱらめくっている人なんかもいます。もちろんハッタリです。気にしてはいけません。なんなら,あなたも単語集を真っ黒に汚してから試験会場に向かうってのもいいかも。

 

プレッシャー

以前のテレビ番組で,「プレッシャーを克服する方法は?」と問われたマリナーズのイチローは,いろいろやってみたけど,そんな方法はない,と答えていました。

スポーツ選手は「プレッシャーを楽しんで」などとも言いますが,そう簡単に楽しめるわけもありません。でも,プレッシャーや緊張を押さえ込もうとすると,逆に緊張感は高まるものです。思い切ってプレッシャーに身を任せつつ,目の前にあるやるべきことを一つずつこなしていく,それくらいしかテはないでしょう。大学受験で人生が決まってしまうわけではありません。大学受験で決まってしまうような人生にするべきではありません。

 

最後の最後まで

あきらめない。

試験終了の5, 6分前に突然ひらめいた,という経験が僕には2回ほどあります。ひらめくかどうかは,問題に集中しているかどうか,集中しつつ「別の考え方はできないか?」と頭を切り換えることができるかどうかにかかっているような気がします。

あとは開き直りと自分を信じることしかないでしょう。

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス, 高校生向け | No Comments »

センター入試直前のおせっかい的アドバイス(1)

1月
2009
13
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今週末のセンター試験(2009)は,関東地方では雪の心配もなさそうで,気温もそこそこ上がりそうなようすです。

直前から当日にかけて,何をどうすべきか少し考えてみます。

センター英語の直前対策については,こっちのページgoupに書きましたので,ここではもっと生活面よりのはなしです。

 

夜型を朝型にする?

「日常生活を朝型に変える」というのは,受験生の周囲の親・教師からメディアに至るまでみんな言っていることで,間違ってはいないと思いますが,それほど大げさな努力が必要だとも思いません。自分の経験から言えば,朝から100%の力を発揮できるようにするためには,試験前の2, 3日だけ試験当日と同じスケジュールで早寝早起きするというぐあいに切り替えれば,十分対応できるでしょう。別に「型」というほどのことでもありません。

 

かぜを引かない

あたりまえですね。人が密集している場所を避けるとか,マスクをするとか,うがい・手洗いをめんどくさがらずにこの期間だけでもやるとかです。

かぜを引くたびに僕が行く医者は毎回,「かぜのウィルスは嫌気性なので,部屋の湿度を上げなさい」と言っています。というわけで,先日加湿器を購入したのですが,なんだかよさげです。かなり安いものもあるので(ぼくのも4000円くらい),オススメしておきます。以前に買った2000円くらいのやつは2ヶ月でこわれましたが。

 

あきらめない

直前(1週間前くらい)になると,勉強をペースダウンすべきという意見もありますが,どうでしょうか。

英語で言えば,暗記物に重点を置くことになりますが,といって長文をやるべきではないということではないと思います。新しい長文問題をやるより,復習に重点を置くべきでしょう。一度読んだ長文を,問題は解かなくていいから,片っ端から音読していく(もちろん意味も考えながらゆっくり)ことで,英語を読む感覚をつかむ(維持する)ことはたいせつです。

単語・熟語は,覚えるコツをつかんだ人なら一晩で200や300覚えることは可能です。僕は大学の時のドイツ語の試験で500語くらい一晩で覚えました。ただし,これだと記憶は1日しかもちません。テスト対策としてはそれでもいいのですが。

 

あまりこまかい時間配分をしない

別の箇所にも書きましたが,「大問1で5分,2の1で10分」とかのこまかい時間配分計画は,かえって足を引っ張る可能性があります。ちょっとした傾向の変化に対応できなくなるからです。さらに,こまかい計画をたててしまうと,少し破綻しただけであせってしまう,という危険性もあります。いちばんいいのは,過去問で時間感覚を体感しておくこと。ちょっと遅れ気味だな,とかいうのを時計ではなく感覚で判断できるようにしておくことです。

ただし,これはあくまでも理想論なので,文法系で××分,最後の長文に××分残しておく,くらいの配分はしておいた方がいいかもしれません。

 

どういう順番でやるか(文法から?長文から?)

