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電子辞書の選び方 (2009年)

3月
2009
21
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今年度も各社の電子辞書ラインナップを概観して,当サイトとしてお奨めできるものがあるか比較・検討してみます。基本的な選び方は昨年度とだいたい同じです。(→ 昨年度のものはこちら

電子辞書は数社から販売されていますが,よく使われている(つまり売れ線)なのは,シャープ,カシオ,セイコー(SII)の3社で,ここでもこの3社を取り上げます。(他社のものが悪いというわけではありません。調査していないだけです。といってもあと1社くらいしかないのだが。)

選ぶ基準は?

各社の電子辞書はいくつもの製品ラインアップを持ち,それぞれ年間1~2回バージョンアップしていますが(たいてい 1 ~ 3月),大きく分けると,

  • 総合型 —- 一般向け 生活関連やビジネスなどが充実 。大学受験や英語の専門家以外ならこのタイプでしょう
  • 学習型 —- 大学受験を意識して作られているタイプ
  • 語学専門型 —- 外国語を強化(受験向き,生活関連は弱い)
  • その他 —- それ以外。ビジネス向け,医療関係者向けなどのものもある。廉価版も含む

になります。

電子辞書は一生モノではない,ということに注意してください。つまり,寿命があるということです。(私の経験では3年弱。ホントはもっともつはず)。

各社の製品には

  • シャープ    —— 総合型にはワンセグ対応も。総合型は語学面,学習面は弱い。
  • カシオ —— 全型において辞書コンテンツでは一番充実。新製品の投入数も多い。
  • SII  ——  総合型や学習型は弱い。語学専門型で勝負。

という傾向が見られます。

機能面では同じ価格帯なら似たような機能になりますが,最近はちょっといろいろな機能をつけすぎているキライがあります。自分にとっては,あまり必要ない機能,あればあったでいいがなくても困らない機能かもしれません。

  • 検索機能 — コンテンツ以外では,これが重要。たくさんの辞書を横断的に検索できる機能や熟語(成句)検索で&検索したり,例文検索,ワイルドカード検索があると便利。だいたい各社とも,この機能はついているが,辞書によって使えないものもある。個々で取り上げた機種なら,たぶんあまり優劣は出ない。
  • 手書き認識機能 — 確かに,キー入力が苦手なお年寄りやキー入力しにくい漢字には便利だが,高校生ならキー入力を覚えるべきでしょう。漢字も漢和辞典の引き方を知れば,この機能は不要。ただ,SII を除き,最近の機種はこの機能付きのものが多い。
  • キー配列 — 日本語はJIS配列,英語はQWERTY配列が基本。学習型や語学専門型はふつうこれ。 50音配列は,お年寄り以外はお奨めしません。
  • ネイティブ音声 — 絶対にほしい機能ですが,だいたい全機種についています。ふつうは辞書に音声がつくのですが,カシオは音声機能を辞書と分離して,すべての辞書から音声を出せるようにしているのはえらい。SII にはイギリス英語・アメリカ英語両方の発音を搭載しているものもある。 なお,音声機能にはネイティブ音声(実際の発音)と機械的な合成音声(概して聞き取りにくい)がありますが,英語は普通ネイティブ音声で録音されていますが,すべての単語がネイティブ音声だとは限りません。
  • コンテンツ追加機能 — CDやデータカードで辞書コンテンツを追加することができるものです。本体のメモリ量によってどれくらい追加できるかが決まります。ホントは欲しい機能ですが,追加コンテンツは値段が高く,高い金を出して買っても本体の寿命は長くて数年。後継機種でも買ったコンテンツが使えるという保証はない(私はたくさん買っているので使えないと困るのですが)。英語以外の外国語をやるのでなければ,それほど魅力的なコンテンツはないかも。
  • パソコンとの連携機能 — カシオはPCのテキストファイルを電子辞書に取りこむことができるものがあります。でも,何と言っても,SII の PASORAMA™ が画期的。電子辞書をUSBでつないで,PC側にデータをコピー&ペーストできる機能でこれは使えそうです。今のところSIIの一部の機種のみ。他社も遅れて追随するでしょう。SIIがリードを保てるか,注目です。 むしろライバルはネットの無料辞書。
  • ワンセグ — ほしければどうぞ。授業中に見ないようにネ。
  • カラー液晶 — ワンセグがいらないならいりません。 場所によっては,カラーよりバックライト機能が欲しい時もある。ただ,これを使うと電池の消耗が早い気がする。
  • 辞書 —  最低限欲しい辞書は,英和・和英・英英・国語辞典・漢和辞典・百科事典といったところでしょう。これにプラスして,受験用(文系)としては古語辞典,日本史・世界史辞典。英語教師・英語プロ用なら,英和活用辞典(書く人には必携),シソーラス,もう一冊の大型英和辞典などが考えられます。理系の受験生には,生物・化学あたりなら辞典があるのも便利でしょうが,不要ならワンランク下(つまり今述べた「プラス」部分のないもの)でもかまいません。 ちなみに中学生なら「ベーシック・ジーニアス」など初級用英和がほしいところ。
  • 百科事典—  搭載されるのは「マイペディア」(本なら1巻),「ブリタニカ国際」(本なら7巻)のどちらか,または両方(両方ないものも)。使ってみると,当たり前だが,「ブリタニカ国際」の方が詳しい。
  • 学習用コンテンツ —  テスト機能付きなどの単語集・熟語集・参考書など使えるもの使えないものさまざまあります。最初はきっと使うと思いますが…

選んでほしくないのは,折り畳み式でない液晶画面の小さい電子辞書(安いですが)。もともとペーパー辞書と比べた電子辞書の欠点として,一覧性の低さがあげられます。電子辞書は画面スペースが限られ,また熟語や例文のボタンを押さなければそれらが出てきません。それに対し紙の辞書は広くいろんな情報をブラウズすることができます。画面が小さい電子辞書にはその欠点が最も顕著に表れます。この程度の電子辞書なら,どこかでおまけとして無料配布されることもあります。同じ意味で,辞書代わりに携帯を使うのもおすすめしません。

 

今年度の特徴

電子辞書は毎年少しずつ進化していますが,といって劇的に進化しているわけではありません。使わない機能を付けて「新発売」することも多いようです。型落ち製品でもいいものはあります。

今年は SII の PASORAMA 機能(上の「パソコンとの連携機能」を参照)が目新しいところ。それ以外は,手書き認識がSII以外では一般的になったとか,コンテンツが少し増えたとか,図を表示できるものが増えたとか,ネイティブ音声が増えたとか,各社びみょーに進歩しています。予想どおりワンセグ対応やMP3プレーヤ搭載機種は増えていません。

 

電子辞書搭載辞書の種類とグレードについて

学習英和

単語の意味や例文だけでなく,どのように使えるのか,どのようなニュアンスがあるかなどの情報まで詳しく載っている,英語学習者向けの辞書が「学習英和辞典」です。高校生はもちろん,大学生・一般の人にも役に立ちます。たいていの中型辞典(メジャーなもので数種類あります)がこのタイプですが,電子辞書に搭載されているのは,ふつう大修館の「ジーニアス英和辞典」のシリーズのどれかです。「ジーニアス大英和辞典」は大辞典なので,分類としては本来は「専門英語辞書」に入れるべきですが,語法・文法情報は中辞典の「ジーニアス」と同じなのでこのジャンルに入れておきます。

= ラインナップ・グレード順 =

ベーシック・ジーニアス(中学生・高校初級) < ジーニアス(高校・大学・一般) < ジーニアス大英和

ただし,「ジーニアス・第4版」は「ジーニアス大英和」よりも新しい。

  • 中学生には, 「ベーシック・ジーニアス」搭載機種(今回選定の16機種中,カシオ XD-SF2500,シャープ PW-GT570)
  • 高校生には, 「ジーニアス第4版(G4)」か「ジーニアス大英和辞典」(全機種)
  • 英語専門家も,高校生と同じ。ただし,加えて,専門英語辞書が必要。

