Where are we going?

大学入試と英語学習のバックアップ・サイト

2009年8月
« 7月   9月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

ブログ・カテゴリー

すべて開く | すべて閉じる

ブログ・アーカイブ

Others

A Scandal in Bohemia 「ボヘミアの醜聞」 — 16

8月
2009
27
この記事の印刷用バージョン

いよいよ行動開始です。ホームズとワトソンはアイリーン・アドラーの住むサーペンタイン通りへと向かいます。

 

<― 朗読

It was a quarter past six when we left Baker Street, and it still wanted ten minutes to the hour when we found ourselves in Serpentine Avenue. It was already dusk, and the lamps were just being lighted as we paced up and down in front of Briony Lodge, waiting for the coming of its occupant. The house was just such as I had pictured it from Sherlock Holmes’s succinct description, but the locality appeared to be less private than I expected. On the contrary, for a small street in a quiet neighborhood, it was remarkably animated. There was a group of shabbily dressed men smoking and laughing in a corner, a scissors-grinder with his wheel, two guardsmen who were flirting with a nurse-girl, and several well-dressed young men who were lounging up and down with cigars in their mouths.

"You see," remarked Holmes, as we paced to and fro in front of the house, "this marriage rather simplifies matters. The photograph becomes a double-edged weapon now. The chances are that she would be as averse to its being seen by Mr. Godfrey Norton, as our client is to its coming to the eyes of his princess. Now the question is, Where are we to find the photograph?"

"Where, indeed?"

"It is most unlikely that she carries it about with her. It is cabinet size. Too large for easy concealment about a woman’s dress. She knows that the King is capable of having her waylaid and searched. Two attempts of the sort have already been made. We may take it, then, that she does not carry it about with her."

"Where, then?"

"Her banker or her lawyer. There is that double possibility. But I am inclined to think neither. Women are naturally secretive, and they like to do their own secreting. Why should she hand it over to anyone else? She could trust her own guardianship, but she could not tell what indirect or political influence might be brought to bear upon a business man. Besides, remember that she had resolved to use it within a few days. It must be where she can lay her hands upon it. It must be in her own house."

"But it has twice been burgled."

"Pshaw! They did not know how to look."

"But how will you look?"

"I will not look."

"What then?"

"I will get her to show me."

"But she will refuse."

"She will not be able to. But I hear the rumble of wheels. It is her carriage. Now carry out my orders to the letter."

 

僕たちがベーカー街を出たのは6時を15分ほどまわった頃で,サーペンタイン通りに着いたのは予定の時刻までまだ10分あった。すでに薄暗くなっていて,主人の帰りを待ちながらブライオニー荘の前を僕らがうろうろしていると,街灯にはちょうど火が入れられるところだった。ブライオニー荘はシャーロック・ホームズの要を得た説明から思い描いていたとおりの家だったが,あたりの様子は思っていたほど閑散としてはいなかった。むしろ,静かな区域にある小さな通りのわりには,かなりの活気があった。街角では粗末な身なりの一群がタバコを吹かしては笑い興じていたし,はさみ研ぎ職人が砥石車を回し,近衛兵が二人,子守の少女をひやかし,葉巻をくわえてぶらぶら歩く身なりのいい若者も数人いた。

 

「いいかい。」家の前を行ったり来たりしていると,ホームズが切り出した。「この結婚のおかげで問題はだいぶ単純になったんだよ。例の写真は今や両刃の剣になる。僕らの依頼人は写真が王女の目に触れるのを恐れているわけだが,おそらく彼女も同じ程度に,ゴドフリー・ノートン氏に写真を見られたくはないだろう。そこで問題は,写真をどこで探せばよいかということだな。」

 

「どこなんだい?」

「彼女が肌身離さず持ち歩いているというのは考えにくい。写真はキャビネ判だ。大きすぎて,女性用ドレスでは簡単に隠せまい。国王は誰かに彼女を待ち伏せさせて,所持品を調べることくらいやりかねないのは彼女もわかっているはずだ。似たようなことはすでに2回も行われているんだから。となれば,身につけてはいないと考えてよさそうだ。」

 

「じゃあ,どこなんだ?」

「彼女の取引銀行か,それとも弁護士か。その2とおりの可能性があるな。でも,そのどちらでもないような気がする。女性というものは生まれつき秘密主義で,ないしょのことをしたがるもんだ。他人に渡したりなんかするだろうか。自分で保管する分には安心もできようが,ビジネスとしてやる人間だと,成り行きしだいで裏から手が回ったり,政治的な圧力がかからないとも限らない。それに,彼女は数日以内に手紙を利用しようとしていることも思い出してほしい。手の届くところにあるはずなんだ。つまり,あの家の中にきっとある。」