これに悩む人も結構多いのですが,まあ平均点をコンスタントに越えられる人なら,1番から順にやっていけばかまいませんし,自分の好みでどこからはじめてもOKです。途中から始めると,×番の問題を飛ばしていたことを忘れて時間配分に失敗するという副作用がないわけではありませんから,そこは注意です。

順番よりだいじなのは,お手上げの問題にどこで見切りをつけるかのタイミングです。捨てるべき問題は勇気を持って捨てる必要があります。ただし,捨てるべき時も「答はこれかこれのどっちかじゃないかな?」くらいに絞り込んでおき,問題用紙には?マークか何かをつけ,マークシートにはあとで時間がなくなった場合のために,とりあえず答をマークしておく方が安全です。

英語が苦手な人は,順番を工夫してもいいでしょう。基本は「得意な分野からやる」ということです。

「得意な分野なんかない」って人はどうするか。そりゃ順番にやるしかないでしょ。

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

また無人島? — 自由英作文のテーマ(2)

12月
2008
19
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昨日の記事のつづきです。

 

元になっているデータは以下のとおり。

 

昨日は,パーソナルな話題をテーマにしたものを挙げてみましたが,今回はもっと社会性のある問題,時事的な問題の中から,「自由英作文問題」で頻出するテーマを拾ってみます。

 

まず「過去を振り返る」タイプとしては,「過去」に幅がありますが,

  • 20世紀の日本の出来事で最も重要なのは何? (中央・商)
  • 20世紀で最も重要な変化についての意見と,その変化が自分の生活に与えた影響
  • 過去数年のニュースで興味深い・重要だと思った出来事 (香川)
  • この1年で世界に起きた出来事のうち,最も重要なものは何か? (立命館)

そしてこれをやや科学技術方面に限定したものが,

  • (1) 20世紀で最も偉大な発明発見 (2) それが偉大である理由 (3) それはむしろ最悪だ,という反論 (東京)
  • 20世紀で最も重要な発明品は何 (立命館)

というものでしょう。

ところでこの東大の問題のように,東大は「一つの事象について相反する見方で見る」という複眼視点問題がよくでてきます。2002年の「(1) もし1月の休暇と十分なお金があればどんな休暇を過ごすか?(2) その意見への反論」というようなタイプです。語数が多くないので,深い議論はできませんが。

話を戻して,今度は「未来予測」型。

  • 今から50年後の世界はどうなっている? (青山・国際)
  • 2050年の世界はどう変わっているか (立命館)
  • 今後50年で起きる交通手段の変化と生活への影響 (東京)

何かばくぜんとしていて書きにくそうです。せめて東大みたいに分野を限定して欲しいですね。

さて,意見を求めるタイプの自由英作でいちばん多そうなのが,現代のテクノロジー関連のテーマでしょう。

  • コンピューターは生活を改善したか,悪化させたか? (学習院・国際)
  • コンピューターの普及した現代において,人類が得たもの,失ったものそれぞれ1つ (立命館)
  • インターネット利用の問題点 (学習院・国際)
  • テクノロジーに発展による個人間のコミュニケーションの変化をどうとらえるか (早稲田・法)
  • モバイル技術のわたしの生活への影響・現在と未来 (一橋)

中でも,携帯電話については,2000年ごろに自由英作文が激増し始めて以来ずっと最頻出でした。

  • 携帯電話の利点 (学習院・国際)
  • 携帯電話の利用をどう考えるか。健康への影響に関する議論を踏まえて。 (慶應・医)
  • 若者は携帯(その他の電子機器)の奴隷か主人か (上智・外・二次)
  • 携帯電話の利用の利点・欠点 (中央・商)
  • 今日の携帯電話の使われ方をどう思うか? (立命館)
  • 携帯のいい面・悪い面 (東北)

ここには取り上げていませんが,少し前には携帯電話(特にそのマナー)の問題が地方国立大では軒並み出題されたこともあります。今後は少し減るだろうと思っていましたが,まだ健在のようです。

さらに携帯関係では,

  • 高校における携帯持ち込み禁止。賛成 or 反対? (早稲田・法)
  • 12歳未満の子どもには携帯を禁止すべきか? (小樽商科)
  • 小学生は携帯を持つべきか? (鹿児島)

という学校での携帯規制(今年もニュースになっていますよね)やメールについて,

  • 携帯メールでの友人関係に何を求めるか (慶應・医)
  • 手紙と電子メールはどちらが優れているか? (立命館)
  • メールと手紙のどちらが好きか (青山・国際)

