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『高校生のための東大授業ライブ』

8月
2008
29
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東京大学教養学部編 |出版社:東大出版会|2007年|1800円|高校生・一般向け|249p.|独断的おすすめ度 ★★☆☆

 

すでに紹介した『16歳からの東大冒険講座』全3巻と同じく,東大が行う「高校生のための金曜特別講座」からピックアップした授業の書籍化。通算4巻目だが,出版社も変わり,ベネッセの援助も受け,本はオール・カラーになって,紙質も,ついでに定価も上がった,というわけですね。書店ではこれがいちばん新しく,いちばん手に入りやすいでしょう。

各講義のレベルはさまざまで,予備知識なしで読めるものもあれば,高校レベルの教科をきちんと頭に入れている人でも難しいものもあります。「学力低下」というレッテルが貼られることの多いいまどきの高校生の目線にまで何とか降りようとしている先生がこの本では多いのですが,高校生のレベルを無視した,または高校生に何がわかっているかがわかっていない先生も中にはいます。でも,わかる・わからないが問題なのではなく,興味が持てるかどうかが問題だと考えて読むのがいいと思います。全体的には,少しでも高校生の興味を引こうと考えた授業がいっぱいあります。わたし的には今回は文系的な話の方が面白かったかな。前は理系の方が面白かったんだけど。生物学関係がちょっと専門的すぎる気がしました。わたしには,ということですが。

ところで,第1講には,余談っぽく次のような話が載っています。

「大学で専攻する分野を大学入学前に決めるのが日本の主流です。ちょうど,皆さんは専攻分野の決定で悩んでいるのではないでしょうか?」

「しかし,全ての若者が高校生時代に自分の興味や適性を活かす分野を見つけることが本当にできるのか,わたしは疑問に思っています。」

「高校生時代では早すぎてデータ不足,根拠に乏しく,結局,本人の適性に即した選択ができていないのではないかと危惧します。大学に入る前に大学での専攻を決めるのではなく,大学でじっくり時間をかけていろいろな分野の学問に触れ,自分の適性にあった分野を探すことが必要だと思います。そのような,大学で広くじっくりと学ぶ時間を許すのが『リベラル・アーツ教育』です。」

これはわたしも賛成ですし,そのように考えている高校生・父兄・高校教師・大学教師はかなりたくさんいると思うのですが,なかなか,というか全く事態は変わりません。このへんのことは,またあらためて考えてみたいと思います。

 

《 目次 》

PART 1 : リベラル・アーツの世界へようこそ

第1講 スーパーマンを救え ― 再生医学の最前線 松田良一

第2講 あみだくじの数理 ― 「自由」な数学の魅力 桂利行

第3講 民主主義は今も魅力があるのか ― 問い直す意味 森政稔

第4講 「今ここにいる自分」の謎を解く ― 哲学への招待

 

PART 2 : 学問と実践 地球大の広がり

第5講 地球は「やさしい惑星」か ― 生命の絶滅と進化 磯﨑行雄

第6講 人生をファンタジー化しよう ― 中国・黄土高原から 安富歩

第7講 アフリカの飢餓・貧困と闘う ― 日系人科学者として Gordon H. Sato

 

PART 3 : 知る・学ぶことの意味,その喜び

第8講 榎本武揚から見た明治維新の世界 ― 領土国家の形成 臼井隆一郎

第9講 イングリッシュ・ガーデン誕生の裏側 ― その美学と政治学 安西信一

第10講 ふるまいと記述 ― 文化人類学の異文化理解 森山工

第11講 朝永振一郎と湯川秀樹 ― 高校時代からの軌跡 岡本拓司

 

PART 4 : 人間と社会を支える科学の力

第12講 先天的な運命は変えられるか ― 生命科学の発展 安田賢二

第13講 生物が持つ分子機械 ― 形と働きを解明する 栗栖源嗣

第14講 エネルギー源としての乳酸 ― 運動と疲労の関係 八田秀雄

第15講 快適生活を支える物性物理 ― 身近な世界への応用 前田京剛

 

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by rickie | Posted in いろんな本, 学問を知る | No Comments »

高校生用の分厚い英文法参考書のはなし (9)

8月
2008
28
この記事の印刷用バージョン

今回は「分詞構文」取り上げて,各参考書を比較してみます。前回・前々回の「同族目的語」,「劣等比較」に比べて,もっとも基本レベルに属する項目です。受験生なら誰でも「分詞構文」という名前くらいは知っているはずなので,目次から探せるはずです。

「分詞構文」という項目の中にもいろいろなポイントがあるので,そもそも「分詞構文」って何?という定義・前置き部分と「分詞構文の意味」に限定することにします。

 

「分詞構文」とは?