 

英英辞典

英語のネイティブスピーカーではない人向けに作られているのが「学習用」英英辞典で,これがいちばん必要な英英辞典です。もっとも,これが使いこなせる人は高校生にはほとんどいません(英和が充実しすぎ,ということもある)。

ネイティブ向けの英英は専門家・かなりの上級者以上は必要ないですし,現在の電子辞書に搭載されているものは,ちょっと中途半端なものが多いです。持ってて損はないけれど,というレベルのはなし。専門家というのは,その名のとおり専門分野を持っているわけで,その専門分野によっては必要不可欠かもしれないし,不要かもしれません。

● 学習用英英辞典 = このタイプの英英辞典として有名なのは,

  • オックスフォード社の Oxford Advanced Learner’s Dictionary (7th edition) (略称 OALD
  • ロングマン社の Longman Dictionary of Contemporary English (4th edition) (略称 LDOCE
  • ハーパー・コリンズ社の Collins COBUILD Advanced Learner’s English Dictionary (5th edition) (略称 COBUILD コウビルド)

の3つです。大半の電子辞書が,OALDを採用しています。LDOCE はカシオXD-SF4800, XD-St4100Hの2種,COBUILDはSIIのSR-G10001とSR-G10000についています。(ただし,SR-G10000の方は古い第3版,SR-G10001は最新版のようです)

また,LDOCE は電子辞書に搭載されているのは「4訂増補版」ですが,書籍版は第5版が2008年末にでました。

この3つ以外でカシオXD-SF2500についているのは,

  • 小学館・ケンブリッジ社のケンブリッジ英英和辞典

で,これはCambridge Learner’s Dictionaryの一部に日本語をつけ足したものです。初・中級者向けです。

ネイティブ用英英辞典 = 英語専門家用と言っていいでしょう。電子辞書に搭載されているものでは,

  • Oxford Dictionary of English
  • The New Oxford American Dictionary

があります。前者はカシオXD-GF10000, XD-GF9800,シャープPW-LT320,SIIのSR-G10001, SR-G10000,後者はカシオXD-GF10000  SIIのSR-G9000, SR-S9001, SR-S9000にあります。オックスフォード,ロングマン,コリンズはすべてイギリスの出版社であり,だからイギリス英語中心かというと,そんなこともありません。アメリカ用法も載っていますから,それほど心配はいりません。

 

学習用用法辞典 = 英英で,かつネイティブでない人向けの学習用の用法辞典です。英語教師などの間で評価が高いのは,

の2冊です。一種のシソーラス(類語辞典)ですが,単に類語を列挙しているのではなく,英語学習者向けに解説や例文をふんだんに載せているおもしろい辞書です。でも,高校生レベルで使い切れる人はあまり見かけません。せめて英語を専門にする大学生なら持っていて欲しい辞書です。

Activator は,カシオXD-GF10000, XD-SF4800に,Wordfinder はカシオXD-GF10000, XD-SF4800, XD-GF9800,SII のSR-G9000に収録されています。

どちらがいいかは,微妙。Activatorは第2版が出ていますので,

Activator  > Wordfinder

としておきます。なお,Activator は,書籍版の LDOCE を買うと付属のCDに同梱されていて,LDOCEのソフトから連携して検索できます。

 

和英辞典

もともと和英辞典はそれだけではあまり使えません。英和・英英を併用して使うのがベストです。(和英の使い方については,『辞書・電子辞書の使い方 (3) 和英辞典』を参考にしてください)

したがって,あくまでもわたしの考えでは,専門家でなければ,中型辞典以上のサイズならどの和英でも大差ない,と思います。

 研究社 和英大辞典小学館 プログレッシブ または グランドコンサイス和英 または ジーニアス和英

 

専門英語辞書

高校生には不要,としておきましょう。教師や専門家には不可欠です。タイプとしては,シソーラス(類語辞典),熟語・イディオム辞典,活用辞典(語法・連語)などです。専門辞書というわけではありませんが,英和大辞典もここに入れておきます。

● 大型英和辞典 = 日本で現在発売されている大辞典といえば,

  • 研究社 大英和辞典
  • 小学館 ランダムハウス英和大辞典
  • 研究社 リーダーズ英和辞典(+ リーダーズ・プラス)

の3つで,各社の電子辞書に収録されています。このうち「リーダーズ」はサイズからいくと「大辞典」ではないのですが,語数的には十分「大辞典」に入れてあげていいと思います。翻訳者で愛用する人が多かったですね。

「学習英和」にあげた

  • 大修館 ジーニアス大英和辞典

も,本来ここに分類されるべきものです。これらのうちのどれかがあればいいでしょう。特に優劣はつけないでおきます(大辞典は課されるハードルが高いわりに改訂ペースが遅く,いずれ不満は出ます)。

「ジーニアス大英和」を含めた上の4つすべてを搭載しているのは,SII のSR-G10001 と SR-G10000 だけ。3つだと,カシオ XD-GF10000, SIIの SR-G9000(これは「ジーニアス」なし)。2つなら,カシオ XD-GF9800,シャープPW-LT320,SII のSR-G9001, SR-S9001, SR-S9000 (これらはどれも「ジーニアス」+「リーダーズ」)。

● シソーラス = 類語辞典を必要とするのは,頻繁に英語を書く必要がある人です。有名な Roget’s Thesaurus はどこにも収録されていません。収録されているうちでは, Oxford American Writer’s Thesaurus (オックスフォード米語類語辞典)と Oxford Thesaurus of English (オックスフォード類語辞典)がダントツでしょう。わたしは,前者(の書籍版)が気に入っています。前者はSII のSR-G9000, SR-S9001, SR-S9000に,後者はカシオXD-GF10000, XD-GF9800, シャープPW-LT320, SIIのSR-G10001, SR-G10000 に搭載されています。

● 活用辞典 = 英語を書くための辞書。上にあげた,Oxford Wordfinder や Longman Activator もこの分類に入れてもいいでしょう。それ以外では,何と言っても

  • 研究社 英和活用大辞典

がお奨めです。コロケーション(連語)辞典と言ってもいいもので,たとえば「いい結果を収めた」と書きたい時に,「いい」にはgood以外で何が使えるか,「収めた」はどういう動詞がいいかなどを result を引くことによって検索できます。似たような辞典は

  • Oxford  Collocations dictionary for students of English (オックスフォード連語辞典)

ですが,使い勝手とボリュームから言って, 研究社英和活用 > オックスフォード連語 の順でしょう。

 

百科事典

Wikipedia 登場以降,影の薄い百科事典ですが,信頼性から言ってもファーストレファレンスとして百科事典はまだまだ必要です。電子辞書に搭載されているのは,ブリタニカ国際大百科事典マイペディアの2種類。グレードは

ブリタニカ国際 > マイペディア

でしょう。両方搭載しているものも多いのですが,ブリタニカがあれば十分だと思います。平凡社の百科事典も載せて欲しいのですが。

英英百科である Britannica Concise Encyclopedia を収録しているのは, SII の SR-G10001とSR-G10000 です。

 

国語事典

グレードは,

精選版日本国語大辞典(収録語数30万) > 広辞苑(24万) or 大辞泉(23万) or 大辞林(25万) > 新明解(7万6千) or 明鏡(7万)

といったところ。精選版日本国語大辞典は,日本最大の国語事典である「日本国語大辞典」(書籍のみ。収録語数50万)の縮約バージョンで,書籍なら3巻本です。これを必要とする人はあまり多くはないでしょう(わたしも欲しいですが,あってもたいして使わないかも)。広辞苑クラスの3つのうちのどれかはあった方がいいでしょう。精選版日本国語大辞典は,カシオXD-GF10000, XD-GF6900 だけ。広辞苑クラス3冊のどれかは,取り上げた電子辞書すべてに搭載されています。