という出題もあります。

このへんまでは,高校生にとってもまだ身近な話題と言えるでしょうが,本格的な社会問題を書かせる問題も,もちろんいっぱいあります。

★ 犯罪

  • 日本における犯罪数の推移のグラフを説明し,上のグラフの変化を説明できる理由を2つ以上あげる(北海道)
  • 十代の犯罪増加の原因は何? (青山・国際)
  • 少年犯罪にはメディアにも責任があるだろうか? (上智・外・二次)
  • 犯罪被害者の権利 (青山・法)
  • 外国人による犯罪は増加しているのか? (青山・法)

★ 死刑

  • 死刑は犯罪の予防になるか? (電通)
  • 死刑という手段は使うべきではない? (一橋)

★ 安楽死

  • 安楽死の賛否に関するあなたの考えは?患者本人や家族に安楽死させることを求められたらどう答える? (浜松医科)
  • 安楽死を社会的に受け入れてもいい時期になっている (一橋)

★ 少子化

  • 出生率低下は問題ではない? (一橋)
  • 1. 日本の出生率が低い原因 2. 出生率が低いことは将来にとって問題か,問題ではないか?どちらかの立場で。 (東京外語)
  • 出生率低下を止めるのに役立つ方法(学習院女子・国際文化)
  • 出生率低下による若年労働力不足の解決法 (中央・商)

★ 成人年齢引き下げ

  • 18歳を成人年齢にすることについての賛否 (関西学院・総合政策)
  • 成人年齢が20歳である現状(現状に賛成,引き下げる,引き上げる) (早稲田・法)
  • 成人年齢は多くの外国と同じく18歳にすべき (一橋)

どれも限られた字数と時間では,かなり英語力があってもむずかしいし,上っ面をなでただけの議論になりそうで,出題者ももう少し限定をつけるなり,資料を与えるなりしてほしいところです。

社会的,とはいいにくいですが「外国語(英語)学習」「外国語(英語)教育」の話題も多いようです。

  • 大学生は英語学習を必修とすべきか? (明治学院・心・文・法)
  • 外国語学習は人生にどのようにプラスになるか? (東工大)
  • これまで受けた英語の授業は役に立ったか? (電通)
  • 外国語学習は将来どのような役に立つのか? (一橋)
  • 小学校における英語教育の導入をどう考えるか(小1から?まったくやるべきでない?その中間?) (早稲田・国際)

 

これまで取り上げたのは,頻出問題と呼べそうなものばかりです。受験生は,練習用として「もしこのタイプが出題されたら何を書こうか?」くらいのことは考えておいた方がいいかもしれません。実際に英語で文章を書かなくても,日本語でメモを作る練習にはいいと思います。

当然のことながら,これ以外にたくさんの出題があり,毎年傾向も微妙に変わっています。ただテーマが与えられるだけではなく,長文やグラフなどの資料(英語の)つきの場合も多いですから,そうしたものにも慣れておく必要があります。

 

最後に僕のお気に入りの問題。

  • 動物園の良い点と問題点両方 (立命館)
  • あなたがペットなら,どんな主人がいい? (慶應・医)
  • あなたの人生が映画だとしたら,そのタイトルは?なぜ? (一橋)
  • 絶海の孤島で流れ着いた7人のうち1人しか連れ戻せないとしたら誰を選ぶ?(ただし残りの人も死にはしないし,救出の可能性もある。7人はアメリカ副大統領,妊婦,ふつうの十代の少女,国際的に有名な医者,著名な科学者,中年の糖尿病のおっさん,牧師) (青山・国際)

最後の問題をネタに使ったことがありますが,書いてきた生徒は副大統領を選びました。

「この人の力を使って,残りの人の救援隊を派遣させる。いいアイデアでしょ。」

まあね。でも,一人だけ帰って来ちゃったら,次の選挙は危ないかもね。

 

 

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

無人島に流れ着いたら? – 自由英作文のテーマ(1)

12月
2008
18
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ここのところ,大学入試の「自由英作文問題」のテーマを集めてきましたが,いちおう完成しました。

 

次の3つは2001年~2008年までの主な私大・国公立大の自由英作文問題のテーマを大ざっぱにまとめたものです。テーマを日本語で簡潔に要約したリストです。一部は問題の現物を用意してあります。