 

「だけど,2度も盗みに入ってるんだぜ。」

「けっ。連中は見つけ方がわかってないよ。」

「でも,君ならどう探すんだい?」

「探さないさ。」

「じゃ,どうするんだ?」

「彼女に教えてもらう。」

「断られるに決まってる。」

「彼女は断れないさ。おっと,車輪の音が聞こえるぞ。彼女の馬車だ。打ち合わせどおり間違いなくやってくれ。」

 

【解説】

  • a quarter past six ― x minutes past y で「y時x分過ぎ」, x minutes to y が「y時x分前」
  • it still wanted ten minutes to the hour ― It wants x minutes to y. で「y時x分前だ」。この want は「~が欠けている,足りない」。
  • Serpentine Avenue ― 「サーペンタイン通り」は,アイリーン・アドラーが暮らす「ブライオニー荘」がある街。
  • It was already dusk ― dusk 「夕暮れ時,薄暗がり」。 (cf.) dawn 「明け方」。
明治日本のガスの点燈

明治日本のガスの点燈

  • the lamps were just being lighted ― light 「点火する」の受け身の過去進行形 「ちょうど点火されているところだった」。 lamp は街灯,おそらくガス灯で,点火は自動ではなく,1つずつ点燈夫と呼ばれる人が長い柄のついた点火ようの棒で火をつけた頃の話だと思われる。右の絵は明治時代の日本の点燈夫による点火の様子。
  • waiting for the coming of its occupant ― occupant 「居住者,乗客」。
  • The house was just such as I had pictured it from Sherlock Holmes’s succinct description ― such as … 「・・・ようなもの(この場合は『・・・ような家』)」。 picture 「思い描く,想像する」 succinct 「簡潔な,ぴったりの」 (= expressed clearly and in a few words (OALD))。
  • the locality appeared to be less private than I expected. ― locality 「付近,場所」。 private 「秘密の,人目につかない」。
  • On the contraryon the contrary 「それどころか」。この場合は 「private であるどころか」
  • for a small street in a quiet neighborhoodfor ~ 「~のわりに,~にしては」。「ふつうの~を基準にして比較すると」というような場合に用いる。 It’s very cold for September. 「9月にしては寒い」。 neighborhood は「近所」とは限らず,その「地区」「地域」を表す場合がある。
  • it was remarkably animated ― animate 「活気づける」。 remarkably 「著しく」。
  • There was a group of … ― There is … の後で列挙する場合は,複数個あってもThere are でなく,There is にすることがある。ここでは,a group of shabbily dressed men と a scissors-grinder と two guardsmen と several well-dressed young men が列挙された主語。
  • ハサミ研ぎ師   flickr より