 

古語辞典

ふつう搭載されているのは,旺文社 全訳古語辞典 です。ほかのも参入して欲しいですね。

 

漢和辞典

漢語林 は親字14,353字,熟語数約42,000語,漢字源 は親字13,255字/熟語約48,000語ですから,ほぼ同等です。書籍の漢和辞典はこれ以上のものがいくつもありますが,文字コードの関係で,電子化はなかなかむずかしいのかもしれません。

 

日本語類語辞典

日本語のシソーラスですが,まだまだあまり使われていないようです。わたしは,ありきたりのことばしか思い浮かばない時に時々使っていますが,このジャンルの辞書はまだ未完成なのかもしれません。

日本語大シソーラス(収録語数 1000カテゴリー / 32万項目) > 角川 類語新辞典(5万項目) > 小学館 使い方の分かる類語例解(6000カテゴリー / 2万5000項目)

 

スペックの比較

pdf による「各機種のスペック比較」 をご覧ください。

各機種のスペック比較のページ

各機種のスペック比較のpdfpdf

各機種の搭載コンテンツ比較pdfpdf

 

このサイトのおすすめ:最終選考候補

次のものが私が勝手に選んだ予選通過機種です。細かいスペックについては下の機種名をクリックすれば各社のそのページに飛びます。注目すべき点については, 上の各機種のスペック一覧にまとめておきました。これらは今現在の各社ホームページに載っている電子辞書です。以前の機種で市場にまだ在庫があるものもあるかもしれませんが,各社が今推している機種に絞りました。

「おすすめ」選定の基準

  • 学習英和辞典は 「ジーニアス」第4版か,「ジーニアス大英和」
  • 和英辞典は あればよい
  • 学習英英辞典は OALD か LDCE か COBUILD
  • 手書き認識の有無は無視
  • 学習用としては,古語辞典と日本史・世界史辞典があること(私大理系用には,物・化・生物・数学公式などの事典・用語集があればいいが,文系と比べると必要度はやや下がる)
  • 英語専門用ならば,英和活用大辞典+リーダーズかランダムハウスか研究社大英和

この基準をクリアするのは以下の電子辞書です。なかでも特にお奨めなのは, がついています。どういうユーザーにお奨めなのかは最後をご覧ください。

 

logo_sharp.gif シャープの電子辞書

他の2社に比べると,コンテンツには特色がないのが特色。シャープにはやや辛口になってしまいますが,それはこのページの目的が,「高校生や英語学習者,英語専門家が使える電子辞書を選定する」ということだからです。シャープはむしろ「ふつうの人がふつうに使う電子辞書」を目指しているように思います。その視点で選ぶなら,優れた選択肢のひとつです。

PW-TC930

《一般向け》 ワンセグ搭載は,これだけ。フォトスタンドにもなる(電池は大丈夫?)。当然,カラー対応のコンテンツならカラーで見られる。(2007年製)

全体のコンテンツ数は,他より少なめ(総コンテンツ数40)。

 

《一般向け》 TC930よりも下位機種だが,ワンセグがないせいか,コンテンツ数はこちらの方が多い(100)。2009年の新製品。専門コンテンツは不足だが,一般向けなら十分。

 

《高校生向け推奨》 シャープの高校生向けならこれ。ライバルは,カシオの XD-ST4100H。2008年1月製。

 

《英語専門家向け推奨》 シャープの英語重点機種。大学生なら,このあたりでOK。小型ながら中国語辞典もつく。

 


logo_casio.gif カシオの電子辞書

ここに挙げたのは,すべて2009年発表のタイプ。3社の中ではいちばん多くの新製品を投入しています。わたし自身は一貫してカシオを愛用しているので,点数が甘くなりがちかも。

XD-GF10000

《英語専門家向け推奨》 カシオの中では「総合型―英語・国語系」に分類されている。 総合型の最上位機種で,カシオは「フラグシップ」(旗艦)と呼んでいる。 英語専門家も使えるコンテンツがそろっている。Word Finder と Activator,新和英大辞典,活用辞典,ランダムハウス,リーダーズなど。日本国語大辞典は魅力的。万能なだけに高価。

 

《一般向け》 カシオの中では「総合型―国語・生活系」に分類されている。 英語のプロにはコンテンツ不足だが,最低必要なものはそろっている。

 


XD-SF6200 《一般向け》 カシオの中では「総合型―オールジャンル」に分類されている。比較的低価格。一般の人ならこれで十分。

 


XD-SF4800  《高校生向け推奨》 学習型の最上位機種。 山川用語集がついているのが便利かも。

 

《中学生向け推奨》 中学生ならこれかな。高校受験用コンテンツを含む。「そんなのいらない」という進んだ中学生なら,上か下を選ぶべき。

 

《高校生向け推奨》 カシオは「高校生向けエントリー機種」と呼んでいるが,「山川用語集」が不要なら,SF-4800よりこっちで十分なのでは。

 

《英語専門家向け推奨》 生活用コンテンツはないに等しい。その分英語関連が充実。 わたしが今使っている電子辞書の後継(の後継)機種がこれ。以前と比べてWordfinderが入ったのはうれしいが,日本語類語辞典がグレード・ダウンしたのはどうなんでしょう。

 


 logo_sii.gif SII の電子辞書

SII の特徴は,英語だけ,または英語 + ビジネスに特化していること。色気を持たない潔さがいい。100種類のコンテンツを入れても使わないものが多いわけだし,ネットでたいていの情報は手に入るし,そういう情報は電子辞書として携帯している必要はあまりない。

SR-G10001

《英語専門家向け推奨》 SIIの最上位機種。2009年3月新発売。生活用コンテンツなし,はSIIに共通。データをパソコンにコピペ可能。2009年3月の新製品。

 

《英語専門家向け推奨》 コンテンツのラインナップはG-10001に似ている。G10001からパソコン連携機能とコーパスをはずし,COBUILDを古いものに取っ替えたもの,と考えればいい。2006年製だから,安くなっていればお買い得か?

 

《英語専門型》 英語が必須のビジネスマンをターゲットにしている。データをパソコンにコピペ可能。SIIの中では英語コンテンツは少なめ。2008年11月製。

 

《英語専門家向け推奨》 今回取り上げた電子辞書のうちで,これだけは唯一,「ジーニアス」系がないことに注意。 英文ライターには役に立つコンテンツがそろっている。2008年3月製。

 

《英語専門家向け推奨》 2008年11月製。S-9000との違いは,メインコンテンツに関する限りほとんどない。こちらの方では,資格試験・英検のためのコンテンツが追加されている。

 

《英語専門家向け推奨》 2008年3月製。S-9001の追加コンテンツに食指が動かなければこっち。

 

独断的結論 当サイトの推奨機種

もしわたしが,「高校生にアドバイスするなら」「自分用に買うなら」「特に用途はないが1台欲しいという親戚に勧めるなら」というような場合を想定して,次のようなものを選びました。

高校生なら

カシオ XD-SF4800

ライバルはカシオ XD-ST4100HシャープPW-GT570。山川用語集にこだわれば上,こだわらなければ下のどちらか。

 

英語専門家(英語を重視する大学生を含む)なら

カシオ XD-GF10000 か, カシオ XD-GF9800

SII SR-G10001SR-G10000

ライバルは  シャープ PW-LT320

このカテゴリーに入る人は,専門的必要や辞書に関する主義をお持ちのはずなので,「コンテンツリスト」等を参考にしてください。

 

中学生なら

 カシオ XD-SF2500

ライバルは高校生向け機種。

 

それ以外の一般の方なら

 

 

このページの記述等にお気づきの点がございましたら,ご連絡ください。

作成日 2009.03.21

 

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by rickie | Posted in 未分類 | No Comments »