全体的に見ると,

  • テーマだけが言葉で与えられている
  • 日本文・英文・グラフ・表 が与えられて,それについて論評する

と,形式的には2つの異なるタイプがあります。

また,求められているテーマも

  1. おもに個人的体験・感想など,どう「感じるか」を問うもの
  2. おもに自分の意見など,どう「考えるか」を問うもの

の2タイプがあります。タイプ2の方が論理的思考・記述が要求されるためむずかしいようにも思えますが,そもそも世の中で議論百出の大きなテーマを限られた語数で書け,しかも限られた時間で,しかも英語で,しかも論理的に飛躍なく,というのもかなりのムチャブリです。

各大学ともかなり考えた上で作問しているようです(そうは見えないところもあるが)。おもしろい問題も多々あります。逆に,似たような問題が出題されることもけっこうあります。考えた上でのことなのか,それとも単なるパクリなのか,聞いてみたいところですが。

以下では,よく見かけるタイプを少し取り上げてみます。

まず,面接の口頭試問で聞かれるようなこと。

まずは,好きな本,映画など。

  • 一番影響を受けた映画 (青山・国際)
  • あなたが大切なことを教わった本,映画,マンガ,アニメの一場面 (大阪)

それに,尊敬する人

  • あなたがりっぱだと思う人 (学習院・国際)
  • もっとも尊敬する人物は誰? (立命館)
  • あなたがもっともりっぱだと思う人物は?(死者でも) (一橋)

なんていうのは,そこそこありますが,それほど多くはないようです。

多いのは,

  • 自分がこれまでに受けてきた学校教育の良かった点,悪かった点 (中央・商)
  • これまでの学校生活でもっとも印象に残る経験 (立命館)
  • 高校であなたがやり遂げた一番大切なこと (小樽商科)
  • 高校時代のいちばん心躍る出来事 (福島)
  • 我が人生最良の時 (茨城)
  • これまでの学校生活で最も印象に残ったこと,そこから学んだこと (福岡教育)
  • 部活・ボランティアなどの課外活動に参加した(しなかった)ことによって得たもの,失ったもの (福岡教育)
  • 人間形成にいちばん大きな影響を与えたもの (奈良女)
  • 自分の人生で最もやりがいのあった,または心躍った体験
  • これまでの学校生活でもっとも印象に残る経験 (立命館)

など,高校生活(それ以前もアリ)を振り返って,というやつです。これをちょっとひねったパージョンが,

  • 自分の高校の校長だったら学校をどう変える? (青山・国際)
  • 自分の高校について一つの点を変えられるとしたら,何をなぜ変える? (神戸市外国語)
  • 母校の校長になれるとしたら何をするか? (広島)

というタイプです。もっと抽象的な課題としては,

  • これまでに選択を迫られた時にどのように決断したか,具体的に (中央・商)
  • あなたがこれまでに下した大きな決断について(条件付き) (東京)

というのもあります。逆にもっと絞り込んで,趣味に限定すると,

  • あなたの趣味は?それによってどのように人生が豊かなものになった? (青山・文)
  • あなたの趣味と,どうしてそれに興味を持ったか? (学習院・国際)

なんていう課題になります。

以上は,「過去を振り返る」型といえるでしょう。

ざっと見た感じで,いちばんよく見かけるのは,

  • 自分が住みたい国 (青山・国際)
  • 一番行きたい国 (学習院・国際)
  • 行きたい国 (関西学院・経済)
  • 世界のどこにでも行けるなら,どこに旅行に行く? (慶應・看護)
  • 世界の中で行きたい国 (東京女子大)
  • 世界のどこに住みたいか? (明治学院・経・社)
  • あなたが住みたいと思っているところは? (福岡教育)
  • 日本以外の国(地域)に生まれて育つとしたら,どこで・なぜ? (東北)
  • いちばん行きたい場所 (一橋)
  • 今まで行ったことのある観光地でもう一度行ってみたいところ (大阪)

というものです。それぞれ「行く」だったり,「住む」だったり,少しずつ違うことが求められてはいますが,おそらくこのタイプと,上の「これまでの人生・高校生活を振り返って」型がいちばんの頻出問題ということになりそうです。この「住む」「行く」関係では,

  • 都市に住みたいか,田舎に住みたいか? (慶應・看護)
  • 田舎,都会,どこに住みたいか? (秋田県立)
  • 田舎の一軒家,都会のアパート,どちらに住みたいか? (宮城教育)
  • 大都市に住みたいか,田舎に住みたいか? (福島)

