高校・塾・予備校の授業の予習と復習(1)

授業の予習・復習をどのようにやっていったらいいのかを考えてみたいと思います。

言うまでもないことですが,学校や塾・予備校の先生から予習・復習についての指示があれば,その先生の指示に従ってください。授業あっての予習・復習ですから,授業の方針と矛盾するような予習・復習にはあまり意味がありません。特に指示がない場合や,指示がよく理解できない場合にはこのページを参考にして自分なりの方法を試行錯誤していくといいと思います。

 

そもそも予習・復習は何のためにするのか

予習は,授業で教わるはずのことを先回りしてやっておくことではありません。その日に授業でやるはずの問題を解いたり,長文を読んだり単語を調べたり,ということは大切ですが,心構えとしては,その授業で自分は何を学ぶべきなのかをはっきりさせることが予習の第一の目的です。特に予習慣れしてくると,ただ漫然と事務的に課題を消化するだけになってしまいがちです。自分に何が足りないのか,何を身につければいいのかをいつも問いかけてください。

復習は,もちろん,授業で学んだことを,あるいは学びそこなったことを,もう一度見直して定着させる,つまりしっかり身につけるためのものです。しかし,一回復習してすべて身につくなんて人は100人にひとりもいないでしょう。ですから,予習はふつう一回しかしませんが,復習は数回やる必要があります。といっても,同じことを何回もやるのではなく,身についたことはとばして,身についていないことを選択的・重点的にやることになります。

予習でも復習でも,何がわかっていて何がわかっていないのかを自分に問い詰めることが大切です。ぜんぶわかんない,という人がよくいますが,そんなことはありません。たぶんきっと,何がわかっていないのかがよくわからないということです。そしてそういう人は,学習している分野を区切って,どこまでわかっているのか,どこから少しわかんなくなったのか,どこから全然わかんなくなったのかをはっきりさせる努力をしてください。

勉強していけば途中で,今まで大丈夫だと思っていたことが不安に思えたり,わからないと思っていたものがいつのまにかわかっているということもあります。そういう時には方針を修正しましょう。自分が決めたやり方を,思い切って変えることが必要になることもよくあります。あまり自分を型にはめず,柔軟に勉強法を変えることも大切なことです。

 

予習と復習のどちらに重点を置くべきなのか

やり方にもよりますが,一般的には,力のある人は予習重視,まだまだの人は復習重視,と言われてきました。最近ではあまり予習,予習とうるさく言うと,生徒が引いてしまうので復習重視に方針転換したという予備校の先生もいますが,予習をするとしないとでは学習効果に差が出てしまうのは確かでしょう。

ただ,英語,とくに英文読解・長文の授業に関しては,そもそもある程度の実力がないと予習に手をつけることさえ不可能です。単語調べというものもありますが,単語調べは予習の前段階とでもいうべきもので,知らぺた上で文章の意味を読み取る努力をするのが長文の予習です。和訳を作って授業に臨むというのは,すばらしい努力ではありますが,あまりに読めていない和訳の場合は,かえって無駄な努力になってしまうこともあります。予習の段階で,頭の中で和訳しながら読もうとしても全くダメな場合は,復習重視に切り替えてかまわないと思います。

その点,文法系の予習は,問題を解くことが中心になりますからやりやすいのですが,逆に復習の仕方を見失ってしまいがちです。つまり,自分で出した答えが合っていたら,それで終わりになってしまい,その問題は復習をしない人が多いようです。でも,それではまったく同じ問題が出た時にしか対応できません。復習はその問題を通じて学ぶことであり,その問題を学ぶことではないのです。具体的には後で述べますが,文法系はサラッと予習して,ジックリ復習するぐらいがちょうどいいと思います。

 

予習・復習の理想と現実

あれもこれもと欲ばっても,現実には時間が限られています。時間が無限にあるならば「こういう予習・復習をすれば確実に伸びる」ということも言えるでしょうが,現実には無理な注文になってしまいます。

人によっていろいろなケースが考えられるのですが,塾に通いながら勉強していると仮定すると,学校と塾の勉強だけで手いっぱいになるのがふつうです。その上で,現実にはどのくらいの時間勉強できるのかを考えてみましょう。

  • まず,一週間のフリーの時間の予定表を作成してみてください。その目的は授業や部活や雑用以外にどれだけの時間が与えられているのかをもう一回考えることです。だから,まだ何曜日に何をやるなどを記入する必要はありません。すでにふさがっている時間,つまり予習や復習や自習に使えない時間をはっきりさせるのです。あまり,きっちり予定で埋め尽くさないようにすることが大事です。できるはずもない計画を立てても無駄です。アバウトに考えてください。
  • そのあいている時間のうち5分の1くらいは予備として,空白にしておきます。予備の時間は,計画通りにいかなかった場合の調整用の時間です。計画はたいていうまくいかないものですから,調整用の時間をあらかじめ用意しておくことで,未達成の計画を少しでも達成に近づけるようにします。
  • こうして,学校(部活も含む)+塾の授業以外で使える,自分の勉強用の時間が1週間に何時間あるのかを算出し,その上で予備時間(20%)を引きます。たとえば,1日に1.5時間,土日にはそれぞれ4時間あるとすれば, ( 1.5時間 × 5 + 4時間 × 2 ) × 0.8 = 12.4 時間となり(計算の都合上,小数点以下四捨五入して12時間),これが1週間で使える自分用勉強時間です。これを各科目に配分し(たとえば 英語6, 現代文1, 古文2, 日本史3 あくまでも例です),さらに英語のうちで宿題・予習・復習・単語熟語の暗記・自分でやる問題集などに時間を振り分けます。これが最終的に予習・復習に与えられた時間ということになります。この時間で何ができ,なにができないかを冷静に考えてください。
  • 現在の実力と志望校と時期によって変わりますが,たとえば私大文系なら時間の50%は英語,私大理系なら50%が数学,というのが目安でしょう。
  • 予習と復習とに振り分ける割合は,実際に何回かやってみなければ決まりません。とりあえず半々くらいにして計画を実行していき,2 ~ 3 週間後に再調整するのがいいでしょう。 計画ははじめから完全なものを作るのではなく,実行しながら計画を少しずつ作っていく方がいいと思います。
  • この計算は,時期によって変わってきます。塾の科目を増やしたり,部活を卒業したり,文化祭などの行事に時間がとられたりと,コロコロ変わるはずですが,そのつど計画を立て直すのがおすすめです。一時的なことだからと油断していると,だらだらと時は過ぎてしまいます。
  • ただし,繰り返しになりますが,キッチリした(たとえば分単位の)計画は立てる必要はありません。芸能人の場合のように分単位であなたを拘束してくれるマネージャーはいません。マネージャーがいなければ自分で自分を律するしかなく,しかしそんなきつい律し方は長続きするものではないので,余裕をもった計画が必要です。
  • パターンを作る,そしてそのパターンを自分で壊す,またパターンを作りなおす,時にはわざとパターンからはずれてみる,こういう計画の方がクリエイティブだと思います。

さて,その与えられた時間で何をやればいいのでしょう。次にそれを考えます。

 (2) につづく

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