辞書・電子辞書の使い方 (4) 英英辞典 その1

3月
2008
4
この記事の印刷用バージョン

ここで取り上げるのは学習用英英辞典です。これらは,英語を外国語として学ぶ学習者(つまり,私たち)が使う目的で作られた辞書で,ネイティヴが使っている辞書とは,説明語彙,語意説明の仕方,語法や文法の解説,収録語数の面で大きく違っています。

学習用英英辞典とは

英英辞典を使ってもその説明に出てくる単語がわからない。じゃあその解説の単語を引いてみると,その説明の単語もわからない....というのが昔の英英辞典に頻繁につけられたクレームでした。この弱点を解決すべく取られた方策は,(1) 説明の中に日本語を混ぜる(英英和辞典方式) (2) 説明に出てくる英単語を簡単なものに限る(定義語制限方式) というものでした。(1)の方式の辞書は,最初に出たのは私が受験生の頃にはあったと記憶していますからかなり古い歴史がありますが,今でも少数ながら存在しています。しかしあまり成功したとは言えません。日本語を混ぜるくらいならそもそも英英を引く意味がなくなってしまいますし,何といっても(2)が成功したので存在感自体が薄まってしまったのです。現在日本で使われている学習用英英はみな定義語制限方式を採用しています。

英英辞典の選び方

メジャーな学習用英英は次の3冊です。

Longman Dictionary of Contemporary English

(日本では「ロングマン現代英英辞典」として発売: 桐原書店) 4訂増補版

通称は LDOCE(またはLDCE)。定義語制限方式を最初に導入して学習英英辞典の革命を引き起こしたのはこの辞書。なお Longman というのは出版社名。

 

Oxford Advanced Learner’s Dictionary

(日本では「オックスフォード現代英英辞典」として発売) 第7版

通称はOALD。戦前の日本で教えた Horny が日本での教授経験を踏まえて作り,1942年日本の開拓社で発売。その後 Oxford が受け継いだ。世界最初の non-native向けの学習用英英辞典といってよい。一時期 LDOCE に抜かれたこともあるが,今は並んでいる。

 

Collins COBUILD Advanced Learner’s English Dictionary

(日本では「Collins コウビルド英英辞典」として発売)改訂第5版

通称はCOBUILD。このCOBUILDとは,Collins 社と Birmingham 大学が共同して作った, Collins Birmingham University International Language Databaseに由来する。コーパスを導入して作られた辞書の草分け的存在。語意説明が独特で,たとえば develop という単語を引けば,ふつうは “to grow or change into something bigger , stronger, or more advanced” (これはLDOCEの説明)のような「言い換え」説明であるのに対し,COBUILD では,”When something develops, it grows or changes over a period of time and usually becomes more advanced, complete, or severe.” という具合に,その語を文で説明するという特徴を持っている。この方式は現在では,部分的に LDOCE にも OALD にも取り入れられている。

 

3冊のうちのどれを選ぶかは好みによるとしか言えませんが,COBUILD的な説明方式が気に入るかどうか,もう一つは定義語の数も選択の参考になります。定義語(definition words, defining vocabulary),つまり説明に使われている単語数は,

LDOCE が 2000 語

COBUILD が 2500 語

OALD が 3000 語

です。定義語が多いということは,より説明が詳しく書けるという長所を持っていると同時に,またその分すでに知っている前提になっている語が多いということです。したがって,LDOCE の方が OALD よりも初心者向きということになります。

なお,これら3冊ともイギリスで出版されていますが,アメリカ英語にも十分使えます。Longman はアメリカ英語辞典も出していますが,学習用にはこの3冊で十分です。

 

 

 

関連する投稿

by rickie | Posted in 未分類 | No Comments »

電子辞書の選び方 (2008年)

2月
2008
23
この記事の印刷用バージョン

このページは 2008年度 版です。

最新の 2009年度版は こちらです。


電子辞書は数社から販売されていますが,よく使われている(つまり売れ線)なのは,シャープ,カシオ,セイコー(SII)の3社で,ここでもこの3社を取り上げます。(他社のものが悪いというわけではありません。調査していないだけです。)

選ぶ基準は?

各社の電子辞書はいくつもの製品ラインアップを持ち,それぞれ年間1~2回バージョンアップしていますが(たいてい 1 ~ 3月),大きく分けると,

  • 総合型 —- 一般向け 生活関連やビジネスなどが充実
  • 学習型 —- 大学受験を意識して作られているタイプ
  • 語学専門型 —- 外国語を強化(受験向き,生活関連は弱い)
  • その他 —- それ以外。廉価版も含む

になります。

各社の製品には

  • シャープ    —— 総合型にはワンセグ対応も。総合型は語学面,学習面は弱い。
  • カシオ —— 全型において辞書コンテンツでは一番充実。ワンセグなし。
  • SII  ——  総合型や学習型は弱い。語学専門型一本で勝負。

という傾向が見られます。

機能面では同じ価格帯なら似たような機能になりますが,最近はちょっといろいろな機能をつけすぎているキライがあります。自分にとっては,あまり必要ない機能,あればあったでいいがなくても困らない機能かもしれません。

  • 手書き認識機能 — 確かに,キー入力が苦手なお年寄りやキー入力しにくい漢字には便利だが,高校生ならキー入力を覚えるべきでしょう。漢字も漢和辞典の引き方を知れば,この機能は不要。ただ,SII を除き,最近の機種はこの機能付きのものが多い。
  • キー配列 — 日本語はJIS配列,英語はQWERTY配列が基本。学習型や語学専門型はふつうこれ。
  • ネイティブ音声 — 絶対にほしい機能ですが,だいたい全機種についています。ふつうは辞書に音声がつくのですが,カシオは音声機能を辞書と分離して,すべての辞書から音声を出せるようにしているのはえらい。SII にはイギリス英語・アメリカ英語両方の発音を搭載しているものもある。 なお,音声機能にはネイティブ音声(実際の発音)と機械的な合成音声(不正確な場合あり)がありますが,英語は普通ネイティブ音声で録音されています。
  • コンテンツ追加機能 — ホントは欲しい機能ですが,追加コンテンツは値段が高く,高い金を出して買っても本体の寿命は長くて数年(私の経験では3年弱。ホントはもっともつはず)。後継機種でも買ったコンテンツが使えるという保証はない(私はたくさん買っているので使えないと困るのですが)。英語以外の外国語をやるのでなければ,それほど魅力的なコンテンツはないかも。
  • ワンセグ — ほしければどうぞ。授業中に見ないようにネ。
  • カラー液晶 — ワンセグがいらないならいりません
  • MP3機能 — いるかなあ? iPodとかを買った方が使い勝手がいいと思うけど。シャープやSIIについてるものがあります。
  • 辞書 —  最低限欲しい辞書は,英和・和英・英英・国語辞典・漢和辞典・百科事典といったところでしょう。これにプラスして,受験用(文系)としては古語辞典,日本史・世界史辞典。英語教師・英語プロ用なら,英和活用辞典(書く人には必携),シソーラス,もう一冊の大型英和辞典などが考えられます。理系の受験生には,生物・化学あたりなら辞典があるのも便利でしょうが,不要ならワンランク下(つまり今述べた「プラス」部分のないもの)でもかまいません。
  • 百科事典—  搭載されるのは「マイペディア」(本なら1巻),「ブリタニカ国際」(本なら7巻)のどちらか,または両方(両方ないものも)。使ってみると,当たり前だが,「ブリタニカ国際」の方が詳しい。
  • 学習用コンテンツ —  テスト機能付きなどの単語集・熟語集・参考書など使えるもの使えないものさまざまあります。最初はきっと使うと思いますが…

選んでほしくないのは,折り畳み式でない液晶画面の小さい電子辞書(安いですが)。もともとペーパー辞書と比べた電子辞書の欠点は,一覧性が低いというのがその一つです。画面が小さい電子辞書にはその欠点が最も顕著に表れます。この程度の電子辞書なら,おまけについていることも。