とか,

  • 山と海のどっちに行くか? (青山・国際)
  • 夏に海と山のうち,どちらに行くのが好き? (立命館)

なんていうのもあります。

ずばり価値観を問うものは,

  • 金と時間,どちらが大切? (秋田県立)
  • 金銭,健康,家族のうち,あなたにとって一番大事なものは? (立命館)

なんていうのもありますが,選択肢が「金銭,健康,家族」じゃあ,金は思っていたって選びにくいですよね。

  • 「嘘も方便」「嘘つきは泥棒の始まり」。あなたはどっちに賛成? (福井県立)
  • ウソをつくことは許される? (早稲田・国際)
  • ウソをつくのは悪いことか? (大阪)

ふつう論説文タイプの設問では,賛成・反対どちらかの立場に立つことが求められますが,こんな問い方をされたら,「時と場合による」としか答えようがないと思うんですが...

案外,時々見かけるのが,無人島シミュレーション。

  • 無人島に持って行きたい3つのもの (青山・国際)
  • 船が難破しひとりで無人島に流されたなら (中央・商)
  • 無人島に漂着したら優先的にやるべきこと (東北)
  • 無人島に取り残されたら。 (群馬県立女子)

なんか,ありがちですよね。仲間うちや恋人同士で会話が途切れた時に出るネタです。東北大だけ「やるべきこと」ですから,こちらはもっとプラクティカルなことを聞いていますが。

  • 1億円あったらどうする? (一橋)
  • あなたの家族が宝くじで1000万円当たったらどう使う? (東北)

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

ノートは美しいか? (ノートのはなし 2)

12月
2008
3
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「東大合格生のノートはかならず美しい」(太田あや著 文藝春秋)という本がある。売れに売れている,というはなしだ。近所の本屋ではレジ前に平積みである。

それにしても,なタイトルではある。まあ,タイトルをつけるのは著者ではなく編集者だろうから,そして昨今は(昔から?)タイトルと企画力と営業力で売り上げは決まってしまうだろうから,文句を言うのも大人げない気はするが,中身も東大,東大とけっこううるさい。タイトルが「東大生の」ではなく「東大合格生の」になっているのは,東大に合格しながら他の大学に行った人を含めているのかな,と思ったが出てくるのは東大生ばかりで,「合格」をつけているのはこの本のターゲットが受験生であることを示しているにすぎないらしい。「『これは使える!』と学生のみならず大人からも大反響!」というのがうしろの帯に踊る文句だが,この程度のことに大人が大反響してはいけません。でもきっと買っている人の大半は大人なのだろうな。

結論から言えば,悪い本ではない。

「ああしろ,こうすべき」という教師目線ではなく,学生(「東大合格生」)の声とノートの写真を中心に構成している。高校生なら,ノートの写真を眺めるだけでも参考にはなる。おまけに,そのノートたちがたいして美しくないところがよい。

筆者は「東大合格生」のノート収集から「7つの法則」を引き出している。いわく,

  1. とにかく文頭は揃える
  2. 写す必要がなければコピー
  3. 大胆に余白をとる
  4. インデックスを活用
  5. ノートは区切りが肝心
  6. オリジナルのフォーマットを持つ
  7. 当然,丁寧に書いている

うーむ。ま,よろしいんじゃないでしょうか。あたりまえのこと,と言ってもいいのだが,確かに当たり前のことしか書きようがない。

1.は文頭を揃えると言うより,インデントを意識する,の方がいいかな。

2.はそのとおり。英語の長文を書き写す必要はない。

3. や 5. は,案外,生徒に浸透していないことかもしれない。ぎゅうぎゅう詰めに書く生徒は多い。

4.は科目によっては必要ない。

7.はどうかな。ノートの丁寧さ,まして美しさは,成績と比例しない場合が多いような気がする。

6. が肝心なのだが,こればかりは試行錯誤するしかない。

自分の経験から言っても,高校生くらいの勉強というものは,じつはかなりの部分,事務的な手作業に時間を取られている。試行錯誤も含め,学習そのものより,学習スキルの体験学習という意味合いが大きい。勉強法を勉強することに時間が取られているし,それはしかたのないことだと思う。その体験学習を自力で積み上げることもだいじではあるが,教師や先輩や同級生から伝わる,「盗む」という形で昔からスキル教育は行われてきた。人のノートを借りて,「あっ,これ自分もやってみよう」とかである。

