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The Da Vinci Code (Dan Brown) — paperback review

2月
2008
23
この記事の印刷用バージョン

語彙レベル★★☆☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★★☆|前提知識★★☆☆|対象レベル 英検準1級以上|ジャンル 推理小説|496p.|英語

ご存知,2003年に発表以来世界的なブームとなった「ダビンチ・コード」です。

主人公はハーバード大学の宗教象徴学(religious symbology)の教授である Robert Langdon が,パリでルーブル美術館館長 Jacques Saunière の殺人事件現場に連れてこられるところから始まります。Langdon が探偵役となって,この殺人事件を解明していくというストーリーですが,メインはむしろ謎解きの多くが,ダビンチをはじめ美術の寓意・象徴を読み解き,暗号を解読し,宗教史の謎を解きほどいていくというプロセスにあります。美術史・宗教史・暗号学などの知識が事件の謎を解くカギになるわけです。しかし,前回の 「薔薇の名前」ほどの前提知識が必要になるわけではありません。いちいち説明してくれています。解説本もでていますが,なくても大丈夫でしょう。でも,ダビンチの画集くらいあると便利ですが。

英語的には,そうした美術史・宗教史の用語が多少ネックになるかもしれません。それ以外は語彙レベルはそれほど高くありません。私の勤務する予備校に来ていた都内の某進学校に通う生徒が,学校の英語の補習として "The Da Vinci Code" を読む授業を取ったそうです。数ヶ月後,「そういえば,あの授業どう?」と聞いたら,「むずかしくて,やめちゃった。」という返事でした。その子は結局早稲田に合格しました。つまり,この小説は,進学校の意欲的な先生が高3生に読ませてよいと判断するほどのやさしさであり,早稲田に合格する生徒でも途中で投げ出すくらいの難しさだ,ということになります。受験前だからしかたないですけど。

"It’s quite possible," Langdon said. "Da Vinci was a prankster, and computerized analysis of the Mona Lisa and Da Vinci’s self-portraits confirm some startling points of congruency in their faces. Whatever Da Vinci was up to," Langdon said, "his Mona Lisa is neither male nor female. It carries a subtle message of androgyny. It is a fusing of both."

まあ,本物の(?)推理小説ファンにはやや物足りないかもしれませんね。私は途中で,「こいつが××だろうな」という推測がつきましたが,皆さんはどうでしょう?

 

(この paperback review のカテゴリーは,英語で読む本を探している方に向けた読書案内です。私が読んだ本の中から選んでコメントしています。)

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

The Name of the Rose (Umberto Eco) — paperback review

2月
2008
16
この記事の印刷用バージョン
語彙レベル★★★☆|ストーリー★★★☆|知的興奮度★★★★|前提知識★★★★|対象レベル 英検準1級以上|ジャンル 推理小説|502p.|英語

舞台は中世イタリアの修道院。そこで起きる連続殺人事件を,修道院側のさまざまな妨害をのりこえて探偵役の修道士が探っていく....なんてまとめ方は,この本を読んだ多くの読者からひんしゅくを買ってしまうでしょうね。たしかに物語の外枠は,シャーロック・ホームズとワトソン博士の探偵小説を借りて,中世の修道院という設定にはめこんだという形になっていますし,筆者もなかばパロディー気味に「歴史ミステリー」的叙述で楽しんでいます。が,内容をまともに理解しようとすると,歴史・哲学・宗教学(キリスト教神学)についてのかなりの知識が必要になります。1980年のイタリアでのこの本の出版以来,解説書・ガイドブックが何冊も出たくらいで,世界的なベストセラーになったのが不思議です。みなさん,ほんとにわかったのでしょうか?

筆者ウンベルト・エーコは,世界的に高名なイタリアの記号学者。日本でも,構造主義—ポスト構造主義が喧伝された1980年代の「ニューアカ」ブームの際にも,本業の記号論でしばしば取り上げられました。推理小説はもともと記号論と相性がいいらしく,筆者には「シャーロック・ホームズの記号論」という著書もあります。

知的で,難解で,解説書もいっぱいあり...というと「ダビンチ・コード」を思い浮かべるかもしれませんが,そんなもんじゃありません。ほんものの学者が,余技ではなく本気で書いた小説です。

英語(イタリア語からの翻訳)としては,文章自体はさほど難解ではありませんが,修道院やキリスト教,中世文化,哲学などの用語がちりばめられていてその点で苦労するかもしれません。まあ,ペーパーバックを読みなれていない人にはお勧めできませんが,こうした内容に興味を持っていて,多少難しくてもチャレンジする知的好奇心豊かな人には,お勧めしたい本です。

次は,「序章」の冒頭です。しょっぱなから「ヨハネ福音書」の引用です。

In the beginning was the Word and the Word was with God, and the Word was the God. This was beginning with God and the duty of every faithful monk would be to repeat every day with chanting humility the one never-changing event whose incontrovertible truth can be asserted.   (Prologue)

 

 

 

(この paperback review のカテゴリーは,英語で読む本を探している方に向けた読書案内です。私が読んだ本の中から選んでコメントしています。)

 

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by rickie | Posted in 英語を読む | No Comments »

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