 

機種選定:予選通過機種

次のものが私が勝手に選んだ予選通過機種です。細かいスペックについては下の機種名をクリックすれば各社のそのページに飛びます。注目すべき点については, pdfpdf による各機種のスペック一覧にまとめておきました。これらは今現在の各社ホームページに載っている電子辞書です。以前の機種で市場にまだ在庫があるものもあるかもしれませんが,各社が今推している機種に絞りました。

学習用(高校生向け)電子辞書

シャープ

  • PW-AT770 — 総合型だが,学習用としても使える。ワンセグなし。が,学習型と比べて学習コンテンツは少ない。
  • PW-GT570  — シャープの学習用最新・最上位機種。
  • PW-GT550 — 1世代前の学習用最上位機種。ジーニアスは第3版。
  • PW-G500 — GT550のコンテンツを減らしたもの。ジーニアスは第3版。手書き認識なし。

カシオ

  • XD-GP6900 — 総合型だが,学習用としても使える。が,学習型と比べて学習コンテンツは少ない。「日本国語大辞典」の搭載はビックリ。
  • XD-SP6600 — 総合型だが,学習用としても使える。が,学習型と比べて学習コンテンツは少ない。
  • XD-SP4800 — カシオの学習型最上位機種。英英はLDCE。文系には山川用語集は便利。
  • XD-SP2500 — 英英は「ケンブリッジ英英和」。
  • XD-ST4100G — 半年前の機種。英英はLDCE。手書き認識なし。

 

英語重点(英語教師・英語プロ向け)電子辞書

シャープ 多機能が売り。

  • PW-LT300 — 英語専門型としてはシャープ最上位。和英は「グランドコンサイス」。
  • PW-V8910 — 2006年型。百科事典なし。手書き認識なし。OALD旧版。

カシオ 辞書の豊富さが売り。

  • XD-GP9700 — 英語専門型としてはカシオ最上位。大辞典を含む英和3冊,和英2冊,百科2冊という完全重装備。
  • XD-SP9500 — GP9700から,「和英大辞典」と「ブリタニカ百科」などが削られている。

SII 検索機能が充実。手書き認識はなし。

  • SR-G10000 — 値段的にはSII最上位だが,2006年秋モデル。研究社大英和搭載。COBUILDが特徴だが,旧版。Britannica Concise がおもしろい。
  • SR-G9000 — 2007年モデル。珍しくジーニアス不搭載。英和活用辞典なし。
  • SR-G8000 — 2007年秋モデル。標準的。
  • SR-S9000 — SII の最新モデル。標準的。
  • SR-ME7200 — 2006年冬モデル。英和活用辞典なし。

 

このサイトのおすすめ:最終選考候補

「おすすめ」選定の基準

  • 学習英和辞典は 「ジーニアス」第4版か,「ジーニアス大英和」
  • 和英辞典は あればよい
  • 学習英英辞典は OALD か LDCE か COBUILD
  • 手書き認識の有無は無視
  • 学習用としては,古語辞典と日本史・世界史辞典があること(私大理系でもこの条件であまり変わりません)
  • 英語専門用としては,英和活用大辞典+リーダーズかランダムハウス

この基準をクリアするのは以下の電子辞書です。

 

 学習用(高校生向け)電子辞書

シャープ 総合型 PW-AT770 (色違い)
シャープ 学習型 PW-GT570(色違い)
カシオ 学習型 XD-ST4800(色違い)
カシオ 学習型 XD-ST4100(1色)
カシオ 総合型 XD-GP6900

 

英語重点(英語教師・英語プロ向け)電子辞書

シャープ 英語専門型
カシオ 英語専門型
SII 英語専門型

 

 

このページの記述等にお気づきの点がございましたら,ご連絡ください。

作成日 2008.02.23

 

このページは 2008年度 版です。


最新の 2009年度版は こちらです。

 

 

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by rickie | Posted in 未分類 | No Comments »

辞書・電子辞書の使い方 (3) 和英辞典

2月
2008
22
この記事の印刷用バージョン

和英辞典が必要になる状況は,大学受験なら和文英訳問題や自由英作文問題,一般には業務用の定型文書や手紙・メール,海外向けの論文・報告書・エッセイなどになります。これらのうちで,業務文書や論文は専門性が高く,それ用の専門辞書がありますから,ここでは取り上げません。

大学受験での英作文や非専門的な英文を作成する時,問題文・課題に与えられた日本語に対応する英語が思い浮かばなければ,「和英辞典」を使うことになります。しかし,「和英辞典」は使い方の難しい辞典です。難しいというか,使わずにすむなら使わない方がいい,使うならちょっとだけ使うための辞典(そして,ちょっとだけしか使えない)なのです。

和英辞典は使い方が難しいと言った理由は,いくつもあります。

  • たとえば,物を表す名詞であれば和英辞典を引けば大方解決するでしょう。「蛍光灯」は a fluorescent lamp,「脾臓」は spleen,「テレビゲーム」は video game です。これらは日本語と英語がほぼ一対一的に対応しているため,和英のその項目にも一つの英語しか出ていません。和英だけで片付く単語と言えます。
  • しかし,こういう単語は少数派であり,少し抽象的な名詞や形容詞,動詞となると候補になる単語がたくさん出ていて,どの語を選ぶべきか迷ってしまいます。しかもその候補のどれもその文には不適格という場合もあります。
  • 英文を作る時は,まず主語と動詞を決定し,文全体の組み立て方を考えなければなりません。日本語の主語動詞をそのまま英語に直すのではなく,全体を組み替えなくてはならなくなる場合が出てきます。そうすると,個々の日本語に対応する単語を探してもだめかもしれません。
  • 英文を作る時は,日本語をそのまま英訳するのではなく,「和文和訳」,つまり同じ意味のまま,英語に直しやすい別の日本文に変える作業が必要になることがよくあります。その際,元の日本語を和英で引いても意味がありません。
  • 仮に使えそうな表現が和英で見つかったとします。しかし,単語だけでは文はできません。その使い方はどうかなどの情報も不可欠です。となると「和英」を引くだけでは不十分です。

結局まとめると,

和英辞典は,英訳する時に,または自分の考えを英文化する時に,ふさわしい英語表現を見つけるための出発点であり,出発点でしかありません。

まず「和英」で使えそうな語の候補を選び,それを「英和」(「英英」まで使えれば理想的)で引きなおして下さい。ここで大事なのは,その文にふさわしい,パクれそうな例文を見つけることです。英和辞典の項でも述べましたが,ここでも辞書で大切なのは単語ではなく,例文です。

昔から,「英作文は英借文(えいしゃくぶん)」というあまり面白くないダジャレがあります(教師がこのダジャレを使ったら,心とは裏腹でいいからニッコリしてあげてくださいね)。単語と文法知識を使って自分で英文を作っても,ネイティヴには「そういういいかたはしない」と一蹴されてしまうかもしれません。そこが英文を作る際の不自由なところです。日本語に直す場合とは違って,外国語で表現することは,自分の創意工夫だけでは自己満足に終わってしまうことが多いのです。独創的な表現はネイティヴ並みの表現力がつかないと無理です。

和英だけでなく,英和・英英を駆使して,よく使われている表現・用例を盗み,問題・課題・文脈にあわせて改造する,これが和英辞典の使い方ということになります。和英だけでは完結しない,ということです。

 

 

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2008.02.22 Ver. 0.6

 

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by rickie | Posted in 未分類 | No Comments »

電子辞書についての詮無き考察

2月
2008
21
この記事の印刷用バージョン

電子辞書はダメだ,という議論は電子辞書がこれほど一般的になった今でも時々耳にする。しかし,別に調査したわけではないから正確でないかもしれないが,高校生・大学受験生対象の英語教師は,そういう発言をあまりしないような気がする。私も「電子辞書は使うな」とは言ったことがない。ペーパー辞書には,少なくとも現在の電子辞書では持ちえない特性があるのは確かだが,それが電子辞書にしかない優位性を凌駕しうるものなのか,あまり自信がないからである。