今の世の中は至る所で経験伝承のパイプが詰まっているようなので,そういう基礎的なスキルに無知(ならまだいいが,無関心)のまま大学生になってしまう人が多いのだろう。

もちろん,ノートは科目によってずいぶんと違うものになるはずだ。体系的な知識を伝授することに重点が置かれる理科,社会(地歴,公民)は,ノートも必然的に体系的になる。「美しい」と呼べるノートが出現するのもたいていこの分野だ。それにくらべ,演習が中心になる英語・数学はフォーマットが決めにくい。左のページに長文をコピーして貼り付け,右に教師の説明を書く,なんてのが一般的だが,長文の長さや難易度が変わるとバランスがとたんに崩れてしまう。この本に載っている英数のノートも,かなり乱れていたり,特に珍しくもないノートだったりするのだが,それは科目特性から考えて当然のことだと思う。予習に重点を置くか,復習の便宜を考えるかでも違ってくる。

ノートをきれいにすれば成績が上がるわけではない。ただ,ノートについて考えることは,勉強にどう向き合うかを考えることに等しいので,その態度の変化が成績に反映するのは当然のことだ。ノートはそれを考える手がかりとしては重要であることに間違いはない。

 

シリーズ [ノートのはなし] のもくじ

  1. 黒板としてのテレビ画面 (ノートのはなし 1)
  2. ノートは美しいか? (ノートのはなし 2)

 

 

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by rickie | Posted in 学習アドバイス, 高校生向け | No Comments »

黒板としてのテレビ画面 (ノートのはなし 1)

11月
2008
21
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バラエティ番組で芸人の発言に字幕スーパーがつくようになったのはいつ頃からだろうか。

インテリからは軽蔑の対象でしかないお笑い番組だが,僕はけっこう好きな方の部類に入るだろう。その番組の出演者のやりとりの核心部分が,よく字幕としてスーパーインポーズされる。昔はそんなものはなかった。ただ耳で聞いて笑うだけだ。これが始まったのは,まったく個人的印象に過ぎないのだが,どうも1995年頃だったような気がする。

当時はオウム真理教事件の渦中で,テレビは朝から晩まで「オウム」で明け暮れていた。番組には教団関係者,元信者たちの内部暴露インタビューがあふれていていたが,当然その告発者たちの顔は映されず,音声は加工されている。聞きにくい音声だから,画面の下にはその発言がテロップとして文字で表示される。そんな番組を次から次へと見て,ふとチャンネルをバラエティに切り替えると,そこでも同じことを始めていることに気づいたのだ。「ここで笑ってください」と言わんばかりに,オチは色つきの文字で大書されていた。

あっ,テレビが予備校化している,その時最初に感じたのがこれだ。

予備校というところは(今は高校も予備校化してしまったので同じようなものだが),耳で聞けばわかることをわざわざ黒板の上に文字や図やチャートとして見せてあげる業者である。生徒からのアンケート(予備校講師の最大の関心事)には,「板書はわかりやすいか」という項目があるところもある。いかにわかりやすい板書をするかに教師生命を賭けいてるの,とでも言いたくなる教師もいる。これが重視されるようになったのも,さかのぼっても1980年代後半ぐらいからだろうか。

べつにテレビや予備校に限ったことではない。わかりやすいことが最大の価値であり,そのためには耳よりも目に対する訴求力に頼る,というのが近年の傾向といっていいだろう。ちまたの書店には「図解のしかた」「ビジュアル化」「見える化」(!)を殺し文句にした本があまたころがっている。情報の受信者が,耳で聞いたことを自分で再構築し,重要だと自分が感じたことをそこから抽出し,必要なら自分で図解するというよりも,発信者側が,あらかじめ枝葉を切り落としてエッセンスをわかりやすく提示することが重視される,そういう時代であるらしい。どうも「聞いて理解する」という能力は退化し始めているようだ。

 

年寄りは昔話ばかりする。まだ老人の一,二歩手前だと思っているが,昔話ついでである。

僕が通った中学校は私立中でカリキュラムが独自のものだったので,中学から漢文やら微積分やらをやらされた。中一の時の社会は「地理」を扱い,先生は「ジロリンタン」というあだ名の,ギョロッとにらみつける目のこわいおじいさん先生で,僕のクラスの担任でもあった。