総合英語Forest

分詞の導く句が副詞的に用いられることがある。次の2つの文を比べてみよう。

【比べてみよう】

(1) Bob was waiting for Mary.  (ボブはメアリーを待っていた。)

(2) Bob was waiting for Mary reading a newspaper.  (ボブは新聞を読みながら,メアリーを待っていた)

(2) の文は (1) の文の後に reading a newspaper という分詞が導く句を加えた文である。この文では,「ボブがメアリーを待っていた」という状況について「新聞を読んでいた」という説明を加えている。このように,副詞的に文の情報を補足する分詞句を 「分詞構文」 と呼ぶ。

他と比べると,いちばん親切な情報です。この部分に求められているのは,分詞構文の定義ですが,「分詞構文って何?」という疑問をいだいてこのページにたどり着く生徒の立場から見れば,簡潔すぎる辞書的定義では「意味わかんないんですけど」という印象を与えてしまい,以下を読む気力をなくしてしまうかもしれません。

このイントロでは,「副詞的」「句」ということば以外は文法用語は使われておらず,「文の情報を補足する」という説明もすばらしいですね。他の分詞が,名詞を修飾して名詞句に組み込まれたり,補語として機能して文の不可欠な一部に組み込まれたりするのに対し,分詞構文は分詞構文は文の中心部の外にあって情報を補足する働きをするということが,いちばんのキモなのですから。

 

ロイヤル英文法―徹底例解

分詞が動詞と接続詞の働きを兼ねて,その分詞の導く句が副詞句として用いられるとき,これを分詞構文(Participial Construction) という。

短いですね。一度でも分詞構文を理解した(でもうろ覚えの)人にはこれでも大丈夫でしょう。

これはある意味,昔ながらの定義です。「動詞と接続詞の働きを兼ねて」というのは私たちもよくやる説明ですが,実例抜きでは初対面の人には意味不明でしょう。当然,筆者は「次で説明するからね」というつもりで書いているわけですが。

 

表現のための実践ロイヤル英文法

分詞を使って副詞節を句の形に圧縮したものを分詞構文という。「時」や「理由」を表すものが多いが,等位接続詞的に「継起」を表す場合も少なくない。

文を簡潔にする効果があるので,書き言葉では比較的よく用いられるが,統計から見ると,日常の会話で用いることは少ない。

「節」と「句」の違いを理解していることを前提にしています。「圧縮」ということばは僕もけっこう好きでよく使いますが,むずかしいのかな。「書き言葉」がなぜ太字なのでしょうか。

 

英文法解説

定義・前置き部分なし。さすが。

 

英文法総覧

分詞構文 (participial construction) と呼ばれ,主として文章体に用いられる。

【解説】 分詞構文というのは,分詞を主要素とする語群が文全体を修飾して副詞的に用いられている場合にいう。この構文では,述語動詞の時制と同時のことを表すには現在分詞を用い,それより以前に起こったことを表すには完了分詞を用いる。分詞構文が,時,原因・理由,付帯状況などのどの意味関係を表すかということは文脈によって決まってくることで,そのいずれであるか常に明確に識別できるとは限らない。

「分詞構文と呼ばれ」って,何が? まあ,その前の項目タイトルに「分詞の副詞的用法」とありますから,「分詞の副詞的用法は分詞構文と呼ばれ」ということなんでしょうけど。

この本はもともと教師用指導書が母体で,それを「中学上級の生徒から一般読者」対象に書き改めた(『はしがき』)ものですから,その原型をとどめているところなのでしょうか。

 

英文法詳解

分詞を含む文句が,時間・理由などを表す接続詞で導かれる文句(副詞節という)と同等の意味を表す場合がある。このような分詞を含む文が,分詞構文 (Participial Construction) である。

「文句」に異和感がありますが,無難なイントロです。

 

 

「分詞構文」の意味

日本の大学受験英文法の伝統では「時,理由,条件,譲歩,付帯状況(,継起)」という用語による分類がよく用いられています。でも,きちんと訳せることはだいじですが,分類自体にたいした意味はないでしょう。もともと多様な意味を持ちうるのが分詞構文の特徴なのだし,最近は入試問題でもほとんど見かけません。