    ハサミ研ぎ師 flickr より

  • a scissors-grinder with his wheel ― grind 「研ぐ,すりつぶす」。 wheel は右の写真のように,砥石を回転させる車輪のこと。
  • two guardsmen who were flirting with a nurse-girl ― guardsman 「近衛兵」。 flirt 「いちゃつく,もてあそぶ」。 nurse は「看護師」「保育士」「乳母」「子守」など。ここは「子守」であろう。
  • young men who were lounging up and down ― lounge 「ぶらつく」(既出)。 up and down 「行ったり来たり」「あちらこちらへ」。
  • this marriage rather simplifies matters. ― 無生物主語構文。
  • a double-edged weapon ― よく double-edged sword 「諸刃の剣(もろはのつるぎ)」 という形で用いる。日本刀や包丁は片側だけに刃がついていて,裏返せば切れない(峰打ち)。諸刃・両刃は両側が刃になっているため,他人だけでなく自分も傷つける危険性がある。このように他人も自分も傷つける可能性のある武器が「諸刃の剣」。
  • The chances are that …The chances are that S+V… 「たぶん・・・だろう」。
  • she would be as averse to its being seen by Mr. Godfrey Norton, as our client is to its coming to the eyes of his princess.be averse to ~ 「~を嫌う・いやがる,~に反対する」。 its being seen 「それ(写真)が見られること」という動名詞で,所有格+Ving 「~がVすること」のパターン。ここは全体が as ~ as … 構文で,she is averse to its being seen by Mr. Godfrey Norton 「写真がノートンに見られるのを彼女はいやがる」レベルと our client is averse to its coming to the eyes of his princess 「それが王女の目の触れるところになるのを僕らの依頼人(国王)はいやがる」レベルが同じだ,といいたいわけだ。 would は仮定法,「もし見られたら」の仮定が潜在。
  • the question is, Where are we to find the photograph? ― The question is, + 疑問文 は文法的におかしいように見えるかもしれないが,今でもしょっちゅう使われる。
  • It is most unlikely … ― It is unlikely that S+V… 「・・・はありそうにない」。
  • It is cabinet size. ― cabinet size 「キャビネ判」については,第10回参照。あの時ホームズが写真のサイズを気にしていた理由がここで明かされる。
  • Too large for easy concealment about a woman’s dress. ― too ~ for … 「・・・には~すぎる」。 too ~ to V のVが名詞化される時に使う。
  • the King is capable of having her waylaid and searched. ― be capable of ~ 「~できる,~しかねない」。 waylay 「待ち伏せする」。 have + O + p.p. 「Oをp.p.させる」の形(waylaidとsearchedがp.p.)。国王本人がやるのではなく,人を使ってやらせるのだから have を使っている。
    ここでsearchを「所持品を調べる」と訳した理由は以下のとおり。
    search A for B 「AでBを探す」(Aは探す場所,Bが探し物,なくした物: (ex.) search the room for a contact lens 「部屋でコンタクトを探す」)。 have + O + p.p. ではOとp.p.の間に主語述語関係が成り立つから, She is searched という文内容がここに含まれている。つまりこれは search A for B のAにあたるのが she であり,彼女という場所で(写真を)探すことである。
  • Two attempts of the sort have already been made. ― make an attempt 「試みる」の受け身(の現在完了)。
  • take it, (…), that she does not carry … ― take it that S + V… ≒ think that … は既出。
  • I am inclined to think neither.be inclined to V  「Vしたい気がする」。直訳は「どちらとも考えたくない気がする」。
  • Women are naturally secretive, ― secretive 「隠したがる」 (= tending or liking to hide your thoughts, feeelings, ideas, etc. from other people (OALD) 「自分の考え,感情,意見などを他人から隠しがち,または隠したがる」)。
  • do their own secreting.do the Ving, do one’s Ving, do some Ving 「Vをする」。
  • Why should she hand it over to anyone else?hand A over to B 「AをBに渡す」。 Why の疑問文で should を用いると,意外感を強調する「いったいどうして・・・?」。
  • She could trust her own guardianship, ― guardianship 「保護,後見」。could はここでは推量・可能性「信頼できるだろう」。
  • she could not tell what indirect or political influence might be brought to bear upon a business man. ― cannot tell 「わからない」。what から最後までがひとつの間接疑問文。 bear on[upon] ~ 「~にのしかかる,~に関係・影響する」。 bring O to V 「OにVするようにさせる」。したがって直訳は,「どんな間接的・政治的影響が,ビジネスマンにのしかかるようにさせられるか」。
  • remember that she had resolved to use it within a few days. ― resolve to V 「Vする決心をする」。過去完了になっている。過去形でもいいのだが,国王が昨日した話(過去)をを思いだし,それよりも以前なので過去完了にしているのだろう。国王の話では写真を送りつけるのは「婚約が公式に発表になる日」で,発表は今度の月曜(国王にあった日から3日後)。
  • where she can lay her hands upon itlay one’s hands on[upon] ~ 「~を捕まえる,見つける,手に入れる」。
  • it has twice been burgled. ― burgle 「盗みに入る」(burglar 「強盗」からの逆成語
  • Pshaw! ― pshaw 「ふん,チェッ,ばかな」。軽蔑・不快感を表す間投詞。
  • I will get her to show me. ― get + O + to V 「OにVさせる,してもらう」。
  • She will not be able to. ― to の後ろに直前の文の動詞 refuse が省略されている。「拒絶することはできないだろう。」
  • the rumble of wheels ― rumble 「ゴロゴロ鳴る低い音の騒音」
  • carry out my orders to the letter ― carry out 「実行する」, to the letter 「文字どおりに」(「一文字にいたるまで」,から)。 (cf.) to the day, minute 「一日(分)も違わず,ぴったり」。

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in 英語の作品を読もう | No Comments »

高校生向け新書 4 《河出書房新社 14歳の世渡り術》

8月
2009
27
この記事の印刷用バージョン

河出書房新社発行のシリーズ「14歳の世渡り術」です。

ふれこみは,「中学生以上,大人まで」。

作りも,テーマの選び方も理論社 YA新書 「よりみちパン!セ」 とよく似ています。どちらも硬い大人なら「そんなの中高生に読ませていいのか」と目を剥いて怒りそうなものも含まれていますが,知ったこっちゃありません。

 

 