授業は彼の古いノートを読み上げていくだけで,気が向いたら地名ぐらいは黒板に書いたが,それ以外は余談もなく,おそらく毎年同じ内容をなぞっていく退屈な授業だった。体制の転覆も,国名の変化もない,「冷戦」という奇妙に安定した時代だったのである。それでも,中一である。その退屈きわまりない授業を退屈と思わず(きっと思ったんだろうが,退屈の責任は退屈だと思う自分の方にある,と考えられていた),誰も文句も愚痴も言わず,ジロリンタンのことばをノートにただただ書き留めていった。中学からの勉強はそれまでとはまったく違う「学問」の入り口だという信仰がまだ生きていたように思う。いまでは消えてしまったが,授業で書き取ったノートを家でまとめ直す「ノート整理」などということばも健在であった。むろん成り行きでは入れてしまった有名私立の中学生としての矜恃もあっただろうが,当時は多かれ少なかれどんな授業でも同じようなものだったのだ。そして,一年間しわがれ声をノートに文字化していくことで,自分なりのノートの取り方が確立していったのではないか。

考えてみると,人の話を耳で聞き,それを自分で文字や記号に変換して行くという作業は,一昔前までは中学生くらいで身につけておかなければならないスキルだった。そんな教師ばかりだったのだから,自然に身につくスキルであった。今はそういう「常識」はなかなか通用しない。予備校はもちろんだが,高校も,さらには大学でも,教師たちは板書で,あるいはプリントやパワポで,あらかじめ視覚化され整理された情報を提示しなければならない。学業に関する労力遂行義務(の一部)が生徒から教師側に移行したわけだ。義務を履行しない教師は,履行する多くの教師に対して比較劣位に立ち,生徒から忌避され,市場から淘汰される。いまや誰でも知っていることだが,授業は商品となったのである。

さて,こうした変化によって何かが失われたのだろうか。仮に失われたとして,その喪失は哀惜にあたいするものなのだろうか。復活されるべきものなのだろうか。それがよくわからない。

ま,いずれにしても昔話はこのへんにしよう。

 

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  1. 黒板としてのテレビ画面 (ノートのはなし 1)
  2. ノートは美しいか? (ノートのはなし 2)

 

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学習アドバイス | No Comments »

文法はどこまで必要か? (2)

11月
2008
14
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文法はどうしても落とせない部分はしっかりやって,そのあとは読み・書き・話し・聞くという訓練を大量にやる,そしてその力がけっこうついてきたなと自覚できるあたりでもういちど文法をまとめてやってみる。その繰り返しが語学力の向上に不可欠であるように思います。文法は理解できるようになればそれなりに魅力のある分野なので,深入りしたくなる気持ちもわかりますが,他の分野の力がつかないとあまり意味はないし,第一,文法の重要性自体も身に染みてわかってはこないでしょう。

さて,ここで問題になるのは「どうしても落とせない」文法というのは何か,ということ。当面の目的が大学入試であれば,最低限レベルといえどもかなり突っ込んでおかなければならないし,そうでなければ読書が目的なのか,日常会話が目的なのかでも変わってくる。さらに,目的以上にだいじなのは,どういう観点で文法を見るのかということで,これによってピックアウトされるものがずいぶん違ってくるだろう。

 

『こんなふうにやればどんどん読める 直読英語の技術』(加藤恭子 著 阪急コミュニケーションズ 2005)という本があって,英語をどんどん読みながら力をつけることを勧める一般の初学者向けにやさしく書かれた好著であると思う。加藤先生はこの中でやはり最低限の文法の必要性を説かれている。直読即解,速読,多読などを勧める本は多いが,一般受けの悪い,文法の重要性を指摘するものは少ない。最低限の文法を押さえた上で多読しよう,そういう方針のようで,この手の本にありがちなハッタリはない。その最低限の文法のリストを挙げてみたい。

 

 

読むための《厳選ミニマム英文法》

捨てられない文法事項

  1. 品詞を覚える
  2. 名詞の区別 普通名詞と固有名詞,(+物質名詞と抽象名詞)
  3. 代名詞の区別 人称・所有・指示・再帰・否定・疑問・関係
  4. 動詞の区別 活用,時制,自動詞vs他動詞,能動態vs受動態,仮定法,命令形,不定詞,動名詞,時制の一致,直接話法・間接話法
  5. 助動詞
  6. 形容詞(比較級も含む)
  7. 副詞
  8. 冠詞
  9. 前置詞
  10. 接続詞