ちなみに僕は,訳すときに「と,て,ながら,ので」(たまに「~けれど,ば」)というつなぎの助詞を使えばいいよ,くらいに話しています。

図は,クリックで拡大する(はず)。閉じるときは右下のCLOSE。

★ 総合英語Forest

Forest 分詞構文

Forest 分詞構文

時・理由...という用語での分類を捨てて,「『その時何をしているのか』を表す」という説明を理解させるねらいのようです。暗記しようというなら,時・理由・条件という用語の方が暗記しやすいでしょうが,暗記が必要なパートではないので,こういう説明は面白いと思います。僕は好きですね。レイアウトもきれいです。

when や because を使って書き換えさせる問題をテストに出す先生も探せばいるでしょうから,ちらっと書いとかなきゃ,というかんじで書かれています。

 

★ ロイヤル英文法―徹底例解

分類は伝統的。使われている例文もなんか昔から使われているような例文ばかりのような気がする(それはそれで無難ではある)。

分詞構文は書き言葉的とか,条件・譲歩は慣用的なもの以外はあまり使われない,という指摘はだいたい各参考書に載っています。でも,そうきっちりと口語・文語が分けられるわけではありません。だいぶ前のことですが,ネイティブと本の話をして,Having read that book, what do you think about ~? (あの本読んだんだったら,~はどう思うの?)というような内容のことをいわれたことがあります。特にフォーマルな会話ではありません。「会話で,分詞構文,特に完了分詞構文を使うんだ」とちょっと驚きでした。まあ慣用的と言えば言えるのですが,慣用的と言っても広いわけで,けっこう出会うものですよ。へたに使うのは危険ですが。

 

★ 表現のための実践ロイヤル英文法

表現のための実践ロイヤル英文法 分詞構文の意味

表現のための実践ロイヤル英文法 分詞構文の意味

ここでは条件・譲歩はふつう接続詞をつけて使う(つまり,接続詞なしではあまり使わない),と分類されています。付帯状況や継起は話し言葉でも使うという指摘はこの「表現ロイヤル」だけ。

例文は「ロイヤル―徹底例解」よりもやや「生きた」英語っぽいです。

 

★ 英文法解説

英文法解説(江川) 分詞構文

英文法解説(江川) 分詞構文

この本が,英語の教師や英語オタク(?)に評価が高いのは,選ばれている例文や『解説』欄の情報の質の高さですが,ここではそれほどでもないかな。例文と訳だけのそっけなさですが。

「分詞構文を時・理由などに分けたのは,分詞を含む文全体からそういう意味が出てくるのであって,分詞自身にそういう意味があるわけではない。」という指摘は大切です。

 

★ 英文法総覧

英文法総覧(安井) 分詞構文

英文法総覧(安井) 分詞構文

この本は,英語学(言語学)の最新の理論を学校文法の中に組み込もうとしている点で評価されているわけですが,その特徴はここではあまり出ていません。

なお,「時を表す場合」「原因・理由を表す場合」など各項目にクロスリファレンスがついていますが,これは第35章に,「時」の副詞句・副詞節などの意味別の表現が集められている一章があるということです。

 

★ 英文法詳解

英文法詳解(杉山) 分詞構文

英文法詳解(杉山) 分詞構文

この本は,「日本語に訳すとき(解釈するとき),何に注意をしたらいいのか」という視点を重視しているという特徴を持っています。ここでもそれが如実に表れています。特に,最後の「分詞構文全般についての注意」はなかなか見事です。わかりやすさや見やすさもかなりいいですね。

 

今回は,基礎レベルのポイントで,こういうものでは「FOREST」のよさが出ています。「詳解」のくわしさも捨てがたい。

次回は,ちょっと特殊なもの,専門的なものを取り上げる予定です。

 

 

 

 

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by rickie | Posted in 高校生向け | No Comments »

オーディオブック-1 英語学習情報 [全レベル向け]

8月
2008
18
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オーディオブックとは,主に本を朗読した音声(MP3, CD, カセット)のことをいいます。本を読む代わりに同じ中身の朗読を聞く,ということです。聞くだけでわかるならそれでよし,難しければ朗読音声を聞きながら,音声に合わせて本を読むという方法も可能です(パラレル・リーディング)。一般ネイティブ向けの本のオーディオブックだと,パラレルリーディングでも,ついていくのはかなりの集中力(ともちろん英語力)が必要ですが,やさしい本を選べば中級レベルくらいの人でも対応可能でしょう。短めの本を選んで何回も繰り返すという方法もあるでしょう。