辞書つまり,ペーパー辞書は「辞書」である。辞書は単なる書物ではなく,「辞書」という特殊な分類にしか属していない。線条性という拘束の弛緩。いったん目指す語にたどりついても,そこから線としてではなく,面として読まれる。視線は行きつ戻りつし,立ち止まり,目指す語意に出会ったとしても,さらに彷徨をつづける。競走ではなく,散策であり,私たちはそこに情報や知識を求めるのではなく,情報や知識と遭遇するだけである。予期せぬ遭遇に驚き,戸惑い,たじろぎ,悦ぶのである。

電子辞書は,辞書というよりもデータベースである。私たちは,クエリを発して,データを引き出す。データは,「見出し語」—>「語意」—>「用例」・「解説」と,階層構造的に整理・蓄積されていて,そこからデータが検索される。

電子辞書にはデータベースにすぎないという欠点がある。しかし,辞書が「辞書」であることを放棄する代わりに得たものは,魅力にあふれている。いくつもの辞書を格納できる。それらを横断的に検索でき,あちらの辞書からこちらの辞書へとジャンプができる。例文からの検索も可能。語尾からの逆引き。成句の一部から成句そのものを検索できる。辞書の追加も可能(私は独仏を追加,中国語も検討中)。そして何よりも,軽量。

毎日ぶ厚い辞書を持ち歩く宿命の語学教師ならば,この軽量という魅力に抗することはむずかしい。大辞典を机上に並べて,喫茶店でペーパーバックを読む,なんて想像が心揺さぶったのはそんな昔のことではない。だからこそ,生徒が電子辞書を使うのを止めることばを持たないのである。

ペーパー辞書は,初心者にこそ必要なものであり,辞書から知識を得るということがどういうことなのかを知った人が電子辞書に移行すべきである,そういう理屈も百も承知。しかし,「紙の辞書は引く気にならなかったけど,電子辞書にしてから引くようになりました」という声がちらほら聞こえ始め,やがて生徒の机すべてに電子辞書が並ぶようになると(それはそれで壮観だが),紙の辞書を薦める言葉は喉元につまってしまい,せいぜいおまけで貰った安物の電子辞書を使う者や携帯を辞書代りにしている者にダメ出しをするくらいになってしまうのである。

もちろん,電子辞書だってうまく使えば,欠点はかなりカバーできる。便利すぎてみんなうまく使おうとしないだけである。うまく使ってないのに,使えてしまうというのも電子辞書の欠点なのかもしれない。「用例キーを押そう」と何度も言っているはずなのだが,みんなどうよ?

 

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by rickie | Posted in その他(高校生向け), 英語の世界(一般向け), 辞書のはなし | No Comments »

辞書・電子辞書の使い方 (2) 英和辞典 その2

2月
2008
20
この記事の印刷用バージョン

ここでは,具体的に英文を読みながら,どのような点に留意して英和辞典を使うべきかを考えてみたいと思います。次の文を読んでみてください。必ず実際に英和辞典(ペーパー辞書でも電子辞書でもかまいません)を引きながら読んでみてください。2006年の京都府立大の下線部和訳問題で,大学入試の和訳問題としては難問の部類に入ります。この前の部分を省略してありますが,全体としては「何十年ぶりかの同窓会(reunion)で,人は何を求め,何を感じるか」というような話です。下線部(1)に出てくるtheseは,同窓会に集まったかつての友人たちです。

  1. どのタイミングで辞書を引くか
  2. 引く前に何を考えるべきか
  3. どのように見出し語を探すか
  4. 辞書のどこを読むべきか
  5. どのように熟語を探すか

を意識して,辞書を使ってください。

(1)What really counts is that these are all friends united in a common cause of memory and everyone should avoid saying things like “Good God! Look at you! What happened?”

Still, they’re not the same people we expected to see while thinking about them in the car on the way to the reunion. (2)Aren’t we all looking for the old faces and the old bodies, and to hear a lot of the old jokes? We expect to pick right up where we left off. Of course, no one remembers what it was really like.

 

どのタイミングで辞書を引くか?

「わからない単語に出会ったら,すぐに辞書を引く」というのは賢明ではありません。

1つのパラグラフを辞書を引かずに読み通してから不明な単語を辞書で調べるというのが理想でしょう。少なくとも,不明な単語で立ち止まらず,その文全体をピリオドまでは読んでからにしてください。

知らない単語の意味を文脈から推測する,という能力は「読む」「聞く」という行為において絶対に必要な能力で,これは経験を積むことでしか磨くことができません。「この単語知らないぞ,よし,速攻で辞書で調べよう」という習慣は,まじめな学習者が陥りやすい学習態度なのですが,将来的には逆にマイナスになります。意味を推測してから引く,という習慣をつけましょう。

長いパラグラフであれば,知らない単語にマークを付けながら,そして意味を推測しながら読んでいくのですが,マークだらけになってしまったら,推測も何もできっこありません。前後関係から推測するのに,前後もわからなければ手がかりがなくなり,ただのあてずっぽうになるからです。この場合はその文章が自分のレベルに合っていないのかもしれません。

上の文章ではまず下線部(1)を通して読んで,知らない単語にマークを付けます。知らない単語が見当たらない?大変結構です。unite 「結合・統一する」 ,common 「共通の」 ,avoid 「避ける」あたりは知っていてほしい単語です。これらは辞書を引かなくても知っているものとします。

ただし,friends united は「結合された友達」では意味がよくわかりません。「その 1」で書いたとうり,意味を決めるのは文脈ですから,この「同窓会で友人が再会する」という文脈の中で考えれば,このfriends united は具体的には「再開した友人たち」の意味になりそうなことを推測できると思います。「結合」「団結」という大げさな言葉を使っているのは,cause という語に関係があります。

残る単語でだいじなものは,count と cause です。これらを辞書で確認してみましょう。

 

引く前に何を考えるべきか?

これは,1つはもう触れました。知らない単語でもあらかじめ「意味を推測しておく」ことです。

もう一つは,知らない単語,知っているはずなのによくわからない単語を辞書で引く前にその語の文中での働きを考えることです。言い換えれば,品詞は何かを考えるということです。英語の品詞は,単語の並び方で推定することが可能です。

たとえば,下線部(1)では,What really counts is … とあれば,count は関係代名詞whatの節の中にあり,節にはSとVがあるはずなので,What がS, counts はVであるはずです。つまりcauseは動詞であり,しかも後ろに目的語がないので自動詞ということになります。また,cause は,名詞も動詞も存在しますが,ここでは前に a が付いているのでめいしのはずです。したがって,count の自動詞の欄,cause の名詞の欄を探さなければなりません。

品詞を知るためには,こうした文法の基礎的な力が必要です。辞書を効率的に引くためには文法力が前提になるわけです。もちろん逆に,辞書をうまく引こうとすることは,文法力をつけていくにもなります。

 

どのように見出し語を探すか?