2009年8月27日 現在

タイトル

著者

発行日

ねだん

内容

神さまってなに? 森 達也 著 2009.06.12 1,260円 神さまお願い! 誰もが一度は思ったことがあるはずだ。でも、神さまって本当にいるの? 世界の宗教の歴史や現状を踏まえ、その謎に迫る。宗教とは、信じるとは何かを考えてみよう。
さよなら紛争
武装解除人が見た世界の現実
伊勢崎 賢治 著 2009.04.21 1,260円 こうしている今も世界のどこかで紛争が起きている。アフリカ等の貧困国で武装解除を指揮してきた著者が、知られざる紛争の現状を伝える。日本人が平和のためにできるユニークな方法も提案。
受験国語が君を救う! 石原 千秋 著 2009.03.19 1,260円 世の中は受験国語のようにできている! 入試問題作成の表も裏も知り尽くした著者が、単に点をとる技術だけでなく、これからの人生に役立つ、受験国語の解き方・考え方を伝授する。
勝てる読書 豊崎 由美 著 2009.01.26 1,260円 親に、先生に、友達に、そして何より自分に勝つためには……? ユニークなテーマ別に選ばれた、今読むべき本が満載の、かつて類を見ないピリ辛ブックガイド。「文藝」人気連載を単行本化。
あした選挙へ行くまえに 池上 彰 著 2008.11.05 1,260円 選挙に行っても政治は変わらない、なんて時代は終わった。その1票を投じる前に、選挙の仕組みを知っておこう。税金を無駄遣いせず上手に使ってくれる政治家を、賢く選ぶための本。
ちょい大人力検定
子ども以上大人未満の人間関係講座
石原 壮一郎 著 2008.07.14 1,260円 友だち、大人との付き合い方から恋愛相談まで、何かと悩みや迷いが多い“ちょい大人”に、大人力の入門版である“ちょい大人力”を伝授。検定方式で学べる目からウロコのサバイバル処世術。
復讐プランナー あさのあつこ 著 2008.06.12 1,260円 雄哉はクラスメイトの久利谷たちから執拗ないじめを受けることに。そんな時「じゃあ、復讐計画を立ててみれば」と物騒なことを呟く不思議な先輩が現れ――。
みえない未来相談室。
すきなコトを仕事にする方法
k.m.p. 著 なかがわみどり 著 ムラマツエリコ 著 2008.04.14 1,260円 「大人になるって?」「仕事をするって?」という疑問に答えるコミック&エッセイ。悩みながらも手探りで自分たちのスタイルを確立してきた著者が、10代の頃を振り返りながら答えを探る。
女子の国はいつも内戦 辛酸 なめ子 著 2008.03.12 1,260円 永遠に、女子の敵は女子。敵だらけのジャングルの中でどうすれば生きられる? 大人になっても気の抜けない女子の殺伐とした実態とサバイバル実践方法をなめ子お姉様がお教えします。
不肖・宮嶋 メディアのウソ、教えたる! 宮嶋 茂樹 著 2007.08.22 1,260円 今日見たニュースは、100%真実か? 戦場など数々の危険な現場をわたり歩いてきた報道カメラマン不肖・宮嶋が、情報を賢く受けとめ、惑わされずに生きる術を伝授。
どうして君は友だちがいないのか 橋下 徹 著 2007.07.24 1,260円 友だちは面倒。上っ面ばかりで本当の親友がいない! そんな人のための橋下弁護士のまるきり新しい友情交渉術。世界一面倒な友だち問題を乗り越えれば真のつきあいスキルが身につきます。
右翼と左翼はどうちがう? 雨宮 処凛 著 2007.05.22 1,260円 求めているのはどちらも平和な社会なのに、仲良くできないのはなぜ? 両方の活動を経験した著者が、右翼・左翼のテロ、革命の歴史や現状をかみ砕く! 現役活動家への取材も収録。
「占い脳」でかしこく生きる 鏡 リュウジ 著 2007.05.22 1,260円 「占いはアテにならない」って納得してない? でも、占いを使える脳=「占い脳」こそ自分の頭で考える力を得る鍵! 「今日も最下位……」と落ち込むあなた。不安な毎日はもう終わり!
民族の壁どついたる!
在日コリアンとのつき合い方
井筒 和幸 著 2007.05.22 1,260円 同じ人間なのに、なぜ憎しみ合った殺し合ったりするの? 試験には出ない韓国、北朝鮮との問題から、世界中の人たちと仲良くする方法を考える。にがい歴史も全部知ろう!
お金を味方にして人生楽にする!(仮) 山崎 元 著 未刊 1,260円  
差別をしよう! ホーキング青山 著 2009.09.17 1,260円 友達に嫌われないための平等なんておかしい。だったら、差別して差別されて、そこから個性を探せばイイ。身体障害者芸人が、自ら浴びてきた視線を跳ね返す差別のススメ。ビートたけし推薦!
なぜヤクザはいなくならないのか 萱野 稔人 著 未刊 1,260円  

 

関連する投稿

by rickie | Posted in その他(高校生向け), 学問を知る, 文献リスト | No Comments »