わたしは昔からこれが気に入っていて,いろいろなオーディオブックを集めたものです。日本の本屋に入ってくるものは少なくて(後述しますが,Unabridged Editionが少なかった),あってもべらぼうな値段(1冊分で1万前後)でした。ちょうどインターネット(Web)が普及し始めた頃で(むろんダイアル・アップなのでDLなんかできない),アメリカのサイトを探して注文を出しました。アメリカには視覚障害者向けの朗読テープが販売されていたんですね。それでも数千円したと記憶しています。送られてきた段ボール箱には税関へのメッセージなのでしょうか,「障害者向け」と大書されていました。これで通関しやすくなったのかどうかは知りませんが。

フィクション・ノンフィクションを問わずさまざまな本がオーディオブック化されています。まず気をつけたいのは難易度です。

本で理解できないものは,聞いても理解できないでしょう。自分の読解力レベルの2段階くらい易しめでないと聞くのはたいへんです。青少年向けの本が聞いてやさしいとは限りません。案外早口だったり,スラングだらけということもあります。自分にあったジャンルを探すのもいいでしょう。わたしの場合は,ミステリーや歴史関係だと集中力を傾けなくても自然に入り込めると,経験的に知りました。当然人によってちがうだろうと思います。文章の難易度は本で確認するのが手っ取り早いでしょう。

ネットからのダウンロードの場合は試聴(プレビュー)ができますから,必ず試聴してください。朗読者の声が聞き取りにくかったり,読むスピードが速すぎたり,声質の相性が悪い場合もあります(相性だけなら,聞いてるうちに慣れますが)。小説などではセリフが連続して出てきますから,朗読者が声を変えてセリフを使い分けてくれないと,どれが誰のセリフかわからなくなることもあります。

現在では,オーディオブックもだいぶ利用されるようになってきました。入手方法も増えています。探すに当たっては,Abridged Edition と Unabridged Edition の区別にしてください。abridge は「短縮する,簡略化する」の意味ですから,Abridged 版は本まるごとではなく,適当にかいつまんで朗読されています。じっくり読むような本ではない場合には便利です。でも,ちゃんとした作品ならUnabridged版を手に入れたいところです。特に,本を見ながら聞くという目的なら,Unabridgedが必須です。値段は高めになりますが。Abridged か Unabridged かは,必ず商品に大きく記載されています。それ以外に dramatized 版が存在する場合があります。これも少し原著から離れてドラマ化したもので,セリフは声優が担当し,効果音なども入っています。BBCなどのラジオが過去に放送したものもあります。脚色が入るので本を見ながら,というわけにはいきませんが,おもしろく仕上がっているものもあります。

 

大きな本屋 (CD) 洋書コーナーにビジネス書などのAbridged版が大量に並んでいます。Unabridgedは案外少ないので注意です。商品の入れ替えも激しく,どうしても最新のベストセラー中心です。でも,実際手にとって比較できるので便利です。

 

Amazon (CD) 日本のアマゾンはダウンロードはやっていません(アメリカのアマゾンはやってます)が,輸入オーディオブックCDの販売は行われています。自分の好きな作品・作家から検索するか,オーディオブック・コーナーをのぞいてみるといいでしょう。ただし試聴はできません。

アマゾン・オーディオブック

 

iTunes Store (MP3) オーディオブックのコーナーがありますが,どうしても日本語中心です。「すべてを見る」も仕様で,5ページしか出てきません。タイトル名・作者名でパワー・サーチをかけた方が早いでしょう。でも,漠然と探しながらブラウズするにはどうするかというと...

iTunes Store (以下 iTS )のトップページの一番下にある国名を選択して,アメリカかイギリス(United Kingdom と表記)の iTS に行くという手があります。使い方・レイアウトは日本と全く同じです。ここから Audiobooks に入ってブラウズします。イギリスとアメリカでは出てくるものがちがうので,両方のぞくのもおもしろいです。

ただし,あなたが日本在住である場合は,日本以外の iTS から直接購入することはできません。海外の iTS で見つけたものをメモしておいて,日本の iTS から購入します。でも困ったことにアメリカでは売っているのに,日本からは買えないというものもあります。権利関係の問題でしょうか。