これは,解説は必要ないかもしれません。アルファベット順に配列されているわけですから,その順で探せばいいし,電子辞書ならキーを打つだけです。

注意しておきたいことは,ひとつだけです。

時々当たり前の単語の当たり前の意味なのに,「その意味,辞書に出てないんですけど…」と生徒に言われることがあります。不審に思って,生徒が引いている辞書をのぞいてみると,「あっ,なるほどね」と思います。

辞書に単語を載せる場合,2つ3つに分かれている場合があります。たとえば,case という単語は case1 と case2 に分けられていて,case1 は「容器,ケース」の意味,case2 は「場合,真相」の意味というぐあいです。これは,それぞれの case の語源が異なっているからで,こういうものは辞書をパッと探しただけでも,duck, live, pen, race, sole, toast などたくさん見当たります。先の生徒は,2を見るべきだったのに,1を見ていたというわけです。1, 2 という記号がつく場合があることも頭に入れておきましょう。

さらに,探している見出し語が辞書に存在しない場合があります。その場合は,

  • 独立した見出し語にはなっていなくても,その語の核になる部分の見出し語の中に出ている場合がある。たとえば, ginger ale 「ジンジャーエール」は,G4では,見出し語にはなっていないが,ginger の項目の下にある。(電子辞書では独立見出しになっているかも)
  • その語の核になる部分の見出し語の例文の中に見つかることもある。
  • 接頭辞や接尾辞を除いた語幹で探す。たとえばun- のついた語は,見出し語になっていなくても,語幹の意味の打ち消しであることがわかるはず。
  • もちろん辞書はすべての単語をのせいてるわけではないので,その辞書にもともと存在しない場合もある。そういう場合はほかの辞書に当たるか,ネット検索という手もある。

 

辞書のどこを読むべきか?

さて,やっと目指す見出し語が見つかりました。次に,意味を探すわけですが,小さい字で長々と書いてあると探すのがイヤになるかもしれません。だから,英語の部分はすっ飛ばして,日本語の意味のところだけざっと目で追ってそれらしきものを探す… こういう人が非常に多いのですが,これだと当たればラッキー,ですがはずれも多いでしょうね。前項で述べたように,あらかじめ品詞を推定しておけば探しやすくなります。上で未解決だった,count, cause を実地に検証してみましょう。ここで使う辞書は 大修館書店「ジーニアス英和辞典」第4版(G4) です。

count1count  【原義:計算する】

—— [動]

— (他) (1) [SVO] <人が><人・物など>を(1つ1つ)数える,合計する(+up, over); 計算[算出]する

(2) ((正式))[SVO] <人が><人・物・事>を勘定に入れる,数に入れる; …を考慮する(consider); …を[…の]1つとみなす[in, among] 《進行形は不可》

(3) ((正式)) [SVO (as [for] C) <人が>O<人・物・事>を…と考える,思う  《Cは名詞・形容詞; 進行形は不可》

— (自) (1) [SV(M)] <人が>(1つ1つ)[…から/…まで] 数える;(数字で)計算する; (合計で…)数になる[入る]( +up) [from / (up) to]

(2) [SV as C] …とみなされる; [SV among O] …の1つとみなされる《進行形は不可》

(3) [人にとって]価値がある,重要である (matter) [with]; […に]影響力を持つ [toward] 《(1) for something [much] などで重要さの程度を表す. (2) 進行形は不可 》

(4) (公に)認められる

これが「ジーニアス」のcountの項です(例文は除いてあります)。まず,先ほどcount は自動詞と推定しました。したがって,他動詞の項はすっ飛ばして,自動詞を見ると4つの意味が出ています。ここでも,すぐに意味に飛びつくのではなく,文型(形)で絞り込みましょう。下線部は What really counts でしたので,後ろに修飾語はありません。これで as を伴う(2)は消えます。残った(1)と(3) ((4)はまれ)で意味をあてはめて,「本当に数えるもの」「本当に重要であること」の2つで,最終的には自動詞(3)が正解,になるはずです。ここで注意したいのは例文に必ず目を通すということです。電子辞書の場合は「用例キー」を押す習慣をつけてください。(3)には次のような例文が載っています。

  • The voices of two little people do not ~ for much in this world.
  • Academic qualifications ~ for nothing in this job.
  • Seconds ~.   1秒を争う
  • You don’t ~.   君は数に入っていない
  • What ~s is your effort.  大切なのは努力だ
  • It’s the thought that ~s.

なんと,5ばんめに下線部と同じ What counts … という例文があります。これを見つけてはじめて「間違いなくこれだ」となります。この表現がよく使われるらしい表現であることも分かります。本文と似たような例文を探すことは,辞書を使う上でいちばん心がけたいことです。

今度は残った cause です。ふつうは,動詞「引き起こす,原因になる」,名詞「原因」で覚えていてほしいのですが,ここはそれでは意味が通りません。

cause cause【原義: 原因,理由】

——[名] ( (複) caus・es ) (1)[C] [通例悪い事の]原因,種,もと [of]; 原因となる人[物]

(2)[U] […の/…する/…という] 理由,わけ,根拠,動機(reason) [for/ to do/ that 節]

(3)[C] (個人や社会の掲げる) 主義,目標,理想,大義,(…)運動; 福祉

(4)[C]  [[法]] 訴訟理由,訴訟(事件)

これがG4の cause の項。問題文の下線部には a が付いていたので可算名詞,つまり(2) は消えます。(4) は法律用語なので関係なし。そして,「原因」でないとしたら,(3) しかありません。そこでまた例文を確認してください。

  • in the ~ of justice [world peace] 正義のために [世界平和をめざして]
  • champion a ~   主義[目標]を強く支持する
  • She is working for the refugees’ ~.  彼女は難民の福祉のために働いている

下線部は in a common cause of ~ の形ですから,1ばんめの例文が似ています。これで確定としていいでしょう。ここでも,辞書の例文チェックは欠かせません。

下線部(1)の訳例

本当に大切なことは,ここにいる人たちはみな思い出という名のもとに一致団結した友人たちだということであり,「おいおい,鏡を見てみろよ,どうしちゃったんだい?」などということを言うのは,誰もが避けるべきなのだ。

 

どのように熟語を探すか?

下線部(2) へ移りましょう。前半は特に問題ないでしょう。後半部は,pick up, leave off という2つの熟語が使われていますが,これが熟語であることにすぐに気づきましたか?

動詞+副詞型の熟語は put off, get up, put on など数多くありますから,pick upやleave off が熟語じゃないかな?というのは気づきやすい方です。一般に,単語として辞書を引いて解決できないものは片っぱしから熟語の疑いをかける習慣をつけてみるといいと思います。もちろん,熟語ではないものもいっぱい出てくるでしょうが,何ヶ月かたつと(回数でいえば,100回か200回試していれば)多少わかりにくい熟語でも,「これはたぶん熟語だな」とかのカンのようなものが身につきます。こういうカン(=経験知)がついてくることが,「辞書を使いこなす」ということです。

さて,pick up という熟語は,pick の項に出ているでしょうか?それとも up でしょうか?もちろん pick ですよね。 pick up のコア(核)になるのはpick だからです。leave off ではleave。では,take care of は?これは,care です。beat around the bush は? (ふつう bush) white elephant は?(ふつうは white かな) どれがコアの語かを見つけるカンもしばらくかかるでしょうが,引いているうちにかんたんに身につきます。もっとも電子辞書の熟語検索機能を使えばイッパツですけれど。

pick up には意味がたくさんあるのですが,ここも例文にあたってみましょう。すると,

    ((略式)) (話などを中断した後で)また始める,続ける という意味のところに,

Let me pick up where I left off.  中断したところから話を続けます

という問題文とそっくりの例文が載っています。これまた,例文調べの大切さを示してくれます。

right は「まさしく」という副詞で,後ろの副詞(句)を強調します。what S is like は「Sはどのようなものか」。

下線部(2)の訳例

私たちはみな,昔の顔,昔の体つきを探し,昔と同じ笑い話をたくさん聞きたがっているのではなかろうか?中断したところから再開しようと思っているのである。むろん,それが本当はどんなものであったかなど誰も覚えてはいないのだが。

 

まとめ

  • 辞書は,1パラグラフ(または数センテンス)まとめて読んでから引く
  • 引く前に意味を推測する
  • 引く単語の品詞を推定する
  • 辞書の文型・語法・可算不可算などの文法情報を活用する
  • 例文を読んで,似た形を探す

 

 

 

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作成日 2008.02.20     Ver. 0.8

 