厳選リストからあえてはずした文法項目

  • 文型
  • 時制(のうちの 未来完了,現在完了進行,過去完了進行,未来完了進行)
  • 節と句 (名詞節,形容詞節,副詞節,名詞句,形容詞句,副詞句)
  • 分詞構文(完了形の分詞構文,独立分詞構文)
  • 修辞疑問文,不完全自動詞
  • 主格補語,目的格補語,直接疑問文,間接疑問文,関係副詞

加藤恭子 著 『こんなふうにやればどんどん読める 直読英語の技術』(阪急コミュニケーションズ 2005)による

 

文法用語を覚えるかどうかの話ならば,もっと大胆に削ることもできるだろう。逆に概念的な理解の必要性の観点ならば,僕としては「文型」「節と句」ははずせない。むしろ「時制の一致」「話法」を削除したい。

僕のイメージする最低限文法は,

  • 単語にはその機能別に品詞が存在すること
  • 単語が集まって句・節を作るが,その句・節には名詞,形容詞,副詞(,+動詞句)という機能しか存在しないこと
  • その句・節が集まって文を作るが,そのパターンは5つ(または6つ,7つ)しかないこと

という文法の全体像を理解してもらうことであり,それさえわかってしまえば個々の単語,句,節がどれに当たるかを考えていくだけで英文のしくみは理解できる,ということだ。むろんこれは万能ではないのだが,「だいたいこんなふうに英語はできている」ということを理解できればずいぶんと展望が開けると思う。

 

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文法はどこまで必要か? (1)

11月
2008
13
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僕は高校時代はまったくといっていいほど勉強をしなかった。はるか昔のはなしだ。

学校の勉強は,という意味である。自分としては3年間でたくさんのことを学んだつもりだし,読書量もそれなりにあったと思うが,それは学校とか教育という枠の外でやったことで,いわゆる学業としてはゼロに近かっただろうと思う。

だから,はやばやと浪人を決めて,受験勉強を始めるとなると中学レベルからのスタートであった。当時は今のように受験や勉強に関する情報があふれていたわけでもなく,それにアドバイスを与えるスタッフが予備校等にいたわけでもなく,教師も学生の勉強法などに口は出さない時代であった。すべて我流で取り組むほかはなかった。

そんなわけで,英語に関して僕が最初に手をつけたのは,文法の本を一冊仕上げることだ。森一郎 著『入試英文法の原点』という本をたしか4月末に予備校が始まるまでの1月くらいで2回やったと思う。「高1の学力で80点はとれる!」という副題に引かれたのだと思う。学力のない自分にはぴったりのような気がした。調べてみると,今でも販売されているらしいので驚きだ。30年以上も前の本である。

各章は,最初に導入用の例題,つぎにその解説をしながら各課のポイントを押さえ,最後に発展問題という構成だった。内容的には枝葉末節に拘泥こうでいせず,重要概念の理解に重点を置いていた。

これをやったのが春休みなのだが,結局,その後の一年を通しても英文法についてはこれ以外にやった記憶はない。単語やら読解やらはずいぶんやったのだが,文法はこれだけだった。学力低下が言われているわりに,今の学校や予備校で教えられている文法の方がよほどこまかいのではないだろうか。こまかすぎて,かえって重要な点が忘れられている。

こまかく教えるというのは,重要な点とさほど重要ではない点が同じ比重で教えるということだ。英語の苦手な人は当然混乱する。苦手でなくても,文法の重箱の隅にはくわしいが,総合的な英語力はパッとしないという人間が続出する。

あたりまえのことだが,語学力はらせん的に上昇する。文法力を1上げたら,単語力・読解力・書く力や聞く力も1上げなければならない。そうすることによってしか第2ステップへ移れない。先に文法力だけ10上げておく,そのあとで単語力を10上げて…というやり方はできないのだ。

あの本をやった1年後には大学に入れたのだが,アルバイトで家庭教師をするとほんの1年前に知ったことを,大昔から知っていたかのように生徒に向かって話す。これがまたいい経験になる。「ああ,そういうことだったのか」と内心思いながら「教えて」いった。新しい知識を仕入れたわけではない。知っていたはずの知識の意味が啓示のように新しい意味を帯びてやってくる,そういう体験だ。これが「らせん的」と言った所以ゆえんである。

 

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