 

Audible.com (MP3) オーディオブックのダウンロード販売の専門店です。アメリカがベースですが,イギリス,フランス,ドイツ向けサイトもあります。実は,iTS に Audiobook を供給しているのもこの会社で,また,米国アマゾンでのダウンロード販売もここが請け負っています。実に様々なオーディオブックがあります。

ただ,ここで見つけてはじめて購入しようとする時,購入手続きの最後に「このタイトルはおたくの国には売れないんだよね」という内容のお断り文が出ることがあります。ったく。いちどアカウントをとってしまえば,そういう本は検索時点ではじかれるようです。

 

値段は,ダウンロードに比べると当然CDの方が高くなるはずです。「はず」と言ったのは,なぜか時々そうじゃないものもあるからです。アマゾンだと送料がかかる場合があります(送料無料が適用されることあり)。Audible.com が供給しているはずなのに,iTSの方が安い場合もあるようです。何がいちばん得かは,ワン・タイトルごとに各サイトでチェックするしかなさそうです。Harry Potter なんかは,iTSでは売ってるのに,Audible.comでは「目下販売停止中」(この記事執筆時点)となっていて,なかなか複雑です。

 

アマゾンや iTunes Store で売れているオーディオブックを見ると,本の名前で買ってるんじゃないのと思いたくなるようなものがベストセラーに入っています。ほんとにそんなの聞けるの?と思ってしまいます。Sherlock Holmesなんてなかなか難しいですよ,ふつうに読んでも。19世紀の英語だし。Harry Potter ?やさしくないし,だいいち初中級者には長すぎでしょう。1冊目で8時間23分,5巻目なんか29時間06分。というわけで,次回はタイトル紹介の予定。

 

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by rickie | Posted in 英語学習情報, 英語学習情報(中~上), 英語学習情報(初~中) | No Comments »

高校生用の分厚い英文法参考書のはなし (8)

8月
2008
17
この記事の印刷用バージョン

いくつかの英文法参考書でひとつのポイントを調べて比較するという企画のつづきです。

前回は「同族目的語」という高校レベルではあるけれどさほど頻度は高くないポイントでした。今回は少し重要度が上がって,「劣等比較」にしてみます。まあ,テキトーな選択ではありますが。

 

「劣等比較」とは?

more や -er の比較級ではなく, less という比較級を使う表現を「劣等比較」といいます。

a_ilst075.gif

形としては,

less + 形容詞・副詞の原級 + than ~

となります。than に引きずられて比較級を使ってしまいやすいので注意。 ☓ less bigger than → 〇 less big than 。

意味は,ふつう否定で訳されて「~ほど・・・でない」となります。直訳だと「~よりも・・・の程度が低い」ということですが,これはさすがに日本語としてこなれていないし,「~ほど大きくない」を反対語を使って「~より小さい」としても悪くはないですが,形容詞が価値判断を伴う語だとちょっと言い過ぎになってしまいます(「~ほど美しくない」と「~より醜い」はニュアンスがかなりちがいます。 less beautiful than のニュアンスは前のものに近いでしょう)。

 

さて,今回は内容比較もさることながら,レイアウトや見た目にも注目です。

★ 総合英語Forest

FOREST-less

FOREST-less

項目名が「 lessを用いて『~ほど・・・でない』を表す」となっていて,本文中にも「劣等比較」ということばは見当たりません。索引にもありません。従って教師が「これは劣等比較だから...」という説明をしてそのことばを引こうとしてもダメということになります。「比較」の章全体なり,大項目なりをある程度まとめて読む前提で作られているようです。説明の方は,ほかと比べると特に詳しくはなく,必要最小限のことをうまくまとめている,という印象です。これは特に英語が苦手な生徒(つまり大半の生徒)対象という範疇内ではほめことばになるでしょう。

A is not 比較級 than B. は A ≦ B を, A is less 原級 than B は A < B を表す という記述もあります。まあ,当たり前なのですが,現実の英語では厳密には言い切れない場合はよくあるような気がします。

全体的には,教師から見るとおもしろみはないが,生徒にはこのあたりで十分だし,その範囲でみっちりことばを費やして理解させようという意図がはっきりしています。

 