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辞書・電子辞書の使い方 (1) 英和辞典 その1

2月
2008
18
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どんな言語であれ,語学学習の最初のツールにして最終兵器でもあるのが「辞書」です。昔から,辞書を使いこなせれば語学は上達するとか,「できるやつ」は辞書の引き方からして人とは違うとか,昔は辞書を1ページずつ暗記して,そのたびに1ページずつ食べた(!)とか,辞書については多くのことが語られ,伝説化さえされてきました。これから述べることは,そんな大げさなことではなく,ある程度の学習を積んでいるならどんな学習者も経験的に知っていることです。よく,「携帯や・パソコンは機能が豊富すぎて使いきれない」という話を耳にしますが,辞書もその機能がじゅうぶん使われてはいません。最近はあまり辞書の引き方の指導などがなされていないようなので,参考になるかもしれません。

書店に行けば,「英和」「和英」「英英」,そしてその他「口語辞典」「イディオム辞典」「スラング辞典」「絵入り辞典」などさまざまな辞典がありますし,「英和」に限っても,十数種類は出版されているでしょう。もちろん,紙の辞典と携帯用電子辞書,さらにはCD-ROM(DVD)の辞書や,ネット上のオンライン辞典などもあります。まず最初に取り上げるのは英和辞典です。電子辞書については別に取り上げますが,操作の仕方以外は基本的に同じです。

「辞書の使い方」を読もう

辞書には冒頭に必ず「この辞書の使い方」「凡例」などがついています(電子辞書にもあります)。これが,辞書のマニュアルに当たるわけですが,形態のマニュアル以上に読む人は少ないでしょう。ほんとは一度通読した方がいいのですが,少なくとも辞書を使っていて「あれ?これ何のマーク?」なんて思った時はこの「使い方」を探してみましょう。携帯・パソコンと同じでいちど使い方に習熟すれば,今後出会ういろんな辞書にも対応しやすくなります。

最低限,次のことは知っておきましょう。(「ジーニアス」英和辞典なら,「この辞書の使い方」が書かれている以外に,表紙の裏側に簡単に「おもな規則」としてまとめられています)

  • 発音記号
    単語の見出しのすぐ後に発音記号が載っているはずです。/    /か[   ]に囲まれているはずです。初めて出会う単語は必ず発音を確認しておいてください。発音記号については,このサイトではこのページで解説してあります。
  • 語義の配列
    単語の意味はたいてい何個もあるはずですが,どのような順番で載せているかは辞書によって違います。たとえば「ジーニアス英和辞典」第3版では,その単語の中核的な意味を先に載せる方針でしたが,第4版(G4)では,頻度順(よく使われる意味順)になっています。
  • 語法・用法の表記
    動詞の場合ならどの文型で使えるか(SVOなど),進行形や受け身にできるかどうか,形容詞なら限定用法,叙述用法どちらかしか使えないかなど,重要な情報がどのように出ているかも「使い方」に書かれているはずです。
  • 例文ののせ方
    例文は非常に大事です。ここを見る習慣をつけるかどうかで格段の差がつくでしょう。例文の載せ方は辞書によってそれほど違いがありませんが「使い方」にでているはずです。大事なところは,
    • 見出し語は「~」になっている
    • (      ) の中の語は省略可能,[     ] の中の語は直前の語と入れ替え可能,を表している

    です。例をあげると , glad の項目には I am ~ (that[when]) her son passed the examination. という例文が出ていますが,「~」はgladが入り,that はwhen と入れ替えてもよいが,両方とも省略してもよい,という意味です。

  • さまざまなマーク
    品詞のマークは必ずありますが,それ以外に
    • intransitive verb は自動詞,transitive verb は他動詞
    • countable noun は可算名詞(countable noun), uncountable noun は不可算名詞(uncountable noun)
    • ((正式)) は固い表現,((略式)) はくだけた表現

    などは知っておかなければなりません。

  • 電子辞書の場合
    電子辞書の画面上の表記はペーパー辞書と同じですが,キー(とくに,用例や解説のキー)と検索用ソフト(例文検索や熟語検索)はマニュアルで確認しておいてください。

 

辞書の限界を知ろう

辞書は語学学習の最終兵器,と言いましたが,しょせん道具は道具です。日本の英和辞典は,本場アメリカ・イギリスも含め世界中の英語辞典の中でも,語法解説のくわしさなど群を抜く水準ですが,辞書だけですべてが解明できるわけではありません。辞書にできることとできないことをはっきりさせておく必要があるでしょう。

本来ことばの意味は文脈の中で決まります。ひとつの単語の意味は,その単語自身の中に含まれているというよりも,その単語が置かれている状況や,前後の語や文との関係の中で意味がそのつど生まれてきます。文脈がなければ意味は決定できないのです。

辞書は,そうした前後関係をすべて抜き去って後に残ったを集めたもの,と言っては言い過ぎかもしれませんが,辞書はそういう一面から抜け出すことはできません。辞書に「意味」として並べられているのは,じつは「意味」というより,その語と「言い換え」「置き換え」ができそうな別の単語の一覧なのです。だから辞書を引く人は,そこに並んでいる「言い換え」語たちから,「意味」を推測していかなければならないことになります。辞書に意味は載っていないのですから。

たとえば,辞書である単語の意味を探しても,ぴったりした訳語が載っていないかもしれません。いちおう訳語が見つかっても,全文を日本語にしてみるとなんか意味不明の文になってしまうかもしれません。いちおう意味は通っても,なんでこんなところにこんな単語を使うのかしっくりこないかもしれません。これらは英語に触れていればしょっちゅう出くわすことです。辞書に載っている訳語=「言い換え」語にあくまで忠実であろうとするとこうした壁にぶつかってしまいます。

辞書は中学校一年生が作った「 have  持つ」というような単語帳と本質的には変わりません。「言い換え」語の羅列です。といっても英和辞書には百数十年間にわたる先人の苦闘が結晶しているわけですから,「意味」へと接近するさまざまな工夫がなされています。その工夫を手がかりに辞書を武器として,文脈の中で意味を発見=生成すること,これがみなさんに求められていることです。

さて,今言ったことと矛盾することにも触れておかなければならないのが,教師のつらいところ。ひとつは「教育的」配慮,もうひとつは「受験」への配慮。

「文脈の中で意味を発見=生成する」といいましたが,それは「自由に」訳をでっちあげていいということではありません。「自由に」思い浮かんだ訳がその文脈にふさわしいかどうか,それを判断するにもかなりの能力が必要になります。私はどちらかというと生徒の「自由な」訳には甘い方ですが,それでも生徒が選んだ語には別のニュアンスが含まれてしまって「ダメ出し」せざるを得ないことがよくあります。また,特に,単語を暗記する時には,その単語の最大公約数的な意味(つまり,いちばん応用のききそうな「言い換え」語)を覚えておかないと,次に出てきたときに困ります。文脈に応じた訳は文脈が変われば,そのつど変わるわけで,といってひとつの単語に無数の訳語を暗記するわけにはいきません。少数の訳語を覚えておき,それを文脈に応じて変えていく,という能力をつちかう必要があります。

受験では「英文和訳問題」がしばしば出題されるわけですが(これについてはいろいろ議論があります),この際どこまで「自由に」書いていいのかは難しい問題です。ふだんその生徒に触れている教師なら,「ああ,この生徒はわかっていてこう訳してるんだろうな」とか「こいつ,テキトーに逃げたな」とかが,日常の授業という文脈から推測できるわけですが,一期一会のテストではそれができません。「この単語はちゃんとわかっていますよ」という合図を出題者,採点者に向けて送っておかないと,(特に頭のかたい)採点者を誤解させるリスクがあります。こんなばかばかしいことを言わなければならないのも,大学が採点基準を発表しないからです。和訳問題を出題するなら採点基準をあらかじめ明示せよ,と言いたいところですが,技術的には大変でしょうね。

 

 

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作成日 2007.02.18 Ver. 0.8

 

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by rickie | Posted in 未分類 | No Comments »