★ ロイヤル英文法―徹底例解

less ロイヤル

項目タイトルは「劣等比較の構文」。でも意外にあっさりした記述で,例文もひとつだけ。

「マイナス方向の意味を表す語の場合は,一般に劣等比較では用いない」という記述もあります。ふつう as young as よりも as old as が使われるというのと同じポイントと言っていいでしょう。 less tall がふつうで, less short はあまりない,ということです。

このポイントを取り上げているのは「ロイヤル―徹底例解」だけです。

 

★ 表現のための実践ロイヤル英文法

項目タイトルは「比較級の特殊な形式 lessを使った比較」で,「劣等比較」という用語は使われていません。

訳が受験常識的な「~ほど・・・でない」でなくて,「栄養価が低い」「危険度が低い」になっているところがおもしろいですね。これは注として出ている less … than ~ と not as … as ~ の違いの話に関わっています。

less ~ than … ≒ not as ~ as … となるのはすべての本に載っていますが(「解説」以外),違いに触れているのは,「表現ロイヤル」だけです。

A is less tall than B. は,A, B 両者があまり背が高くない場合に, A is not as tall as B. は,Bは結構背が高い場合にふさわしい,という内容です。

「表現のための」というタイトルはこの説明の微妙なワーディングにも表れている気がします。受信型・英文理解に重点を置く書き方なら「~場合にふさわしい」という表現ではなく,「A is not as tall as B. という英文からはBが背が高いという前提が読み取れる」のような表現になるでしょう。

 

★ 英文法解説

項目タイトルは「 less について」で,解説も短く,「日本語では通例『より少なく~である』とは言わないので,英語のlessの訳し方には工夫の必要がある。」という書き方です。

なんか,「こんなポイント,説明する必要ないと思うけど,いちおう書いとくね。」ってな書き方ですね。

 

★ 英文法総覧

less 英文法総覧

これもあっさりした説明。というより,ふつうの比較級の説明の中に less も入れているだけで,独立項目としては扱っていません。not as ~ as に相当するという記述があるだけで,他の情報はなし。そのわりに,比較級構文は変形操作としては最も解明しにくいもののひとつである,といった記述もあり,生徒にはあまり縁のない説明です(教師にはおもしろいが)。

 

★ 英文法詳解

less 英文法詳解

less 英文法詳解

項目タイトルは「劣勢比較」。あまり使われない,文語である,little の比較級としての less と区別せよ,といった記述があって,それなりに詳しいです。生徒が陥りやすいポイントは何かということを,この筆者は意識して書いているな,という印象です。

 

基本項目になると,「解説」「総覧」は記述が(雑とは言わないが)短くさらっと流している感じです。

そういえば,同一物比較の less の用法の説明がどの参考書にも見当たりません。同一物比較の more の方はあるのですが。大学入試にもたまに取り上げられることがあります。

He is less tired than sleepy. 「彼は疲れているというよりも眠たいのだ。」

これは, not as ~ as … ではなく, not so much ~ as … で書き換えられます。

どこかに紛れて載っているのかな?

 

 

 

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by rickie | Posted in 高校生向け | 1 Comment »

高校生用の分厚い英文法参考書のはなし (7)

8月
2008
6
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今回から,

あなたが英文法の何かのポイントについて疑問をいだいたら,参考書はどのように解決してくれるのか?

ということについて,適当なポイント(まったく恣意的)を選んで,各参考書を調べて比較してみることにします。

 

「同族目的語」って何?

先に答合わせをしてしまうと,。「同族目的語」はふつうは自動詞なのに,同形(派生形)の目的語ならばとれる(つまり他動詞として使える)というポイントですね。

a_ilst075.gif

たとえば...

dream 「夢見る」という動詞は,日本語では「明るい未来を夢見る」といえますが,英語では dream a bright future とは言えません。正しくは, dream of a bright future です。dream は自動詞であり,自動詞は目的語をとれず,前置詞(ここではof)がないと a bright future は目的語になり,dream は自動詞でなくなってしまう,というわけです。ま,「~を夢見る」は dream of ~ だと覚えればいいということです。

ところが...

その自動詞の dream が他動詞として使える場合があります。それが「同族目的語」の場合です。 dream a beautiful dream 「美しい夢を見る」という表現では, of なしで動詞 dream が dream という目的語を伴っています。直訳すると「美しい夢を夢見る」ということになります。一部の自動詞は,その動詞と同じ形(または親戚の)名詞に限り目的語を取ることができる,これが「同族目的語」というポイントです。ただし,dream a ~ dream という形はかなり古めかしい英語になっていて, have a ~ dream のほうがふつうになってしまいました(haveだと「同族」とは言えませんが)。日本語では「見る」ですが, ☓see a ~ dream ではないことも注意が必要です。

 

こういうのは,目次では探しにくい参考書ではたいてい「動詞」の章の「自動詞」か「他動詞」の項に載っているだろう。「目的語」について「動詞」の項目を探すなんてのは,「同族目的語」がどういうものか知っていて可能になるので,それを知らない人にはムリ。ということは,索引で探すしかありません。以下,参考書をいくつか当たってみましょう。

 

総合英語Forest

あれっ?「同族目的語」という項目が索引にない。本文の動詞の章にも見当たらない。

やはり,項目を絞って通読用に作っているのでしょうか?

 

ロイヤル英文法―徹底例解

「同族目的語をとる動詞」という項目にほぼまる1ページ使っていて,さらに巻末にはその形になる動詞のリストがあります。他書と比べ,量的にいちばん多いでしょう。

定義は,「本来は自動詞だが,動詞と語源的に,または意味上関連のある語を目的語としてとる場合がある。こういう目的語を同族目的語( Cognate Object )という」。

詳しく分類していて,(1) 同族目的語が動詞と同形または同語源である場合 (a) 動詞+副詞でかき変えられるタイプ die a ~ death (= die ~ly) (b) られないタイプ sing a ~ song (≠ sing ~ly )(2) 同族目的語が動詞と意味上関連のある場合 fight a ~ battle (3) 最上級の形容詞だけが残り,同族目的語が省略される場合 breathe one’s last (breath) 「息を引き取る」 に分けられています。それ以外には,よく使われる例と,使われない例(dream),巻末リストには20の動詞が挙げられています。

 

表現のための実践ロイヤル英文法

全体的には,ロイヤルとほぼ同じです。ロイヤルの定義から「語源的に」の部分を削除していたり,4タイプの分類だったのを2タイプにしていたりと簡略化が目立つが,「リスト」がないのが残念。最上級付きの場合のこともなくなってますね。

特徴は,ロイヤルにあった「よく使う例」を前面に打ち出して,「統計によると,最近の例文では, smile a ~ smile, live a ~ life が最も多く, die a ~ death, sing a ~ song, laugh a ~ laugh などがその次に多い。ほかに, fight a ~ fight[battle], sleep a ~ sleep, breathe a ~ breath なども見られる」という部分。

 

英文法解説

《参考》欄に 「通例は自動詞として使われる動詞の中に,a) 動詞と同語源の名詞または b) 動詞と縁のある名詞を目的語とするときに,他動詞化するものが少数ある。この場合の目的語は同族目的語(Cognate Object)と呼ばれる」という説明と,smile, live, dream, run の例文があります。

簡潔な,他よりも少なめの説明ですが,「他動詞化」だけで理解できるならこれで十分です。

 

英文法総覧

「同族目的語」はこの本の中の2カ所で項目として取り上げられていますが,定義は後の方で出てきます(なぜ?)。説明はあっさりしていて,「本来自動詞である動詞が,意味上,密接な関係にある名詞を目的語とすることがある。この種の目的語を同族目的語という。」後は例文で,live, die, fight, run など。

「研究」の項には,他書と同じく,同族目的語は形容詞を伴うのがふつうであると記されていますが,「同族目的語は,意味上,それ自身ではなんら新しい意味要素を付加するものではな」く,「形容詞的修飾語句がついてはじめて言うに値する意味情報が加えられる」という,形容詞を伴う理由が書かれています。このへんがこの本らしいところかな。

 

英文法詳解

「注意すべき目的語」という項目があって,「通常は自動詞として用いられる動詞も,時により,次のような目的語を取って他動詞的に用いられることがある。」という説明の下に (1) 同族目的語 (定義 「動詞と同形または語源的に関係のある名詞。《このような目的語を同族目的語(Cognate Object)という》」)(2) 「~によって・・・を示す」と訳すのがよい場合 (3) 目的語が,動詞の表す動作の道具や結果を表す場合 という3つのポイントを挙げています。(2), (3) は同族目的語とは直接関係はないのですが,(2) nod his approval (承認をうなづく→うなずいて承認の意を示す)とか (3) fire a hole (「銃を撃つ」ならふつうだが,「穴を撃つ」→「撃って穴を開ける」)などは,読解・翻訳で取り上げられる(文法ではあまり取り上げない)ポイントなので興味深いところです。

同族目的としては「研究」の中で,1. 同族目的語には形容詞がふつう付く 2. 動詞と同語源ではない類語の場合 (fight a battle, run a race) 3. 同族目的語に最上級が付くと名詞が省略 という3つの注意点が挙げられています。ほぼロイヤルと同じくらいの詳しさです。

 

今回は,詳しさで「ロイヤル」「詳解」の二つがほぼ同点。「リスト」がある分「ロイヤル」の勝ち,というところ。「解説」「総覧」はすでにだいたいのことがわかっているのが前提になっているようです。

これだけでも各書が何がやりたいのかが少し見えてきます。「表現のための」はタイトルどおり,「今,使うとしたらどう使うか」という視点を(すでにある英語を理解するよりも)重視していますし,「詳解」は日本語との差異,訳す上での注意点などを意識しています。


 

 

 

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by rickie | Posted in 高校生向け | No Comments »

Philosophy Talk  英語学習情報 [上級者向け]

8月
2008
5
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この「英語学習情報」は,英語の学習に使えるリソースの紹介をおこなうシリーズです。今のところ不定期で気が向いたときに。

自分で利用していたり,おもしろいと思ったものがどうしても多くなります。傾向が偏るかもしれませんね。つまり,人文系のネタが多くなりそうです。ポピュラー・サイエンスならアンテナに引っかかりますが,ビジネス関連なんかは引っかからなさそう。

中・上級向けが多くなるかもしれません。というか,ネイティブ向けのものはすべて上級対象になりますから絶対量が多いですしね。初級向けのものも引っかかれば紹介していきたいですが。

 

今回は,最近はまっているネット配信のトークショー Philosophy Talk です。

      Philosophy Talk

名前のとおり,各回ごとの哲学についてのテーマ話題にMC のふたり(John Perry / Ken Taylor )にゲストひとりを加えて,討論をするという50分くらいの番組です。2004年1月スタート。すでに百数十回を数え,現在でも続いています。サンフランシスコのFMラジオ番組ですが,全米各地のラジオ局に流されているようです。それがネットで,アーカイブも含めて聞くことができるわけです。MC のふたりはスタンフォード大学の哲学教師で,この番組もスタンフォードのバックアップがあるようです。少し前までは iTunes U のスタンフォードのページにもこの番組が入っていたのですが,今はありません。直接この番組のサイトへ行ってください。

内容は,ラジオ番組ということもあって,専門的に深~い議論をしているわけではありません。テーマも「カント」だとか「ヴィトゲンシュタイン」とかを取り上げることもあれば,政治・時事問題がらみの時もあれば,「友情」だの「謝罪」だのとりつきやすそうな話題のこともあります。といっても予備知識が全くないと苦しいでしょう。Wikipedia かなんかで予習しておいた方がいいかもしれません。サイト上には参考文献・参考サイトのリストも出ています(最近なくなっていますが)。

MC 二人の英語は聞き取りやすいですし,大学教授とは思えぬなめらかで楽しい語り口です。リスニングのレベルも内容のわりには高度すぎないでしょう。

ゲスト陣がけっこう豪華です。わたしでも名前を知っている人は,

  • ダニエル・デネット (Daniel Dennet) — Intelligent Design
  • マーサ・ヌスバウム (Martha Nussbaum) — Friendship, The Indispensible Emotions, Justice Across Boundaries
  • ローレンス・レッシグ (Lawrence Lessig) — Who Owns Ideas?
  • ジョン・サール (John Searle) — The Mystery of Mind
  • ピーター・シンガー (Peter Singer) — Global Poverty and International Aid
  • マーヴィン・ミンスキー (Marvin Minsky) — Artificial Intelligence
  • ダグラス・ホフスタッター (Douglas Hofstadter) — Persons, Selves, Souls, and Loops
  • ジョージ・レイコフ (George Lakoff) — Politics and Cognitive Science

なんてところです。

残念なのは,番組のダウンロードが有料だということでしょうか。年間で70ドル,月ごとなら10ドル程度です。でも,ストリーミングなら無料です。わたしはストリーミングを流しながら,録音ソフトで録音したりしています。昔のラジオのエア・チェックと同じですね。「午後のこ~だ」というソフトを使っていますが,きっといろいろあるでしょう。

 

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by rickie | Posted in 英語学習情報(中~上) | No Comments »